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世界でも有数の夜景の街を水面に映し、ゆらゆらと揺れる美しい光たち。
都会の喧騒から離れ、聞えてくるのは一定のリズムでやってくる波の音。


そして、それを遮るほどに高鳴るのは心音。
比例して熱くなる顔。


それらがこの後の展開を否でも感じさせているようで。


相葉はこの緊張感がたまらなくて、窓を開けた。
潮風が顔に当たり、頬の熱を奪ってくれる。

遠くに見える都会の夜景を見つめ、ひとつ息を吐いた。



「相葉さん・・・」



奥から聞えた声にビクッと肩を揺らす。
その声は相葉の後ろまで来ると、身体をそっと抱き寄せた。


「にの・・・」


潮風で冷ました頬はあっという間に熱を戻す。
それに気づかれないよう、わざと明るく振舞う。


「ね!見て!きれいだね・・・」
「ええ」
「ココからでも東京タワーって良く見えるんだね!」
「うん・・・・ねぇ相葉さん・・・シャワー・・・あなたの番ですよ」
「う、うん・・・・」


俯いて二宮のバスローブの袖をぎゅっと握った。



*****


少し熱めのシャワーを頭からかぶり、気持ちを収めようとする。



二宮を好きだと意識したのはもう随分前のこと。
自分の気持ちに愕然としたけど、二宮が同じ気持ちだと知って嬉しかった。

気持ちが通じて初めて交わしたキスは、絶対に忘れられないだろう。
嬉しくて嬉しくて・・・・その時は、その先のことなんて考えてなかった。



ただ、二宮が好きだった。
一緒にいたいと思った。



『俺、相葉さんを抱きたい』



二宮からそう言われたのは、1ヶ月前。
いつものように二宮の部屋でゲームをしたり漫画を読んだりしていた時だった。
驚いて顔を上げると、強く抱きしめられて心臓が跳ね上がる。


付き合うってことは、つまりそういうことで。
抱きしめる二宮の体温が急にリアルに感じられた。


俯いて固まってしまった相葉に、二宮は困ったように笑った。


『今すぐじゃなくて良いよ・・・それだけが目的じゃないし。ただ・・・あんたの気持ちがそうなった時には・・・』


抱かせて?


そう言った二宮はひどく真剣で。
笑ってごまかすこともできずに、ただ頷いたんだ。


あれからずっと考えてた。


『抱きたい』と二宮は言った。
ならば、自分は抱かれるのだろう。



それが自然なのかなんて分からないけど。



でも、二宮がそうしたいと言うなら・・・・。


一番それが自然な気がする。


相葉はシャワーの雫が伝い落ちていく自分の指先を見た。
それは小刻みに震えていて。


「にの・・・気づいたよね?」


嫌な訳じゃないんだ。
この1ヶ月、ずっと考えて出した答えだから。


にののこと、本当に大好きだし。
にのが望むならって、思ってる。



ただ、怖いんだ。



この先に待っているのは未知の世界。
そこに足を踏み入れること。
何よりも、自分がどうなってしまうのか。
そんな自分を、二宮はどう思うのか。


二宮に、嫌われたりしたら?


そう思うと、怖くてたまらないんだ。




震える指先を握り締め、心の迷いを払拭するように思いっきり頭を振った。



*****



シャワーから上がり、バスローブを纏うと二宮の元へと進む。


今日のために二宮が選んでくれたホテル。
都心から少し離れてはいるが、オーシャンビューとその向こうに見える都会の灯り、閑静な環境が売
りで、予約を取るのも大変だと聞いたことがある。
そしてこのホテルの中でも、おそらくかなりグレードの高い部屋だろうと一目で分かる上階の一室。

