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世界でも有数の夜景の街を水面に映し、ゆらゆらと揺れる美しい光たち。
都会の喧騒から離れ、聞えてくるのは一定のリズムでやってくる波の音。
そして、それを遮るほどに高鳴るのは心音。
比例して熱くなる顔。
それらがこの後の展開を否でも感じさせているようで。
相葉はこの緊張感がたまらなくて、窓を開けた。
潮風が顔に当たり、頬の熱を奪ってくれる。
遠くに見える都会の夜景を見つめ、ひとつ息を吐いた。
「相葉さん・・・」
奥から聞えた声にビクッと肩を揺らす。
その声は相葉の後ろまで来ると、身体をそっと抱き寄せた。
「にの・・・」
潮風で冷ました頬はあっという間に熱を戻す。
それに気づかれないよう、わざと明るく振舞う。
「ね!見て!きれいだね・・・」
「ええ」
「ココからでも東京タワーって良く見えるんだね!」
「うん・・・・ねぇ相葉さん・・・シャワー・・・あなたの番ですよ」
「う、うん・・・・」
俯いて二宮のバスローブの袖をぎゅっと握った。
*****
少し熱めのシャワーを頭からかぶり、気持ちを収めようとする。
二宮を好きだと意識したのはもう随分前のこと。
自分の気持ちに愕然としたけど、二宮が同じ気持ちだと知って嬉しかった。
気持ちが通じて初めて交わしたキスは、絶対に忘れられないだろう。
嬉しくて嬉しくて・・・・その時は、その先のことなんて考えてなかった。
ただ、二宮が好きだった。
一緒にいたいと思った。
『俺、相葉さんを抱きたい』
二宮からそう言われたのは、1ヶ月前。
いつものように二宮の部屋でゲームをしたり漫画を読んだりしていた時だった。
驚いて顔を上げると、強く抱きしめられて心臓が跳ね上がる。
付き合うってことは、つまりそういうことで。
抱きしめる二宮の体温が急にリアルに感じられた。
俯いて固まってしまった相葉に、二宮は困ったように笑った。
『今すぐじゃなくて良いよ・・・それだけが目的じゃないし。ただ・・・あんたの気持ちがそうなった時には・・・』
抱かせて?
そう言った二宮はひどく真剣で。
笑ってごまかすこともできずに、ただ頷いたんだ。
あれからずっと考えてた。
『抱きたい』と二宮は言った。
ならば、自分は抱かれるのだろう。
それが自然なのかなんて分からないけど。
でも、二宮がそうしたいと言うなら・・・・。
一番それが自然な気がする。
相葉はシャワーの雫が伝い落ちていく自分の指先を見た。
それは小刻みに震えていて。
「にの・・・気づいたよね?」
嫌な訳じゃないんだ。
この1ヶ月、ずっと考えて出した答えだから。
にののこと、本当に大好きだし。
にのが望むならって、思ってる。
ただ、怖いんだ。
この先に待っているのは未知の世界。
そこに足を踏み入れること。
何よりも、自分がどうなってしまうのか。
そんな自分を、二宮はどう思うのか。
二宮に、嫌われたりしたら?
そう思うと、怖くてたまらないんだ。
震える指先を握り締め、心の迷いを払拭するように思いっきり頭を振った。
*****
シャワーから上がり、バスローブを纏うと二宮の元へと進む。
今日のために二宮が選んでくれたホテル。
都心から少し離れてはいるが、オーシャンビューとその向こうに見える都会の灯り、閑静な環境が売
りで、予約を取るのも大変だと聞いたことがある。
そしてこのホテルの中でも、おそらくかなりグレードの高い部屋だろうと一目で分かる上階の一室。
広いリビングルームにダイニングキッチンが続いて、その奥にはベッドルーム。
壁の一辺が全てガラスとなっていて、抜群のロケーション。
『相葉さんと過ごす初めての日だからね、俺がこうしたかったの』
感激と共に、こんな部屋高いでしょ?と動揺した相葉に、二宮はそう言って笑った。
二宮は先ほどの相葉のように、窓辺に腰掛けて外を見ている。
そんな姿を相葉は少しの間見つめていた。
二宮も緊張しているのだろうか?
自分と同じように、怖いなんて思っているのか。
静かに近づくと、先ほどの二宮がしたように後ろから抱きついた。
「にぃの・・・」
前に回された相葉の手を取り、二宮は自分のそれと重ねた。
その相葉よりも小さな手は、僅かに震えていた。
「相葉さん・・・俺って情けないですね。あんたが俺のものになってくれるのが嬉しいのに・・・怖いんだ」
二宮は重ねた手にそっと口付けた。
「にの・・・」
ああ、一緒なんだ。
そう思うと、安心した。
そして、どうしようもないくらいの愛おしさがこみ上げる。
「うん・・・にの。おれも怖いよ・・・。でも、にのと・・・こうなることが怖いんじゃない・・・にのに嫌われるんじゃないかってことが怖いの・・・」
二宮が身体を反転させ、相葉と向き合う。
相葉は二宮の肩口に顔を寄せて囁いた。
「おれ・・・自分がどうなっちゃうのか・・・わからないから・・・」
それでにのが俺から離れちゃうんじゃないかって。
「何があったって、俺があんたから離れる事なんてないよ」
相葉の頭に手を回し優しく撫でる。
「あんたを嫌いになる事なんてない・・・。俺はね、自分が怖いんだ・・・」
「じぶん・・・?」
「ええ・・・。あんたの事考えずに、めちゃくちゃにしてしまうんじゃないかって・・・」
きっと、抑えが利かなくなる。
それが怖いんだ。
二宮は相葉の頭に自分の顔をすり寄せた。
それに応えるように相葉の手が二宮の背中に回る。
「にの・・・。おれは大丈夫だよ?にのがいれば、なにがあっても・・・大丈夫」
にのとなら、何があっても・・・きっと、すごく幸せだから。
背中に回った手に力を込めた。
二宮は顔を上げると、両手で相葉の顔を包み込み、見つめる。
愛おしくて愛おしくて堪らないひと。
「相葉さん。あなたを・・・抱いていい?」
二宮の言葉に相葉の瞳が揺れた。
一度その瞳を閉じると、二宮の手に自分の手を添え、頬をすり寄せる。
恋しくて恋しくてどうしようもないひと。
「うん・・・抱いて・・・?」
その手を取って、ベットルームへと誘う。
手から伝わってくる相手の熱と、緊張感。
それ以上の愛情。
言葉でなんて言い表せない気持ち。
だからきっと、身体を重ねるんだ。
言葉にできない想いを伝えるために。
そう思うと自然な気がした。
*****
ベッドルームは落ち着いた灯りに包まれていて、窓に揺れる都会の灯りを映す。
相葉の手を引いてベッドへ座らせると、顔を上向かせて、キスを贈る。
「ん・・・・」
そのまま肩を押してベッドへと沈んだ。
触れるだけのキスを唇、頬、瞼へと移す。
くすぐったそうに受け止めていた相葉が、二宮の胸を押してそれを制した。
「んっ・・・・ね、ねぇ、にの・・・?」
「何ですか?」
「あ、あのね!えっと・・・そう!夜景!!夜景がきれいだね・・・?」
そう言って、窓を指さす。
「・・・・ええ、そうですね」
「ね・・・・・えっと・・・あのね?」
「うん?」
「ね!ほんとにさ・・・高いんでしょ?この部屋。こんな豪華な部屋泊まったことないし・・・。あ、なんだったらおれも半分だそう・・・・」
「相葉さん」
「え?」
「もう、黙って・・・」
相葉の唇に指を当てて、言葉を遮る。
言葉を紡ぐことが出来なくなった瞳が不安そうに揺らいだ。
それすらも美しく、二宮を魅了する。
相葉が安心できるよう、そっと口付けた。
「ん・・・、にの・・・おれが・・・もしおれが変でも・・・・」
嫌いにならないでね。
「心配性ですね。絶対に嫌いになんかならないよ」
ほんと?と聞いてくる相葉に優しく微笑む。
しかしそれはすぐに意地悪な笑みに変わって。
「それに・・・元々変なんだから、それ以上にはなりようがないでしょ?」
「・・・・もう!!」
相葉が頬を膨らます。
「あら、可愛い顔が台無し」
二宮がその頬の空気を手で押しつぶして抜くと、2人で笑った。
「・・・相葉さん好きだよ」
「うん・・・おれも」
どちらからともなく寄せられた唇。
それは次第に深くなっていく。
相葉のふくよかな下唇を吸い、舌で刺激して開かせる。
少し開いたそこから自らの舌を滑り込ませ、相葉の口腔内を犯していく。
「んっ・・・んあっ・・・ふ・・・・ん」
歯列をなぞり、奥に潜む相葉の舌を捕らえる。
反応して相葉の舌がビクリと震えた。
舌を吸い、自分のそれと絡める。
「ふっん・・・んちゅ・・はっ・・・」
何度も繰り返される口づけに相葉は必死に付いていこうとする。
「んんっ・・・ぁ・・・はぁ」
長く深いキスに息苦しさを覚えた相葉が、二宮の袖を引っ張ると、ようやく唇が離される。
相葉の目はいつもにまして、潤んでいた。
その瞳に、二宮の欲望は膨らむ。
耳の裏側にキスを落とし、耳元でうっとりと囁いた。
「あいばさん・・・綺麗」
「は、ん・・・・にぃの・・・あっ!」
二宮はバスローブの袷から手を差し入れると、相葉の滑らかな肌を楽しむように撫でる。
その手は何度か肌を滑った後、相葉の胸の突起に触れた。
「んあっ!あ、なにぃ・・・?」
痺れるよな感覚に相葉は戸惑い、二宮の手を掴む。
大丈夫だよという想いを込めて相葉の頬にキスをすると、戸惑いながらも頷いて二宮の手を離し、代わりにバスローブの袖を握り締めた。
「んっ、ん・・・あ」
胸の突起を指で刺激しながら、首筋を唇で伝っていくと、相葉の身体がふるっと震える。
わき腹まで下りた唇が再び上へと上がり、胸の突起を包み込んだ。
舌先で転がされ、吸われるたびに身体に電流のような痺れが走る。
「あっん・・・」
相葉の反応を確かめるようにしながら、ねっとりとそこを何度も舐め上げる。
そして、胸の突起の少し横の辺りに強めに吸い付いた。
「あっ!いたっ・・・・なに?」
ピリっとした痛みに相葉の顔が歪んだ。
「んふふ・・・ごめんね?つけてみたかったの」
俺のもの。
その証をあなたのカラダに。
赤く色づくそれは相葉の白く透き通る肌にきれいに咲いた。
その花を愛おしそうに撫でると、優しく口付ける。
「ん・・・・あ・・んっ」
二宮の手が相葉の体に沿って下へと滑っていき、太腿を撫で上げた。
そして、その手は相葉自身へと伸ばされてそっと擦られる。
「ああっ!んっ・・・やっ・・・まって・・・んっ」
そこは既に反応し始めて熱を持っていた。
思わず上げてしまった自分の声に驚いて動揺する相葉の瞳から一滴の涙が零れた。
その涙を唇で吸い取ると、二宮が笑う。
「んふふ、かぁわいい・・・下着はいてきたんだ・・・?」
「んっ、だってぇ・・・」
さすがに何も纏わないのは恥ずかしくて、バスローブ以外に1つだけ身につけたもの。
その上から反応し始めている自身に触れられて、顔が赤くなる。
二宮の顔が見られずに目を逸らした。
「相葉さん・・・こっち見て?」
「・・・いや」
「どうして?」
「・・・」
自分だけが二宮に触られてこんなになって、恥ずかしくて堪らなかった。
「大丈夫、あんただけじゃない・・・・」
「あっ・・・・に、にのっ」
顔を横に向けたままの相葉の頬にちゅっと口付けると、二宮は自分の下半身を相葉の太腿辺りに押し付ける。
そこは、バスローブ越しでも分かるほどに熱を持っていた。
「俺だって、あんたに触っただけで・・・こんなにも感じてるんだよ・・・あんただけじゃない・・・」
そう言って再び頬に口付けた。
相葉が二宮を見る。
その瞳は真っ直ぐに自分に向けられていて。
ああ、そうだ。
二宮とこうなることを望んだのは自分。
恥ずかしいけど。
怖いけど。
それ以上に彼が好きだから。
相葉自身に伸ばされた二宮の手に自分の手を添えて二宮を見つめる。
「んっ・・・にの、続きして?」
「・・・はい」
二宮は微笑むと、相葉自身を刺激し始める。
「んっ!はっ、ん・・・」
二宮の愛撫に次第に大きくなっていく欲望。
どうしていいか分からずにいる相葉は、足をすり寄せてその感覚に耐える。
口をぎゅっと引き結んで。
そうしないとどうにかなりそうだから。
あられもない声を張り上げてしまいそうだった。
「あいばさん・・・声聞きたい。我慢しないで?俺に・・・あんたの全てを見せてよ・・・」
二宮の指が相葉の唇を割って、口腔内に入り込む。
歯を食いしばって声を耐えていた相葉は、二宮の指を噛むわけにもいかずに、口を開けるしかなかった。
声を抑えることが出来なくなった相葉は、甘く高い声を上げる。
「んふっ・・・ん、あっ・・・」
二宮は相葉の身体を抱き起こすと、肩からバスローブを抜いて取り去る。
そして下着に手をかけると一気に脱がせ、自らも着ているものを脱ぎ捨て、一子纏わぬ姿となった。
そして直接相葉の欲望に触れると、高みへと誘うようにその手を動かす。
完全に起ち上がったそれは、更なる刺激を求めるように口から先走りを滴らせた。
「あぁっ、あ、あっ・・・やぁっ・・・」
上ずる相葉の声に限界が近いのだと知る。
「相葉さん・・・イキそう?」
「うっん・・・・だめぇっ・・・にのぉ・・・んっ」
二宮の手首を掴んで、必死に首を振る相葉。
それを見て手の動きを速める。
「いいよ・・・、イって?」
「んっ!あっ、あ・・・やっ、でちゃ・・・ああっ!」
一際大きく声を上げたのと同時に、相葉は二宮の手に白濁を吐き出した。
熱を吐き出し、ぼんやりと天井を見つめる相葉の顔を覗き込んで、触れるだけのキスをする。
「気持ち・・・良かった?」
「うん・・・・えっ!?いや、ううん!や、うん・・・」
「んふふ、どっちだよ・・・」
そう言った二宮は、手に吐き出された白濁をしばし見つめたかと思うと、おもむろにそれに舌を這わせた。
「・・・にの?って!!なにしてんの!?」
慌てて二宮の手を掴んだが、時既に遅く。
「ん・・・苦いね・・・でも、あんたのだから」
おいしいよと笑ってみせる。
「もう・・・信じらんない」
顔を真っ赤にして二宮を恨めしそうに見上げた。
ホントのことなのにと、二宮は肩を竦めて微笑んだ。
そして再び相葉の身体を愛撫する。
「んっ・・・・ね、にの・・・」
「んー?」
「にのは・・・?その・・・しなくて・・・いいの?」
「・・・してくれんの?」
「え・・・う、うん・・・だって、おれだけなんて・・・」
相葉は二宮の固くなったものに目を向けると、顔を赤くしてすぐに目を逸らす。
「んふふ、今日はいいよ・・・。俺はあんたの中でイキたいから・・・」
「なっ!もう、ばか・・・」
「照れてんの?可愛いんだから」
そんな可愛い顔してさ、どうなってもしらないよ?
一度熱を知った身体は少しの愛撫で、すぐに反応を始める。
「あっ、ん・・・」
身体を舌でなぞって下へと進んでいき、頭をもたげ始めているそこに口付けると、口腔内へと誘い込んだ。
「ちょっ!や、まって!ああっ・・・」
突然の出来事に相葉は身体を起こして二宮を止めようとするが、あっさりと二宮に制されてしまった。
二宮の口内に入って舌で刺激されたそれは、あっという間に体積を増していく。
相葉は二宮の頭を押し返そうとするが、あまりの刺激の強さに力が入らず、撫でるのが精一杯だった。
「んあっ!あぁ・・・に、のぉ・・・んっ」
「んっ・・・はっ、あいばさん・・・気持ちいい?」
「やっん、しゃべら・・ないでっ・・・あっ」
相葉の反応を見ながら口での愛撫を続け、その奥に潜む蕾へ触れる。
入り口を指で押すと、そこは収縮して、まるで何かを期待しているようにさえ思えた。
「んっ!に、にの!」
誰にも触れられたことのない、見られたことさえないその部分に二宮が触れている。
それだけで、どうしようもないくらいに恥ずかしい。
なのに、それ以上に感じていた。
相葉自身に這わせた舌をそのまま最奥へとしのばせ、その入り口を刺激する。
「ああっ!あ、んっ。に、にのぉ・・・ふんっ」
二宮が舌で押したり舐め上げるたびに、相葉の秘部は意志を持ったように蠢いた。
「ふっ、はぁん・・・・ん、にの・・・にのぉ」
初めての感覚に、恐怖にも似た感情が相葉を襲う。
それを振り払うかのように、相葉は二宮の名前を呼び続けた。
相葉の動揺を感じて、二宮は一旦顔を上げると相葉と目を合わせた。
不安と快感が入り混じった相葉の瞳が揺らめく。
相葉を安心させるように頭を撫でる。
「あいばさん・・・すきだよ。どんなあんたでも、相葉雅紀である限り・・・ずっと愛してる・・・」
「にの・・・おれも。どんな・・・にのでもだいすき。だから・・・」
大丈夫だよ。
心配しないで。
ただ、初めてだからちょっと恥ずかしいだけ。
どうしようもなく緊張してるだけ。
にのを受け入れることに、抵抗なんてない。
その気持ちを込めて、二宮にキスをした。
唇を離すと、二宮が微笑んだ。
二宮は、自分の指を相葉の口腔内に滑り込ませる。
「しっかり・・・舐めて?」
「ンふっ・・・んちゅ・・・はっむ・・・・」
相葉は言われたとおりに夢中で二宮の指を舐めた。
そんな相葉にどうしようもないくらいに欲情する。
今すぐにでも自分の欲望を相葉の中に押し入れて、めちゃくちゃに動いてやりたい。
相葉が泣き喚いて許しを請うくらいに激しく貫きたい。
でも、そんなことをして彼を傷つけることは本意ではないから。
身体を繋げることだけが目的ではないから。
自分の恐ろしい感情を、奥歯を噛み締めてやり過ごす。
「・・・ありがと、もういいよ」
お礼のキスを相葉に贈ると、嬉しそうにはにかんだ。
二宮は充分に湿った指を相葉の秘部へと這わせて、1本の指を埋め込んでいく。
「んっ!あぁ・・・・」
「痛い?」
「ふっ・・ん、ううん・・・いたくない・・・けど、変なかんじがするぅ・・・」
秘部は入り込んできた異物を排出しようと締め付ける。
内壁を傷つけないようゆっくりと指を奥へと進めた。
奥まで入ると、相葉に痛みの表情がないことを確認して、埋め込まれた指を動かす。
「んっ、はっ・・・あ」
中で回したり、曲げたりするたびに相葉の口からは声が漏れる。
それは、快感というよりは異物の侵入による圧迫感からのようだった。
二宮は相葉の表情を見ながらゆっくりと解してゆく。
「ふっ・・・あっん!ああっ・・・」
指を曲げて回転させた時、二宮の指がある場所を掠めた。
その瞬間、相葉の身体がビクンと跳ね上がる。
同時に甲高い声を上げた。
それは明らかに今までのものとは質の違う反応で。
相葉自身も突然の衝撃に驚いているようだった。
「はっぁ・・・な、なに?ああっ!」
もう一度先ほどの場所を探り、そこに触れてみる。
すると、相葉は再び高い声を上げて身体を反らせた。
間違いない。
「・・・ここ?ココがいいの?」
「んっ!ああっ、はっん・・・いやっ、そこ・・・やだぁっ」
味わったことのない感覚に、相葉の瞳から涙が零れた。
二宮は、涙を拭ってやりながら内壁を刺激する。
「んっ!ああ・・・ふぁっ、にのぉ・・・」
中で指が動くたびに大きな反応を返す相葉。
すでに苦しさはなくなっているようだ。
解れてきたそこは、増えた指を簡単に受け入れた。
その腰は快感に揺れている。
うつろな瞳で二宮に快感を訴える相葉は、この世のどんなものよりも綺麗だ。
本当に愛おしくて堪らなかった。
何をおいても最優先だった。
手に入れたくて、でも出来なくて。
拒まれたら生きていけないから。
頭の中で何度も彼を穢した。
頭の中の彼に欲望をぶつけて、自分の手を汚すことなんてしょっちゅうだった。
そして、何度も後悔し、彼に詫びた。
離れようと思った。
でも出来なかった。
それでも傍にいたかったから。
傍にいられるなら、今のままでも良い。
そう思い込ませて。
彼が自分を好きだと言った時、本当にどうにかなりそうだった。
嬉しくて嬉しくて。
その彼が今、自分を受け入れようとしてくれている。
これ以上の幸せなんて・・・・ない。
「んあっ・・・あ・・・?にぃのぉ?・・・・」
涙に濡れて、キラキラ光る瞳が二宮を捉えて不安そうに揺れた。
手を伸ばして、二宮の顔に触れる。
「・・・あいばさん?」
「・・んっ、にの・・・どうしたの?」
相葉に言われて自分の頬を触ると、一筋の涙が流れていた。
相葉の顔がくしゃりと崩れる。
「にのぉ・・・おれ、が・・・だめだから・・・・?」
「違うよ。違う・・・そうじゃない。」
相葉の手に自分の手を重ねた。
「ごめん・・・。不安にさせたね。でも、あんたのせいじゃないんだ・・・。俺はただ、嬉しくて堪らないんだ」
「うれしい・・・?」
「うん・・・あんたが俺の事好きになってくれたこと、俺のものになってくれたこと、俺を・・・・俺を受け入れてくれようとしてくれてることが・・・・嬉しくて」
堪らないんだ。
二宮の頬をもう一筋、涙が伝った。
その涙を相葉は愛おしそうに拭う。
「にの・・・・おれだって。にのが好きになってくれて、愛してくれて・・・必要としてくれてることが本当にうれしいの・・・にのを・・・受け入れられることが、本当に・・・」
幸せ。
「あいばさん・・・・」
「ねぇ、にの・・・こんな幸せ・・・2人だからだね?」
相葉が綺麗に微笑んだ。
「・・・そうですね。ホントにそう・・・」
二宮も微笑んだ。
その表情に相葉は頬を赤らめた。
そして・・・。
「ねぇ、にの。もう・・・おれ・・・」
「あいばさん?」
相葉が二宮の下で腰を揺らした。
「ねぇ・・・もう・・・にのがほしい・・・」
「え・・・?」
「だって!もう、にののこと考えたら・・・・もう、はやく1つになりたい・・・」
潤んだ瞳で訴える相葉に、二宮の欲情が再び増幅する。
相葉の唇にキスをして、昂ぶった自身を相葉の秘部にあてがった。
「相葉さん・・・いくよ?」
「うっん、きて・・・?」
相葉が安心できるようにキスをしながら、自らを押し進めた。
「ひっ!あ、あ・・・いたっ・・・ああっ、くっ」
指とは比べ物にならない質量が相葉の秘部に入り込もうとする。
あまりの痛みに相葉の顔が歪んだ。
「くっ、あいばっさんっ・・・力抜いてっ・・・・」
「あぁっ、んっ・・・いた・・・いたい、んっ、はぁ・・・」
涙を流しながら、一生懸命に力を抜こうと、大きく息を吐く。
痛みに、相葉の顔からは血の気が引いていた。
二宮の方も、相葉の締め付けに痛みが走る。
相葉の力が少しでも抜けるように顔中にキスを落とし、涙を拭う。
「あ、にのぉ・・・・んっはぁ・・・いた・・いっ・・」
二宮の先端の太い部分を飲み込むことがなかなか出来ずに、痛みだけが相葉を襲った。
「くっ、ん・・・。相葉さんっ・・・大丈夫?」
痛そうにする相葉に二宮は身を引こうとしたが、相葉が二宮の腕を掴んで制した。
二宮を見て、必死に首を振る。
「相葉さん・・・?」
「やっ・・・やだっ!にの、続けてぇ・・・おれ、大丈夫だかっら、んっ」
お願いと、涙で溢れる瞳が懇願する。
「相葉さん・・・前にも言ったでしょ?これだけが目的じゃないって。無理して傷つけたくないんだ・・・」
「ちがっ・・・違うの!んはぁ・・・にのの為とかじゃなくって・・・・おれが・・・続けて欲しいの・・・にのを受け入れたいのっ・・・」
「あいば・・・」
「ねぇ・・・おねがぁい。おれ、ニノと・・・・繋がりたいっ。ああっ!!」
そう言って自ら腰を浮かせて、二宮に身体を押し付ける。
「ばっ!何してんの!」
一層の痛みに顔を歪めた相葉だが、再び腰を押し付けようとする。
二宮が肩を抑えて止めさせ、ため息を吐いた。
「だってぇ・・・」
「・・・俺がするから・・・・俺にさせて?」
「うん・・・」
二宮は相葉の萎えてしまった部分へ手を伸ばし、ゆっくりとしごいた。
「んっ、ん・・・はっん・・・ああ・・・」
その刺激に次第に立ち上がってくる相葉を、なおも愛おしそうに愛撫する。
完全に相葉の意識がそちらに向き、きつく締め付けられていた部分の力が緩んだ。
それを見計らって、二宮が身体を進める。
「あっん!あぁっ・・・」
先端部分が相葉の中に入り込むと、前への刺激を続けながら、奥までゆっくりと入り込んでいく。
「くっ、はぁ・・・・あいばさん、入ったよ・・・・分かる?」
押し広げられた痛みと圧迫感に、浅い呼吸を繰り返していた相葉だが、二宮の言葉に綺麗に微笑んだ。
「うんっ・・・・はぁ。にのが中にいる・・・・繋がってるんだね。ふっ、ん・・・うれしい・・・」
相葉は下腹部に自らの手を置いて涙を流した。
それは、けっして痛みから来るものではなく。
1つになれた喜び。
二宮を受け入れた内部は、その異物を確認するかのように収縮を繰り返した。
二宮は自身が相葉の中に馴染んで痛みが引くまで、動かずにキスを繰り返し、頭を撫でる。
「ん・・・にのぉ・・・」
しばらくすると、相葉が小さな声で二宮を呼んだ。
「何?」
「・・・う、ん。あの、もう・・・いいから・・・動いて?」
相葉の表情を窺うと、その顔色は先ほどまでと違って赤みが差し、浅かった呼吸も今では熱を持った吐息に変わっていた。
腰が僅かに揺れている。
「いいの?」
「うっん・・・もう、だいじょ・・・ぶ・・だから、おねがい・・・んっ!」
「・・・・痛かったら、言えよ?」
相葉が頷いたのを確認してから、二宮はゆっくりと動きだした。
「あっ、あ、んっ・・・」
二宮の律動に合わせるように腰を揺らす相葉。
痛みがないのを確認しながら、相葉の感じる場所を探し、そこを目掛けて自らの抽出を繰り返す。
起ち上がりかけている相葉自身にも手をかけ、同時に刺激した。
「ああっ!あ、んっ、にのぉ・・・あっ」
「あいばさんっ・・・・く、はっ」
完全に二宮を受け入れたそこは、二宮を捉えて離すまいとするかのように絡みつき、二宮を快感の渦へと誘い込んだ。
激しく動きたい衝動を抑えて、相葉の負担にならないようにゆっくりとした律動を繰り返す二宮に、相葉が潤んだ瞳で訴える。
「んぁっ、に、のぉ・・・」
「なっに・・・?」
「おれ・・・おれ、大丈夫だからぁ・・・・もっと、動いてっ」
「でも・・・・」
「いいからぁ・・・もっと、にのを・・・感じたいっ」
シーツを握り締めていた相葉の手を自分の背中に回させると、額に口付ける。
「辛かったら、爪立てても良いから・・・いくよ?」
「うんっ!」
二宮が激しく動き出した。
その突き上げと内壁を擦られる感覚に、二宮の背中に回った手に力が入る。
激しく動きながらも、二宮は相葉の良い所ばかりを狙って突いてくる。
痛みに勝る快感。
相葉の口からは絶えず声が漏れていた。
「あっ、はっん!あ、あぁっ・・・にっ、の」
二宮が再び前への愛撫を始めると、それは一層高く、大きな声となった。
限界が近い。
相葉は、自分の中が熱く溶けてしまうような感覚に陥る。
二宮と一緒ならそれも構わない。
一緒に溶けてドロドロになって、どっちがどっちか分からなくなるくらいに混ざり合ってしまえばいいのに。
二宮もそう思ってくれているだろうか?
