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小説の再編集とか、資料とか、必要な諸々を置いておくブログ
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「あーいばさんっ!」
「なぁに、にの?」



首を傾げる相葉に、二宮はデレッと顔を崩した。
相変わらず可愛いなぁ。


出会った頃から変わらない純粋さは、少なからず自分の努力の賜物だと自負している。
こんなに手塩に掛けて、可愛く可愛く育ててきたのに・・・・。
まぁ、それは置いといて。




「あのさ、明日のオフどうします?」
「明日のオフ?んーとね、どうしようかな?」
「明日は、とりあえずのんびりしたいからさ、相葉さんの部屋はどう?」
「へ?なにが?」
「だから、明日のオフの過ごし方!」
「あれ?おれ、にのと約束してたっけ?」
「したじゃん!一緒にいようって!!忘れるなんてひどいよ相葉さん・・・・俺楽しみにしてたのに・・・」




二宮が眉毛を下げて、目を潤ませると、相葉は途端に慌てだした。



「ご、ごめんね?おれ、忘れちゃって・・・でも、ちゃんと一緒にいるよ!明日はにのがしたいことしよう?ね?」



二宮の目が光る。
さすが「俺の」相葉さん、疑うって事を知らない子なんです。



「うん!とりあえずさ、相葉さんの家でのんびりしてー、それから・・・「誰がいつ、そんな約束したんだろうなぁ? 」



二宮の計画を阻止しようとする男の登場。




「あ、松潤。おつかれぇ」



チッ。



「舌打ちしてんじゃねぇよ。人がいない時に手ぇ出そうとしやがって。ホント、とんだ策士だな」
「うるさいですよ、潤くん!目離した隙に人のものに手ぇ出したのはあなたの方でしょ!俺の相葉さん、穢しやがって・・・」
「穢したって・・・誰が、いつお前のもんになったんだよ!「俺の相葉さん」とか言ってんなよ。相葉ちゃんが付き合ってるのは俺だろ?」




勝ち誇ったように言う松本を二宮は忌々しそうに見遣る。


そう、二宮が手塩に掛けて守ってきた可愛い可愛い存在は、この男によって穢された。


少なくとも二宮はそう思っている。


そのまま言い合い続ける2人をきょとんと見つめる相葉。



「・・・仲良しだね、2人とも。じゃれ合っちゃって可愛いなぁ」



「「仲良くねぇよ(ありません)!」」


「うひゃひゃっ。息もぴったりだね!」
「もう、あなたは・・・・愛情掛けて育ててきたのに・・・・こんな顔の濃い男に引っかかるなんて・・・」
「濃くて悪かったな!!」

「ひっかかる?おれ、引っかかったの?」
「そうですよぉ。あの顔が迫ってきて怖くて断れなかったんでしょ?ああ、俺がその場にいてあげたら、こんな事にはならなかったのに」



そう言って大げさに顔を覆って見せる。



「にの?よく分かんないけど、元気出して?」


二宮の頭を撫でて、慰める相葉。


「あいばさーん」


どこからそんな声が出るのかと言うほどに、甘ったるい声で相葉に抱きつく二宮。


「くふふ、よしよーし」


嬉しそうにそれを受け止めている相葉。


「相葉さんが明日、一緒にいてくれたら元気出ると思うんだけどなぁ・・・・ダメ?」


わざと目を潤ませておねだりする二宮を、相葉が無下にできるわけなどなく。


「それでにのが元気になるなら、良いよぉ」
「ホント!?じゃあ、決まり!」



そう言って二宮は松本に目線を送った。
その顔は先ほどの松本同様、勝ち誇っているように見えて。



「やってらんねぇ・・・」



それを呆れた様子でしばし見つめ、松本はその場を離れた。



*****




「俺さ・・・・相葉ちゃんの事・・・好きなんだ」
「おれも、松潤好きだよ?」
「いや、そうじゃなくてさ。その・・・LOVEってことでさ・・・」
「・・・うん、おれも・・・らぶだよ?」
「じゃあ・・・俺と付き合ってくれんの?」
「・・・・うん」