広いリビングルームにダイニングキッチンが続いて、その奥にはベッドルーム。
壁の一辺が全てガラスとなっていて、抜群のロケーション。



『相葉さんと過ごす初めての日だからね、俺がこうしたかったの』



感激と共に、こんな部屋高いでしょ?と動揺した相葉に、二宮はそう言って笑った。




二宮は先ほどの相葉のように、窓辺に腰掛けて外を見ている。
そんな姿を相葉は少しの間見つめていた。


二宮も緊張しているのだろうか?
自分と同じように、怖いなんて思っているのか。


静かに近づくと、先ほどの二宮がしたように後ろから抱きついた。


「にぃの・・・」


前に回された相葉の手を取り、二宮は自分のそれと重ねた。
その相葉よりも小さな手は、僅かに震えていた。


「相葉さん・・・俺って情けないですね。あんたが俺のものになってくれるのが嬉しいのに・・・怖いんだ」


二宮は重ねた手にそっと口付けた。


「にの・・・」



ああ、一緒なんだ。
そう思うと、安心した。
そして、どうしようもないくらいの愛おしさがこみ上げる。


「うん・・・にの。おれも怖いよ・・・。でも、にのと・・・こうなることが怖いんじゃない・・・にのに嫌われるんじゃないかってことが怖いの・・・」


二宮が身体を反転させ、相葉と向き合う。
相葉は二宮の肩口に顔を寄せて囁いた。


「おれ・・・自分がどうなっちゃうのか・・・わからないから・・・」


それでにのが俺から離れちゃうんじゃないかって。


「何があったって、俺があんたから離れる事なんてないよ」


相葉の頭に手を回し優しく撫でる。


「あんたを嫌いになる事なんてない・・・。俺はね、自分が怖いんだ・・・」

「じぶん・・・?」

「ええ・・・。あんたの事考えずに、めちゃくちゃにしてしまうんじゃないかって・・・」



きっと、抑えが利かなくなる。
それが怖いんだ。


二宮は相葉の頭に自分の顔をすり寄せた。
それに応えるように相葉の手が二宮の背中に回る。


「にの・・・。おれは大丈夫だよ?にのがいれば、なにがあっても・・・大丈夫」



にのとなら、何があっても・・・きっと、すごく幸せだから。



背中に回った手に力を込めた。
二宮は顔を上げると、両手で相葉の顔を包み込み、見つめる。


愛おしくて愛おしくて堪らないひと。


「相葉さん。あなたを・・・抱いていい?」


二宮の言葉に相葉の瞳が揺れた。
一度その瞳を閉じると、二宮の手に自分の手を添え、頬をすり寄せる。


恋しくて恋しくてどうしようもないひと。


「うん・・・抱いて・・・?」



その手を取って、ベットルームへと誘う。
手から伝わってくる相手の熱と、緊張感。


それ以上の愛情。


言葉でなんて言い表せない気持ち。


だからきっと、身体を重ねるんだ。
言葉にできない想いを伝えるために。




そう思うと自然な気がした。



*****


ベッドルームは落ち着いた灯りに包まれていて、窓に揺れる都会の灯りを映す。


相葉の手を引いてベッドへ座らせると、顔を上向かせて、キスを贈る。


「ん・・・・」


そのまま肩を押してベッドへと沈んだ。

触れるだけのキスを唇、頬、瞼へと移す。
くすぐったそうに受け止めていた相葉が、二宮の胸を押してそれを制した。


「んっ・・・・ね、ねぇ、にの・・・?」
「何ですか?」


「あ、あのね!えっと・・・そう!夜景!!夜景がきれいだね・・・?」


そう言って、窓を指さす。


「・・・・ええ、そうですね」
「ね・・・・・えっと・・・あのね?」
「うん?」

「ね!ほんとにさ・・・高いんでしょ?この部屋。こんな豪華な部屋泊まったことないし・・・。あ、なんだったらおれも半分だそう・・・・」
「相葉さん」
「え?」
「もう、黙って・・・」