自分に感じてくれている?
涙に濡れた瞳で二宮を見つめた。
「ふっ、ん・・にの、きもち・・いいっ?」
「んっ、はっ・・・もう、気が狂いそうなくらい・・・」
気持ちいいよ。
「よかっ・・・た、んっ!はぁん・・おれ、もう・・・あっ」
「うん、俺もっ・・・一緒にイこうか?」
相葉が頷くと、二宮は最後に向かい一層激しく突き上げる。
「にのぉ・・・すきっ、だいすきっ!ふっ・・・ん!」
「俺もっ、愛してるよ・・・」
二宮に縋りつき、「好き」を繰り返す相葉に応えるように言うと、唇に噛み付いた。
何度も押し寄せる快感に、相葉の目の前がスパークする。
「ああっ!にのぉ・・・あっ、いっ、くぅ・・・・あぁっ!!」
「く、はっ・・・あいばっ!!」
相葉が自らの腹を汚したのとほぼ同時に、自分の奥で二宮が弾けたのを感じた。
自分の中に感じる二宮の熱に、相葉の頬を涙が伝う。
なんて、幸せ。
*****
「・・・相葉さん?大丈夫?」
「・・・・」
涙を拭ってくれる二宮をぼんやりと見る。
二宮は困ったように相葉から目を逸らした。
「・・・参ったな」
「え・・・?」
その言葉は相葉を不安にさせた。
自分は何か失敗しただろうか。
「・・・そんな目で見ないでよ」
「え?」
「無理させたくないのに・・・」
意味が分からない相葉は二宮を不安そうに見つめた。
「もう・・・負担かけたくないのに、そんな風に見つめられたら俺が我慢できないって」
「なっ!なに言って・・・・」
「しないよっ。今日はね、もうしないよ。初めてだし、辛かったでしょ?」
「あ、ううん!最初は恥ずかしかったし、痛かったけど・・・でも、してって言ったのはおれだから・・・それに・・・な、なんでもない!」
「何?言ってよ」
「ううっ・・・。おれ、にのと繋がった時ね・・・本当に幸せだった。もうこのまま離れられなければ良いと思ったの。痛かったけどね、それもにのがくれたものだから・・・」
顔を赤くして言う相葉に二宮は言葉をなくす。
あんなに痛そうに顔を歪めて、なお幸せと言えるあなた。
俺を受け入れることを嬉しいと、涙まで流して。
本当に奇跡のような存在。
「あいばさん・・・本当にあなたって人は・・・」
何処まで俺を惚れさせるんですか?
「にの?」
不思議そうに首を傾げた愛しい人を抱きしめる。
しばらくなすがままに抱きしめられていた相葉だが、二宮の背中をポンポンと叩くと、気になっていたことを聞いた。
「ねぇ、にの?おれ・・・おれ、気持ちよかった?ちゃんと・・・」
感じてくれた?
「当たり前です。あんた以上に気持ちいい人なんていないよ。それにあんたが一番よく分かったでしょ?」
ココで・・・俺のモノを受け止めたんだから。
そう言って相葉の下腹部を撫でた。
「あ・・・うん、そうだね・・・」
「照れてんの?かぁわいい」
「もう!うるさいっ」
「んふふ、相葉さん・・・愛してる。ありがとう」
こんな俺を好きになってくれて。
俺のものになってくれて。
「にの・・・、うん。おれも、愛してる。ありがとう」
おれを愛してくれて。
あなたのものに・・・してくれて。
触れ合うだけのキスを何度も何度も繰り返す。
抱き合うことで知ったこと。
相手を受け入れることの幸せ。
1つになれる感覚。
そして、言葉では伝えきれない愛情。
想われていること。
想っていること。
「ねぇ、にの。こんな幸せ・・・」
2人だからだね。
おわり
都会の喧騒から離れ、聞えてくるのは一定のリズムでやってくる波の音。
そして、それを遮るほどに高鳴るのは心音。
比例して熱くなる顔。
それらがこの後の展開を否でも感じさせているようで。
相葉はこの緊張感がたまらなくて、窓を開けた。
潮風が顔に当たり、頬の熱を奪ってくれる。
遠くに見える都会の夜景を見つめ、ひとつ息を吐いた。
「相葉さん・・・」
奥から聞えた声にビクッと肩を揺らす。
その声は相葉の後ろまで来ると、身体をそっと抱き寄せた。
「にの・・・」
潮風で冷ました頬はあっという間に熱を戻す。
それに気づかれないよう、わざと明るく振舞う。
「ね!見て!きれいだね・・・」
「ええ」
「ココからでも東京タワーって良く見えるんだね!」
「うん・・・・ねぇ相葉さん・・・シャワー・・・あなたの番ですよ」
「う、うん・・・・」
俯いて二宮のバスローブの袖をぎゅっと握った。
*****
少し熱めのシャワーを頭からかぶり、気持ちを収めようとする。
二宮を好きだと意識したのはもう随分前のこと。
自分の気持ちに愕然としたけど、二宮が同じ気持ちだと知って嬉しかった。
気持ちが通じて初めて交わしたキスは、絶対に忘れられないだろう。
嬉しくて嬉しくて・・・・その時は、その先のことなんて考えてなかった。
ただ、二宮が好きだった。
一緒にいたいと思った。
『俺、相葉さんを抱きたい』
二宮からそう言われたのは、1ヶ月前。
いつものように二宮の部屋でゲームをしたり漫画を読んだりしていた時だった。
驚いて顔を上げると、強く抱きしめられて心臓が跳ね上がる。
付き合うってことは、つまりそういうことで。
抱きしめる二宮の体温が急にリアルに感じられた。
俯いて固まってしまった相葉に、二宮は困ったように笑った。
『今すぐじゃなくて良いよ・・・それだけが目的じゃないし。ただ・・・あんたの気持ちがそうなった時には・・・』
抱かせて?
そう言った二宮はひどく真剣で。
笑ってごまかすこともできずに、ただ頷いたんだ。
あれからずっと考えてた。
『抱きたい』と二宮は言った。
ならば、自分は抱かれるのだろう。
それが自然なのかなんて分からないけど。
でも、二宮がそうしたいと言うなら・・・・。
一番それが自然な気がする。
相葉はシャワーの雫が伝い落ちていく自分の指先を見た。
それは小刻みに震えていて。
「にの・・・気づいたよね?」
嫌な訳じゃないんだ。
この1ヶ月、ずっと考えて出した答えだから。
にののこと、本当に大好きだし。
にのが望むならって、思ってる。
ただ、怖いんだ。
この先に待っているのは未知の世界。
そこに足を踏み入れること。
何よりも、自分がどうなってしまうのか。
そんな自分を、二宮はどう思うのか。
二宮に、嫌われたりしたら?
そう思うと、怖くてたまらないんだ。
震える指先を握り締め、心の迷いを払拭するように思いっきり頭を振った。
*****
シャワーから上がり、バスローブを纏うと二宮の元へと進む。
今日のために二宮が選んでくれたホテル。
都心から少し離れてはいるが、オーシャンビューとその向こうに見える都会の灯り、閑静な環境が売
りで、予約を取るのも大変だと聞いたことがある。
そしてこのホテルの中でも、おそらくかなりグレードの高い部屋だろうと一目で分かる上階の一室。
広いリビングルームにダイニングキッチンが続いて、その奥にはベッドルーム。
壁の一辺が全てガラスとなっていて、抜群のロケーション。
『相葉さんと過ごす初めての日だからね、俺がこうしたかったの』
感激と共に、こんな部屋高いでしょ?と動揺した相葉に、二宮はそう言って笑った。
二宮は先ほどの相葉のように、窓辺に腰掛けて外を見ている。
そんな姿を相葉は少しの間見つめていた。
二宮も緊張しているのだろうか?
自分と同じように、怖いなんて思っているのか。
静かに近づくと、先ほどの二宮がしたように後ろから抱きついた。
「にぃの・・・」
前に回された相葉の手を取り、二宮は自分のそれと重ねた。
その相葉よりも小さな手は、僅かに震えていた。
「相葉さん・・・俺って情けないですね。あんたが俺のものになってくれるのが嬉しいのに・・・怖いんだ」
二宮は重ねた手にそっと口付けた。
「にの・・・」
ああ、一緒なんだ。
そう思うと、安心した。
そして、どうしようもないくらいの愛おしさがこみ上げる。
「うん・・・にの。おれも怖いよ・・・。でも、にのと・・・こうなることが怖いんじゃない・・・にのに嫌われるんじゃないかってことが怖いの・・・」
二宮が身体を反転させ、相葉と向き合う。
相葉は二宮の肩口に顔を寄せて囁いた。
「おれ・・・自分がどうなっちゃうのか・・・わからないから・・・」
それでにのが俺から離れちゃうんじゃないかって。
「何があったって、俺があんたから離れる事なんてないよ」
相葉の頭に手を回し優しく撫でる。
「あんたを嫌いになる事なんてない・・・。俺はね、自分が怖いんだ・・・」
「じぶん・・・?」
「ええ・・・。あんたの事考えずに、めちゃくちゃにしてしまうんじゃないかって・・・」
きっと、抑えが利かなくなる。
それが怖いんだ。
二宮は相葉の頭に自分の顔をすり寄せた。
それに応えるように相葉の手が二宮の背中に回る。
「にの・・・。おれは大丈夫だよ?にのがいれば、なにがあっても・・・大丈夫」
にのとなら、何があっても・・・きっと、すごく幸せだから。
背中に回った手に力を込めた。
二宮は顔を上げると、両手で相葉の顔を包み込み、見つめる。
愛おしくて愛おしくて堪らないひと。
「相葉さん。あなたを・・・抱いていい?」
二宮の言葉に相葉の瞳が揺れた。
一度その瞳を閉じると、二宮の手に自分の手を添え、頬をすり寄せる。
恋しくて恋しくてどうしようもないひと。
「うん・・・抱いて・・・?」
その手を取って、ベットルームへと誘う。
手から伝わってくる相手の熱と、緊張感。
それ以上の愛情。
言葉でなんて言い表せない気持ち。
だからきっと、身体を重ねるんだ。
言葉にできない想いを伝えるために。
そう思うと自然な気がした。
*****
ベッドルームは落ち着いた灯りに包まれていて、窓に揺れる都会の灯りを映す。
相葉の手を引いてベッドへ座らせると、顔を上向かせて、キスを贈る。
「ん・・・・」
そのまま肩を押してベッドへと沈んだ。
触れるだけのキスを唇、頬、瞼へと移す。
くすぐったそうに受け止めていた相葉が、二宮の胸を押してそれを制した。
「んっ・・・・ね、ねぇ、にの・・・?」
「何ですか?」
「あ、あのね!えっと・・・そう!夜景!!夜景がきれいだね・・・?」
そう言って、窓を指さす。
「・・・・ええ、そうですね」
「ね・・・・・えっと・・・あのね?」
「うん?」
「ね!ほんとにさ・・・高いんでしょ?この部屋。こんな豪華な部屋泊まったことないし・・・。あ、なんだったらおれも半分だそう・・・・」
「相葉さん」
「え?」
「もう、黙って・・・」
相葉の唇に指を当てて、言葉を遮る。
言葉を紡ぐことが出来なくなった瞳が不安そうに揺らいだ。
それすらも美しく、二宮を魅了する。
相葉が安心できるよう、そっと口付けた。
「ん・・・、にの・・・おれが・・・もしおれが変でも・・・・」
嫌いにならないでね。
「心配性ですね。絶対に嫌いになんかならないよ」
ほんと?と聞いてくる相葉に優しく微笑む。
しかしそれはすぐに意地悪な笑みに変わって。
「それに・・・元々変なんだから、それ以上にはなりようがないでしょ?」
「・・・・もう!!」
相葉が頬を膨らます。
「あら、可愛い顔が台無し」
二宮がその頬の空気を手で押しつぶして抜くと、2人で笑った。
「・・・相葉さん好きだよ」
「うん・・・おれも」
どちらからともなく寄せられた唇。
それは次第に深くなっていく。
相葉のふくよかな下唇を吸い、舌で刺激して開かせる。
少し開いたそこから自らの舌を滑り込ませ、相葉の口腔内を犯していく。
「んっ・・・んあっ・・・ふ・・・・ん」
歯列をなぞり、奥に潜む相葉の舌を捕らえる。
反応して相葉の舌がビクリと震えた。
舌を吸い、自分のそれと絡める。
「ふっん・・・んちゅ・・はっ・・・」
何度も繰り返される口づけに相葉は必死に付いていこうとする。
「んんっ・・・ぁ・・・はぁ」
長く深いキスに息苦しさを覚えた相葉が、二宮の袖を引っ張ると、ようやく唇が離される。
相葉の目はいつもにまして、潤んでいた。
その瞳に、二宮の欲望は膨らむ。
耳の裏側にキスを落とし、耳元でうっとりと囁いた。
「あいばさん・・・綺麗」
「は、ん・・・・にぃの・・・あっ!」
二宮はバスローブの袷から手を差し入れると、相葉の滑らかな肌を楽しむように撫でる。
その手は何度か肌を滑った後、相葉の胸の突起に触れた。
「んあっ!あ、なにぃ・・・?」
痺れるよな感覚に相葉は戸惑い、二宮の手を掴む。
大丈夫だよという想いを込めて相葉の頬にキスをすると、戸惑いながらも頷いて二宮の手を離し、代わりにバスローブの袖を握り締めた。
「んっ、ん・・・あ」
胸の突起を指で刺激しながら、首筋を唇で伝っていくと、相葉の身体がふるっと震える。
わき腹まで下りた唇が再び上へと上がり、胸の突起を包み込んだ。
舌先で転がされ、吸われるたびに身体に電流のような痺れが走る。
「あっん・・・」
相葉の反応を確かめるようにしながら、ねっとりとそこを何度も舐め上げる。
そして、胸の突起の少し横の辺りに強めに吸い付いた。
「あっ!いたっ・・・・なに?」
ピリっとした痛みに相葉の顔が歪んだ。
「んふふ・・・ごめんね?つけてみたかったの」
俺のもの。
その証をあなたのカラダに。
赤く色づくそれは相葉の白く透き通る肌にきれいに咲いた。
その花を愛おしそうに撫でると、優しく口付ける。
「ん・・・・あ・・んっ」
二宮の手が相葉の体に沿って下へと滑っていき、太腿を撫で上げた。
そして、その手は相葉自身へと伸ばされてそっと擦られる。
「ああっ!んっ・・・やっ・・・まって・・・んっ」
そこは既に反応し始めて熱を持っていた。
思わず上げてしまった自分の声に驚いて動揺する相葉の瞳から一滴の涙が零れた。
その涙を唇で吸い取ると、二宮が笑う。
「んふふ、かぁわいい・・・下着はいてきたんだ・・・?」
「んっ、だってぇ・・・」
さすがに何も纏わないのは恥ずかしくて、バスローブ以外に1つだけ身につけたもの。
その上から反応し始めている自身に触れられて、顔が赤くなる。
二宮の顔が見られずに目を逸らした。
「相葉さん・・・こっち見て?」
「・・・いや」
「どうして?」
「・・・」
自分だけが二宮に触られてこんなになって、恥ずかしくて堪らなかった。
「大丈夫、あんただけじゃない・・・・」
「あっ・・・・に、にのっ」
顔を横に向けたままの相葉の頬にちゅっと口付けると、二宮は自分の下半身を相葉の太腿辺りに押し付ける。
そこは、バスローブ越しでも分かるほどに熱を持っていた。
「俺だって、あんたに触っただけで・・・こんなにも感じてるんだよ・・・あんただけじゃない・・・」
そう言って再び頬に口付けた。
相葉が二宮を見る。
その瞳は真っ直ぐに自分に向けられていて。
ああ、そうだ。
二宮とこうなることを望んだのは自分。
恥ずかしいけど。
怖いけど。
それ以上に彼が好きだから。
相葉自身に伸ばされた二宮の手に自分の手を添えて二宮を見つめる。
「んっ・・・にの、続きして?」
「・・・はい」
二宮は微笑むと、相葉自身を刺激し始める。
「んっ!はっ、ん・・・」
二宮の愛撫に次第に大きくなっていく欲望。
どうしていいか分からずにいる相葉は、足をすり寄せてその感覚に耐える。
口をぎゅっと引き結んで。
そうしないとどうにかなりそうだから。
あられもない声を張り上げてしまいそうだった。
「あいばさん・・・声聞きたい。我慢しないで?俺に・・・あんたの全てを見せてよ・・・」
二宮の指が相葉の唇を割って、口腔内に入り込む。
歯を食いしばって声を耐えていた相葉は、二宮の指を噛むわけにもいかずに、口を開けるしかなかった。
声を抑えることが出来なくなった相葉は、甘く高い声を上げる。
「んふっ・・・ん、あっ・・・」
二宮は相葉の身体を抱き起こすと、肩からバスローブを抜いて取り去る。
そして下着に手をかけると一気に脱がせ、自らも着ているものを脱ぎ捨て、一子纏わぬ姿となった。
そして直接相葉の欲望に触れると、高みへと誘うようにその手を動かす。
完全に起ち上がったそれは、更なる刺激を求めるように口から先走りを滴らせた。
「あぁっ、あ、あっ・・・やぁっ・・・」
上ずる相葉の声に限界が近いのだと知る。
「相葉さん・・・イキそう?」
「うっん・・・・だめぇっ・・・にのぉ・・・んっ」
二宮の手首を掴んで、必死に首を振る相葉。
それを見て手の動きを速める。
「いいよ・・・、イって?」
「んっ!あっ、あ・・・やっ、でちゃ・・・ああっ!」
一際大きく声を上げたのと同時に、相葉は二宮の手に白濁を吐き出した。
熱を吐き出し、ぼんやりと天井を見つめる相葉の顔を覗き込んで、触れるだけのキスをする。
「気持ち・・・良かった?」
「うん・・・・えっ!?いや、ううん!や、うん・・・」
「んふふ、どっちだよ・・・」
そう言った二宮は、手に吐き出された白濁をしばし見つめたかと思うと、おもむろにそれに舌を這わせた。
「・・・にの?って!!なにしてんの!?」
慌てて二宮の手を掴んだが、時既に遅く。
「ん・・・苦いね・・・でも、あんたのだから」
おいしいよと笑ってみせる。
「もう・・・信じらんない」
顔を真っ赤にして二宮を恨めしそうに見上げた。
ホントのことなのにと、二宮は肩を竦めて微笑んだ。
そして再び相葉の身体を愛撫する。
「んっ・・・・ね、にの・・・」
「んー?」
「にのは・・・?その・・・しなくて・・・いいの?」
「・・・してくれんの?」
「え・・・う、うん・・・だって、おれだけなんて・・・」
相葉は二宮の固くなったものに目を向けると、顔を赤くしてすぐに目を逸らす。
「んふふ、今日はいいよ・・・。俺はあんたの中でイキたいから・・・」
「なっ!もう、ばか・・・」
「照れてんの?可愛いんだから」
そんな可愛い顔してさ、どうなってもしらないよ?