相葉が自分を受け入れてくれた事は奇跡に近いと、松本は思う。
彼に、こんな感情を抱くようになったのはいつ頃だったか。


ほとんど変わらない時期に事務所に入り、同じように仕事をこなしてきた。
相葉は昔から危なっかしくて、目の離せないヤツだった。
現場でも年下で、当時彼よりかなり背の低かった俺がフォローに回る事も多かった。


同じグループとしてデビューしてからもそれは変わらなくて。


でも、それが迷惑なんて思った事はなくて、むしろ頼られる事が嬉しかった。
彼が笑って「松潤ありがとう」と言ってくれる事が何より嬉しかった。
思えば、その頃から始まっていたんだと思う。



そして、俺と同じように・・・いや、それ以上に相葉を溺愛し、守ってきたのはニノ。
いつも相葉の近くにいて、彼を助けてきたのは俺ではなく確かに二宮だ。
相葉も二宮に絶大な信頼を寄せていた。



それは今も、昔も代わりのない事実。


だからこそ、自分の気持ちに相葉が応えてくれたことが信じられなかった。
もしかして二宮の言うように、ただ単に断れなかっただけなのかもしれない。


彼は優しいから。
嵐というグループを壊したくないだけなのではないか。
そんなことばかり考えてしまう。



俺らしくない。



鏡に映る自分を見て、松本は自嘲気味に笑った。



「あーいばさん?」
「へ?ああ、なぁに?」
「それはこっちの台詞!ボーっとしちゃって、大丈夫?」
「うん、大丈夫。ねぇ、明日何しようか?」
「・・・ホントに良いの?」
「なにが?」
「何がって・・・・」


今、あんたの視線の先は潤君だったじゃない。
その意味を込めて、二宮は自分の視線を松本へと向けた。


「・・・ねぇ、にの。おれってさ・・・・ん、やっぱいいや、なんでもない」


そう言って相葉はメイク室へと消えていった。



「・・・・・」



その姿を見送った二宮が、鏡の前にいる松本に近寄る。


「潤君・・・・」
「あ?」
「俺さ、本当に相葉さんの事、大事なの」
「何だよ、改まって」


そんな事知ってるよ。



「・・・・ホント、潤君ってばか。」



松本の言葉に二宮は呆れたのか、それだけ言うとさっさと大野のところへ行ってしまった。



「・・・何だよ、一体」



松本はわけも分からず顔をしかめた。







―収録後―



「松潤」
「ん、何?」
「あのね、明日なんだけど・・・・」
「ああ・・・ニノと遊ぶんだろ?」
「え?あ・・・うん。でもね・・・?」
「まぁ、あんまりはしゃぎ過ぎんなよ?じゃあな。お疲れ」



相葉の頭をポンポンと優しく叩くと、松本は楽屋を出て行った。




「・・・・なんだよ、ばか・・・」




相葉の言葉は松本には届かなかった。




******



数日後。



相葉はまだ誰も来ていない楽屋で1人、物思いに耽っていた。


結局この間のオフは二宮と過ごした。
楽しかったし、充実したオフだった。
なのに・・・相葉の心には雲がかかっているようだった。



どんな人が好き?
そう聞かれて、頭に浮かぶ人は1人だけ。



ぶっきらぼうで、怖いってイメージがある彼。
だけど、知ってる。
クールぶってるけど、子供っぽいところもあって、熱いハートを持っている。
本当は誰よりも優しくて、誰よりも人の事を考えているひと。