相葉の唇に指を当てて、言葉を遮る。
言葉を紡ぐことが出来なくなった瞳が不安そうに揺らいだ。
それすらも美しく、二宮を魅了する。

相葉が安心できるよう、そっと口付けた。


「ん・・・、にの・・・おれが・・・もしおれが変でも・・・・」


嫌いにならないでね。


「心配性ですね。絶対に嫌いになんかならないよ」


ほんと?と聞いてくる相葉に優しく微笑む。
しかしそれはすぐに意地悪な笑みに変わって。


「それに・・・元々変なんだから、それ以上にはなりようがないでしょ?」


「・・・・もう!!」


相葉が頬を膨らます。


「あら、可愛い顔が台無し」


二宮がその頬の空気を手で押しつぶして抜くと、2人で笑った。




「・・・相葉さん好きだよ」
「うん・・・おれも」



どちらからともなく寄せられた唇。
それは次第に深くなっていく。



相葉のふくよかな下唇を吸い、舌で刺激して開かせる。
少し開いたそこから自らの舌を滑り込ませ、相葉の口腔内を犯していく。



「んっ・・・んあっ・・・ふ・・・・ん」


歯列をなぞり、奥に潜む相葉の舌を捕らえる。
反応して相葉の舌がビクリと震えた。
舌を吸い、自分のそれと絡める。


「ふっん・・・んちゅ・・はっ・・・」



何度も繰り返される口づけに相葉は必死に付いていこうとする。


「んんっ・・・ぁ・・・はぁ」


長く深いキスに息苦しさを覚えた相葉が、二宮の袖を引っ張ると、ようやく唇が離される。


相葉の目はいつもにまして、潤んでいた。
その瞳に、二宮の欲望は膨らむ。
耳の裏側にキスを落とし、耳元でうっとりと囁いた。


「あいばさん・・・綺麗」
「は、ん・・・・にぃの・・・あっ!」


二宮はバスローブの袷から手を差し入れると、相葉の滑らかな肌を楽しむように撫でる。
その手は何度か肌を滑った後、相葉の胸の突起に触れた。


「んあっ!あ、なにぃ・・・?」


痺れるよな感覚に相葉は戸惑い、二宮の手を掴む。


大丈夫だよという想いを込めて相葉の頬にキスをすると、戸惑いながらも頷いて二宮の手を離し、代わりにバスローブの袖を握り締めた。


「んっ、ん・・・あ」


胸の突起を指で刺激しながら、首筋を唇で伝っていくと、相葉の身体がふるっと震える。

わき腹まで下りた唇が再び上へと上がり、胸の突起を包み込んだ。
舌先で転がされ、吸われるたびに身体に電流のような痺れが走る。


「あっん・・・」


相葉の反応を確かめるようにしながら、ねっとりとそこを何度も舐め上げる。
そして、胸の突起の少し横の辺りに強めに吸い付いた。


「あっ!いたっ・・・・なに?」


ピリっとした痛みに相葉の顔が歪んだ。


「んふふ・・・ごめんね?つけてみたかったの」


俺のもの。
その証をあなたのカラダに。
赤く色づくそれは相葉の白く透き通る肌にきれいに咲いた。


その花を愛おしそうに撫でると、優しく口付ける。


「ん・・・・あ・・んっ」


二宮の手が相葉の体に沿って下へと滑っていき、太腿を撫で上げた。
そして、その手は相葉自身へと伸ばされてそっと擦られる。


「ああっ!んっ・・・やっ・・・まって・・・んっ」


そこは既に反応し始めて熱を持っていた。



思わず上げてしまった自分の声に驚いて動揺する相葉の瞳から一滴の涙が零れた。
その涙を唇で吸い取ると、二宮が笑う。


「んふふ、かぁわいい・・・下着はいてきたんだ・・・?」
「んっ、だってぇ・・・」


さすがに何も纏わないのは恥ずかしくて、バスローブ以外に1つだけ身につけたもの。
その上から反応し始めている自身に触れられて、顔が赤くなる。
二宮の顔が見られずに目を逸らした。