一度熱を知った身体は少しの愛撫で、すぐに反応を始める。
「あっ、ん・・・」
身体を舌でなぞって下へと進んでいき、頭をもたげ始めているそこに口付けると、口腔内へと誘い込んだ。
「ちょっ!や、まって!ああっ・・・」
突然の出来事に相葉は身体を起こして二宮を止めようとするが、あっさりと二宮に制されてしまった。
二宮の口内に入って舌で刺激されたそれは、あっという間に体積を増していく。
相葉は二宮の頭を押し返そうとするが、あまりの刺激の強さに力が入らず、撫でるのが精一杯だった。
「んあっ!あぁ・・・に、のぉ・・・んっ」
「んっ・・・はっ、あいばさん・・・気持ちいい?」
「やっん、しゃべら・・ないでっ・・・あっ」
相葉の反応を見ながら口での愛撫を続け、その奥に潜む蕾へ触れる。
入り口を指で押すと、そこは収縮して、まるで何かを期待しているようにさえ思えた。
「んっ!に、にの!」
誰にも触れられたことのない、見られたことさえないその部分に二宮が触れている。
それだけで、どうしようもないくらいに恥ずかしい。
なのに、それ以上に感じていた。
相葉自身に這わせた舌をそのまま最奥へとしのばせ、その入り口を刺激する。
「ああっ!あ、んっ。に、にのぉ・・・ふんっ」
二宮が舌で押したり舐め上げるたびに、相葉の秘部は意志を持ったように蠢いた。
「ふっ、はぁん・・・・ん、にの・・・にのぉ」
初めての感覚に、恐怖にも似た感情が相葉を襲う。
それを振り払うかのように、相葉は二宮の名前を呼び続けた。
相葉の動揺を感じて、二宮は一旦顔を上げると相葉と目を合わせた。
不安と快感が入り混じった相葉の瞳が揺らめく。
相葉を安心させるように頭を撫でる。
「あいばさん・・・すきだよ。どんなあんたでも、相葉雅紀である限り・・・ずっと愛してる・・・」
「にの・・・おれも。どんな・・・にのでもだいすき。だから・・・」
大丈夫だよ。
心配しないで。
ただ、初めてだからちょっと恥ずかしいだけ。
どうしようもなく緊張してるだけ。
にのを受け入れることに、抵抗なんてない。
その気持ちを込めて、二宮にキスをした。
唇を離すと、二宮が微笑んだ。
二宮は、自分の指を相葉の口腔内に滑り込ませる。
「しっかり・・・舐めて?」
「ンふっ・・・んちゅ・・・はっむ・・・・」
相葉は言われたとおりに夢中で二宮の指を舐めた。
そんな相葉にどうしようもないくらいに欲情する。
今すぐにでも自分の欲望を相葉の中に押し入れて、めちゃくちゃに動いてやりたい。
相葉が泣き喚いて許しを請うくらいに激しく貫きたい。
でも、そんなことをして彼を傷つけることは本意ではないから。
身体を繋げることだけが目的ではないから。
自分の恐ろしい感情を、奥歯を噛み締めてやり過ごす。
「・・・ありがと、もういいよ」
お礼のキスを相葉に贈ると、嬉しそうにはにかんだ。
二宮は充分に湿った指を相葉の秘部へと這わせて、1本の指を埋め込んでいく。
「んっ!あぁ・・・・」
「痛い?」
「ふっ・・ん、ううん・・・いたくない・・・けど、変なかんじがするぅ・・・」
秘部は入り込んできた異物を排出しようと締め付ける。
内壁を傷つけないようゆっくりと指を奥へと進めた。
奥まで入ると、相葉に痛みの表情がないことを確認して、埋め込まれた指を動かす。
「んっ、はっ・・・あ」
中で回したり、曲げたりするたびに相葉の口からは声が漏れる。
それは、快感というよりは異物の侵入による圧迫感からのようだった。
二宮は相葉の表情を見ながらゆっくりと解してゆく。
「ふっ・・・あっん!ああっ・・・」
指を曲げて回転させた時、二宮の指がある場所を掠めた。
その瞬間、相葉の身体がビクンと跳ね上がる。
同時に甲高い声を上げた。
それは明らかに今までのものとは質の違う反応で。
相葉自身も突然の衝撃に驚いているようだった。
「はっぁ・・・な、なに?ああっ!」
もう一度先ほどの場所を探り、そこに触れてみる。
すると、相葉は再び高い声を上げて身体を反らせた。
間違いない。
「・・・ここ?ココがいいの?」
「んっ!ああっ、はっん・・・いやっ、そこ・・・やだぁっ」
味わったことのない感覚に、相葉の瞳から涙が零れた。
二宮は、涙を拭ってやりながら内壁を刺激する。
「んっ!ああ・・・ふぁっ、にのぉ・・・」
中で指が動くたびに大きな反応を返す相葉。
すでに苦しさはなくなっているようだ。
解れてきたそこは、増えた指を簡単に受け入れた。
その腰は快感に揺れている。
うつろな瞳で二宮に快感を訴える相葉は、この世のどんなものよりも綺麗だ。
本当に愛おしくて堪らなかった。
何をおいても最優先だった。
手に入れたくて、でも出来なくて。
拒まれたら生きていけないから。
頭の中で何度も彼を穢した。
頭の中の彼に欲望をぶつけて、自分の手を汚すことなんてしょっちゅうだった。
そして、何度も後悔し、彼に詫びた。
離れようと思った。
でも出来なかった。
それでも傍にいたかったから。
傍にいられるなら、今のままでも良い。
そう思い込ませて。
彼が自分を好きだと言った時、本当にどうにかなりそうだった。
嬉しくて嬉しくて。
その彼が今、自分を受け入れようとしてくれている。
これ以上の幸せなんて・・・・ない。
「んあっ・・・あ・・・?にぃのぉ?・・・・」
涙に濡れて、キラキラ光る瞳が二宮を捉えて不安そうに揺れた。
手を伸ばして、二宮の顔に触れる。
「・・・あいばさん?」
「・・んっ、にの・・・どうしたの?」
相葉に言われて自分の頬を触ると、一筋の涙が流れていた。
相葉の顔がくしゃりと崩れる。
「にのぉ・・・おれ、が・・・だめだから・・・・?」
「違うよ。違う・・・そうじゃない。」
相葉の手に自分の手を重ねた。
「ごめん・・・。不安にさせたね。でも、あんたのせいじゃないんだ・・・。俺はただ、嬉しくて堪らないんだ」
「うれしい・・・?」
「うん・・・あんたが俺の事好きになってくれたこと、俺のものになってくれたこと、俺を・・・・俺を受け入れてくれようとしてくれてることが・・・・嬉しくて」
堪らないんだ。
二宮の頬をもう一筋、涙が伝った。
その涙を相葉は愛おしそうに拭う。
「にの・・・・おれだって。にのが好きになってくれて、愛してくれて・・・必要としてくれてることが本当にうれしいの・・・にのを・・・受け入れられることが、本当に・・・」
幸せ。
「あいばさん・・・・」
「ねぇ、にの・・・こんな幸せ・・・2人だからだね?」
相葉が綺麗に微笑んだ。
「・・・そうですね。ホントにそう・・・」
二宮も微笑んだ。
その表情に相葉は頬を赤らめた。
そして・・・。
「ねぇ、にの。もう・・・おれ・・・」
「あいばさん?」
相葉が二宮の下で腰を揺らした。
「ねぇ・・・もう・・・にのがほしい・・・」
「え・・・?」
「だって!もう、にののこと考えたら・・・・もう、はやく1つになりたい・・・」
潤んだ瞳で訴える相葉に、二宮の欲情が再び増幅する。
相葉の唇にキスをして、昂ぶった自身を相葉の秘部にあてがった。
「相葉さん・・・いくよ?」
「うっん、きて・・・?」
相葉が安心できるようにキスをしながら、自らを押し進めた。
「ひっ!あ、あ・・・いたっ・・・ああっ、くっ」
指とは比べ物にならない質量が相葉の秘部に入り込もうとする。
あまりの痛みに相葉の顔が歪んだ。
「くっ、あいばっさんっ・・・力抜いてっ・・・・」
「あぁっ、んっ・・・いた・・・いたい、んっ、はぁ・・・」
涙を流しながら、一生懸命に力を抜こうと、大きく息を吐く。
痛みに、相葉の顔からは血の気が引いていた。
二宮の方も、相葉の締め付けに痛みが走る。
相葉の力が少しでも抜けるように顔中にキスを落とし、涙を拭う。
「あ、にのぉ・・・・んっはぁ・・・いた・・いっ・・」
二宮の先端の太い部分を飲み込むことがなかなか出来ずに、痛みだけが相葉を襲った。
「くっ、ん・・・。相葉さんっ・・・大丈夫?」
痛そうにする相葉に二宮は身を引こうとしたが、相葉が二宮の腕を掴んで制した。
二宮を見て、必死に首を振る。
「相葉さん・・・?」
「やっ・・・やだっ!にの、続けてぇ・・・おれ、大丈夫だかっら、んっ」
お願いと、涙で溢れる瞳が懇願する。
「相葉さん・・・前にも言ったでしょ?これだけが目的じゃないって。無理して傷つけたくないんだ・・・」
「ちがっ・・・違うの!んはぁ・・・にのの為とかじゃなくって・・・・おれが・・・続けて欲しいの・・・にのを受け入れたいのっ・・・」
「あいば・・・」
「ねぇ・・・おねがぁい。おれ、ニノと・・・・繋がりたいっ。ああっ!!」
そう言って自ら腰を浮かせて、二宮に身体を押し付ける。
「ばっ!何してんの!」
一層の痛みに顔を歪めた相葉だが、再び腰を押し付けようとする。
二宮が肩を抑えて止めさせ、ため息を吐いた。
「だってぇ・・・」
「・・・俺がするから・・・・俺にさせて?」
「うん・・・」
二宮は相葉の萎えてしまった部分へ手を伸ばし、ゆっくりとしごいた。
「んっ、ん・・・はっん・・・ああ・・・」
その刺激に次第に立ち上がってくる相葉を、なおも愛おしそうに愛撫する。
完全に相葉の意識がそちらに向き、きつく締め付けられていた部分の力が緩んだ。
それを見計らって、二宮が身体を進める。
「あっん!あぁっ・・・」
先端部分が相葉の中に入り込むと、前への刺激を続けながら、奥までゆっくりと入り込んでいく。
「くっ、はぁ・・・・あいばさん、入ったよ・・・・分かる?」
押し広げられた痛みと圧迫感に、浅い呼吸を繰り返していた相葉だが、二宮の言葉に綺麗に微笑んだ。
「うんっ・・・・はぁ。にのが中にいる・・・・繋がってるんだね。ふっ、ん・・・うれしい・・・」
相葉は下腹部に自らの手を置いて涙を流した。
それは、けっして痛みから来るものではなく。
1つになれた喜び。
二宮を受け入れた内部は、その異物を確認するかのように収縮を繰り返した。
二宮は自身が相葉の中に馴染んで痛みが引くまで、動かずにキスを繰り返し、頭を撫でる。
「ん・・・にのぉ・・・」
しばらくすると、相葉が小さな声で二宮を呼んだ。
「何?」
「・・・う、ん。あの、もう・・・いいから・・・動いて?」
相葉の表情を窺うと、その顔色は先ほどまでと違って赤みが差し、浅かった呼吸も今では熱を持った吐息に変わっていた。
腰が僅かに揺れている。
「いいの?」
「うっん・・・もう、だいじょ・・・ぶ・・だから、おねがい・・・んっ!」
「・・・・痛かったら、言えよ?」
相葉が頷いたのを確認してから、二宮はゆっくりと動きだした。
「あっ、あ、んっ・・・」
二宮の律動に合わせるように腰を揺らす相葉。
痛みがないのを確認しながら、相葉の感じる場所を探し、そこを目掛けて自らの抽出を繰り返す。
起ち上がりかけている相葉自身にも手をかけ、同時に刺激した。
「ああっ!あ、んっ、にのぉ・・・あっ」
「あいばさんっ・・・・く、はっ」
完全に二宮を受け入れたそこは、二宮を捉えて離すまいとするかのように絡みつき、二宮を快感の渦へと誘い込んだ。
激しく動きたい衝動を抑えて、相葉の負担にならないようにゆっくりとした律動を繰り返す二宮に、相葉が潤んだ瞳で訴える。
「んぁっ、に、のぉ・・・」
「なっに・・・?」
「おれ・・・おれ、大丈夫だからぁ・・・・もっと、動いてっ」
「でも・・・・」
「いいからぁ・・・もっと、にのを・・・感じたいっ」
シーツを握り締めていた相葉の手を自分の背中に回させると、額に口付ける。
「辛かったら、爪立てても良いから・・・いくよ?」
「うんっ!」
二宮が激しく動き出した。
その突き上げと内壁を擦られる感覚に、二宮の背中に回った手に力が入る。
激しく動きながらも、二宮は相葉の良い所ばかりを狙って突いてくる。
痛みに勝る快感。
相葉の口からは絶えず声が漏れていた。
「あっ、はっん!あ、あぁっ・・・にっ、の」
二宮が再び前への愛撫を始めると、それは一層高く、大きな声となった。
限界が近い。
相葉は、自分の中が熱く溶けてしまうような感覚に陥る。
二宮と一緒ならそれも構わない。
一緒に溶けてドロドロになって、どっちがどっちか分からなくなるくらいに混ざり合ってしまえばいいのに。
二宮もそう思ってくれているだろうか?
自分に感じてくれている?
涙に濡れた瞳で二宮を見つめた。
「ふっ、ん・・にの、きもち・・いいっ?」
「んっ、はっ・・・もう、気が狂いそうなくらい・・・」
気持ちいいよ。
「よかっ・・・た、んっ!はぁん・・おれ、もう・・・あっ」
「うん、俺もっ・・・一緒にイこうか?」
相葉が頷くと、二宮は最後に向かい一層激しく突き上げる。
「にのぉ・・・すきっ、だいすきっ!ふっ・・・ん!」
「俺もっ、愛してるよ・・・」
二宮に縋りつき、「好き」を繰り返す相葉に応えるように言うと、唇に噛み付いた。
何度も押し寄せる快感に、相葉の目の前がスパークする。
「ああっ!にのぉ・・・あっ、いっ、くぅ・・・・あぁっ!!」
「く、はっ・・・あいばっ!!」
相葉が自らの腹を汚したのとほぼ同時に、自分の奥で二宮が弾けたのを感じた。
自分の中に感じる二宮の熱に、相葉の頬を涙が伝う。
なんて、幸せ。
*****
「・・・相葉さん?大丈夫?」
「・・・・」
涙を拭ってくれる二宮をぼんやりと見る。
二宮は困ったように相葉から目を逸らした。
「・・・参ったな」
「え・・・?」
その言葉は相葉を不安にさせた。
自分は何か失敗しただろうか。
「・・・そんな目で見ないでよ」
「え?」
「無理させたくないのに・・・」
意味が分からない相葉は二宮を不安そうに見つめた。
「もう・・・負担かけたくないのに、そんな風に見つめられたら俺が我慢できないって」
「なっ!なに言って・・・・」
「しないよっ。今日はね、もうしないよ。初めてだし、辛かったでしょ?」
「あ、ううん!最初は恥ずかしかったし、痛かったけど・・・でも、してって言ったのはおれだから・・・それに・・・な、なんでもない!」
「何?言ってよ」
「ううっ・・・。おれ、にのと繋がった時ね・・・本当に幸せだった。もうこのまま離れられなければ良いと思ったの。痛かったけどね、それもにのがくれたものだから・・・」
顔を赤くして言う相葉に二宮は言葉をなくす。
あんなに痛そうに顔を歪めて、なお幸せと言えるあなた。
俺を受け入れることを嬉しいと、涙まで流して。
本当に奇跡のような存在。
「あいばさん・・・本当にあなたって人は・・・」
何処まで俺を惚れさせるんですか?
「にの?」
不思議そうに首を傾げた愛しい人を抱きしめる。
しばらくなすがままに抱きしめられていた相葉だが、二宮の背中をポンポンと叩くと、気になっていたことを聞いた。
「ねぇ、にの?おれ・・・おれ、気持ちよかった?ちゃんと・・・」
感じてくれた?
「当たり前です。あんた以上に気持ちいい人なんていないよ。それにあんたが一番よく分かったでしょ?」
ココで・・・俺のモノを受け止めたんだから。
そう言って相葉の下腹部を撫でた。
「あ・・・うん、そうだね・・・」
「照れてんの?かぁわいい」
「もう!うるさいっ」
「んふふ、相葉さん・・・愛してる。ありがとう」
こんな俺を好きになってくれて。
俺のものになってくれて。
「にの・・・、うん。おれも、愛してる。ありがとう」
おれを愛してくれて。
あなたのものに・・・してくれて。
触れ合うだけのキスを何度も何度も繰り返す。
抱き合うことで知ったこと。
相手を受け入れることの幸せ。
1つになれる感覚。
そして、言葉では伝えきれない愛情。
想われていること。
想っていること。
「ねぇ、にの。こんな幸せ・・・」
2人だからだね。
おわり
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俺はクリスマスが大嫌いだ。
昔はそんなことはなかった。
というより、クリスマスなんて関心がなかっただけ。
プレゼントをもらったりケーキを食べたりと、まぁそれなりには楽しかったし、嬉しかったけど。
街はキラキラして、どこか浮ついていて。
でも行き交う人全てが笑顔で。
そんな雰囲気は嫌いじゃなかった。
そんな俺が、クリスマスが何よりも嫌いになった理由。
それはあの人が俺の前に現われたからだ。
『ねぇ、にの。もう、いいよぉ。おれは大丈夫だから。それに、こんなこと慣れっこなんだよ?』
そう言って相葉さんは笑った。
困ったような、諦めたような淋しい顔で。
相葉さんと過ごした彼の初めての誕生日。
何が欲しいって聞いた俺に、彼が言ったのは「2人っきりでお祝いして欲しい」という、とんでもなく可愛らしいお願いだった。
舞い上がった俺は、最高の誕生日にしてやりたいって張り切って、色々考えたんだけど・・・。
何しろ若かった俺には何の知識もなくって。
世間はクリスマス。
何処もかしこも予約でいっぱいで。
結局は全てが行き当たりばったりになってしまった。
空いてる店は安い居酒屋ばかり。
安い食事に安い酒。
せめてケーキだけでもでっかいものを買おうと2人でやって来たケーキ屋。
しかし、クリスマスの時期にあるのはどれもクリスマス仕様のケーキばかりで。
『あの・・・誕生日のケーキなんですけど・・・』
『あいにく、本日はクリスマス用のケーキしか・・・・このクリスマスのプレートを誕生日のものに変えることは出来ますけど・・・』
店員は、忙しいのに迷惑な客だと言わんばかりの顔をする。
生クリームの雪の上にイチゴとサンタとトナカイ。
そこに『ハッピーバースデイ 雅紀』はないだろう。
そもそもキリストの生誕を祝う日だろ?
何で誕生日のケーキがねぇんだよ!!
おかしいと思わねぇのかよ!
次の店を探す。
店員に聞いては断り。
また聞いては断った。
何軒目かで相葉さんが俺の服の裾を引っ張って申し訳なさそうに言ったんだ。
『ねぇ、にの。もう、いいよぉ。おれは大丈夫だから。それに、こんなこと慣れっこなんだよ?』
いつだってそうなんだから。
昔から、クリスマスと誕生日は一緒なの。
だから平気と相葉さんは笑った。
違う。
違うだろ?
少なくとも、俺にとっては。
あんたが生まれた大切な日なんだよ。
クリスマスなんかより、もっともっと特別な。
あんたが生まれた日なんだ・・・・。
小さいケーキを2つ買って、俺の家でこじんまりと食べた。
何とも情けない気分だった。
相葉さんはそれでも喜んでくれたけど。
『にのと2人で誕生日を迎えられたんだからうれしいよ?大好きな人と2人だもん』
なんて笑う相葉さんに、余計に惨めな気持ちになった。
彼は本当に嬉しかったんだと思う。
気を使ってるわけじゃなく、俺といられることが本当に。
だからこそ、もっと喜ぶことをしてあげたかった。
喜ぶ顔を見たかった。
最高の笑顔を。
俺の、どうしようもないくらいに愛おしい人の生まれた日。
彼をこの世に授けてくれたこと、俺と出逢わせてくれたことには感謝するけど、こんな日に彼を誕生させたことは恨むよ神様。
あんたを。
この日を境に俺はクリスマスが大っ嫌いになったんだ。
「・・・の!にぃの!!」
「・・・はいっ?」
愛しい人の声で我に返る。
そこにはお酒が入って潤んだ瞳で、俺を見つめる相葉さんがいた。
ほっぺたまで膨らませて。
本当に25歳なのかと疑いたくなるような仕草。
それがたまらなく可愛いと思える俺も相当イカれてるけど。
「もう!なにボーっとしてんのぉ?」
「ああ、すいません・・・」
あの日から何年も経った相葉さんの誕生日。
今でも俺の隣に彼が居て、2人でお祝いできることが本当に嬉しい。
詰め寄る彼を抱きしめてキスを贈れば途端にへにゃっと崩れる顔。
俺の顔も一緒に崩れる。
あんな惨めな思いは2度としたくなくて。
次の年からはそりゃもう必死だったよ。
どんな雑誌の取材も、テレビのインタビューもクリスマスのことを聞かれる度に同じ答え。
『クリスマスは相葉さんの誕生日。その認識しかありません』
『クリスマスの予定?特にないですね。相葉さんの誕生日ですから、そのお祝いですよ』
だって、それが本音なんだ。
何ヶ月か前からケーキ屋を巡った。
クリスマスに誕生日ケーキを作ってくれる店を探すために。
忙しいクリスマスに、誕生日ケーキ1つだけのために承諾してくれるところはなかなかなかったけど。
それでも何とか用意することが出来た彼だけのためのケーキに、彼は瞳をキラキラ輝かせた。
あの時は本当に嬉しかったな。
今ではすっかり慣れたもんで。
お店もケーキ屋も全てが頭の中にインプットされてる。
それからは毎年、こうして充実した誕生日を迎えられている。
「もう!にの!!またぁ、聞いてんの!?」
「ああ、すいません。ちょっと昔をね、思い出してて」
「むかし?あーっ!まさかぁ、俺の誕生日にほかのこと考えてんのぉ!?」
信じらんない!と俺の胸をポカポカと叩く。
「ごめんごめん。痛いよ、相葉さん」
酔いが回って、呂律が回らない彼の攻撃を頭を撫でて収めた。
「むー、にのが悪い・・・おれのことほったらかしで、ほかのこと考えてぇ!!」
「そんなわけないでしょう?俺の思い出すことなんて全部があんたの事だよ」
「・・・おれのことぉ?」
「そう、あんたの初めての誕生日をね・・・思い出してたんだ」
そう言うと、相葉さんは潤んだ瞳を輝かせた。
「あー、あれ!あれは本当に良い思い出だよねぇ。」
「・・・・良い思い出?あれが?」
何にもしてあげられなかったあの日が?
「うん!!だってぇ、初めてなの。おれのこと・・・・おれの誕生日だけを想ってくれたひと・・・にのが初めて」
嬉しかったなぁと、遠い記憶の向こうを見つめる瞳は本当に幸せそうだった。
「おれはね、あの日から・・・おれの生まれた日が本当に特別な日だって思えるようになったの。
もちろんクリスマスだって嫌いじゃないよ?お祭りごと大好きだし。でもね?いつも少しだけね、淋しかったのもほんと」
「あいばさん・・・」
「ふふっ、でもにのってばムキになっちゃって可愛かったなぁ。おれね、ケーキ屋の店員さんに噛み付いちゃうんじゃないかって、ひやひやしたの!」
「・・・噛み付かねぇよ」
「うひゃっひゃ、うん。でも・・・それだけおれのこと想ってくれてんだって・・・感動しちゃった。泣きそうになったもん、おれ。
あの時、にのと出逢えて本当に良かったって、この日に生まれて良かったって思ったの」
おれのことだけを考えてくれる初めてのひと。
出逢わせてくれてありがとうって、神様に感謝したの。
そう言って笑う彼を力いっぱい抱きしめた。
「にのぉ?苦しいよぉ・・・」
「うん・・・」
「うんって・・・・。どうしたの?」
「うん・・・」
何を言っても「うん」しか言えずに彼を抱きしめ続ける。
彼の温かい手が俺の背中に回されて、触れられてるのは背中なのに胸が締め付けられた。
「にの・・・」
「うん・・・」
「おれのこと・・・想ってくれてありがとう・・・にのが、おれにとっての一番のプレゼントだよ。
それはあの時から、今も変わらない。にの以上のプレゼントなんてないんだ」
相葉さんの言葉に不覚にも涙が出そうになった。
かろうじて抑えたけど。
「相葉さん・・・」
「んー?」
ベタなことだけど言わずにはいられなかった。
「生まれてきてくれて・・・・俺の元に来てくれてありがとう。愛してる」
「ふふっ・・・おれもぉ、大好きだよ」
体温が上がる。
カラダが、ココロが互いを求める。
「相葉さん・・・愛してる」
ねぇ、神様。
さっき言ったこと取り消すよ。
相葉さんをこの日に授けてくれてありがとう。
この日だからこそ、俺達の想いは深く繋がったのかもしれない。
そう思ったら、クリスマスも悪くない。
所詮、相葉さんさえ幸せなら何だって良いんだよ、俺なんて。
彼の生まれた日に感謝を。
そしてこれからも、彼の人生全てが俺と共に在ることを。
願って、愛しい人を抱きしめた。
Happy Birthday MASAKI AIBA
and ……A Merry Christmas to you!!
昔はそんなことはなかった。
というより、クリスマスなんて関心がなかっただけ。
プレゼントをもらったりケーキを食べたりと、まぁそれなりには楽しかったし、嬉しかったけど。
街はキラキラして、どこか浮ついていて。
でも行き交う人全てが笑顔で。
そんな雰囲気は嫌いじゃなかった。
そんな俺が、クリスマスが何よりも嫌いになった理由。
それはあの人が俺の前に現われたからだ。
『ねぇ、にの。もう、いいよぉ。おれは大丈夫だから。それに、こんなこと慣れっこなんだよ?』
そう言って相葉さんは笑った。
困ったような、諦めたような淋しい顔で。
相葉さんと過ごした彼の初めての誕生日。
何が欲しいって聞いた俺に、彼が言ったのは「2人っきりでお祝いして欲しい」という、とんでもなく可愛らしいお願いだった。
舞い上がった俺は、最高の誕生日にしてやりたいって張り切って、色々考えたんだけど・・・。
何しろ若かった俺には何の知識もなくって。
世間はクリスマス。
何処もかしこも予約でいっぱいで。
結局は全てが行き当たりばったりになってしまった。
空いてる店は安い居酒屋ばかり。
安い食事に安い酒。
せめてケーキだけでもでっかいものを買おうと2人でやって来たケーキ屋。
しかし、クリスマスの時期にあるのはどれもクリスマス仕様のケーキばかりで。
『あの・・・誕生日のケーキなんですけど・・・』
『あいにく、本日はクリスマス用のケーキしか・・・・このクリスマスのプレートを誕生日のものに変えることは出来ますけど・・・』
店員は、忙しいのに迷惑な客だと言わんばかりの顔をする。
生クリームの雪の上にイチゴとサンタとトナカイ。
そこに『ハッピーバースデイ 雅紀』はないだろう。
そもそもキリストの生誕を祝う日だろ?
何で誕生日のケーキがねぇんだよ!!
おかしいと思わねぇのかよ!
次の店を探す。
店員に聞いては断り。
また聞いては断った。
何軒目かで相葉さんが俺の服の裾を引っ張って申し訳なさそうに言ったんだ。
『ねぇ、にの。もう、いいよぉ。おれは大丈夫だから。それに、こんなこと慣れっこなんだよ?』
いつだってそうなんだから。
昔から、クリスマスと誕生日は一緒なの。
だから平気と相葉さんは笑った。
違う。
違うだろ?
少なくとも、俺にとっては。
あんたが生まれた大切な日なんだよ。
クリスマスなんかより、もっともっと特別な。
あんたが生まれた日なんだ・・・・。
小さいケーキを2つ買って、俺の家でこじんまりと食べた。
何とも情けない気分だった。
相葉さんはそれでも喜んでくれたけど。
『にのと2人で誕生日を迎えられたんだからうれしいよ?大好きな人と2人だもん』
なんて笑う相葉さんに、余計に惨めな気持ちになった。
彼は本当に嬉しかったんだと思う。
気を使ってるわけじゃなく、俺といられることが本当に。
だからこそ、もっと喜ぶことをしてあげたかった。
喜ぶ顔を見たかった。
最高の笑顔を。
俺の、どうしようもないくらいに愛おしい人の生まれた日。
彼をこの世に授けてくれたこと、俺と出逢わせてくれたことには感謝するけど、こんな日に彼を誕生させたことは恨むよ神様。
あんたを。
この日を境に俺はクリスマスが大っ嫌いになったんだ。
「・・・の!にぃの!!」
「・・・はいっ?」
愛しい人の声で我に返る。
そこにはお酒が入って潤んだ瞳で、俺を見つめる相葉さんがいた。
ほっぺたまで膨らませて。
本当に25歳なのかと疑いたくなるような仕草。
それがたまらなく可愛いと思える俺も相当イカれてるけど。
「もう!なにボーっとしてんのぉ?」
「ああ、すいません・・・」
あの日から何年も経った相葉さんの誕生日。
今でも俺の隣に彼が居て、2人でお祝いできることが本当に嬉しい。
詰め寄る彼を抱きしめてキスを贈れば途端にへにゃっと崩れる顔。
俺の顔も一緒に崩れる。
あんな惨めな思いは2度としたくなくて。
次の年からはそりゃもう必死だったよ。
どんな雑誌の取材も、テレビのインタビューもクリスマスのことを聞かれる度に同じ答え。
『クリスマスは相葉さんの誕生日。その認識しかありません』
『クリスマスの予定?特にないですね。相葉さんの誕生日ですから、そのお祝いですよ』
だって、それが本音なんだ。
何ヶ月か前からケーキ屋を巡った。
クリスマスに誕生日ケーキを作ってくれる店を探すために。
忙しいクリスマスに、誕生日ケーキ1つだけのために承諾してくれるところはなかなかなかったけど。
それでも何とか用意することが出来た彼だけのためのケーキに、彼は瞳をキラキラ輝かせた。
あの時は本当に嬉しかったな。
今ではすっかり慣れたもんで。
お店もケーキ屋も全てが頭の中にインプットされてる。
それからは毎年、こうして充実した誕生日を迎えられている。
「もう!にの!!またぁ、聞いてんの!?」
「ああ、すいません。ちょっと昔をね、思い出してて」
「むかし?あーっ!まさかぁ、俺の誕生日にほかのこと考えてんのぉ!?」
信じらんない!と俺の胸をポカポカと叩く。
「ごめんごめん。痛いよ、相葉さん」
酔いが回って、呂律が回らない彼の攻撃を頭を撫でて収めた。
「むー、にのが悪い・・・おれのことほったらかしで、ほかのこと考えてぇ!!」
「そんなわけないでしょう?俺の思い出すことなんて全部があんたの事だよ」
「・・・おれのことぉ?」
「そう、あんたの初めての誕生日をね・・・思い出してたんだ」
そう言うと、相葉さんは潤んだ瞳を輝かせた。
「あー、あれ!あれは本当に良い思い出だよねぇ。」
「・・・・良い思い出?あれが?」
何にもしてあげられなかったあの日が?