「相葉さん・・・こっち見て?」
「・・・いや」
「どうして?」
「・・・」


自分だけが二宮に触られてこんなになって、恥ずかしくて堪らなかった。


「大丈夫、あんただけじゃない・・・・」
「あっ・・・・に、にのっ」


顔を横に向けたままの相葉の頬にちゅっと口付けると、二宮は自分の下半身を相葉の太腿辺りに押し付ける。
そこは、バスローブ越しでも分かるほどに熱を持っていた。


「俺だって、あんたに触っただけで・・・こんなにも感じてるんだよ・・・あんただけじゃない・・・」


そう言って再び頬に口付けた。
相葉が二宮を見る。
その瞳は真っ直ぐに自分に向けられていて。


ああ、そうだ。
二宮とこうなることを望んだのは自分。
恥ずかしいけど。
怖いけど。


それ以上に彼が好きだから。


相葉自身に伸ばされた二宮の手に自分の手を添えて二宮を見つめる。


「んっ・・・にの、続きして?」
「・・・はい」


二宮は微笑むと、相葉自身を刺激し始める。


「んっ!はっ、ん・・・」


二宮の愛撫に次第に大きくなっていく欲望。
どうしていいか分からずにいる相葉は、足をすり寄せてその感覚に耐える。
口をぎゅっと引き結んで。


そうしないとどうにかなりそうだから。
あられもない声を張り上げてしまいそうだった。



「あいばさん・・・声聞きたい。我慢しないで?俺に・・・あんたの全てを見せてよ・・・」


二宮の指が相葉の唇を割って、口腔内に入り込む。
歯を食いしばって声を耐えていた相葉は、二宮の指を噛むわけにもいかずに、口を開けるしかなかった。


声を抑えることが出来なくなった相葉は、甘く高い声を上げる。


「んふっ・・・ん、あっ・・・」


二宮は相葉の身体を抱き起こすと、肩からバスローブを抜いて取り去る。
そして下着に手をかけると一気に脱がせ、自らも着ているものを脱ぎ捨て、一子纏わぬ姿となった。


そして直接相葉の欲望に触れると、高みへと誘うようにその手を動かす。
完全に起ち上がったそれは、更なる刺激を求めるように口から先走りを滴らせた。


「あぁっ、あ、あっ・・・やぁっ・・・」


上ずる相葉の声に限界が近いのだと知る。


「相葉さん・・・イキそう?」
「うっん・・・・だめぇっ・・・にのぉ・・・んっ」


二宮の手首を掴んで、必死に首を振る相葉。
それを見て手の動きを速める。

「いいよ・・・、イって?」

「んっ!あっ、あ・・・やっ、でちゃ・・・ああっ!」


一際大きく声を上げたのと同時に、相葉は二宮の手に白濁を吐き出した。



熱を吐き出し、ぼんやりと天井を見つめる相葉の顔を覗き込んで、触れるだけのキスをする。


「気持ち・・・良かった?」
「うん・・・・えっ!?いや、ううん!や、うん・・・」
「んふふ、どっちだよ・・・」


そう言った二宮は、手に吐き出された白濁をしばし見つめたかと思うと、おもむろにそれに舌を這わせた。


「・・・にの?って!!なにしてんの!?」


慌てて二宮の手を掴んだが、時既に遅く。


「ん・・・苦いね・・・でも、あんたのだから」


おいしいよと笑ってみせる。


「もう・・・信じらんない」


顔を真っ赤にして二宮を恨めしそうに見上げた。
ホントのことなのにと、二宮は肩を竦めて微笑んだ。


そして再び相葉の身体を愛撫する。


「んっ・・・・ね、にの・・・」
「んー?」
「にのは・・・?その・・・しなくて・・・いいの?」



「・・・してくれんの?」
「え・・・う、うん・・・だって、おれだけなんて・・・」


相葉は二宮の固くなったものに目を向けると、顔を赤くしてすぐに目を逸らす。


「んふふ、今日はいいよ・・・。俺はあんたの中でイキたいから・・・」
「なっ!もう、ばか・・・」
「照れてんの?可愛いんだから」


そんな可愛い顔してさ、どうなってもしらないよ?


一度熱を知った身体は少しの愛撫で、すぐに反応を始める。



「あっ、ん・・・」



身体を舌でなぞって下へと進んでいき、頭をもたげ始めているそこに口付けると、口腔内へと誘い込んだ。


「ちょっ!や、まって!ああっ・・・」


突然の出来事に相葉は身体を起こして二宮を止めようとするが、あっさりと二宮に制されてしまった。

二宮の口内に入って舌で刺激されたそれは、あっという間に体積を増していく。
相葉は二宮の頭を押し返そうとするが、あまりの刺激の強さに力が入らず、撫でるのが精一杯だった。