「うん!!だってぇ、初めてなの。おれのこと・・・・おれの誕生日だけを想ってくれたひと・・・にのが初めて」
嬉しかったなぁと、遠い記憶の向こうを見つめる瞳は本当に幸せそうだった。
「おれはね、あの日から・・・おれの生まれた日が本当に特別な日だって思えるようになったの。
もちろんクリスマスだって嫌いじゃないよ?お祭りごと大好きだし。でもね?いつも少しだけね、淋しかったのもほんと」
「あいばさん・・・」
「ふふっ、でもにのってばムキになっちゃって可愛かったなぁ。おれね、ケーキ屋の店員さんに噛み付いちゃうんじゃないかって、ひやひやしたの!」
「・・・噛み付かねぇよ」
「うひゃっひゃ、うん。でも・・・それだけおれのこと想ってくれてんだって・・・感動しちゃった。泣きそうになったもん、おれ。
あの時、にのと出逢えて本当に良かったって、この日に生まれて良かったって思ったの」
おれのことだけを考えてくれる初めてのひと。
出逢わせてくれてありがとうって、神様に感謝したの。
そう言って笑う彼を力いっぱい抱きしめた。
「にのぉ?苦しいよぉ・・・」
「うん・・・」
「うんって・・・・。どうしたの?」
「うん・・・」
何を言っても「うん」しか言えずに彼を抱きしめ続ける。
彼の温かい手が俺の背中に回されて、触れられてるのは背中なのに胸が締め付けられた。
「にの・・・」
「うん・・・」
「おれのこと・・・想ってくれてありがとう・・・にのが、おれにとっての一番のプレゼントだよ。
それはあの時から、今も変わらない。にの以上のプレゼントなんてないんだ」
相葉さんの言葉に不覚にも涙が出そうになった。
かろうじて抑えたけど。
「相葉さん・・・」
「んー?」
ベタなことだけど言わずにはいられなかった。
「生まれてきてくれて・・・・俺の元に来てくれてありがとう。愛してる」
「ふふっ・・・おれもぉ、大好きだよ」
体温が上がる。
カラダが、ココロが互いを求める。
「相葉さん・・・愛してる」
ねぇ、神様。
さっき言ったこと取り消すよ。
相葉さんをこの日に授けてくれてありがとう。
この日だからこそ、俺達の想いは深く繋がったのかもしれない。
そう思ったら、クリスマスも悪くない。
所詮、相葉さんさえ幸せなら何だって良いんだよ、俺なんて。
彼の生まれた日に感謝を。
そしてこれからも、彼の人生全てが俺と共に在ることを。
願って、愛しい人を抱きしめた。
Happy Birthday MASAKI AIBA
and ……A Merry Christmas to you!!
《恋人達以外のクリスマス》
クリスマスはカップルだけのもんじゃねぇだろ?
なんて、いいがかり。
ただ単に面白そうだから着いて来ちゃったんだ。
隣で目を潤ませて、いい感じに酔ってる彼はやっぱり綺麗で。
友人がうらやましくなったりもする。
まぁ、内緒の話だけど。
彼が誕生日だったって知ったのはもうちょっと後のこと。
そして、俺が帰った後は大変に激しく情熱的だったとニノが語ったのも、もうちょっと後のこと。
結局俺は良い仕事したんじゃねぇか。
2人の熱い夜を演出したんだから。
なぁ、ニノ?
*****
「スッキリをご覧の皆さん、クリスマスなんて大ッ嫌いだ!小栗旬です」
「お疲れ様でした~」
コメント撮りが終わり、小栗はスタジオを後にする。
世間はすっかりクリスマス。
なのに俺は仕事がぎっしりだ。
口を吐いて出るのはため息と愚痴。
さっきのコメントは本音だ。
まぁ、彼女のいないヤツの恨み言と言われりゃそれまでだが。
そう思いながらテレビ局の廊下を歩いていると。
「あれ?あそこにいるの・・・・」
見覚えのあるシルエットに見覚えのあるシチュエーション。
前と違うのは、どうやら電話中みたいだ。
『うん・・・後ちょっとで終わる。にのは?もう終わってるんだ?え?迎えに来てくれんの?うへへ・・・うん、待ってる。ありがと!くふふっ、うん。じゃあね、あとでね。ばいばい』
電話を切ると嬉しそうに携帯を握り締めた。
「デートのお誘い?」
「ひっ!あ、おぐりくん・・・?びっくりしたぁ。今日は仕事?」
「うん。相葉君も?」
「うん。どうぶつ園の収録なんだ。小栗君は?」
首を傾げて上目遣い。
相変わらずツボをついてくる人だな。
「俺はね・・・番宣のためのコメント撮りと取材。相葉君、にのとはどう?」
「え?う、うん・・・まぁね」
あ、赤くなった。
可愛いな。
「終わったら会うの?さっき約束してたよね?飯でも食いに行くの?」
「うん・・・。迎えにね来てくれるって」
「へぇ・・・」
嬉しそうにはにかむ。
明日はクリスマスイブ。
今日はお泊りですか?
うらやましいことで・・・・。
・・・・・よし!
邪魔しちゃお♪
「相葉君、何時に終わんの?」
「えっと・・・5時かな?あ!おれ、そろそろ行かなきゃ。小栗君またね?」
「ああ、うん・・・また」
笑顔で手を振って去っていく相葉君を見送った。
「・・・・・で、何でお前がいるわけ?」
「えへ」
「『えへ』じゃねぇ!!」
「まぁ、固いこと言うなよ。飯、行こうぜ!」
「はぁ!?」
「いいじゃん。ね、相葉君?」
「え・・・?う、うん」
断りきれないことは一目瞭然。
ごめんね相葉君、俺って意外と嫌なやつでしょ?
これ見よがしにため息を吐いたニノに近づき、囁いた。
「淋しい1人者にも愛を分けてくれよ」
「・・・・・」
「飯食ったらちゃんと帰るよ。それくらいいいだろ?」
「・・・・当然です。」
迷惑そうに承諾する友人に、苦笑いを返した。
そしてやって来た居酒屋の個室。
「相葉君、飲んでる?」
「うん、飲んでるよぉ。くふふ、この間ね、小栗君のドラマ見たんだぁ。ね、にの!」
「・・・ええ」
「カッコ良かったよね。おれもあんなのやってみたいなぁ」
「相葉君にはヒロインのが似合いそうだよ」
「へ?」
良い所でニノの邪魔が入る。
「相葉さん、それ取ってくれる?」
「え?うん、はい」
「どうも・・・」
「ニノ・・・・どいてくんない?」
「嫌です」
「俺、相葉君と話したい」
「どうぞ」
「お前挟んでじゃ話しづらいっての!」
そう言ったら睨まれた。
よっぽど警戒してんのね、俺の事。
まぁ、しょうがないんだけど。
そんなこんなで時間が過ぎて。
友人と飲むのはやっぱり楽しくて飲みすぎた。
「俺、ちょっとトイレ行ってくる」
ニノが席を立ったので、ちゃっかり相葉君の隣に移動。
お酒が入ってぽやーっとしてる相葉君は何だか色っぽい。
パーカーから少し覗いてる肩が色気を醸し出していて・・・。
俺の悪い癖がムクムクと疼き出す。
ああ・・・・噛み付きたい。
「あいばくん・・・・」
「ふぇ?」
「ちょっと良いかなぁ?」
「え?な、なに・・・・お、おぐりくっ・・・ひゃぁっ!」
おもむろに相葉君のパーカーをズラすと、肩口に噛み付いた。
あ、良い声。
感じちゃったの?
「あっ、ちょっ!はなしてっ!んっ」
「何やってんだよ!!」
首根っこを掴まれて引き離された。
ちっ、帰ってきたか。
相葉君の肩気持ちよかったなぁ。
「お前・・・死にたいの?」
「えへ」
「だから、『えへ』じゃねぇっ!」
「に、にのぉ・・・」
「・・・あんたも、俺以外のヤツには警戒しろっていつも言ってるでしょ?」
「ごめんなさい・・・」
ニノが超怒ってる。
何だか笑えて来た。
「・・・お前完全に酔ってんな。だから隣にしたくなかったんだよ。帰れよ、もう」
「はいはい・・・そろそろね、邪魔者は消えますよ。相葉君ごめんねぇ、びっくりさせて」
「え・・・うん。小栗君・・・吸血鬼かと思った」
噛まれた肩口を擦りながら、真っ赤な顔で言う相葉君にまた笑った。
「ははっ。ホント可愛いね相葉君は」
そろそろホントに帰らねぇと、ニノが切れるかな。
じゃあ・・・最後に。
「んじゃ、帰るわ。あ、相葉君・・・・」
「なに?」
手招きする俺に、なんの疑いもなく耳を差し出す。
だからホッペにキスしてやった。
ちゅっ
「へっ!?」
「あーっ!!おまっ・・・・」
ニノが叫ぶが気にしない。
「じゃあね。良いクリスマスを・・・・」
固まってる相葉君に囁いて、店を出た。
後は知らない。
おわり
《大好きな手》
「ねぇ・・・せんせい?」
「何?」
「おれが・・・助かる確率って・・・・どのくらい?」
小さい頃から心臓が悪かった。
運動もほとんどしたことなくて。
成長するにつれ、症状はひどくなる一方で。
早急な手術が必要だった。
でも、難しい手術を引き受けてくれる医者はなかなかいなくて。
ようやく見つけたせんせい。
若いけど、腕は最高でおれにとってはこの世でたった一人の頼れる人。
「んー・・・、25%かな?俺が執刀しない場合はね」
「じゃあ・・・せんんせいが、しゅじゅちゅしたら?」
「んふふ、『しゅじゅつ』だろ?まぁ、限りなく100%に近いよ」
「ほんと?」
「ええ・・・」
髪を梳いてくれる小さな手。
気持ちよくて安心する。
この手がおれを救ってくれるの?
大好きな大好きな手にそっと自分の手を重ねた。
「相葉さんは・・・治ったら何がしたい?」
「おれはね・・・・せんせいとえっちがしたい」
「んふふ・・・それは是非治ってもらわないとね」
笑って、せんせいがキスしてくれる。
そうするとおれは幸せで、なぜだか泣きたくなるんだ。
「せんせい・・・おれのこと、すき?」
「・・・うん、愛してる」
「おれが・・・死んだら、悲しい?」
「俺がやる限り、あんたは死なないよ。でも、もし・・・・」
せんせいがおれのホッペを撫でてくれる。
「もし、あんたが死んだら・・・・俺も一緒に逝ってあげる」
「・・・・もし、助かったら?」
「そん時は、一緒に生きていこう?」
せんせいが笑うと、胸が痛い。
これは病気のせいじゃなくって。
嬉しいからだね。
「うん・・・・。じゃあ、頑張らなくちゃね。せんせい死なせるわけにいかないもん」
「んふふ、俺はどっちにしたってあんたと一緒だよ。だから安心して・・・おやすみ」
せんせいの言葉にだんだん眠くなる。
「次に目を開けたら、きっとあんたは元気に走り回れる。その時は・・・さっきの願い叶えようね」
「う、ん・・・にの・・・みや、せん・・・せい。だい・・・すき・・」
「・・・おやすみ。愛してるよ・・・・」
にのみやせんせい。
大好きな大好きなにのみやせんせい。
次に目覚めた時には恋人にしてね。
それまで・・・・おやすみなさい。
おわり
《教えて先生》
いつの時代にも問題児ってのはいるもので。
「はぁ・・・また・・・」
穢れを知らない少女のように真っ白なそれをひらひらと振ってはみても、どうなるわけでもないと、相葉はため息を吐いた。
「今日は白紙か・・・。もう・・・なんでかなぁ?あ!もしかしてあぶり出しとか!?」
「そんなわけないでしょう?馬鹿ですか、あんた」
相葉のささやかな現実逃避を、ばっさりと切りつけたのは紛れもなくその張本人だ。
「お前ね、先生に向かって「あんた」って何だよ!ちゃんと先生って呼びなさい」
「先生ね・・・あんたの事先生なんて思ったことないし・・・」
しれっときつい事を言うのは二宮和也、高校2年生。
相葉の担当するクラスの問題児。
相葉が担任になってから、テストで一度もまともな答案を出してこない。
しかも相葉の担当する英語だけだ。
いつも白紙か、デタラメな答え。
白紙はまだいい。
もう一方の答えが相葉を悩ませていた。
その答えは決まって、いつも。
『It loves.(愛してる) You want it.(あなたが欲しい) Only you are necessary.(あなたしか要らない)
It is not possible to live without you. (あなたなしでは生きていけない)』
そんな言葉が並ぶ答案を前に何度崩れ落ちたことか。
それからというもの、毎回こうやって呼び出している。
それでも一向に改める気配もなく、相葉は困り果てていた。
「なんで・・・・お前はいつもおれの時だけそんななの?本当は英語だって出来るんでしょ?おれが嫌いでも、英語はちゃんとやりなさい。」
どこか悲しそうに言う相葉に、二宮はこれ見よがしにため息を吐く。
「・・・はぁ、ホントつくづく馬鹿だよね、相葉先生って」
「なっ!おれはお前の将来を思って・・・・」
「・・・・将来ねぇ。先生・・・俺にやる気出してほしいの?」
「え?う、うん」
「何で?」
「だってお前やれば出来るのに、もったいないじゃん」
二宮の英語以外の成績は、ほぼトップクラスだ。
現に1年の時は英語も成績が良かった。
それなのに。
担当が相葉になった途端。
自分の何が気に食わないのか、さっぱり検討がつかない。
相葉は頭を抱えるしかなかった。
「頼むよ二宮・・・」
「・・・・俺がやる気出したら・・・先生、何してくれます?」
「・・・は?」
「俺ね、目の前にニンジンぶら下げないと頑張れないタイプなの」
だからご褒美下さいよ。
「ニンジンって、お前ね・・・・勉強は自分のためにするもんでしょ?何で俺がご褒美やらなきゃいけないの!」
「・・・ふーん。じゃあ、いいや。英語出来なくても何とかなるし。」
「ちょっ、二宮!どうしてお前はそういうこと言うの!!自分の将来が掛かってんだぞ!?」
もっと真剣に考えろよ!
「・・・俺は至って真剣ですよ。自分の将来が掛かってるからこそ、先生に聞いてるんです。今までのこと、ただふざけてるなんて片付ける気じゃないですよね?」
「な、なにがだよ・・・?」
「ほら、とぼけた。これだから大人はずるいんだよ・・・分かってるくせに」
「・・・・・」
図星だから何も言えなかった。
二宮は苦手だ。
時々ひどくオトコの顔をする。
いつもはあどけない少年のような可愛らしさが、一瞬にして大人のそれに変わる。
そして、おれが目を背けてることを直視しろと責めるんだ。
「俺の事、心配してくれんでしょ?だったら・・・俺がやる気になって、もしテストでいい点取ったら・・・先生は俺の言うこと、聞いてくれます?」
「言うことって・・・・なんだよ?」
「・・・今は秘密。ねぇ、せんせ。ニンジンくれるよね?」
「・・・分かった。そこまで言うんなら、その条件呑んでやる。ただし、満点取ったらな!!」
「・・・望むところです」
そう言って笑う二宮は、やっぱり高校生とは思えないくらいに大人びていた。
そして行なわれたテスト。
その答案用紙を前に、満面の笑みの二宮と顔を曇らせたおれ。
結果は言わずと知れたこと。
「約束覚えてますよね?」
「やっぱり、やればできんじゃん・・・」
「んふふ、そりゃ俺の将来掛かってますから」
「で?おれはどうすればいい?」
最初から負け戦。
だって分かってたんだ。
二宮が出来るってこと。
なのに話に乗ったのはおれ。
それが意味すること。
おれが目を背けていたことを直視するべきか・・・。
教師としてどうかと思うけど。
教師だって人間だ。
満面の可愛らしい笑みを、大人びた妖しい笑みに変えた二宮がおれの耳元で甘く囁いた。
「I love you....You are mine.」
もう、どうにでもなれ。
おわり
《想いの重さ》
自分の生まれた日をこんなにも恨んだことはない。
生まれて12年、自分の誕生日は大好きだったし、その日は当然のごとく俺が主役だった。
それが一瞬にして崩れ落ちた日。
幸せそうなアイツとあいつ。
神様、どうして俺とアイツを同じ日に授けたのでしょうか?
どうして、俺とあいつと出会わせたのでしょうか?
あいつと・・・・相葉ちゃんと出会わなければ、アイツと・・・ニノと出会わなければ・・・俺は自分の誕生日を恨んだりはしなかったのに。
*****
『ごめん、風間。その日はちょっと・・・・約束あって。あ、でも!次の日とかなら大丈夫だよ?それでもいい?』
『外せない・・・用事?』
『う、うん・・・ごめん』
『ううん!いいよ、気にしないで。ただ、ちょっとどうかなって思っただけだから』
本当に申し訳なさそうに、相葉ちゃんにそう言われた日。
俺は知っていた。
ニノと過ごすんだろ?
誕生日だもんなぁ。
アイツの。
そして、俺の・・・。
きっとこれから、俺は一生自分の誕生日を愛せないだろうと感じた日。
『風間ぁ、これ誕生日プレゼント!お前財布欲しいって言ってたでしょ?高いのなんて買えなかったけど・・・』
『俺に?ありがとう・・・大切にするよ』
笑ったあいつは可愛くて綺麗で。
抱きしめたかったけど、出来なかった。
その代わりに財布をぎゅっと抱きしめたんだ。
『風間ぁ、まだそれ使ってんの?ボロボロじゃん』
『ああ、でもまだ使えるし』
『おれは嬉しいけど、こんなにも使ってもらえて。プレゼントした甲斐があったていうかさ』
そんなこと言われたらまた、捨てられなくなっちゃうじゃん。
ボロボロで汚くて、愛しいそれをまた、抱きしめた。
『おめでとう!!すごいじゃん!やったね、風間ぁ。おれ毎週見るよ。欠かさず見るよ!くふふ、楽しみだなぁ。風間はどんな役なの?』
『相葉ちゃん、喜びすぎ。俺より興奮してんじゃん』
『だって!!すげぇことだろ?風間頑張ってたもん。おれ絶対受かると思ってたよ!風間も金八ファミリーかぁ』
俺が金八のオーディションに受かった時、自分の事のように喜んでくれた相葉ちゃん。
俺はこの時、1つの事実を隠していた。
いや、俺だけじゃなくアイツも。
ニノもオーディションを受けていたということを。
俺と同じ役。
受かったのは俺。
相葉ちゃんは本当に嬉しそうで。
俺はニノの事は言わなかった。
言ったら、一瞬にしてこの時が終わると分かっていたから。
俺の事を喜ぶより、きっと彼はアイツの事を気遣うだろうから。
もう少し彼を・・・彼に俺だけのことを考えてほしかったから。
*****
―数年後、6月初旬
「相葉ちゃーん!」
「おう、風間ぁ。久しぶり!元気だった?」
「ああ。相葉ちゃん、全然連絡くんねぇんだもん」
「はは・・・、ごめんねぇ。ちょっと忙しくって」
嘘だ。
分かってるよ。
アイツのせいだろ?
何時からかなんて知らない。
知りたくもない。
ニノと相葉ちゃんの関係が変わったことに気づいてた。
アイツを想って笑う相葉ちゃんは本当に綺麗で。
笑い合って、寄り添う2人は幸せそのもの。
勝ち目なんかないと、入り込む隙はないと分かってた。
それでも諦める事なんて出来ないんだ。
彼を想う気持ちはきっと、ニノにだって負けないから。
「ねぇ相葉ちゃん・・・」
「んー?なぁに?」
「今年の・・・俺の誕生日、一緒に祝ってよ」
「・・・え?」
ほら、その顔。
昔と全然変わらないね。
そして俺も、あの頃と全く変わらない。
「あの・・・ごめんね?その日は・・・・」
「・・・・分かってるよ。ちょっと言ってみただけ。」
困った相葉ちゃんの顔を見て後悔。
だったら、言うなって話だけど。
「ねぇ、相葉ちゃん。俺の誕生日・・・祝ってくれる?」
「も、もちろん!当日は無理だけど・・・でも、ちゃんと祝うよ!!」
そう言ってくれるだけでも、俺は嬉しいんだよ相葉ちゃん。
でも、それじゃあまりにも俺の誕生日が可哀想だろ?
だから、ちょっとだけ・・・・いいよな?
「じゃあさ・・・・今年の12月23日の夜を、俺に頂戴?」
「え・・・・?」
自分の誕生日よりも大切な相葉ちゃんの誕生日。
その日を迎える瞬間を俺に下さい。
多分、相葉ちゃんは深く考えない。
そして、俺への申し訳ない気持ちも相まって・・・・彼はきっと。
『うん!いいよ?約束ね!』
そう言うんだ。
間違いなく。
分かってて言う俺はやっぱり性質が悪いでしょうか?
でも、ちょっとくらい許してくれよ。
「どうかな?相葉ちゃん。12月23日予約入れて良い?」
「・・・うん、分かった!いいよ、約束ね!!」
「・・・ありがと」
どうせ、心までは貰えやしないんだから。
せめて、彼を祝う時間くらいくれたって良いだろ?
なぁ、ニノ?
おわり
クリスマスはカップルだけのもんじゃねぇだろ?
なんて、いいがかり。
ただ単に面白そうだから着いて来ちゃったんだ。
隣で目を潤ませて、いい感じに酔ってる彼はやっぱり綺麗で。
友人がうらやましくなったりもする。
まぁ、内緒の話だけど。
彼が誕生日だったって知ったのはもうちょっと後のこと。
そして、俺が帰った後は大変に激しく情熱的だったとニノが語ったのも、もうちょっと後のこと。
結局俺は良い仕事したんじゃねぇか。
2人の熱い夜を演出したんだから。
なぁ、ニノ?
*****
「スッキリをご覧の皆さん、クリスマスなんて大ッ嫌いだ!小栗旬です」
「お疲れ様でした~」
コメント撮りが終わり、小栗はスタジオを後にする。
世間はすっかりクリスマス。
なのに俺は仕事がぎっしりだ。
口を吐いて出るのはため息と愚痴。
さっきのコメントは本音だ。
まぁ、彼女のいないヤツの恨み言と言われりゃそれまでだが。
そう思いながらテレビ局の廊下を歩いていると。
「あれ?あそこにいるの・・・・」
見覚えのあるシルエットに見覚えのあるシチュエーション。
前と違うのは、どうやら電話中みたいだ。
『うん・・・後ちょっとで終わる。にのは?もう終わってるんだ?え?迎えに来てくれんの?うへへ・・・うん、待ってる。ありがと!くふふっ、うん。じゃあね、あとでね。ばいばい』
電話を切ると嬉しそうに携帯を握り締めた。
「デートのお誘い?」
「ひっ!あ、おぐりくん・・・?びっくりしたぁ。今日は仕事?」
「うん。相葉君も?」
「うん。どうぶつ園の収録なんだ。小栗君は?」
首を傾げて上目遣い。
相変わらずツボをついてくる人だな。
「俺はね・・・番宣のためのコメント撮りと取材。相葉君、にのとはどう?」
「え?う、うん・・・まぁね」
あ、赤くなった。
可愛いな。
「終わったら会うの?さっき約束してたよね?飯でも食いに行くの?」
「うん・・・。迎えにね来てくれるって」
「へぇ・・・」
嬉しそうにはにかむ。
明日はクリスマスイブ。
今日はお泊りですか?
うらやましいことで・・・・。
・・・・・よし!
邪魔しちゃお♪
「相葉君、何時に終わんの?」
「えっと・・・5時かな?あ!おれ、そろそろ行かなきゃ。小栗君またね?」
「ああ、うん・・・また」
笑顔で手を振って去っていく相葉君を見送った。
「・・・・・で、何でお前がいるわけ?」
「えへ」
「『えへ』じゃねぇ!!」
「まぁ、固いこと言うなよ。飯、行こうぜ!」
「はぁ!?」
「いいじゃん。ね、相葉君?」
「え・・・?う、うん」
断りきれないことは一目瞭然。
ごめんね相葉君、俺って意外と嫌なやつでしょ?
これ見よがしにため息を吐いたニノに近づき、囁いた。
「淋しい1人者にも愛を分けてくれよ」
「・・・・・」
「飯食ったらちゃんと帰るよ。それくらいいいだろ?」
「・・・・当然です。」
迷惑そうに承諾する友人に、苦笑いを返した。
そしてやって来た居酒屋の個室。
「相葉君、飲んでる?」
「うん、飲んでるよぉ。くふふ、この間ね、小栗君のドラマ見たんだぁ。ね、にの!」
「・・・ええ」
「カッコ良かったよね。おれもあんなのやってみたいなぁ」
「相葉君にはヒロインのが似合いそうだよ」
「へ?」
良い所でニノの邪魔が入る。
「相葉さん、それ取ってくれる?」
「え?うん、はい」
「どうも・・・」
「ニノ・・・・どいてくんない?」
「嫌です」
「俺、相葉君と話したい」
「どうぞ」
「お前挟んでじゃ話しづらいっての!」
そう言ったら睨まれた。
よっぽど警戒してんのね、俺の事。
まぁ、しょうがないんだけど。
そんなこんなで時間が過ぎて。
友人と飲むのはやっぱり楽しくて飲みすぎた。
「俺、ちょっとトイレ行ってくる」
ニノが席を立ったので、ちゃっかり相葉君の隣に移動。
お酒が入ってぽやーっとしてる相葉君は何だか色っぽい。
パーカーから少し覗いてる肩が色気を醸し出していて・・・。
俺の悪い癖がムクムクと疼き出す。
ああ・・・・噛み付きたい。
「あいばくん・・・・」
「ふぇ?」
「ちょっと良いかなぁ?」
「え?な、なに・・・・お、おぐりくっ・・・ひゃぁっ!」
おもむろに相葉君のパーカーをズラすと、肩口に噛み付いた。
あ、良い声。
感じちゃったの?
「あっ、ちょっ!はなしてっ!んっ」
「何やってんだよ!!」
首根っこを掴まれて引き離された。
ちっ、帰ってきたか。
相葉君の肩気持ちよかったなぁ。
「お前・・・死にたいの?」
「えへ」
「だから、『えへ』じゃねぇっ!」
「に、にのぉ・・・」
「・・・あんたも、俺以外のヤツには警戒しろっていつも言ってるでしょ?」
「ごめんなさい・・・」
ニノが超怒ってる。
何だか笑えて来た。
「・・・お前完全に酔ってんな。だから隣にしたくなかったんだよ。帰れよ、もう」
「はいはい・・・そろそろね、邪魔者は消えますよ。相葉君ごめんねぇ、びっくりさせて」
「え・・・うん。小栗君・・・吸血鬼かと思った」
噛まれた肩口を擦りながら、真っ赤な顔で言う相葉君にまた笑った。
「ははっ。ホント可愛いね相葉君は」
そろそろホントに帰らねぇと、ニノが切れるかな。
じゃあ・・・最後に。
「んじゃ、帰るわ。あ、相葉君・・・・」
「なに?」
手招きする俺に、なんの疑いもなく耳を差し出す。
だからホッペにキスしてやった。
ちゅっ
「へっ!?」
「あーっ!!おまっ・・・・」
ニノが叫ぶが気にしない。
「じゃあね。良いクリスマスを・・・・」
固まってる相葉君に囁いて、店を出た。
後は知らない。
おわり
《大好きな手》
「ねぇ・・・せんせい?」
「何?」
「おれが・・・助かる確率って・・・・どのくらい?」
小さい頃から心臓が悪かった。
運動もほとんどしたことなくて。
成長するにつれ、症状はひどくなる一方で。
早急な手術が必要だった。
でも、難しい手術を引き受けてくれる医者はなかなかいなくて。
ようやく見つけたせんせい。
若いけど、腕は最高でおれにとってはこの世でたった一人の頼れる人。
「んー・・・、25%かな?俺が執刀しない場合はね」
「じゃあ・・・せんんせいが、しゅじゅちゅしたら?」
「んふふ、『しゅじゅつ』だろ?まぁ、限りなく100%に近いよ」
「ほんと?」
「ええ・・・」
髪を梳いてくれる小さな手。
気持ちよくて安心する。
この手がおれを救ってくれるの?