「んあっ!あぁ・・・に、のぉ・・・んっ」
「んっ・・・はっ、あいばさん・・・気持ちいい?」
「やっん、しゃべら・・ないでっ・・・あっ」


相葉の反応を見ながら口での愛撫を続け、その奥に潜む蕾へ触れる。
入り口を指で押すと、そこは収縮して、まるで何かを期待しているようにさえ思えた。


「んっ!に、にの!」


誰にも触れられたことのない、見られたことさえないその部分に二宮が触れている。
それだけで、どうしようもないくらいに恥ずかしい。
なのに、それ以上に感じていた。



相葉自身に這わせた舌をそのまま最奥へとしのばせ、その入り口を刺激する。


「ああっ!あ、んっ。に、にのぉ・・・ふんっ」


二宮が舌で押したり舐め上げるたびに、相葉の秘部は意志を持ったように蠢いた。



「ふっ、はぁん・・・・ん、にの・・・にのぉ」


初めての感覚に、恐怖にも似た感情が相葉を襲う。
それを振り払うかのように、相葉は二宮の名前を呼び続けた。


相葉の動揺を感じて、二宮は一旦顔を上げると相葉と目を合わせた。
不安と快感が入り混じった相葉の瞳が揺らめく。
相葉を安心させるように頭を撫でる。



「あいばさん・・・すきだよ。どんなあんたでも、相葉雅紀である限り・・・ずっと愛してる・・・」
「にの・・・おれも。どんな・・・にのでもだいすき。だから・・・」


大丈夫だよ。
心配しないで。
ただ、初めてだからちょっと恥ずかしいだけ。
どうしようもなく緊張してるだけ。
にのを受け入れることに、抵抗なんてない。


その気持ちを込めて、二宮にキスをした。


唇を離すと、二宮が微笑んだ。




二宮は、自分の指を相葉の口腔内に滑り込ませる。


「しっかり・・・舐めて?」
「ンふっ・・・んちゅ・・・はっむ・・・・」


相葉は言われたとおりに夢中で二宮の指を舐めた。


そんな相葉にどうしようもないくらいに欲情する。
今すぐにでも自分の欲望を相葉の中に押し入れて、めちゃくちゃに動いてやりたい。
相葉が泣き喚いて許しを請うくらいに激しく貫きたい。


でも、そんなことをして彼を傷つけることは本意ではないから。
身体を繋げることだけが目的ではないから。

自分の恐ろしい感情を、奥歯を噛み締めてやり過ごす。

 

「・・・ありがと、もういいよ」


お礼のキスを相葉に贈ると、嬉しそうにはにかんだ。

二宮は充分に湿った指を相葉の秘部へと這わせて、1本の指を埋め込んでいく。


「んっ!あぁ・・・・」

「痛い?」
「ふっ・・ん、ううん・・・いたくない・・・けど、変なかんじがするぅ・・・」


秘部は入り込んできた異物を排出しようと締め付ける。
内壁を傷つけないようゆっくりと指を奥へと進めた。
奥まで入ると、相葉に痛みの表情がないことを確認して、埋め込まれた指を動かす。