大好きな大好きな手にそっと自分の手を重ねた。
「相葉さんは・・・治ったら何がしたい?」
「おれはね・・・・せんせいとえっちがしたい」
「んふふ・・・それは是非治ってもらわないとね」
笑って、せんせいがキスしてくれる。
そうするとおれは幸せで、なぜだか泣きたくなるんだ。
「せんせい・・・おれのこと、すき?」
「・・・うん、愛してる」
「おれが・・・死んだら、悲しい?」
「俺がやる限り、あんたは死なないよ。でも、もし・・・・」
せんせいがおれのホッペを撫でてくれる。
「もし、あんたが死んだら・・・・俺も一緒に逝ってあげる」
「・・・・もし、助かったら?」
「そん時は、一緒に生きていこう?」
せんせいが笑うと、胸が痛い。
これは病気のせいじゃなくって。
嬉しいからだね。
「うん・・・・。じゃあ、頑張らなくちゃね。せんせい死なせるわけにいかないもん」
「んふふ、俺はどっちにしたってあんたと一緒だよ。だから安心して・・・おやすみ」
せんせいの言葉にだんだん眠くなる。
「次に目を開けたら、きっとあんたは元気に走り回れる。その時は・・・さっきの願い叶えようね」
「う、ん・・・にの・・・みや、せん・・・せい。だい・・・すき・・」
「・・・おやすみ。愛してるよ・・・・」
にのみやせんせい。
大好きな大好きなにのみやせんせい。
次に目覚めた時には恋人にしてね。
それまで・・・・おやすみなさい。
おわり
《教えて先生》
いつの時代にも問題児ってのはいるもので。
「はぁ・・・また・・・」
穢れを知らない少女のように真っ白なそれをひらひらと振ってはみても、どうなるわけでもないと、相葉はため息を吐いた。
「今日は白紙か・・・。もう・・・なんでかなぁ?あ!もしかしてあぶり出しとか!?」
「そんなわけないでしょう?馬鹿ですか、あんた」
相葉のささやかな現実逃避を、ばっさりと切りつけたのは紛れもなくその張本人だ。
「お前ね、先生に向かって「あんた」って何だよ!ちゃんと先生って呼びなさい」
「先生ね・・・あんたの事先生なんて思ったことないし・・・」
しれっときつい事を言うのは二宮和也、高校2年生。
相葉の担当するクラスの問題児。
相葉が担任になってから、テストで一度もまともな答案を出してこない。
しかも相葉の担当する英語だけだ。
いつも白紙か、デタラメな答え。
白紙はまだいい。
もう一方の答えが相葉を悩ませていた。
その答えは決まって、いつも。
『It loves.(愛してる) You want it.(あなたが欲しい) Only you are necessary.(あなたしか要らない)
It is not possible to live without you. (あなたなしでは生きていけない)』
そんな言葉が並ぶ答案を前に何度崩れ落ちたことか。
それからというもの、毎回こうやって呼び出している。
それでも一向に改める気配もなく、相葉は困り果てていた。
「なんで・・・・お前はいつもおれの時だけそんななの?本当は英語だって出来るんでしょ?おれが嫌いでも、英語はちゃんとやりなさい。」
どこか悲しそうに言う相葉に、二宮はこれ見よがしにため息を吐く。
「・・・はぁ、ホントつくづく馬鹿だよね、相葉先生って」
「なっ!おれはお前の将来を思って・・・・」
「・・・・将来ねぇ。先生・・・俺にやる気出してほしいの?」
「え?う、うん」
「何で?」
「だってお前やれば出来るのに、もったいないじゃん」
二宮の英語以外の成績は、ほぼトップクラスだ。
現に1年の時は英語も成績が良かった。
それなのに。
担当が相葉になった途端。
自分の何が気に食わないのか、さっぱり検討がつかない。
相葉は頭を抱えるしかなかった。
「頼むよ二宮・・・」
「・・・・俺がやる気出したら・・・先生、何してくれます?」
「・・・は?」
「俺ね、目の前にニンジンぶら下げないと頑張れないタイプなの」
だからご褒美下さいよ。
「ニンジンって、お前ね・・・・勉強は自分のためにするもんでしょ?何で俺がご褒美やらなきゃいけないの!」
「・・・ふーん。じゃあ、いいや。英語出来なくても何とかなるし。」
「ちょっ、二宮!どうしてお前はそういうこと言うの!!自分の将来が掛かってんだぞ!?」
もっと真剣に考えろよ!
「・・・俺は至って真剣ですよ。自分の将来が掛かってるからこそ、先生に聞いてるんです。今までのこと、ただふざけてるなんて片付ける気じゃないですよね?」
「な、なにがだよ・・・?」
「ほら、とぼけた。これだから大人はずるいんだよ・・・分かってるくせに」
「・・・・・」
図星だから何も言えなかった。
二宮は苦手だ。
時々ひどくオトコの顔をする。
いつもはあどけない少年のような可愛らしさが、一瞬にして大人のそれに変わる。
そして、おれが目を背けてることを直視しろと責めるんだ。
「俺の事、心配してくれんでしょ?だったら・・・俺がやる気になって、もしテストでいい点取ったら・・・先生は俺の言うこと、聞いてくれます?」
「言うことって・・・・なんだよ?」
「・・・今は秘密。ねぇ、せんせ。ニンジンくれるよね?」
「・・・分かった。そこまで言うんなら、その条件呑んでやる。ただし、満点取ったらな!!」
「・・・望むところです」
そう言って笑う二宮は、やっぱり高校生とは思えないくらいに大人びていた。
そして行なわれたテスト。
その答案用紙を前に、満面の笑みの二宮と顔を曇らせたおれ。
結果は言わずと知れたこと。
「約束覚えてますよね?」
「やっぱり、やればできんじゃん・・・」
「んふふ、そりゃ俺の将来掛かってますから」
「で?おれはどうすればいい?」
最初から負け戦。
だって分かってたんだ。
二宮が出来るってこと。
なのに話に乗ったのはおれ。
それが意味すること。
おれが目を背けていたことを直視するべきか・・・。
教師としてどうかと思うけど。
教師だって人間だ。
満面の可愛らしい笑みを、大人びた妖しい笑みに変えた二宮がおれの耳元で甘く囁いた。
「I love you....You are mine.」
もう、どうにでもなれ。
おわり
《想いの重さ》
自分の生まれた日をこんなにも恨んだことはない。
生まれて12年、自分の誕生日は大好きだったし、その日は当然のごとく俺が主役だった。
それが一瞬にして崩れ落ちた日。
幸せそうなアイツとあいつ。
神様、どうして俺とアイツを同じ日に授けたのでしょうか?
どうして、俺とあいつと出会わせたのでしょうか?
あいつと・・・・相葉ちゃんと出会わなければ、アイツと・・・ニノと出会わなければ・・・俺は自分の誕生日を恨んだりはしなかったのに。
*****
『ごめん、風間。その日はちょっと・・・・約束あって。あ、でも!次の日とかなら大丈夫だよ?それでもいい?』
『外せない・・・用事?』
『う、うん・・・ごめん』
『ううん!いいよ、気にしないで。ただ、ちょっとどうかなって思っただけだから』
本当に申し訳なさそうに、相葉ちゃんにそう言われた日。
俺は知っていた。
ニノと過ごすんだろ?
誕生日だもんなぁ。
アイツの。
そして、俺の・・・。
きっとこれから、俺は一生自分の誕生日を愛せないだろうと感じた日。
『風間ぁ、これ誕生日プレゼント!お前財布欲しいって言ってたでしょ?高いのなんて買えなかったけど・・・』
『俺に?ありがとう・・・大切にするよ』
笑ったあいつは可愛くて綺麗で。
抱きしめたかったけど、出来なかった。
その代わりに財布をぎゅっと抱きしめたんだ。
『風間ぁ、まだそれ使ってんの?ボロボロじゃん』
『ああ、でもまだ使えるし』
『おれは嬉しいけど、こんなにも使ってもらえて。プレゼントした甲斐があったていうかさ』
そんなこと言われたらまた、捨てられなくなっちゃうじゃん。
ボロボロで汚くて、愛しいそれをまた、抱きしめた。
『おめでとう!!すごいじゃん!やったね、風間ぁ。おれ毎週見るよ。欠かさず見るよ!くふふ、楽しみだなぁ。風間はどんな役なの?』
『相葉ちゃん、喜びすぎ。俺より興奮してんじゃん』
『だって!!すげぇことだろ?風間頑張ってたもん。おれ絶対受かると思ってたよ!風間も金八ファミリーかぁ』
俺が金八のオーディションに受かった時、自分の事のように喜んでくれた相葉ちゃん。
俺はこの時、1つの事実を隠していた。
いや、俺だけじゃなくアイツも。
ニノもオーディションを受けていたということを。
俺と同じ役。
受かったのは俺。
相葉ちゃんは本当に嬉しそうで。
俺はニノの事は言わなかった。
言ったら、一瞬にしてこの時が終わると分かっていたから。
俺の事を喜ぶより、きっと彼はアイツの事を気遣うだろうから。
もう少し彼を・・・彼に俺だけのことを考えてほしかったから。
*****
―数年後、6月初旬
「相葉ちゃーん!」
「おう、風間ぁ。久しぶり!元気だった?」
「ああ。相葉ちゃん、全然連絡くんねぇんだもん」
「はは・・・、ごめんねぇ。ちょっと忙しくって」
嘘だ。
分かってるよ。
アイツのせいだろ?
何時からかなんて知らない。
知りたくもない。
ニノと相葉ちゃんの関係が変わったことに気づいてた。
アイツを想って笑う相葉ちゃんは本当に綺麗で。
笑い合って、寄り添う2人は幸せそのもの。
勝ち目なんかないと、入り込む隙はないと分かってた。
それでも諦める事なんて出来ないんだ。
彼を想う気持ちはきっと、ニノにだって負けないから。
「ねぇ相葉ちゃん・・・」
「んー?なぁに?」
「今年の・・・俺の誕生日、一緒に祝ってよ」
「・・・え?」
ほら、その顔。
昔と全然変わらないね。
そして俺も、あの頃と全く変わらない。
「あの・・・ごめんね?その日は・・・・」
「・・・・分かってるよ。ちょっと言ってみただけ。」
困った相葉ちゃんの顔を見て後悔。
だったら、言うなって話だけど。
「ねぇ、相葉ちゃん。俺の誕生日・・・祝ってくれる?」
「も、もちろん!当日は無理だけど・・・でも、ちゃんと祝うよ!!」
そう言ってくれるだけでも、俺は嬉しいんだよ相葉ちゃん。
でも、それじゃあまりにも俺の誕生日が可哀想だろ?
だから、ちょっとだけ・・・・いいよな?
「じゃあさ・・・・今年の12月23日の夜を、俺に頂戴?」
「え・・・・?」
自分の誕生日よりも大切な相葉ちゃんの誕生日。
その日を迎える瞬間を俺に下さい。
多分、相葉ちゃんは深く考えない。
そして、俺への申し訳ない気持ちも相まって・・・・彼はきっと。
『うん!いいよ?約束ね!』
そう言うんだ。
間違いなく。
分かってて言う俺はやっぱり性質が悪いでしょうか?
でも、ちょっとくらい許してくれよ。
「どうかな?相葉ちゃん。12月23日予約入れて良い?」
「・・・うん、分かった!いいよ、約束ね!!」
「・・・ありがと」
どうせ、心までは貰えやしないんだから。
せめて、彼を祝う時間くらいくれたって良いだろ?
なぁ、ニノ?
おわり
ここは二宮の部屋。
相葉はベッドの上で寝転んで雑誌を読んでいる。
二宮はベッドの横の床に座り、テーブルの上にノートパソコンを置いてインターネット配信のテレビを見ていた。
「ねえ、相葉さん。これ超面白いよ。ちょっと見てよ」
「んー、どれぇ」
二宮の言葉に相葉は体を起こし、二宮の肩越しにパソコンを見る。
「うひゃひゃっ。ホントだ、超おもしれぇ!!」
「・・・・」
楽しそうに見ている相葉を愛しそうに眺めていた二宮だが、何かに気づき突然口の端を吊り上げた。
「相葉さん、そのまま見てて」
「うん?」
そう言って二宮はベッドに上がって相葉の後ろに回った。
相葉は気にせず、パソコンに夢中だ。
「んふふ・・・」
後ろからは何やら怪しげな笑い・・・・
「・・・・・ちょっと、にの。なにしてんの?」
「んふふ、ばれちゃいました?」
「当たり前でしょ!なに人のケツ撫で回してんの!?」
二宮はパソコンに夢中の相葉のお尻を撫でていた。
「だって、相葉さんのお尻がすっごく可愛いんですもん」
「なっ、なんだそれ!」
どんな理屈だよっ
「俺の前でそんな格好するのが悪いんですよ」
我慢できなくなるでしょ?
相葉はベッドより低い位置にあるパソコンを見るために
ベッドの上で四つん這いになって、ひじをついている格好だった。
所謂、女豹のポーズというやつだ。
「でしょ?じゃなーい!!俺のせいかよ!」
「そうです。相葉さんのせいなんです。俺がおかしくなるのは、いつだってあなたが原因」
今までのふざけた顔ではなく、真剣な顔で二宮が言う。
「にの・・・・って、まだ撫でてるっ!!」
「いたっ。叩かなくてもいいじゃん」
「にのが悪い」
「はいはい、俺が悪かったですねー。すいませんでしたねー」
「ちょっと、あやまりながらなにしてんの?」
「んー?ふふっ。ちょっと愛を確かめ合おうかとね。嫌なの?」
「・・・・いや・・・じゃない・・」
「あーっ、本当になんでこんなに愛しいのかな!」
「もう、恥ずかしいこと言わなくていいから、はやく!」
「はい、すいませんでした。大好きですよ、相葉さん」
「もう、分かったってば・・・おれもすきだから・・・」
言わなくていいから、行動で示してよ?
おわり
相葉はベッドの上で寝転んで雑誌を読んでいる。
二宮はベッドの横の床に座り、テーブルの上にノートパソコンを置いてインターネット配信のテレビを見ていた。
「ねえ、相葉さん。これ超面白いよ。ちょっと見てよ」
「んー、どれぇ」
二宮の言葉に相葉は体を起こし、二宮の肩越しにパソコンを見る。
「うひゃひゃっ。ホントだ、超おもしれぇ!!」
「・・・・」
楽しそうに見ている相葉を愛しそうに眺めていた二宮だが、何かに気づき突然口の端を吊り上げた。
「相葉さん、そのまま見てて」
「うん?」
そう言って二宮はベッドに上がって相葉の後ろに回った。
相葉は気にせず、パソコンに夢中だ。
「んふふ・・・」
後ろからは何やら怪しげな笑い・・・・
「・・・・・ちょっと、にの。なにしてんの?」
「んふふ、ばれちゃいました?」
「当たり前でしょ!なに人のケツ撫で回してんの!?」
二宮はパソコンに夢中の相葉のお尻を撫でていた。
「だって、相葉さんのお尻がすっごく可愛いんですもん」
「なっ、なんだそれ!」
どんな理屈だよっ
「俺の前でそんな格好するのが悪いんですよ」
我慢できなくなるでしょ?
相葉はベッドより低い位置にあるパソコンを見るために
ベッドの上で四つん這いになって、ひじをついている格好だった。
所謂、女豹のポーズというやつだ。
「でしょ?じゃなーい!!俺のせいかよ!」
「そうです。相葉さんのせいなんです。俺がおかしくなるのは、いつだってあなたが原因」
今までのふざけた顔ではなく、真剣な顔で二宮が言う。
「にの・・・・って、まだ撫でてるっ!!」
「いたっ。叩かなくてもいいじゃん」
「にのが悪い」
「はいはい、俺が悪かったですねー。すいませんでしたねー」
「ちょっと、あやまりながらなにしてんの?」
「んー?ふふっ。ちょっと愛を確かめ合おうかとね。嫌なの?」
「・・・・いや・・・じゃない・・」
「あーっ、本当になんでこんなに愛しいのかな!」
「もう、恥ずかしいこと言わなくていいから、はやく!」
「はい、すいませんでした。大好きですよ、相葉さん」
「もう、分かったってば・・・おれもすきだから・・・」
言わなくていいから、行動で示してよ?
おわり
あー、相葉さんに触りたい・・・。
と思っていたときには、すでに手が出ている自分はすごいと思う。
「ちょっと、にの!なにしてんの!?」
「何って・・・言わせるんですか?」
分かってるくせに。
「今日はだめだって言ったでしょ?明日早いんだから、もう寝るの!」
やっぱり分かってんじゃん。
「だって、相葉さんのココ、とってもおいしそうなんだもん。俺に食べてほしいって言ってる」
スウェットの裾から手を差し入れ、肌を撫でる。
「こらっ!!乳首を触るんじゃない!」
第一、乳首がしゃべるわけねえだろっ!
「まあ、乳首だなんてはしたない。もっと可愛らしく言えないの?『胸の飾り』とかさ」
「言えるか、ばか!!乳首は乳首だろうが・・・って、ケツを撫でるなぁ!!」
「ココも熟れてておいしそう。俺、食べたいなあ・・・」
「っ!!ケツが熟れたらびっくりするだろ!!そんなことば、どこで覚えてくんだよ、えろばか!!」
「もう・・・ホントに情緒のない人ですね。もっとこう・・・官能的に出来ないかなあ」
「かんのーってなんだよ?わけわかんない。とにかくおれは寝るの!!」
ちっ!
おっと、いけない、いけない。
危うく舌打ちしちゃう所でした。
こうなったら・・・・。
「・・・・・・」
「な、なに急に黙っちゃって・・・」
「・・・分かりました。相葉さんは俺に触られたくないって事ですね」
声のトーンを暗くして、俯く。
「え?ちょっと、にの?」
俺の態度の急変に、ついて来れないで、パニクッてる。
もう少しかな?
「もういいです。俺、今日は帰りますね。ここに居たら、もっと嫌われる事しちゃいそうですから・・・」
「まっ、まって!!やだよ、にの。どこいくの?」
「相葉さんのいないトコ」
「どうしてぇ?」
あ、泣きそう。
歪んで不細工になった顔が、これまたかわいい・・・じゃなくて、あと一押しだな。
「だって相葉さん、俺に触られたくないんでしょ?」
「そんなこと言ってない!!」
「でも、今日はダメだって・・・。俺、相葉さんの事好きだから、一緒にいて触らないでいる自信ないし・・・」
だから、帰るよ。
「にっにの!!」
ベッドから立ち上がった俺の腕を相葉が掴んだ。
9割成功。
ここで、何も気づいていないふりで一言。
「相葉さん、離して?帰れないよ」
「・・・から!」
「え?」
「触ってもいいから、そばにいて!!」
はい、落ちた。
でも、もう少し・・・
「ホントにいいの?明日つらいかもよ?」
「いいっ!!にのがいない方がつらいの!」
「あいばさん・・・」
心の中でガッツポーズ。
「にの、はやく」
「はい、相葉さん。愛してます」
柔らかい花びらのような唇に口付ける。
「ん、おれもぉ・・・」
もちろん相葉さんにはきっちり、官能的な世界ってやつを見せてやりましたよ。
んふふ。
お馬鹿でかわいい俺の恋人。
ごめんね、相葉さん。
所詮俺なんて、こんな奴ですよ。
おわり
と思っていたときには、すでに手が出ている自分はすごいと思う。
「ちょっと、にの!なにしてんの!?」
「何って・・・言わせるんですか?」
分かってるくせに。
「今日はだめだって言ったでしょ?明日早いんだから、もう寝るの!」
やっぱり分かってんじゃん。
「だって、相葉さんのココ、とってもおいしそうなんだもん。俺に食べてほしいって言ってる」
スウェットの裾から手を差し入れ、肌を撫でる。
「こらっ!!乳首を触るんじゃない!」
第一、乳首がしゃべるわけねえだろっ!
「まあ、乳首だなんてはしたない。もっと可愛らしく言えないの?『胸の飾り』とかさ」
「言えるか、ばか!!乳首は乳首だろうが・・・って、ケツを撫でるなぁ!!」
「ココも熟れてておいしそう。俺、食べたいなあ・・・」
「っ!!ケツが熟れたらびっくりするだろ!!そんなことば、どこで覚えてくんだよ、えろばか!!」
「もう・・・ホントに情緒のない人ですね。もっとこう・・・官能的に出来ないかなあ」
「かんのーってなんだよ?わけわかんない。とにかくおれは寝るの!!」
ちっ!
おっと、いけない、いけない。
危うく舌打ちしちゃう所でした。
こうなったら・・・・。
「・・・・・・」
「な、なに急に黙っちゃって・・・」
「・・・分かりました。相葉さんは俺に触られたくないって事ですね」
声のトーンを暗くして、俯く。
「え?ちょっと、にの?」
俺の態度の急変に、ついて来れないで、パニクッてる。
もう少しかな?
「もういいです。俺、今日は帰りますね。ここに居たら、もっと嫌われる事しちゃいそうですから・・・」
「まっ、まって!!やだよ、にの。どこいくの?」
「相葉さんのいないトコ」
「どうしてぇ?」
あ、泣きそう。
歪んで不細工になった顔が、これまたかわいい・・・じゃなくて、あと一押しだな。
「だって相葉さん、俺に触られたくないんでしょ?」
「そんなこと言ってない!!」
「でも、今日はダメだって・・・。俺、相葉さんの事好きだから、一緒にいて触らないでいる自信ないし・・・」
だから、帰るよ。
「にっにの!!」
ベッドから立ち上がった俺の腕を相葉が掴んだ。
9割成功。
ここで、何も気づいていないふりで一言。
「相葉さん、離して?帰れないよ」
「・・・から!」
「え?」
「触ってもいいから、そばにいて!!」
はい、落ちた。
でも、もう少し・・・
「ホントにいいの?明日つらいかもよ?」
「いいっ!!にのがいない方がつらいの!」
「あいばさん・・・」
心の中でガッツポーズ。
「にの、はやく」
「はい、相葉さん。愛してます」
柔らかい花びらのような唇に口付ける。
「ん、おれもぉ・・・」
もちろん相葉さんにはきっちり、官能的な世界ってやつを見せてやりましたよ。
んふふ。
お馬鹿でかわいい俺の恋人。
ごめんね、相葉さん。
所詮俺なんて、こんな奴ですよ。
おわり
「ふえー、疲れたぁ」
雑誌の企画で、クッキー作りを終えて帰宅してきた相葉は、ソファーに身を沈めて大きく息を吐いた。
その隣に一緒に帰宅した、これまた一緒にクッキー作りに挑んだ大野が座る。
「くふふ。今日楽しかったねぇ、キャプテン」
大野に身を寄せ楽しげに笑う。
「うん。楽しかったし、うまかった」
「ね!そうだ、おれの作ったキャプテンクッキーどうだった?」
「うまかった!」
「もう。そうじゃなくてさぁ」
大野の服の裾を引っ張る。
「あ、相葉ちゃんもうまかった」
「え?おれのクッキー食べてないよ?」
持って帰ってきたもん。
ほら、と自分の顔型クッキーを大野に見せる。
「それのことじゃなくて、相葉ちゃん自身がうまかったんだよ」
そう言って、相葉の唇に指で触れた。
クッキー作りで、メンバーの顔型クッキーを作り、最後に大野の顔を二人で食べた。
その時、顔の端と端をポッキーゲームのように同時に食べたのだが
それほどの長さがなかったために最終的に唇が触れてしまったのだ。
大野の言わんとすることを理解した相葉は頬を染める。
「やだぁ、キャプテン。なんか言い方がスケベっぽいよぉ」
「おう!おれはスケベなんだぞ!」
「うひゃひゃ。キャプテンが開き直った!かっこいい!!」
「おう!俺はかっこいいスケベなんだ!」
「うひゃひゃ。なにそれぇ」
「だから今から相葉ちゃんを食べるんだ」
へ?
「トウッ!」
掛け声とともに相葉をソファーに押し倒す。
「ひゃあっ」
驚いた相葉は悲鳴に近い声を上げた。
そして・・・
「きゃぷてん・・・・くふふ」
「なに笑ってんの?」
「んー?だって、ホントにかっこいいから」
下から見上げる大野は本当に男らしく、格好が良くて。
「おれってば、メロメロだぁ」
「俺も。相葉ちゃんにメロメロだよ」
額にキスを落とす。
「ねぇ、キャプテンクッキーはおれが作ったけど、今度はきゃ・・・智がおれをつくって?」
智の好きなように・・・おれを作り上げて欲しい。
「・・・うん。俺のサイコーの作品を作るよ」
俺の一生をかけてね。
おわり
雑誌の企画で、クッキー作りを終えて帰宅してきた相葉は、ソファーに身を沈めて大きく息を吐いた。
その隣に一緒に帰宅した、これまた一緒にクッキー作りに挑んだ大野が座る。
「くふふ。今日楽しかったねぇ、キャプテン」
大野に身を寄せ楽しげに笑う。
「うん。楽しかったし、うまかった」
「ね!そうだ、おれの作ったキャプテンクッキーどうだった?」
「うまかった!」
「もう。そうじゃなくてさぁ」
大野の服の裾を引っ張る。
「あ、相葉ちゃんもうまかった」
「え?おれのクッキー食べてないよ?」
持って帰ってきたもん。
ほら、と自分の顔型クッキーを大野に見せる。
「それのことじゃなくて、相葉ちゃん自身がうまかったんだよ」
そう言って、相葉の唇に指で触れた。
クッキー作りで、メンバーの顔型クッキーを作り、最後に大野の顔を二人で食べた。
その時、顔の端と端をポッキーゲームのように同時に食べたのだが
それほどの長さがなかったために最終的に唇が触れてしまったのだ。
大野の言わんとすることを理解した相葉は頬を染める。
「やだぁ、キャプテン。なんか言い方がスケベっぽいよぉ」
「おう!おれはスケベなんだぞ!」
「うひゃひゃ。キャプテンが開き直った!かっこいい!!」
「おう!俺はかっこいいスケベなんだ!」
「うひゃひゃ。なにそれぇ」
「だから今から相葉ちゃんを食べるんだ」
へ?
「トウッ!」
掛け声とともに相葉をソファーに押し倒す。
「ひゃあっ」
驚いた相葉は悲鳴に近い声を上げた。
そして・・・
「きゃぷてん・・・・くふふ」
「なに笑ってんの?」
「んー?だって、ホントにかっこいいから」
下から見上げる大野は本当に男らしく、格好が良くて。
「おれってば、メロメロだぁ」
「俺も。相葉ちゃんにメロメロだよ」
額にキスを落とす。
「ねぇ、キャプテンクッキーはおれが作ったけど、今度はきゃ・・・智がおれをつくって?」
智の好きなように・・・おれを作り上げて欲しい。
「・・・うん。俺のサイコーの作品を作るよ」
俺の一生をかけてね。
おわり
実験スペシャルのスタジオ収録後、相葉と二宮はそろって、相葉宅へ。
「うひゃひゃ、楽しかったねぇ」
相葉は収録時のテンションを引きずり、いまだハイテンションだ。
自室のベッドにダイブすると、手足をバタつかせた。
それとは正反対な二宮のローテンションぶりは凄まじい。
「にの?どうしたの?なんか怒ってる?」
ようやく二宮の様子に気付いた相葉が問う。
「そういえば、さっきから喋ってんのおればっか」
収録後からほとんど話してるのは相葉だけで、二宮は「ええ」とか「そうですね」くらいしか発していなかった。
「にの?」
ベッドから起き上がり、黙っている二宮の顔を覗き込もうとした瞬間、強い力で押し戻された。
「うわっ!!に、にのっ!?」
急のことに驚いて二宮を見上げる。
「あんたさぁ、何考えてんの?」
「へ?」
何のことか分からない相葉の顔が、二宮を更にイラつかせる。
「実験だよ!実験!!」
相葉を睨み付けた。
「じ、実験?スペシャルでやったやつ?アレがどうしたの?」
「俺、聞いてないんですけど。あんな実験したなんて!」
「あんなって・・・・無重力実験のこと?言ってなかったっけ?」
「聞きましたよ。キャプテンと一緒で、たいそう楽しかったってね。そんなことで怒ってんじゃねぇんだよ!!」
珍しく本気で怒っている様子の二宮に、相葉は戸惑いを隠せなかった。
自分がやった実験の何が彼を怒らせてしまっているのか、全く検討も付かず、相葉は瞬きを繰り返す。
「おもしろく・・・なかった?」
「だから!んな事で怒ってんじゃねぇって言ってんだろ!?」
押さえつけられている肩が痛い。
「じゃあ、なにに怒ってんの!楽しかったなら良いじゃん!!」
逆切れし、下から二宮を睨み付けた。
「・・・あんたって、本当にバカですね。俺は、楽しくたって、身体壊したら意味ないって言ってんだよ!!」
「にの・・・?」
「無重力実験は楽しかったよ、確かにね!ロケの事も知ってたよ。だけどさ、あんなに何回もやるなんて聞いてねぇんだよっ!!」
相葉の上から怒鳴る。
「あんな何回も急上昇と急降下繰り返して、身体にいいわけないだろ?
それに、あのシャボン玉?苦しくなるまでやってんじゃねえよ!!お前、昔、病気やってんだろ?再発したらどうすんだよ!
全く、スタッフは何考えてんだ!?キャプテンもさ、最初からお前がやれっつーの!!」
まくし立てる二宮に相葉はしばし呆然としていたが、突然笑い出した。
「くふふふっ」
「何笑ってんだよ!」
更にきつく睨む二宮。
「だってぇ、にの、心配してくれたんでしょ?ふふっ、嬉しい!!」
言って、相葉は二宮の首に腕を回し、抱きついた。
「でもね、おれ、あの時よりも体重増えたし大丈夫だよ?」
「・・・分かってるよ!でも、心配なんだよっ!!」
強い力で抱きしめ返す。
「にの・・・苦しいよ?」
「もう少し!!」
「はぁい。くふふ、にの子供みたい。よしよーし」
二宮の背中を撫でながら、ゆらゆらと身体を揺らす。
「お前ね・・・・そういうこと言うと、子供じゃできない事するよ?」
「うん・・・。いいよ、して?」
「あいば・・・」
離れて相葉を見下ろす。
「おれ、いつもにのに心配ばっかりかけちゃうね。ごめんね?ありがとね。大好きだよ」
相葉からキス。
「俺もごめん。あまりの無茶ぶりに、ちょっと取り乱しちゃったけど、無事で良かった。よく頑張りましたね。お疲れ様」
二宮もキスを返す。
「まぁ、考えてみれば、心配かけない相葉さんなんてちょっと嫌だよね」
「しっつれいだな、もう!!」
見つめ合い、笑い合う。
そんな何気ないことが、2人の愛を深めるんです。
おわり
「うひゃひゃ、楽しかったねぇ」
相葉は収録時のテンションを引きずり、いまだハイテンションだ。
自室のベッドにダイブすると、手足をバタつかせた。
それとは正反対な二宮のローテンションぶりは凄まじい。
「にの?どうしたの?なんか怒ってる?」
ようやく二宮の様子に気付いた相葉が問う。
「そういえば、さっきから喋ってんのおればっか」
収録後からほとんど話してるのは相葉だけで、二宮は「ええ」とか「そうですね」くらいしか発していなかった。
「にの?」
ベッドから起き上がり、黙っている二宮の顔を覗き込もうとした瞬間、強い力で押し戻された。
「うわっ!!に、にのっ!?」
急のことに驚いて二宮を見上げる。
「あんたさぁ、何考えてんの?」
「へ?」
何のことか分からない相葉の顔が、二宮を更にイラつかせる。
「実験だよ!実験!!」
相葉を睨み付けた。
「じ、実験?スペシャルでやったやつ?アレがどうしたの?」
「俺、聞いてないんですけど。あんな実験したなんて!」
「あんなって・・・・無重力実験のこと?言ってなかったっけ?」
「聞きましたよ。キャプテンと一緒で、たいそう楽しかったってね。そんなことで怒ってんじゃねぇんだよ!!」
珍しく本気で怒っている様子の二宮に、相葉は戸惑いを隠せなかった。
自分がやった実験の何が彼を怒らせてしまっているのか、全く検討も付かず、相葉は瞬きを繰り返す。
「おもしろく・・・なかった?」
「だから!んな事で怒ってんじゃねぇって言ってんだろ!?」
押さえつけられている肩が痛い。
「じゃあ、なにに怒ってんの!楽しかったなら良いじゃん!!」
逆切れし、下から二宮を睨み付けた。
「・・・あんたって、本当にバカですね。俺は、楽しくたって、身体壊したら意味ないって言ってんだよ!!」
「にの・・・?」
「無重力実験は楽しかったよ、確かにね!ロケの事も知ってたよ。だけどさ、あんなに何回もやるなんて聞いてねぇんだよっ!!」
相葉の上から怒鳴る。
「あんな何回も急上昇と急降下繰り返して、身体にいいわけないだろ?
それに、あのシャボン玉?苦しくなるまでやってんじゃねえよ!!お前、昔、病気やってんだろ?再発したらどうすんだよ!
全く、スタッフは何考えてんだ!?キャプテンもさ、最初からお前がやれっつーの!!」
まくし立てる二宮に相葉はしばし呆然としていたが、突然笑い出した。
「くふふふっ」
「何笑ってんだよ!」
更にきつく睨む二宮。
「だってぇ、にの、心配してくれたんでしょ?ふふっ、嬉しい!!」
言って、相葉は二宮の首に腕を回し、抱きついた。
「でもね、おれ、あの時よりも体重増えたし大丈夫だよ?」
「・・・分かってるよ!でも、心配なんだよっ!!」
強い力で抱きしめ返す。
「にの・・・苦しいよ?」
「もう少し!!」
「はぁい。くふふ、にの子供みたい。よしよーし」
二宮の背中を撫でながら、ゆらゆらと身体を揺らす。
「お前ね・・・・そういうこと言うと、子供じゃできない事するよ?」
「うん・・・。いいよ、して?」
「あいば・・・」
離れて相葉を見下ろす。
「おれ、いつもにのに心配ばっかりかけちゃうね。ごめんね?ありがとね。大好きだよ」
相葉からキス。
「俺もごめん。あまりの無茶ぶりに、ちょっと取り乱しちゃったけど、無事で良かった。よく頑張りましたね。お疲れ様」
二宮もキスを返す。
「まぁ、考えてみれば、心配かけない相葉さんなんてちょっと嫌だよね」
「しっつれいだな、もう!!」
見つめ合い、笑い合う。
そんな何気ないことが、2人の愛を深めるんです。
おわり
1ヶ月なんてすぐだと思ってた。
今までだって、1ヶ月とは言わないまでもそれに近いくらい会わないことはあったから。
あっという間に過ぎて、あれ、もう帰ってきたのーなんて。
そんな感じだろうと思ってたんだ。
だけど・・・・。
仕事が終わり、家に帰ったのは日付が変わる頃。
お風呂に入って、ベッドに身を沈めた時には1時を回っていた。
最近、とても夜が長い。
身体はそれなりに疲れているのに眠りは浅く、寝付けない。
こんなこと、今までなかったんだ。
何故かなって考えて、行きついた答えは・・・
にのがいないから。
にのがいないことにこんなにも打ちのめされている自分に驚いた。
いつからか、おれはこんなにも彼に依存していたのだろう。
長い夜を過ごすアイテム。
読みかけの漫画。
やりかけのゲーム。
たくさん溜まったDVD。
どれも、楽しめない。
だって、にのが貸してくれた漫画。
にののお勧めのゲーム。
にのが観たいからって買ってきたDVD。
どれにもこれにも、にのがいる。
だから余計に楽しめない。
もう一度ベッドに横たわった。
シーツからにのを探す。
とっくに匂いなんてしなくなってるけど。
「・・はやく、かえってきてね・・・・にぃの」
今夜もまたひとりで、長い夜を過ごしている。
おわり
今までだって、1ヶ月とは言わないまでもそれに近いくらい会わないことはあったから。
あっという間に過ぎて、あれ、もう帰ってきたのーなんて。
そんな感じだろうと思ってたんだ。
だけど・・・・。
仕事が終わり、家に帰ったのは日付が変わる頃。
お風呂に入って、ベッドに身を沈めた時には1時を回っていた。
最近、とても夜が長い。
身体はそれなりに疲れているのに眠りは浅く、寝付けない。
こんなこと、今までなかったんだ。
何故かなって考えて、行きついた答えは・・・
にのがいないから。
にのがいないことにこんなにも打ちのめされている自分に驚いた。
いつからか、おれはこんなにも彼に依存していたのだろう。
長い夜を過ごすアイテム。
読みかけの漫画。
やりかけのゲーム。
たくさん溜まったDVD。
どれも、楽しめない。
だって、にのが貸してくれた漫画。
にののお勧めのゲーム。
にのが観たいからって買ってきたDVD。
どれにもこれにも、にのがいる。
だから余計に楽しめない。
もう一度ベッドに横たわった。
シーツからにのを探す。
とっくに匂いなんてしなくなってるけど。
「・・はやく、かえってきてね・・・・にぃの」
今夜もまたひとりで、長い夜を過ごしている。
おわり
なに、なに、なんなの!!
一体あれはなんなんだよ!?
今日はね、宿題くんの撮りで、今まさに収録中なワケですよ!
で、なんでおれが怒ってるのかっていうと・・・・あ、おれ相葉雅紀ね。
だってさ!!
今日のゲストは香里奈さん。
女優さんだけあって、超かわいいし、細くて柔らかそうで、良い匂いがして。
気さくな感じで、良い人っぽい。
それはいいんだ。
たださ・・・・なんなの、今日のにのの食いつきようは!!
なんだか異様に盛り上がって、彼女に質問しまくってんの!
収録中だけならまだしも、収録の合間にまで話し込んでる。
なんで!?
今までどんな子が来たって、にのから積極的に話しかけることなんてなかったじゃん・・・。
「相葉ちゃん?どうしたの、ボーっとして」
セットのソファーでボーっとにのたちを見ていたら、松潤が話しかけてきた。
「まつじゅんのばか・・・・」
「何だよ、急に」
「だってぇ、まつじゅんがバンビーノだから・・・・」
「はぁ?どういうことだよ」
「まつじゅんがバンビーノだから、ゲストに香里奈さんが来たんでしょぉ・・・・」
「ああ・・・そういうこと。相葉ちゃん、妬いてんだ。香里奈ちゃんに」
話し込んでるにのたちを見て、ニヤリと松潤が笑った。
なんだよぅ、その顔。
憎たらしい。
「ちがうもん。ばかじゅん」
「バカ潤って・・・お前なぁ。でも、心配することねぇよ。ニノは面白がってるだけだから。
俺が香里奈ちゃんがお前に似てるって言ったから、共通項見つけて楽しんでるんだよ」
「うー」
「そんなに睨むなよ。なに?そんな自信ねぇの?」
自信なんて・・・あるわけないだろ。
いつだって、綺麗な女優さんと仕事してるにの。
俺なんかが敵う相手じゃねぇじゃん・・・。
ただでさえ、男だという絶対的に不利な立場にいるのに、俺と同じような価値観持ってる
女の子なんて・・・・圧倒的におれ、勝ち目ないじゃん・・・。
俯いて唸っていたら、松潤が頭を撫でてくれた。
ああ、それ落ち着く。
「なぁ、相葉ちゃん。もっとさ、自信持ったら?ニノはそんなに馬鹿じゃねぇし、軽い男でもねぇだろ?
それにさ、俺は確かに相葉ちゃんと彼女は似てるって言ったけど、彼女は似てるだけで、お前じゃないんだからさ」
そんなこと、ニノは分かってると思うぜ?
「うん・・・」
おれだって分かってる。
にのはそんなヤツじゃない。
分かってたけど、誰かに言って欲しかったの。
心配するなって。
ちょっとだけ心が晴れた気がした。
「ありがと、松潤。だいすき」
松潤の肩に頭を預けてお礼を言った。
「そりゃどうも。でもさ、離れてくんない?でないと、俺の命がない」
は?なに言ってんの、松潤。
不思議に思って松潤の顔を見ようとしたら、すごい力で松潤から引き剥がされた。
誰だよって思って見ると、そこには思いっきり不機嫌そうなにの。
「あれ?にのがいる。なんで?」
今さっきまで向こうで話してたのに。
「なんで?じゃねぇだろ。ずっといるでしょうが、撮りの最中なんだから」
顔をしかめたまんまのにの。怒ってる?
「にの、こわい。なんか怒ってる」
「・・・だって、あんた。潤君といちゃついてるんですもん。ちょっと目を離すとこれだから」
そう言ってため息を吐いた。
む。
なんだよ、自分だって楽しそうに話し込んでたくせに。
文句でも言ってやろうとしたら、松潤が割り込んできた。
「どうだったニノ?随分お話、弾んでたじゃん」
松潤てば、面白そうに聞いちゃって。
やっぱり、ばかじゅんだ。
「ええ、まぁ・・・でも相葉さんじゃないからね」
後ろから、にのにぎゅっとされた。
「観点が似てたって、本人には敵わないでしょ?やっぱり相葉さんじゃなきゃね?」
「にの・・・」
さっきまでの怒りや不安が、にののひと言でスーってなくなっちゃうから不思議。
残ったのはふわふわした心地よい感覚と、にのを大好きな気持ち。
松潤を見たら、「良かったね」って優しく笑ってた。
えへへ。
「松潤、松潤。」
「何?」
「くふふ、だいすき!」
「サンキュ」
「ちょっ!何?どういうこと!?あんた、何潤君好きとか言ってんの!?」
にのが慌ててる。
「にのには内緒!ね?」
松潤と顔を見合わせて笑った。
それを見て、またにのが大声を出した。
おわり
一体あれはなんなんだよ!?
今日はね、宿題くんの撮りで、今まさに収録中なワケですよ!
で、なんでおれが怒ってるのかっていうと・・・・あ、おれ相葉雅紀ね。
だってさ!!
今日のゲストは香里奈さん。
女優さんだけあって、超かわいいし、細くて柔らかそうで、良い匂いがして。
気さくな感じで、良い人っぽい。
それはいいんだ。
たださ・・・・なんなの、今日のにのの食いつきようは!!
なんだか異様に盛り上がって、彼女に質問しまくってんの!
収録中だけならまだしも、収録の合間にまで話し込んでる。
なんで!?
今までどんな子が来たって、にのから積極的に話しかけることなんてなかったじゃん・・・。
「相葉ちゃん?どうしたの、ボーっとして」
セットのソファーでボーっとにのたちを見ていたら、松潤が話しかけてきた。
「まつじゅんのばか・・・・」
「何だよ、急に」
「だってぇ、まつじゅんがバンビーノだから・・・・」
「はぁ?どういうことだよ」
「まつじゅんがバンビーノだから、ゲストに香里奈さんが来たんでしょぉ・・・・」
「ああ・・・そういうこと。相葉ちゃん、妬いてんだ。香里奈ちゃんに」
話し込んでるにのたちを見て、ニヤリと松潤が笑った。
なんだよぅ、その顔。
憎たらしい。
「ちがうもん。ばかじゅん」
「バカ潤って・・・お前なぁ。でも、心配することねぇよ。ニノは面白がってるだけだから。
俺が香里奈ちゃんがお前に似てるって言ったから、共通項見つけて楽しんでるんだよ」
「うー」
「そんなに睨むなよ。なに?そんな自信ねぇの?」
自信なんて・・・あるわけないだろ。
いつだって、綺麗な女優さんと仕事してるにの。
俺なんかが敵う相手じゃねぇじゃん・・・。
ただでさえ、男だという絶対的に不利な立場にいるのに、俺と同じような価値観持ってる
女の子なんて・・・・圧倒的におれ、勝ち目ないじゃん・・・。
俯いて唸っていたら、松潤が頭を撫でてくれた。
ああ、それ落ち着く。
「なぁ、相葉ちゃん。もっとさ、自信持ったら?ニノはそんなに馬鹿じゃねぇし、軽い男でもねぇだろ?
それにさ、俺は確かに相葉ちゃんと彼女は似てるって言ったけど、彼女は似てるだけで、お前じゃないんだからさ」
そんなこと、ニノは分かってると思うぜ?
「うん・・・」
おれだって分かってる。
にのはそんなヤツじゃない。
分かってたけど、誰かに言って欲しかったの。
心配するなって。
ちょっとだけ心が晴れた気がした。
「ありがと、松潤。だいすき」
松潤の肩に頭を預けてお礼を言った。
「そりゃどうも。でもさ、離れてくんない?でないと、俺の命がない」
は?なに言ってんの、松潤。
不思議に思って松潤の顔を見ようとしたら、すごい力で松潤から引き剥がされた。
誰だよって思って見ると、そこには思いっきり不機嫌そうなにの。
「あれ?にのがいる。なんで?」
今さっきまで向こうで話してたのに。
「なんで?じゃねぇだろ。ずっといるでしょうが、撮りの最中なんだから」
顔をしかめたまんまのにの。怒ってる?
「にの、こわい。なんか怒ってる」
「・・・だって、あんた。潤君といちゃついてるんですもん。ちょっと目を離すとこれだから」
そう言ってため息を吐いた。
む。
なんだよ、自分だって楽しそうに話し込んでたくせに。
文句でも言ってやろうとしたら、松潤が割り込んできた。
「どうだったニノ?随分お話、弾んでたじゃん」
松潤てば、面白そうに聞いちゃって。
やっぱり、ばかじゅんだ。
「ええ、まぁ・・・でも相葉さんじゃないからね」
後ろから、にのにぎゅっとされた。
「観点が似てたって、本人には敵わないでしょ?やっぱり相葉さんじゃなきゃね?」
「にの・・・」
さっきまでの怒りや不安が、にののひと言でスーってなくなっちゃうから不思議。
残ったのはふわふわした心地よい感覚と、にのを大好きな気持ち。
松潤を見たら、「良かったね」って優しく笑ってた。
えへへ。
「松潤、松潤。」
「何?」
「くふふ、だいすき!」
「サンキュ」
「ちょっ!何?どういうこと!?あんた、何潤君好きとか言ってんの!?」
にのが慌ててる。
「にのには内緒!ね?」
松潤と顔を見合わせて笑った。
それを見て、またにのが大声を出した。
おわり
「わん、つー、すりー、ふぉー・・・・」
発音の悪いカウントが部屋中に木霊している。
「・・・・」
「いえーい!わん!つー!」
そのカウントはどんどん大きくなり、その人物のテンションが上がっていくのが分かった。
「あっ・・・・はっ・・・ふっ・・・ん」
やがて、妖しい息遣いに変わる。
「・・・・すてき」
それをうっとりとした瞳で見つめ、呟く男がひとり。
「えー?にの・・・、なんかっ・・はっ・・・言ったぁ?」
「いいえ、何も。良く頑張るなぁと思って」
先ほどから、テンション高くカウントをしているのは相葉。
それを妖しい目つきで見つめているのは二宮だ。
「にのも・・・やろうよっ、びりーっ!!はっ・・・楽しいよ?わん、つー・・・」
二宮の方を振り返り、一緒にと誘う。
相葉はビデオの中の男の号令に従って体を動かす。
相葉が行っているのは、今話題のビリーズ・ブート・キャンプ。
「俺はいいよ。疲れるもん。それより相葉さん見てる方がよっぽど楽しいvv」
「えー?おれ、動きへん?間違ってる?」
どうやら、自分の動きがおかしくて楽しいと言われていると勘違いしたらしい。
「変じゃないですよ?ちゃんと出来てる」
「ほんと?」
「うん、あ、ほら次スクワット!!」
「あ、うん!はいっ、わん!つー・・・」
再び画面に集中し始めた。
「んふふ・・・ホントに素敵。いい眺め・・・ああ、おしりが可愛いっ・・・」
二宮が見ているのは、相葉の上気した顔と動きに合わせて揺れている腰と、おしり。
そんなこととは知らない相葉は、一生懸命だ。
二宮の前で、惜しげもなく腰やお尻を揺らしてみせる。
そのたびに二宮の顔はだらしなく緩む。
「ヴィクトリー、いぇい!」
相葉が両手を挙げて叫んだ。
どうやら終わったみたいだ。
「あー楽しかったvv」
手で汗を拭いながら、二宮の隣に座る。
「・・・あいばさん」
「んー?」
「俺、もうダメだ」
「へ?」
何を言っているのかと二宮の方を見ようとした途端、相葉の視界が反転した。
「ちょ、に、にの?」
上には二宮。
「どれくらい筋肉ついたか、俺が確かめたげるvv」
「えっ?あっ・・・ん・・・にのぉ・・まって・・・」
Tシャツを捲り上げ、横腹を撫で回す。
「あ、ここら辺ちょっと絞まって来てんじゃない?」
ペロッ。
「やっん・・・もぉ・・・やだ!まって!」
二宮の頭を叩く。
「何でよ?」
愛撫する手はそのままに、二宮は少し眉を寄せた。
「んっ・・・だってぇ、おれ汗くさい・・・」
恥ずかしそうに言う相葉に、二宮から笑みが漏れる。
「・・・んふふ。そんなの気にしなくていいの。相葉さんの匂いと味が濃くなって、いい感じよ?」
「なっ!もう、へんたい!!あんっ・・・・」
「その変態が大好きなくせにぃ」
「ばかっ・・・んっ・・・ああ・・・にのぉ・・・・あっ、あっ・・・」
2人でいれば幸せ。
発音の悪いカウントが部屋中に木霊している。
「・・・・」
「いえーい!わん!つー!」
そのカウントはどんどん大きくなり、その人物のテンションが上がっていくのが分かった。
「あっ・・・・はっ・・・ふっ・・・ん」
やがて、妖しい息遣いに変わる。
「・・・・すてき」
それをうっとりとした瞳で見つめ、呟く男がひとり。
「えー?にの・・・、なんかっ・・はっ・・・言ったぁ?」
「いいえ、何も。良く頑張るなぁと思って」
先ほどから、テンション高くカウントをしているのは相葉。
それを妖しい目つきで見つめているのは二宮だ。
「にのも・・・やろうよっ、びりーっ!!はっ・・・楽しいよ?わん、つー・・・」
二宮の方を振り返り、一緒にと誘う。
相葉はビデオの中の男の号令に従って体を動かす。
相葉が行っているのは、今話題のビリーズ・ブート・キャンプ。
「俺はいいよ。疲れるもん。それより相葉さん見てる方がよっぽど楽しいvv」
「えー?おれ、動きへん?間違ってる?」
どうやら、自分の動きがおかしくて楽しいと言われていると勘違いしたらしい。
「変じゃないですよ?ちゃんと出来てる」
「ほんと?」
「うん、あ、ほら次スクワット!!」
「あ、うん!はいっ、わん!つー・・・」
再び画面に集中し始めた。
「んふふ・・・ホントに素敵。いい眺め・・・ああ、おしりが可愛いっ・・・」
二宮が見ているのは、相葉の上気した顔と動きに合わせて揺れている腰と、おしり。
そんなこととは知らない相葉は、一生懸命だ。
二宮の前で、惜しげもなく腰やお尻を揺らしてみせる。
そのたびに二宮の顔はだらしなく緩む。
「ヴィクトリー、いぇい!」
相葉が両手を挙げて叫んだ。
どうやら終わったみたいだ。
「あー楽しかったvv」
手で汗を拭いながら、二宮の隣に座る。
「・・・あいばさん」
「んー?」
「俺、もうダメだ」
「へ?」
何を言っているのかと二宮の方を見ようとした途端、相葉の視界が反転した。
「ちょ、に、にの?」
上には二宮。
「どれくらい筋肉ついたか、俺が確かめたげるvv」
「えっ?あっ・・・ん・・・にのぉ・・まって・・・」
Tシャツを捲り上げ、横腹を撫で回す。
「あ、ここら辺ちょっと絞まって来てんじゃない?」
ペロッ。
「やっん・・・もぉ・・・やだ!まって!」
二宮の頭を叩く。
「何でよ?」
愛撫する手はそのままに、二宮は少し眉を寄せた。
「んっ・・・だってぇ、おれ汗くさい・・・」
恥ずかしそうに言う相葉に、二宮から笑みが漏れる。
「・・・んふふ。そんなの気にしなくていいの。相葉さんの匂いと味が濃くなって、いい感じよ?」
「なっ!もう、へんたい!!あんっ・・・・」
「その変態が大好きなくせにぃ」
「ばかっ・・・んっ・・・ああ・・・にのぉ・・・・あっ、あっ・・・」
2人でいれば幸せ。
「すごいねぇ・・・山田太郎。笑顔で人を失神させちゃうなんてさ」
相葉は画面から目を離すことなく呟いた。
「んふふ、なんてったって王子様ですからね」
画面の中では、太郎の笑顔に次々と女子生徒たちが倒れている。
「でもさ、実際にこんなふうに失神する人なんているのかなぁ?」
「・・・何言ってんの?したことあるでしょ、失神」
「・・・だれが?」
「あんたが」
「・・・ないよぉ。いつ?にのに?」
「俺以外に誰がいんのよ?俺見て、失神したことあるでしょうが」
「覚えがないんですけど?」
首を傾げて思い出そうとするが、全く思い当たる節がない様子の相葉。
それを見て、二宮がニヤリと笑った。
「・・・試してみる?」
「へ?」
*****
「・・・んっあぁ・・あっ・・・・あっ・・・にぃ・・・のぉ・・」
「何?相葉さん・・・・」
呼ぶ事に意味はないのだと分かっていても、二宮は意地悪く応える。
それを恨めしそうに見上げるが、その瞳は欲情に濡れていて、更に二宮を煽るだけだった。
「あぁっん・・・ん・・・はっ・・・だめぇ・・・あっ」
「んっ・・・はっ・・・そろそろ・・・?」
「うっん・・・もう・・・・おねがぁい・・・」
「んふふ・・・かわいい・・・ねぇ、俺を見て?」
相葉の頬に手を当てて、目線を合わせる。
「あっ・・・に、にのぉ?」
「・・あいば・・・・愛してるよ・・・・」
相葉にしか聞かせない極上のボイス。
甘くしっとりと絡みつくような声と視線に相葉はたまらなく感じた。
それを悟った二宮が激しく突き上げる。
「あぁっん・・・・あっ、あっ・・・・んっ・・・にのぉっ・・・・・あぁっ!」
強すぎる刺激に相葉の目の前がスパークし、真っ白になった。
そして静かに闇が訪れる。
その中で相葉が見たのは、大好きな二宮の顔だった。
隣で眠る愛しい人の頭を優しく撫でる。
「んふふ・・可愛いなぁ。いっつも経験してんのにねぇ、失神」
気付いてないんだもの。
ホント、素敵な子だわ。
意味が違うって?