「んっ、はっ・・・あ」


中で回したり、曲げたりするたびに相葉の口からは声が漏れる。
それは、快感というよりは異物の侵入による圧迫感からのようだった。


二宮は相葉の表情を見ながらゆっくりと解してゆく。



「ふっ・・・あっん!ああっ・・・」


指を曲げて回転させた時、二宮の指がある場所を掠めた。
その瞬間、相葉の身体がビクンと跳ね上がる。
同時に甲高い声を上げた。



それは明らかに今までのものとは質の違う反応で。
相葉自身も突然の衝撃に驚いているようだった。


「はっぁ・・・な、なに?ああっ!」


もう一度先ほどの場所を探り、そこに触れてみる。
すると、相葉は再び高い声を上げて身体を反らせた。
間違いない。


「・・・ここ?ココがいいの?」
「んっ!ああっ、はっん・・・いやっ、そこ・・・やだぁっ」


味わったことのない感覚に、相葉の瞳から涙が零れた。
二宮は、涙を拭ってやりながら内壁を刺激する。


「んっ!ああ・・・ふぁっ、にのぉ・・・」



中で指が動くたびに大きな反応を返す相葉。
すでに苦しさはなくなっているようだ。
解れてきたそこは、増えた指を簡単に受け入れた。
その腰は快感に揺れている。




うつろな瞳で二宮に快感を訴える相葉は、この世のどんなものよりも綺麗だ。




本当に愛おしくて堪らなかった。
何をおいても最優先だった。

手に入れたくて、でも出来なくて。

拒まれたら生きていけないから。

頭の中で何度も彼を穢した。
頭の中の彼に欲望をぶつけて、自分の手を汚すことなんてしょっちゅうだった。
そして、何度も後悔し、彼に詫びた。

離れようと思った。
でも出来なかった。


それでも傍にいたかったから。
傍にいられるなら、今のままでも良い。
そう思い込ませて。


彼が自分を好きだと言った時、本当にどうにかなりそうだった。
嬉しくて嬉しくて。




その彼が今、自分を受け入れようとしてくれている。
これ以上の幸せなんて・・・・ない。




「んあっ・・・あ・・・?にぃのぉ?・・・・」


涙に濡れて、キラキラ光る瞳が二宮を捉えて不安そうに揺れた。
手を伸ばして、二宮の顔に触れる。


「・・・あいばさん?」
「・・んっ、にの・・・どうしたの?」


相葉に言われて自分の頬を触ると、一筋の涙が流れていた。


相葉の顔がくしゃりと崩れる。



「にのぉ・・・おれ、が・・・だめだから・・・・?」
「違うよ。違う・・・そうじゃない。」


相葉の手に自分の手を重ねた。


「ごめん・・・。不安にさせたね。でも、あんたのせいじゃないんだ・・・。俺はただ、嬉しくて堪らないんだ」
「うれしい・・・?」
「うん・・・あんたが俺の事好きになってくれたこと、俺のものになってくれたこと、俺を・・・・俺を受け入れてくれようとしてくれてることが・・・・嬉しくて」



堪らないんだ。



二宮の頬をもう一筋、涙が伝った。



その涙を相葉は愛おしそうに拭う。



「にの・・・・おれだって。にのが好きになってくれて、愛してくれて・・・必要としてくれてることが本当にうれしいの・・・にのを・・・受け入れられることが、本当に・・・」



幸せ。




「あいばさん・・・・」

「ねぇ、にの・・・こんな幸せ・・・2人だからだね?」


相葉が綺麗に微笑んだ。


「・・・そうですね。ホントにそう・・・」


二宮も微笑んだ。



その表情に相葉は頬を赤らめた。
そして・・・。



「ねぇ、にの。もう・・・おれ・・・」
「あいばさん?」


相葉が二宮の下で腰を揺らした。




「ねぇ・・・もう・・・にのがほしい・・・」
「え・・・?」
「だって!もう、にののこと考えたら・・・・もう、はやく1つになりたい・・・」


潤んだ瞳で訴える相葉に、二宮の欲情が再び増幅する。
相葉の唇にキスをして、昂ぶった自身を相葉の秘部にあてがった。


「相葉さん・・・いくよ?」
「うっん、きて・・・?」


相葉が安心できるようにキスをしながら、自らを押し進めた。



「ひっ!あ、あ・・・いたっ・・・ああっ、くっ」


指とは比べ物にならない質量が相葉の秘部に入り込もうとする。
あまりの痛みに相葉の顔が歪んだ。


「くっ、あいばっさんっ・・・力抜いてっ・・・・」
「あぁっ、んっ・・・いた・・・いたい、んっ、はぁ・・・」


涙を流しながら、一生懸命に力を抜こうと、大きく息を吐く。
痛みに、相葉の顔からは血の気が引いていた。


二宮の方も、相葉の締め付けに痛みが走る。
相葉の力が少しでも抜けるように顔中にキスを落とし、涙を拭う。



「あ、にのぉ・・・・んっはぁ・・・いた・・いっ・・」



二宮の先端の太い部分を飲み込むことがなかなか出来ずに、痛みだけが相葉を襲った。


「くっ、ん・・・。相葉さんっ・・・大丈夫?」


痛そうにする相葉に二宮は身を引こうとしたが、相葉が二宮の腕を掴んで制した。
二宮を見て、必死に首を振る。


「相葉さん・・・?」
「やっ・・・やだっ!にの、続けてぇ・・・おれ、大丈夫だかっら、んっ」


お願いと、涙で溢れる瞳が懇願する。


「相葉さん・・・前にも言ったでしょ?これだけが目的じゃないって。無理して傷つけたくないんだ・・・」
「ちがっ・・・違うの!んはぁ・・・にのの為とかじゃなくって・・・・おれが・・・続けて欲しいの・・・にのを受け入れたいのっ・・・」