俺の顔見て失神してんだから、同じ事でしょ?
さて、俺も寝ましょうか。
眠るお姫様に王子のキスを。
おわり
相葉は画面から目を離すことなく呟いた。
「んふふ、なんてったって王子様ですからね」
画面の中では、太郎の笑顔に次々と女子生徒たちが倒れている。
「でもさ、実際にこんなふうに失神する人なんているのかなぁ?」
「・・・何言ってんの?したことあるでしょ、失神」
「・・・だれが?」
「あんたが」
「・・・ないよぉ。いつ?にのに?」
「俺以外に誰がいんのよ?俺見て、失神したことあるでしょうが」
「覚えがないんですけど?」
首を傾げて思い出そうとするが、全く思い当たる節がない様子の相葉。
それを見て、二宮がニヤリと笑った。
「・・・試してみる?」
「へ?」
*****
「・・・んっあぁ・・あっ・・・・あっ・・・にぃ・・・のぉ・・」
「何?相葉さん・・・・」
呼ぶ事に意味はないのだと分かっていても、二宮は意地悪く応える。
それを恨めしそうに見上げるが、その瞳は欲情に濡れていて、更に二宮を煽るだけだった。
「あぁっん・・・ん・・・はっ・・・だめぇ・・・あっ」
「んっ・・・はっ・・・そろそろ・・・?」
「うっん・・・もう・・・・おねがぁい・・・」
「んふふ・・・かわいい・・・ねぇ、俺を見て?」
相葉の頬に手を当てて、目線を合わせる。
「あっ・・・に、にのぉ?」
「・・あいば・・・・愛してるよ・・・・」
相葉にしか聞かせない極上のボイス。
甘くしっとりと絡みつくような声と視線に相葉はたまらなく感じた。
それを悟った二宮が激しく突き上げる。
「あぁっん・・・・あっ、あっ・・・・んっ・・・にのぉっ・・・・・あぁっ!」
強すぎる刺激に相葉の目の前がスパークし、真っ白になった。
そして静かに闇が訪れる。
その中で相葉が見たのは、大好きな二宮の顔だった。
隣で眠る愛しい人の頭を優しく撫でる。
「んふふ・・可愛いなぁ。いっつも経験してんのにねぇ、失神」
気付いてないんだもの。
ホント、素敵な子だわ。
意味が違うって?
俺の顔見て失神してんだから、同じ事でしょ?
さて、俺も寝ましょうか。
眠るお姫様に王子のキスを。
おわり
「ははっ!ニノ、すっげぇ似合ってんなぁ・・・・」
笑いを押し殺すようにして言う櫻井を、二宮は思いっきり睨み付ける。
「うるさいよ・・・全く。何で俺がこんな格好・・・」
そういいながら髪をいじる姿は、なかなか様になっているなと、櫻井は再び笑う。
「さっきから、翔ちゃん笑いすぎ・・・」
「・・くくっ。だって、お前・・・気持ち悪ぃ・・・」
二宮はドラマの撮影で、メイド服を着ていた。
黒地の膝丈のスカートに黒の網タイツ、白いフリフリのエプロン、ご丁寧にロングのウィッグにカチューシャをつけて、おまけに化粧までしている。
頬紅とリップグロスが妙に強調されて、なんとも言えない。
「・・・人事だと思って・・・まぁ、やるからにはやってやりますよ!」
「おお、さすがニノちゃん。役者ですね、カッコ良くないけど」
「・・・今はカッコ良くなくていいんです。女の子ですから」
そう言って、グラビアアイドルのようにポーズをつけ、櫻井に向かってウインクした。
「うわー・・・、本気でヤメテ・・・」
櫻井は眉根を寄せて、嫌そうな顔をする。
「んはは!さぁ、サッとやって終わりましょうよ!今日は約束あるんですから」
「約束?相葉ちゃん?」
「ええ。愛しのハニーちゃんに会うためですから、頑張りますよ!!」
拳を握る二宮に、毎日のように会ってるくせに何言ってんだと、心の中で突っ込んだ。
それにしても・・・。
「相葉ちゃんかぁ・・・・」
櫻井はそれだけ言うと、どこか違う方向を見つめてニヤつき始めた。
それ見た二宮は、不愉快そうに顔をしかめる。
「・・・ちょっと、翔ちゃん。俺の相葉さんを汚さないで下さいよ」
「なっ!汚すって何だよ・・・」
「だって今、『相葉ちゃんにメイド服着せたら似合うだろうなぁ』とか、相葉さんに着せて『ご主人さまぁとか言わせてぇ』とか思ったでしょ?」
「おっ、思ってねぇよ・・・・」
「嘘だ!絶対今の変態顔は思ってたね」
「変態顔って・・・じゃあさ、お前は思わないわけ?んなわけないよなぁ・・・?」
だっだら、そこにあるものは何なの?と、二宮の足元の大きなバッグを指差した。
「絶対終わったら、衣装もらうつもりだろ?」
「んふふ・・・まぁ、恋人同士の営みの盛り上げアイテムですからね・・・」
「やっぱり・・・俺と変わんないじゃねぇか」
「ちょっと、翔ちゃんと俺を一緒にしないでよ!決定的に違うでしょ?俺にはあの人にコレを着させる権利がある」
櫻井に、にっこり笑って見せた。
スカートの端を両手で持ち上げて、挨拶のポーズつきだ。
「・・・はいはい、その通り。羨ましい限りですね」
そんな二宮に呆れた視線を送った。
「ふふっ。それに、俺は翔ちゃんみたいに、ただ着せていちゃいちゃして喜ぶなんて下世話な事はいたしません」
「何だよそれ。じゃあ、それ以外にどうするってんだよ?」
「んふふ・・・俺の考えはもっと高尚なんですよ・・・」
二宮の不敵な笑みに、相葉の行く末を案じる櫻井だった。
おわり?
―現在、山田太郎ものがたり第2話放送中―
「うひゃひゃっ!にの、すごい!!唇つやつや!メイド可愛いけど、超キモイ!!うひゃひゃっ!!」
案の定、隣の相葉は二宮のコスプレに大ハマリだ。
その様子を見ながら、二宮は口元を弛ませる。
この後のお楽しみを、思い浮かべて・・・。
―放送終了―
「あー、面白かった!翔ちゃんもやればよかったのに、コスプレ」
「翔ちゃんのコスプレ、相葉さんは見たい?」
「・・・・見たくない」
絶対キモイもん。
そう言って顔をしかめた。
「んははっ、だろ?んで、俺は?」
「んー、キモイけど・・・ちょっと可愛かった・・・し、色っぽかった!!」
「んふふ、ありがと」
「あーあ、でもおれも生で見たかったなぁ・・・にののコスプレ。いいなぁ、翔ちゃんはぁ・・・」
きた!!
二宮は心の中で叫び、ガッツポーズをした。
相葉からこの言葉が出れば、70%はミッション成功だ。
「相葉さん・・・俺のコスプレ・・・見たい?」
「へ?うん!生で見てみたい!だって・・・・。いっつもおればっかり・・・なんだもん・・・」
「あ、やっぱり根に持ってたんだ」
「そりゃあね。恥ずかしいんだよ!分かったでしょ?」
顔を赤らめて恥ずかしがる姿は、二宮の加虐心を煽るだけとは気付いていない。
「まぁね、確かに恥ずかしかった。でも、相葉さんは俺の前だけじゃない。俺なんて、全国だよ?」
「そうだけどぉ、にのはテレビだし・・・それに女の子だけど、みんな同じ格好してたじゃん。おれ・・・1人だもん。しかも、にのの前で・・・やっぱ恥ずかしいよぉ」
自分の前だから恥ずかしいと言う相葉に二宮の機嫌は上昇する一方だ。
「恥ずかしがりやさんだなぁ、相葉さんは。実はね・・・今日はそんな相葉さんのためにね・・・・これ!!」
そう言って二宮が相葉の前に差し出したのは、二宮が収録で着た衣装だった。
「もらって来ちゃったvv」
メイド服と、チャイナ服、それに使用したウィッグまである。
相葉は嫌な予感に、顔を曇らせる。
そんな相葉を横目に嬉しそうに衣装を差し出す二宮。
「・・・それ、どうすんの?」
「どうするって、着るんですよ。相葉さん見たいんでしょ?俺の生コスプレ」
「うん、見たい!にのが着てくれるの!?」
途端に目を輝かせる相葉。
80%成功。
「んふふ・・・相葉さんはどっちが見たい?」
「えー・・・どっちかなぁ。メイド・・・いやいや、チャイナかなぁ・・・両方は?」
「どっちかだけだよ」
「けちぃ。んー・・・でも、メイドは結構ドラマの中で見たから、一瞬だけだったチャイナがいい!せくしーチャイナ!!」
90%成功。
「いいよ。じゃあ・・・はい!」
「え?なに?」
相葉は自分に渡されたものをきょとんと見つめた。
「メイド服」
「わかってるよ!何でおれ?」
「だって、俺がチャイナ着るんだから。何?相葉さんチャイナが良いの?」
「ちがうっ!これ、おれがどうすんのって聞いたの!!」
「どうするって、あんた・・・服は着るもんでしょうが」
そんなことも分かんないの?
「わかってるよ、そんなこと!!おれが着るの!?」
「そうですよ」
「なんで?」
「何でって、さっき自分で言ったじゃない、1人で恥ずかしいって。だから、2人で着たら恥ずかしさは1/2でしょ?
俺だって、1人は恥ずかしいんだよ。でも、相葉さんも着てくれるなら良いかなって思って。だめ?」
そう言って、二宮お得意のおねだり顔で相葉を攻める。
「うっ・・・、わかったよぉ。着れば良いんでしょ?その代わり!にのもちゃんと着てよ、それ!」
相葉が赤い顔を更に赤らめて念を押す。
どうやら、騙されて1人だけ着せられると疑っているようだ。
「はい、もちろん。着替えます。ほら、相葉さんも着替えてきて?」
「う、うん・・・」
いまいち納得しきれないまま、相葉は着替えるため、部屋を出て行った。
それを見送った二宮は口元だけで笑った。
95%成功。
おわ・・・らない・・・
「うわー・・・。結構短いよぉ・・・・」
相葉は二宮に渡されたメイド服を着て、途方に暮れていた。
二宮が着ていた時は膝丈程度だったのだが、相葉の方が身長が高い分、丈は短くなる。
「うー・・・恥ずかしい・・・」
相葉が二宮の前でコスプレをするのは初めてではない。
むしろ、他の恋人同士よりは多いくらいだ。
それには、二宮の趣味がかなり反映されているのだが、相葉は一向に慣れることがなかった。
自分の格好が恥ずかしいというよりも、その姿を二宮の射抜くような、全てを見透かされているような視線の前にさらけ出す事が耐えられなかった。
こんな自分の姿を見られている。
きっと二宮は気付いているのだろう。
恥ずかしいと言いながら、彼にされる事を期待している自分に。
彼のそんな視線が、たまらなく相葉を感じさせている事に。
だからこそ、恥ずかしくてたまらないのだ。
「これも・・・履くのぉ?」
相葉はためらいながら、網タイツに足を通した。
恥ずかしさに打ちのめされそうな相葉に、二宮から声がかかる。
「相葉さん、着れた?」
「う、うん・・・もうちょっと。にのは着たの?」
「んふふ・・・準備万端ですよ。早く出ておいで」
「いま行く・・・おかしくないよね?」
一度、鏡で自分の姿を確認する。
男の相葉がメイド服を着ている時点で充分おかしいのだが。
息を大きく吸い込んで鼓動を整えると、戸惑いがちに二宮の居る部屋のドアを開けた。
「にの・・・って・・・うわぁ!にの、超きれいっ!!」
ドアを開けた向こうの二宮の姿を見て、相葉は感嘆の声を上げた。
そこにはチャイナ服を着た二宮が妖しく笑って立っていた。
自分の格好も忘れて、二宮に駆け寄る。
「うひゃひゃっ!にの、すごいねぇ。ヅラもかぶったの?化粧もしてる!!くちびるつやつやだぁ・・・くふふ」
楽しそうに二宮を上から下まで眺め、周りをくるくると回る。
「んふふっ。相葉さん、はしゃぎすぎ」
「だって!すごい!にの自分で化粧したの?」
「もちろん。似合ってる?」
「うん!きれい!!」
目を輝かせて二宮を見ている相葉。
97%成功。
「相葉さんだって・・・かわいいよ?」
「え?あっ・・・うん。ありがと・・・」
二宮に言われて自分の格好を思い出し、急に恥ずかしそうにスカートの裾を引っ張る相葉。
その姿を妖しく見つめる二宮。
「相葉さん、ウィッグとカチューシャは?」
あったでしょ?
「・・・う、うん。コレもつけるの?」
「当たり前でしょ?俺だって着けたんだから、相葉さんも!」
「はいぃ・・・」
鏡の前でウィッグとカチューシャを着けて、雅紀メイドの完成だ。
「うわぁ・・・相葉さん似合ってるっ!ふわふわメイドさんだね。かぁわいい!!」
「うー・・・どうもっ!」
98%成功
「でもなぁ・・・もう一息だね!」
「もうひといき・・・?」
「うん。相葉さん、ここ座って?」
二宮の勧める椅子に座った相葉は、不安そうに二宮を見つめた。
「なにするの・・・?」
その顔が二宮の心をくすぐる。
「ふふっ・・・やるんなら徹底的にね?」
相葉の目の前に化粧道具が並んだ。
「お化粧・・・するの?」
「そりゃ、俺もしてるんですから相葉さんも!俺がしたげる。ね?」
「うん・・・」
「じゃあ・・上向いて、目瞑って?」
相葉の顎に指を掛けて、上を向かせる。
不安げに揺れる潤んだ瞳が閉じられた。
従順な相葉に、妖しく光る唇が吊り上る。
99%成功。
あー…なんて可愛いんでしょうねぇ、俺のハニーちゃんは!!
不安そうに眉を寄せて一生懸命に目を瞑って俺に身を委ねてんの。
唇が震えてるんだから、もう堪んないですよ。
このまま。唇に貪りつきたいっ!!
足までぎゅっと閉じちゃってさ、ああ綺麗な足だなぁ。
触りたいなぁ・・・って、いやいや、まだです。
何のために俺までこんな格好したんですか!!
ここは我慢!
俺の最高傑作、作っちゃうからね!
化粧する手にも力が入りますよ。
このために、メイクさんに化粧法を習ったんですからね。
優しくファンデーションをつけて。
シャドウは、ふわふわメイドさんだから明るい色目が良いよね?
んふふ・・・睫毛長いからマスカラ要らないね。
ビューラーだけで充分。
薄くチークをのせて・・・よしっ!
「相葉さん・・・目開けて・・・?」
俺の声にゆっくりと目を開ける。
開けた瞬間びっくりしたように俺を見て、慌てて目を逸らす。
「相葉さん?」
「に、にの。顔近いっ・・・見ないで・・・」
そう言って顔を赤くする。
もう!可愛すぎるでしょ?その反応。
「んふふ。見て!俺が思ったとおり、相葉さん超可愛い!!」
俺の言葉に、鏡で自分の姿を確認した相葉さんは、大きな目を更に大きくした。
「なっ!なに?だれだよこれぇ・・・」
ホッペをさすって、必死に自分を確認してる。
ふふっ、可愛いなぁ。
+++++
相葉は鏡を見て自分を確認し、顔を歪めた。
「にのぉ・・・おれじゃないみたいだよぉ」
「んふふ・・・似合ってるよ。とっても可愛い。相葉さん、女の子みたい・・・こっち見て?」
言われたとおり、二宮の方を向いた相葉だが、すぐに俯いてしまう。
「相葉さん?どうしたの」
相葉の顔を覗き込もうとすると、再び違う方向に顔を向けようとする。
その顔は真っ赤だ。
「こらっ!こっち見なさい」
相葉の顎を掴み、自分の方を向かせると、顔を逸らせないよう固定した。
「うぅ、にの・・・はなしてぇ。見ないで・・・」
「だめ。どうして目逸らすの?」
「だってぇ・・・恥ずかしいんだもん・・・それに・・・」
「それに?」
「にのが、にのじゃないみたい・・・にのだけど・・・なんか、いつもと違うし・・・その、なんか・・・すごいへんな感じぃ・・・」
チャイナ服に身を包み、化粧までしている二宮は、本当に綺麗で妖艶で。
身のこなしまでもが本当の女性のようで、相葉は戸惑いを隠せない。
「んふふ・・・女の子に攻められてる・・・・みたい?」
「顔は、にのなのにぃ・・・」
赤い顔をして上目遣いで二宮の表情をうかがう。
「俺も・・・変な感じだよ?相葉さんなのに、どっから見ても女の子だもん・・・んふふ、でも可愛い」
「に、にのもきれいだよ・・・?」
「ありがと。ねぇ、相葉さん・・・まだメイドさん完成じゃなかったみたい・・・」
「ふぇ?まだ、なんかあるのぉ?」
「うん、最後にね・・・コレで、完成だよ・・・」
そう言って、相葉のふくよかな唇に口付けた。
「ん・・・・」
しばらく触れるだけのキスをして、唇を離す。
「んっ・・・に、にの?」
「ふふっ、出来た。完璧だね・・・見てごらん」
二宮に促されて鏡を見ると。
「あ・・・くちびる、つやつや・・・」
二宮のリップグロスが相葉の唇に移って、相葉の唇も妖しく輝いていた。
「似合ってる。相葉さんにぴったりだよ」
鏡越しに目を合わせ、うっとりと耳元で囁く二宮に、相葉の顔はさらに紅を増す。
「も、もう・・・にのっ!」
「んふふ、可愛い・・・」
さあ、最後の1%・・・。
「ねぇ相葉さん。今日は・・・このまま・・・女の子同士で、イケナイこと・・・しようか?」
真っ赤な顔をした相葉の耳元に唇を寄せ、ウィッグに指を絡めて妖艶に微笑んだ。
「ええっ!こ、このまま・・・?」
「・・・うん。だって、せっかくのふわふわメイドさんだもん。相葉さん見てると、俺たまんないの。いいでしょ・・・?」
少し動けば触れてしまいそうなほどに顔を近づけて、綺麗な顔が相葉に迫る。
「ちょっと・・・まって!」
「・・・どうして?」
「だって・・・ほんとに恥ずかしいのっ」
このままなんて、おれ死んじゃう・・・・。
「・・・そんな可愛い事言われたら、もう我慢できない・・・大丈夫、私が恥ずかしさなんて分かんなくなるくらい感じさせてあげる・・・」
二宮が妖しく笑った。
「わ、わたしって・・・にのっ・・・あっ!ちょっと・・・うわっ!」
急に自分の事を私と言い出した二宮に戸惑っている相葉を、抱き上げるとそのままベッドへと運び、一緒に倒れこむ。
上から見る相葉の不安げに揺れる瞳が、二宮の欲情をたまらなく煽る。
「もう、本当に・・・相葉さん、愛してるよ・・・」
「にの・・・・」
恥ずかしそうに、でもようやく二宮を見つめ返してくれた相葉に満足そうに口を吊り上げた。
「・・・・ふふっ、可愛いメイドさん・・・今から私とイケナイことしませんか・・・・?」
相葉の頬を撫でながら、顔に息を吹きかけると、顔が更に赤くなった。
「・・・いいよね?」
甘い声で相葉を誘う。
「・・・・にのが・・・したいなら・・・いいよ?」
だって、恥ずかしいけど、いつもと違う二宮に戸惑いはあるけど、嫌なわけじゃない。
二宮が自分を求めてくれる事が、嬉しくて堪らないのだから。
恥ずかしさを断ち切るように目をぎゅっと瞑り、二宮の腕にしがみついて答える。
その姿を見て、二宮は再び妖艶な笑みを浮かべた。
はい、100%大成功。
上から相葉を見下ろして、二宮はうっとりと微笑む。
「んふふ、すっごい変な気持ち・・・倒錯的で、ホントたまんない」
そう言って、二宮が相葉に口付けた。
「んっ・・・・あっ」
次第に深くなるそれに、相葉の呼吸が荒くなる。
キスに夢中になっていると、二宮の手がスカートの裾から入りこみ、内腿をなで上げた。
「ふふ、相葉さん足綺麗だね?網タイツ、すっごいそそる・・・脱がすのもったいないなぁ」
「んあっ、ちょっ、だめぇ・・・」
スカートを捲り上げようとすると、相葉が恥ずかしそうに上から押さえる。
「いつも、平気でズボン脱ぐのに、恥ずかしいんだ・・・?」
「だってぇ・・・・なんか、ちがう・・・あんっ」
「んふふ・・・捲くられんのが嫌なら、こうしようか・・・?」
「えっ!?あっ、ちょっ!・・・・」
二宮はスカートの中にすっぽりと入ってしまった。
「に、にのっ!やだっ、出てっ!」
慌てて身体を起こそうとする相葉を二宮が制する。
「こらっ・・・相葉さん、女の子なんだからおとなしくしてなさい。メイドさんは絶対服従!!」
「は、はいぃ・・・・」
真っ赤な顔を両手で覆っておとなしくなる相葉に満足そうに微笑むと、二宮は行為を再開した。
相葉の足を撫でながら、網タイツを脱がせ内腿にキスを落とす。
「んん、ふぁっ・・・ん」
下着を脱がせ、反応を始めていた相葉自身に手を伸ばすと、そのまま口に含んだ。
「ああっ!あ、あ・・・ん」
そのまま手で相葉を刺激しながら、唇をその奥へと移していき、蕾へと口付ける。
「あっ・・や、ん」
顔を覆っている指の間から、赤いチャイナ服が蠢くのが見えた。
それは、自分のはいてるスカートに続いていて。
恐ろしく倒錯的なその光景に、相葉は不安になり、二宮を必死で呼んだ。
「あっん、にの、にの、にのぉ・・・」
声から不安を読み取ったのか、二宮が顔をあげ、相葉を見る。
「・・・どうした?不安になっちゃったの?」
「かお・・・見せてぇ・・・・にの・・・」
二宮に手を伸ばす。
その手を取り自分の顔へ持って行くと、相葉と目を合わせてにっこりと笑った。
相葉が安心するように。
「大丈夫。俺だよ、相葉さん。何にも怖くない・・・・ね?」
「うん・・・・」
安心したように口元を弛ませる。
そんな相葉に微笑むと、二宮は続きを促した。
「続き・・・していい?」
「ま、まって!お、おれもするっ!!」
「はい?うわっ!」
突然、相葉が起き上がったかと思うと、二宮を押し倒し形勢逆転。
「ちょっ、あ、あいばさんっ!?」
上に乗っかってきた相葉を、目を見開いて見上げる。
「うわー、にのきれい・・・・」
上から二宮を見下ろして、改めて感嘆の声を上げた。
「・・・どうも。で、相葉さんどうするつもり?俺、やられちゃうの?」
「・・・ええっ!いや、ちがっ・・・・ちがうよ」
二宮の言っていることに気付いて、首を横に振る。
「ふふっ。じゃあ、何してくれんの?」
「うっ、うん・・・・」
相葉が二宮のチャイナドレスのスリットから、戸惑いがちに手を差し入れて二宮自身に触れる。
「にの・・・してもいい?」
「どうぞ、あんたの好きなように・・・」
二宮はベッドのヘッドボードに身体を預け、相葉のしたいようにさせてやる。
相葉は下着から二宮自身を取り出すと、すでに熱を持っているそれに恐る恐る口付ける。
「はむっ、ちゅ・・・んぱ・・・・はふ」
口の中で二宮の欲望が大きくなっていくのが嬉しくて、少しでも感じてくれるようにと、一生懸命に行為に没頭する。
「はっ、ん・・・あんた、ホント最高・・・んっ」
そう言う二宮を嬉しそうに見上げる顔と、ウィッグが邪魔なのか鬱陶しそうにかきあげる姿が何とも妖艶で二宮の欲情に火をつける。
「相葉さん・・・もう良いよ・・・」
「ふぇ?」
「もう・・・あんたの中に入りたい・・・」
「っ!に、にの・・・」
「おいで?」
二宮は手を伸ばして相葉を起き上がらせると自分の膝の上に乗せた。
「相葉さん・・・このまま、しようか?」
「えっ?このままって・・・?」
「このまま・・・俺の上で・・・ね?」
「そ、そんなの・・・・」
泣きそうな顔で二宮を見つめる相葉。
「せっかくだもん。相葉さんの可愛いお顔がしっかり見られて、しかも服も乱れない。一石二鳥でしょ?」
「うぅ・・・」
相葉の頬を愛おしそうに撫で、顔を覗き込む。
「相葉さん・・・ほら・・・」
「う、うん・・・」
二宮が促すと、相葉は渋々と行動に出る。
膝立ちになり、二宮自身に手を伸ばし、その上に自らの身体を沈めていく。
「んっ・・ふ、ああっん」
「くっ、ん・・・相葉さん大丈夫?」
「あっん、だい・・・じょぶぅ・・・」
完全に身体を沈めると、馴染むまでじっと動かずに耐える相葉。
俯いて息を浅く吐き、呼吸を整えている相葉を上向かせ、目を合わせる。
「にの、なぁに・・・?」
「んふふ・・・顔が見たかったの。相葉さん・・・大好き」
優しく口付けた。
「ん・・・・あっ!」
その口付けに酔いしれている相葉を不意に下から突き上げた。
「も、もう、にのっ!」
「んはは、ごめん。ねぇ・・・もう我慢できない。相葉さん・・・動いて?」
二宮の言葉に相葉がそろそろと動き出す。
「ふっ、んん・・んあっ・・・」
自分の上で喘ぐ相葉を愛おしそうに見つめ、二宮はその動きに合わせて自らの腰を揺らす。
「あ、あっん、ん・・・だめ・・・にのぉ」
絶頂が近いのだろう、二宮の肩を掴む相葉の手に力が入る。
「はっ、あいばっ・・・一緒に・・・ね」
「あっあ、うっん・・・にの、あぁんっ」
相葉がメイド服を汚したのと同時に、二宮は相葉の最奥に熱を放った。
「ふぁ・・・ん」
力の抜けた相葉は、二宮に凭れかかる。
そんな相葉の背中や頭を撫でてあやす二宮。
「んふふ・・・気持ちよかったね?」
「ばぁか・・・」
「はいはい、馬鹿でごめんね。お疲れ様。大好きよ」
相葉のホッペにキスを贈る。
それに気を良くした相葉が、二宮の肩に顔をすり寄せる。
「もう、雅紀ちゃん最高。癖になりそう」
「もう・・・絶対やんないからね」
心臓に悪いんだから。
「あら、残念。じゃあ、今日だけの限定雅紀ちゃん、もっと堪能しなくちゃね!」
「えっ?うわぁっ!」
勢いよく身体を倒されて、二宮が上になる。
「また・・・やるの?」
「当たり前。だって、ほら・・・分かるでしょ?」
「あっ・・・・」
果てた後も相葉の中にいた二宮が、質量を増しているのを感じ、相葉は顔を赤くする。
「まだまだ・・・夜は、長いよ・・・雅紀ちゃん」
翌日、5人での収録には、妙にすっきりした二宮さんに、どこか疲れているような相葉さんの姿があったとか・・・・なかったとか。
おわり
笑いを押し殺すようにして言う櫻井を、二宮は思いっきり睨み付ける。
「うるさいよ・・・全く。何で俺がこんな格好・・・」
そういいながら髪をいじる姿は、なかなか様になっているなと、櫻井は再び笑う。
「さっきから、翔ちゃん笑いすぎ・・・」
「・・くくっ。だって、お前・・・気持ち悪ぃ・・・」
二宮はドラマの撮影で、メイド服を着ていた。
黒地の膝丈のスカートに黒の網タイツ、白いフリフリのエプロン、ご丁寧にロングのウィッグにカチューシャをつけて、おまけに化粧までしている。
頬紅とリップグロスが妙に強調されて、なんとも言えない。
「・・・人事だと思って・・・まぁ、やるからにはやってやりますよ!」
「おお、さすがニノちゃん。役者ですね、カッコ良くないけど」
「・・・今はカッコ良くなくていいんです。女の子ですから」
そう言って、グラビアアイドルのようにポーズをつけ、櫻井に向かってウインクした。
「うわー・・・、本気でヤメテ・・・」
櫻井は眉根を寄せて、嫌そうな顔をする。
「んはは!さぁ、サッとやって終わりましょうよ!今日は約束あるんですから」
「約束?相葉ちゃん?」
「ええ。愛しのハニーちゃんに会うためですから、頑張りますよ!!」
拳を握る二宮に、毎日のように会ってるくせに何言ってんだと、心の中で突っ込んだ。
それにしても・・・。
「相葉ちゃんかぁ・・・・」
櫻井はそれだけ言うと、どこか違う方向を見つめてニヤつき始めた。
それ見た二宮は、不愉快そうに顔をしかめる。
「・・・ちょっと、翔ちゃん。俺の相葉さんを汚さないで下さいよ」
「なっ!汚すって何だよ・・・」
「だって今、『相葉ちゃんにメイド服着せたら似合うだろうなぁ』とか、相葉さんに着せて『ご主人さまぁとか言わせてぇ』とか思ったでしょ?」
「おっ、思ってねぇよ・・・・」
「嘘だ!絶対今の変態顔は思ってたね」
「変態顔って・・・じゃあさ、お前は思わないわけ?んなわけないよなぁ・・・?」
だっだら、そこにあるものは何なの?と、二宮の足元の大きなバッグを指差した。
「絶対終わったら、衣装もらうつもりだろ?」
「んふふ・・・まぁ、恋人同士の営みの盛り上げアイテムですからね・・・」
「やっぱり・・・俺と変わんないじゃねぇか」
「ちょっと、翔ちゃんと俺を一緒にしないでよ!決定的に違うでしょ?俺にはあの人にコレを着させる権利がある」
櫻井に、にっこり笑って見せた。
スカートの端を両手で持ち上げて、挨拶のポーズつきだ。
「・・・はいはい、その通り。羨ましい限りですね」
そんな二宮に呆れた視線を送った。
「ふふっ。それに、俺は翔ちゃんみたいに、ただ着せていちゃいちゃして喜ぶなんて下世話な事はいたしません」
「何だよそれ。じゃあ、それ以外にどうするってんだよ?」
「んふふ・・・俺の考えはもっと高尚なんですよ・・・」
二宮の不敵な笑みに、相葉の行く末を案じる櫻井だった。
おわり?