「あいば・・・」
「ねぇ・・・おねがぁい。おれ、ニノと・・・・繋がりたいっ。ああっ!!」


そう言って自ら腰を浮かせて、二宮に身体を押し付ける。


「ばっ!何してんの!」


一層の痛みに顔を歪めた相葉だが、再び腰を押し付けようとする。
二宮が肩を抑えて止めさせ、ため息を吐いた。


「だってぇ・・・」
「・・・俺がするから・・・・俺にさせて?」
「うん・・・」


二宮は相葉の萎えてしまった部分へ手を伸ばし、ゆっくりとしごいた。


「んっ、ん・・・はっん・・・ああ・・・」


その刺激に次第に立ち上がってくる相葉を、なおも愛おしそうに愛撫する。
完全に相葉の意識がそちらに向き、きつく締め付けられていた部分の力が緩んだ。
それを見計らって、二宮が身体を進める。


「あっん!あぁっ・・・」


先端部分が相葉の中に入り込むと、前への刺激を続けながら、奥までゆっくりと入り込んでいく。


「くっ、はぁ・・・・あいばさん、入ったよ・・・・分かる?」


押し広げられた痛みと圧迫感に、浅い呼吸を繰り返していた相葉だが、二宮の言葉に綺麗に微笑んだ。


「うんっ・・・・はぁ。にのが中にいる・・・・繋がってるんだね。ふっ、ん・・・うれしい・・・」


相葉は下腹部に自らの手を置いて涙を流した。
それは、けっして痛みから来るものではなく。


1つになれた喜び。



二宮を受け入れた内部は、その異物を確認するかのように収縮を繰り返した。


二宮は自身が相葉の中に馴染んで痛みが引くまで、動かずにキスを繰り返し、頭を撫でる。



「ん・・・にのぉ・・・」


しばらくすると、相葉が小さな声で二宮を呼んだ。


「何?」
「・・・う、ん。あの、もう・・・いいから・・・動いて?」


相葉の表情を窺うと、その顔色は先ほどまでと違って赤みが差し、浅かった呼吸も今では熱を持った吐息に変わっていた。


腰が僅かに揺れている。


「いいの?」
「うっん・・・もう、だいじょ・・・ぶ・・だから、おねがい・・・んっ!」
「・・・・痛かったら、言えよ?」


相葉が頷いたのを確認してから、二宮はゆっくりと動きだした。


「あっ、あ、んっ・・・」


二宮の律動に合わせるように腰を揺らす相葉。
痛みがないのを確認しながら、相葉の感じる場所を探し、そこを目掛けて自らの抽出を繰り返す。


起ち上がりかけている相葉自身にも手をかけ、同時に刺激した。


「ああっ!あ、んっ、にのぉ・・・あっ」
「あいばさんっ・・・・く、はっ」


完全に二宮を受け入れたそこは、二宮を捉えて離すまいとするかのように絡みつき、二宮を快感の渦へと誘い込んだ。


激しく動きたい衝動を抑えて、相葉の負担にならないようにゆっくりとした律動を繰り返す二宮に、相葉が潤んだ瞳で訴える。


「んぁっ、に、のぉ・・・」
「なっに・・・?」
「おれ・・・おれ、大丈夫だからぁ・・・・もっと、動いてっ」
「でも・・・・」
「いいからぁ・・・もっと、にのを・・・感じたいっ」


シーツを握り締めていた相葉の手を自分の背中に回させると、額に口付ける。


「辛かったら、爪立てても良いから・・・いくよ?」
「うんっ!」


二宮が激しく動き出した。
その突き上げと内壁を擦られる感覚に、二宮の背中に回った手に力が入る。

激しく動きながらも、二宮は相葉の良い所ばかりを狙って突いてくる。

痛みに勝る快感。


相葉の口からは絶えず声が漏れていた。



「あっ、はっん!あ、あぁっ・・・にっ、の」



二宮が再び前への愛撫を始めると、それは一層高く、大きな声となった。
限界が近い。


相葉は、自分の中が熱く溶けてしまうような感覚に陥る。



二宮と一緒ならそれも構わない。
一緒に溶けてドロドロになって、どっちがどっちか分からなくなるくらいに混ざり合ってしまえばいいのに。



二宮もそう思ってくれているだろうか?
自分に感じてくれている?


涙に濡れた瞳で二宮を見つめた。



「ふっ、ん・・にの、きもち・・いいっ?」
「んっ、はっ・・・もう、気が狂いそうなくらい・・・」


気持ちいいよ。


「よかっ・・・た、んっ!はぁん・・おれ、もう・・・あっ」


「うん、俺もっ・・・一緒にイこうか?」


相葉が頷くと、二宮は最後に向かい一層激しく突き上げる。


「にのぉ・・・すきっ、だいすきっ!ふっ・・・ん!」
「俺もっ、愛してるよ・・・」


二宮に縋りつき、「好き」を繰り返す相葉に応えるように言うと、唇に噛み付いた。



何度も押し寄せる快感に、相葉の目の前がスパークする。


「ああっ!にのぉ・・・あっ、いっ、くぅ・・・・あぁっ!!」
「く、はっ・・・あいばっ!!」


相葉が自らの腹を汚したのとほぼ同時に、自分の奥で二宮が弾けたのを感じた。
自分の中に感じる二宮の熱に、相葉の頬を涙が伝う。



なんて、幸せ。


*****


「・・・相葉さん?大丈夫?」
「・・・・」


涙を拭ってくれる二宮をぼんやりと見る。
二宮は困ったように相葉から目を逸らした。


「・・・参ったな」
「え・・・?」



その言葉は相葉を不安にさせた。
自分は何か失敗しただろうか。



「・・・そんな目で見ないでよ」
「え?」
「無理させたくないのに・・・」


意味が分からない相葉は二宮を不安そうに見つめた。


「もう・・・負担かけたくないのに、そんな風に見つめられたら俺が我慢できないって」
「なっ!なに言って・・・・」
「しないよっ。今日はね、もうしないよ。初めてだし、辛かったでしょ?」

「あ、ううん!最初は恥ずかしかったし、痛かったけど・・・でも、してって言ったのはおれだから・・・それに・・・な、なんでもない!」


「何?言ってよ」
「ううっ・・・。おれ、にのと繋がった時ね・・・本当に幸せだった。もうこのまま離れられなければ良いと思ったの。痛かったけどね、それもにのがくれたものだから・・・」



顔を赤くして言う相葉に二宮は言葉をなくす。



あんなに痛そうに顔を歪めて、なお幸せと言えるあなた。
俺を受け入れることを嬉しいと、涙まで流して。



本当に奇跡のような存在。



「あいばさん・・・本当にあなたって人は・・・」




何処まで俺を惚れさせるんですか?




「にの?」



不思議そうに首を傾げた愛しい人を抱きしめる。
しばらくなすがままに抱きしめられていた相葉だが、二宮の背中をポンポンと叩くと、気になっていたことを聞いた。


「ねぇ、にの?おれ・・・おれ、気持ちよかった?ちゃんと・・・」



感じてくれた?



「当たり前です。あんた以上に気持ちいい人なんていないよ。それにあんたが一番よく分かったでしょ?」


ココで・・・俺のモノを受け止めたんだから。


そう言って相葉の下腹部を撫でた。


「あ・・・うん、そうだね・・・」
「照れてんの?かぁわいい」
「もう!うるさいっ」


「んふふ、相葉さん・・・愛してる。ありがとう」



こんな俺を好きになってくれて。
俺のものになってくれて。



「にの・・・、うん。おれも、愛してる。ありがとう」



おれを愛してくれて。
あなたのものに・・・してくれて。





触れ合うだけのキスを何度も何度も繰り返す。







抱き合うことで知ったこと。


相手を受け入れることの幸せ。
1つになれる感覚。

そして、言葉では伝えきれない愛情。



想われていること。



想っていること。




「ねぇ、にの。こんな幸せ・・・」




2人だからだね。






おわり
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