―現在、山田太郎ものがたり第2話放送中―
「うひゃひゃっ!にの、すごい!!唇つやつや!メイド可愛いけど、超キモイ!!うひゃひゃっ!!」
案の定、隣の相葉は二宮のコスプレに大ハマリだ。
その様子を見ながら、二宮は口元を弛ませる。
この後のお楽しみを、思い浮かべて・・・。
―放送終了―
「あー、面白かった!翔ちゃんもやればよかったのに、コスプレ」
「翔ちゃんのコスプレ、相葉さんは見たい?」
「・・・・見たくない」
絶対キモイもん。
そう言って顔をしかめた。
「んははっ、だろ?んで、俺は?」
「んー、キモイけど・・・ちょっと可愛かった・・・し、色っぽかった!!」
「んふふ、ありがと」
「あーあ、でもおれも生で見たかったなぁ・・・にののコスプレ。いいなぁ、翔ちゃんはぁ・・・」
きた!!
二宮は心の中で叫び、ガッツポーズをした。
相葉からこの言葉が出れば、70%はミッション成功だ。
「相葉さん・・・俺のコスプレ・・・見たい?」
「へ?うん!生で見てみたい!だって・・・・。いっつもおればっかり・・・なんだもん・・・」
「あ、やっぱり根に持ってたんだ」
「そりゃあね。恥ずかしいんだよ!分かったでしょ?」
顔を赤らめて恥ずかしがる姿は、二宮の加虐心を煽るだけとは気付いていない。
「まぁね、確かに恥ずかしかった。でも、相葉さんは俺の前だけじゃない。俺なんて、全国だよ?」
「そうだけどぉ、にのはテレビだし・・・それに女の子だけど、みんな同じ格好してたじゃん。おれ・・・1人だもん。しかも、にのの前で・・・やっぱ恥ずかしいよぉ」
自分の前だから恥ずかしいと言う相葉に二宮の機嫌は上昇する一方だ。
「恥ずかしがりやさんだなぁ、相葉さんは。実はね・・・今日はそんな相葉さんのためにね・・・・これ!!」
そう言って二宮が相葉の前に差し出したのは、二宮が収録で着た衣装だった。
「もらって来ちゃったvv」
メイド服と、チャイナ服、それに使用したウィッグまである。
相葉は嫌な予感に、顔を曇らせる。
そんな相葉を横目に嬉しそうに衣装を差し出す二宮。
「・・・それ、どうすんの?」
「どうするって、着るんですよ。相葉さん見たいんでしょ?俺の生コスプレ」
「うん、見たい!にのが着てくれるの!?」
途端に目を輝かせる相葉。
80%成功。
「んふふ・・・相葉さんはどっちが見たい?」
「えー・・・どっちかなぁ。メイド・・・いやいや、チャイナかなぁ・・・両方は?」
「どっちかだけだよ」
「けちぃ。んー・・・でも、メイドは結構ドラマの中で見たから、一瞬だけだったチャイナがいい!せくしーチャイナ!!」
90%成功。
「いいよ。じゃあ・・・はい!」
「え?なに?」
相葉は自分に渡されたものをきょとんと見つめた。
「メイド服」
「わかってるよ!何でおれ?」
「だって、俺がチャイナ着るんだから。何?相葉さんチャイナが良いの?」
「ちがうっ!これ、おれがどうすんのって聞いたの!!」
「どうするって、あんた・・・服は着るもんでしょうが」
そんなことも分かんないの?
「わかってるよ、そんなこと!!おれが着るの!?」
「そうですよ」
「なんで?」
「何でって、さっき自分で言ったじゃない、1人で恥ずかしいって。だから、2人で着たら恥ずかしさは1/2でしょ?
俺だって、1人は恥ずかしいんだよ。でも、相葉さんも着てくれるなら良いかなって思って。だめ?」
そう言って、二宮お得意のおねだり顔で相葉を攻める。
「うっ・・・、わかったよぉ。着れば良いんでしょ?その代わり!にのもちゃんと着てよ、それ!」
相葉が赤い顔を更に赤らめて念を押す。
どうやら、騙されて1人だけ着せられると疑っているようだ。
「はい、もちろん。着替えます。ほら、相葉さんも着替えてきて?」
「う、うん・・・」
いまいち納得しきれないまま、相葉は着替えるため、部屋を出て行った。
それを見送った二宮は口元だけで笑った。
95%成功。
おわ・・・らない・・・
「うわー・・・。結構短いよぉ・・・・」
相葉は二宮に渡されたメイド服を着て、途方に暮れていた。
二宮が着ていた時は膝丈程度だったのだが、相葉の方が身長が高い分、丈は短くなる。
「うー・・・恥ずかしい・・・」
相葉が二宮の前でコスプレをするのは初めてではない。
むしろ、他の恋人同士よりは多いくらいだ。
それには、二宮の趣味がかなり反映されているのだが、相葉は一向に慣れることがなかった。
自分の格好が恥ずかしいというよりも、その姿を二宮の射抜くような、全てを見透かされているような視線の前にさらけ出す事が耐えられなかった。
こんな自分の姿を見られている。
きっと二宮は気付いているのだろう。
恥ずかしいと言いながら、彼にされる事を期待している自分に。
彼のそんな視線が、たまらなく相葉を感じさせている事に。
だからこそ、恥ずかしくてたまらないのだ。
「これも・・・履くのぉ?」
相葉はためらいながら、網タイツに足を通した。
恥ずかしさに打ちのめされそうな相葉に、二宮から声がかかる。
「相葉さん、着れた?」
「う、うん・・・もうちょっと。にのは着たの?」
「んふふ・・・準備万端ですよ。早く出ておいで」
「いま行く・・・おかしくないよね?」
一度、鏡で自分の姿を確認する。
男の相葉がメイド服を着ている時点で充分おかしいのだが。
息を大きく吸い込んで鼓動を整えると、戸惑いがちに二宮の居る部屋のドアを開けた。
「にの・・・って・・・うわぁ!にの、超きれいっ!!」
ドアを開けた向こうの二宮の姿を見て、相葉は感嘆の声を上げた。
そこにはチャイナ服を着た二宮が妖しく笑って立っていた。
自分の格好も忘れて、二宮に駆け寄る。
「うひゃひゃっ!にの、すごいねぇ。ヅラもかぶったの?化粧もしてる!!くちびるつやつやだぁ・・・くふふ」
楽しそうに二宮を上から下まで眺め、周りをくるくると回る。
「んふふっ。相葉さん、はしゃぎすぎ」
「だって!すごい!にの自分で化粧したの?」
「もちろん。似合ってる?」
「うん!きれい!!」
目を輝かせて二宮を見ている相葉。
97%成功。
「相葉さんだって・・・かわいいよ?」
「え?あっ・・・うん。ありがと・・・」
二宮に言われて自分の格好を思い出し、急に恥ずかしそうにスカートの裾を引っ張る相葉。
その姿を妖しく見つめる二宮。
「相葉さん、ウィッグとカチューシャは?」
あったでしょ?
「・・・う、うん。コレもつけるの?」
「当たり前でしょ?俺だって着けたんだから、相葉さんも!」
「はいぃ・・・」
鏡の前でウィッグとカチューシャを着けて、雅紀メイドの完成だ。
「うわぁ・・・相葉さん似合ってるっ!ふわふわメイドさんだね。かぁわいい!!」
「うー・・・どうもっ!」
98%成功
「でもなぁ・・・もう一息だね!」
「もうひといき・・・?」
「うん。相葉さん、ここ座って?」
二宮の勧める椅子に座った相葉は、不安そうに二宮を見つめた。
「なにするの・・・?」
その顔が二宮の心をくすぐる。
「ふふっ・・・やるんなら徹底的にね?」
相葉の目の前に化粧道具が並んだ。
「お化粧・・・するの?」
「そりゃ、俺もしてるんですから相葉さんも!俺がしたげる。ね?」
「うん・・・」
「じゃあ・・上向いて、目瞑って?」
相葉の顎に指を掛けて、上を向かせる。
不安げに揺れる潤んだ瞳が閉じられた。
従順な相葉に、妖しく光る唇が吊り上る。
99%成功。
あー…なんて可愛いんでしょうねぇ、俺のハニーちゃんは!!
不安そうに眉を寄せて一生懸命に目を瞑って俺に身を委ねてんの。
唇が震えてるんだから、もう堪んないですよ。
このまま。唇に貪りつきたいっ!!
足までぎゅっと閉じちゃってさ、ああ綺麗な足だなぁ。
触りたいなぁ・・・って、いやいや、まだです。
何のために俺までこんな格好したんですか!!
ここは我慢!
俺の最高傑作、作っちゃうからね!
化粧する手にも力が入りますよ。
このために、メイクさんに化粧法を習ったんですからね。
優しくファンデーションをつけて。
シャドウは、ふわふわメイドさんだから明るい色目が良いよね?
んふふ・・・睫毛長いからマスカラ要らないね。
ビューラーだけで充分。
薄くチークをのせて・・・よしっ!
「相葉さん・・・目開けて・・・?」
俺の声にゆっくりと目を開ける。
開けた瞬間びっくりしたように俺を見て、慌てて目を逸らす。
「相葉さん?」
「に、にの。顔近いっ・・・見ないで・・・」
そう言って顔を赤くする。
もう!可愛すぎるでしょ?その反応。
「んふふ。見て!俺が思ったとおり、相葉さん超可愛い!!」
俺の言葉に、鏡で自分の姿を確認した相葉さんは、大きな目を更に大きくした。
「なっ!なに?だれだよこれぇ・・・」
ホッペをさすって、必死に自分を確認してる。
ふふっ、可愛いなぁ。
+++++
相葉は鏡を見て自分を確認し、顔を歪めた。
「にのぉ・・・おれじゃないみたいだよぉ」
「んふふ・・・似合ってるよ。とっても可愛い。相葉さん、女の子みたい・・・こっち見て?」
言われたとおり、二宮の方を向いた相葉だが、すぐに俯いてしまう。
「相葉さん?どうしたの」
相葉の顔を覗き込もうとすると、再び違う方向に顔を向けようとする。
その顔は真っ赤だ。
「こらっ!こっち見なさい」
相葉の顎を掴み、自分の方を向かせると、顔を逸らせないよう固定した。
「うぅ、にの・・・はなしてぇ。見ないで・・・」
「だめ。どうして目逸らすの?」
「だってぇ・・・恥ずかしいんだもん・・・それに・・・」
「それに?」
「にのが、にのじゃないみたい・・・にのだけど・・・なんか、いつもと違うし・・・その、なんか・・・すごいへんな感じぃ・・・」
チャイナ服に身を包み、化粧までしている二宮は、本当に綺麗で妖艶で。
身のこなしまでもが本当の女性のようで、相葉は戸惑いを隠せない。
「んふふ・・・女の子に攻められてる・・・・みたい?」
「顔は、にのなのにぃ・・・」
赤い顔をして上目遣いで二宮の表情をうかがう。
「俺も・・・変な感じだよ?相葉さんなのに、どっから見ても女の子だもん・・・んふふ、でも可愛い」
「に、にのもきれいだよ・・・?」
「ありがと。ねぇ、相葉さん・・・まだメイドさん完成じゃなかったみたい・・・」
「ふぇ?まだ、なんかあるのぉ?」
「うん、最後にね・・・コレで、完成だよ・・・」
そう言って、相葉のふくよかな唇に口付けた。
「ん・・・・」
しばらく触れるだけのキスをして、唇を離す。
「んっ・・・に、にの?」
「ふふっ、出来た。完璧だね・・・見てごらん」
二宮に促されて鏡を見ると。
「あ・・・くちびる、つやつや・・・」
二宮のリップグロスが相葉の唇に移って、相葉の唇も妖しく輝いていた。
「似合ってる。相葉さんにぴったりだよ」
鏡越しに目を合わせ、うっとりと耳元で囁く二宮に、相葉の顔はさらに紅を増す。
「も、もう・・・にのっ!」
「んふふ、可愛い・・・」
さあ、最後の1%・・・。
「ねぇ相葉さん。今日は・・・このまま・・・女の子同士で、イケナイこと・・・しようか?」
真っ赤な顔をした相葉の耳元に唇を寄せ、ウィッグに指を絡めて妖艶に微笑んだ。
「ええっ!こ、このまま・・・?」
「・・・うん。だって、せっかくのふわふわメイドさんだもん。相葉さん見てると、俺たまんないの。いいでしょ・・・?」
少し動けば触れてしまいそうなほどに顔を近づけて、綺麗な顔が相葉に迫る。
「ちょっと・・・まって!」
「・・・どうして?」
「だって・・・ほんとに恥ずかしいのっ」
このままなんて、おれ死んじゃう・・・・。
「・・・そんな可愛い事言われたら、もう我慢できない・・・大丈夫、私が恥ずかしさなんて分かんなくなるくらい感じさせてあげる・・・」
二宮が妖しく笑った。
「わ、わたしって・・・にのっ・・・あっ!ちょっと・・・うわっ!」
急に自分の事を私と言い出した二宮に戸惑っている相葉を、抱き上げるとそのままベッドへと運び、一緒に倒れこむ。
上から見る相葉の不安げに揺れる瞳が、二宮の欲情をたまらなく煽る。
「もう、本当に・・・相葉さん、愛してるよ・・・」
「にの・・・・」
恥ずかしそうに、でもようやく二宮を見つめ返してくれた相葉に満足そうに口を吊り上げた。
「・・・・ふふっ、可愛いメイドさん・・・今から私とイケナイことしませんか・・・・?」
相葉の頬を撫でながら、顔に息を吹きかけると、顔が更に赤くなった。
「・・・いいよね?」
甘い声で相葉を誘う。
「・・・・にのが・・・したいなら・・・いいよ?」
だって、恥ずかしいけど、いつもと違う二宮に戸惑いはあるけど、嫌なわけじゃない。
二宮が自分を求めてくれる事が、嬉しくて堪らないのだから。
恥ずかしさを断ち切るように目をぎゅっと瞑り、二宮の腕にしがみついて答える。
その姿を見て、二宮は再び妖艶な笑みを浮かべた。
はい、100%大成功。
上から相葉を見下ろして、二宮はうっとりと微笑む。
「んふふ、すっごい変な気持ち・・・倒錯的で、ホントたまんない」
そう言って、二宮が相葉に口付けた。
「んっ・・・・あっ」
次第に深くなるそれに、相葉の呼吸が荒くなる。
キスに夢中になっていると、二宮の手がスカートの裾から入りこみ、内腿をなで上げた。
「ふふ、相葉さん足綺麗だね?網タイツ、すっごいそそる・・・脱がすのもったいないなぁ」
「んあっ、ちょっ、だめぇ・・・」
スカートを捲り上げようとすると、相葉が恥ずかしそうに上から押さえる。
「いつも、平気でズボン脱ぐのに、恥ずかしいんだ・・・?」
「だってぇ・・・・なんか、ちがう・・・あんっ」
「んふふ・・・捲くられんのが嫌なら、こうしようか・・・?」
「えっ!?あっ、ちょっ!・・・・」
二宮はスカートの中にすっぽりと入ってしまった。
「に、にのっ!やだっ、出てっ!」
慌てて身体を起こそうとする相葉を二宮が制する。
「こらっ・・・相葉さん、女の子なんだからおとなしくしてなさい。メイドさんは絶対服従!!」
「は、はいぃ・・・・」
真っ赤な顔を両手で覆っておとなしくなる相葉に満足そうに微笑むと、二宮は行為を再開した。
相葉の足を撫でながら、網タイツを脱がせ内腿にキスを落とす。
「んん、ふぁっ・・・ん」
下着を脱がせ、反応を始めていた相葉自身に手を伸ばすと、そのまま口に含んだ。
「ああっ!あ、あ・・・ん」
そのまま手で相葉を刺激しながら、唇をその奥へと移していき、蕾へと口付ける。
「あっ・・や、ん」
顔を覆っている指の間から、赤いチャイナ服が蠢くのが見えた。
それは、自分のはいてるスカートに続いていて。
恐ろしく倒錯的なその光景に、相葉は不安になり、二宮を必死で呼んだ。
「あっん、にの、にの、にのぉ・・・」
声から不安を読み取ったのか、二宮が顔をあげ、相葉を見る。
「・・・どうした?不安になっちゃったの?」
「かお・・・見せてぇ・・・・にの・・・」
二宮に手を伸ばす。
その手を取り自分の顔へ持って行くと、相葉と目を合わせてにっこりと笑った。
相葉が安心するように。
「大丈夫。俺だよ、相葉さん。何にも怖くない・・・・ね?」
「うん・・・・」
安心したように口元を弛ませる。
そんな相葉に微笑むと、二宮は続きを促した。
「続き・・・していい?」
「ま、まって!お、おれもするっ!!」
「はい?うわっ!」
突然、相葉が起き上がったかと思うと、二宮を押し倒し形勢逆転。
「ちょっ、あ、あいばさんっ!?」
上に乗っかってきた相葉を、目を見開いて見上げる。
「うわー、にのきれい・・・・」
上から二宮を見下ろして、改めて感嘆の声を上げた。
「・・・どうも。で、相葉さんどうするつもり?俺、やられちゃうの?」
「・・・ええっ!いや、ちがっ・・・・ちがうよ」
二宮の言っていることに気付いて、首を横に振る。
「ふふっ。じゃあ、何してくれんの?」
「うっ、うん・・・・」
相葉が二宮のチャイナドレスのスリットから、戸惑いがちに手を差し入れて二宮自身に触れる。
「にの・・・してもいい?」
「どうぞ、あんたの好きなように・・・」
二宮はベッドのヘッドボードに身体を預け、相葉のしたいようにさせてやる。
相葉は下着から二宮自身を取り出すと、すでに熱を持っているそれに恐る恐る口付ける。
「はむっ、ちゅ・・・んぱ・・・・はふ」
口の中で二宮の欲望が大きくなっていくのが嬉しくて、少しでも感じてくれるようにと、一生懸命に行為に没頭する。
「はっ、ん・・・あんた、ホント最高・・・んっ」
そう言う二宮を嬉しそうに見上げる顔と、ウィッグが邪魔なのか鬱陶しそうにかきあげる姿が何とも妖艶で二宮の欲情に火をつける。
「相葉さん・・・もう良いよ・・・」
「ふぇ?」
「もう・・・あんたの中に入りたい・・・」
「っ!に、にの・・・」
「おいで?」
二宮は手を伸ばして相葉を起き上がらせると自分の膝の上に乗せた。
「相葉さん・・・このまま、しようか?」
「えっ?このままって・・・?」
「このまま・・・俺の上で・・・ね?」
「そ、そんなの・・・・」
泣きそうな顔で二宮を見つめる相葉。
「せっかくだもん。相葉さんの可愛いお顔がしっかり見られて、しかも服も乱れない。一石二鳥でしょ?」
「うぅ・・・」
相葉の頬を愛おしそうに撫で、顔を覗き込む。
「相葉さん・・・ほら・・・」
「う、うん・・・」
二宮が促すと、相葉は渋々と行動に出る。
膝立ちになり、二宮自身に手を伸ばし、その上に自らの身体を沈めていく。
「んっ・・ふ、ああっん」
「くっ、ん・・・相葉さん大丈夫?」
「あっん、だい・・・じょぶぅ・・・」
完全に身体を沈めると、馴染むまでじっと動かずに耐える相葉。
俯いて息を浅く吐き、呼吸を整えている相葉を上向かせ、目を合わせる。
「にの、なぁに・・・?」
「んふふ・・・顔が見たかったの。相葉さん・・・大好き」
優しく口付けた。
「ん・・・・あっ!」
その口付けに酔いしれている相葉を不意に下から突き上げた。
「も、もう、にのっ!」
「んはは、ごめん。ねぇ・・・もう我慢できない。相葉さん・・・動いて?」
二宮の言葉に相葉がそろそろと動き出す。
「ふっ、んん・・んあっ・・・」
自分の上で喘ぐ相葉を愛おしそうに見つめ、二宮はその動きに合わせて自らの腰を揺らす。
「あ、あっん、ん・・・だめ・・・にのぉ」
絶頂が近いのだろう、二宮の肩を掴む相葉の手に力が入る。
「はっ、あいばっ・・・一緒に・・・ね」
「あっあ、うっん・・・にの、あぁんっ」
相葉がメイド服を汚したのと同時に、二宮は相葉の最奥に熱を放った。
「ふぁ・・・ん」
力の抜けた相葉は、二宮に凭れかかる。
そんな相葉の背中や頭を撫でてあやす二宮。
「んふふ・・・気持ちよかったね?」
「ばぁか・・・」
「はいはい、馬鹿でごめんね。お疲れ様。大好きよ」
相葉のホッペにキスを贈る。
それに気を良くした相葉が、二宮の肩に顔をすり寄せる。
「もう、雅紀ちゃん最高。癖になりそう」
「もう・・・絶対やんないからね」
心臓に悪いんだから。
「あら、残念。じゃあ、今日だけの限定雅紀ちゃん、もっと堪能しなくちゃね!」
「えっ?うわぁっ!」
勢いよく身体を倒されて、二宮が上になる。
「また・・・やるの?」
「当たり前。だって、ほら・・・分かるでしょ?」
「あっ・・・・」
果てた後も相葉の中にいた二宮が、質量を増しているのを感じ、相葉は顔を赤くする。
「まだまだ・・・夜は、長いよ・・・雅紀ちゃん」
翌日、5人での収録には、妙にすっきりした二宮さんに、どこか疲れているような相葉さんの姿があったとか・・・・なかったとか。
おわり