でも、優しさは時に残酷で。
心臓をえぐられる様な感覚さえ覚える。



無意識に心臓の辺りを押さえた。



「相葉さん?」



物思いに耽っている相葉に声をかけたのは二宮。
相葉の座っているソファーの隣に腰掛けた。



「んー?」
「最近よく考え込んでるね。潤君のこと?」
「にのはさぁ、松潤のこと、どう思う?」
「好きですよ?」
「・・・あげないよ?松潤はおれのだもん」
「いらないよ・・・あいにく潤君にそんな感情は持ってませんから。あんたと違って」
「・・・・松潤はどうなのかなぁ?本当におれのこと・・・・」



そこまで言って相葉は口を噤む。
それ以上口にしたら、現実になりそうで。



「あんたってさ、本当にいつも余計な事はうるさいくらいなのに、本気の時ほど何も言わないよね。まぁ、そんなところもあんたらしいけど」



相葉に寄り添い、肩を抱いた。



「にのといると、安心する・・・」


そう言って二宮の肩にもたれかかる。


「んふふ、今からでも遅くないですよ?俺にする?」
「ばーか、んな簡単なことじゃないでしょ?」
「まぁ、そうですけど・・・案外簡単なんじゃないですか?」
「え?」
「あんたがしたいようにするだけ。だって、あんたは何一つ、迷っちゃいないでしょ?」




顔を上げて二宮を見た。
穏やかに笑っている二宮。
いつも頼ってしまう自分を、暖かく、時には厳しく諭してくれる。
頑張る勇気をくれる。



「にの・・・うん。そうだね。にのの言うとおりだ」



おれは何一つ迷ってない。
松潤への想いも、これからどうしたいかも。



「にの、ありがと。だいすき」
「んふふ。俺も大好きだから、何かあったらいつでもおいで?」



いつだって受け入れオッケイだからね!



そう言って笑ってくれる二宮にぎゅっと抱きついた。



「・・・・何やってんの?」



「あ、松潤。おはよ!あのね・・・今日、この後空いてる?」
「・・・ああ」
「じゃあさ、飯行こうよ!!最近行ってないし、ね!!」
「・・・・・」
「松潤?予定あった?」
「・・・いや?いいよ」
「じゃあ、後でね!!」




「・・・・・」




「愛しき人の背中を見つめ、何を思うか若人よ・・・・ってね」



「・・・お前、ふざけてんの?」
「別に、ふざけてなんかいませんよ。恋に悩める若人へエールをね、送ってるわけですよ」



嘯く二宮を松本は睨み付ける。



「・・・・」
「潤君さ・・・俺がこの間言ったこと覚えてる?」
「あ?」
「俺、言ったでしょ?本当に相葉さんが大事なんだって。俺ね、相葉さん泣かせるヤツ・・・大っ嫌いなの。たとえそれが、俺の友達でも、メンバーでも、恋人でもね・・・」



「・・・何が言いたい?」



松本の低い声にも、全く動じず不適に笑う二宮。



「自信がないなら・・・とっとと退けって言ってんだよ。『現』恋人さん?」

「ふざけんなっ!」



二宮の挑発に、松本が切れて二宮に詰め寄った。



「ふざけてるのは、そっちでしょう?いい加減気付きなさいよ。」
「何にだよ」
「・・・ホント呆れる。今度また、同じ事を俺に言わせるようなら・・・その時は容赦しないから・・・」



そう言い残して、二宮は松本から離れた。




「何なんだよ・・・」




*****


「でね!そしたら、そこでね、翔ちゃんがね・・・・松潤?聞いてる?」


「あ?ああ、悪い・・・何だって?」
「ううん、なんでもない・・・」


仕事も終わって、相葉と2人、久しぶりに食事にやって来た。


しかし、二宮との先ほどのやり取りが頭から離れず、どうしても考えてしまう。
自分は一体何に気付いていないというのか。


思いつめたような表情の松本を相葉が見つめる。


「どうしたの?つまんない?」
「いや、そんな事ないよ」
「・・・そう?疲れてるのかな?そろそろ帰る?」
「ああ。相葉ちゃん・・・ウチ来る?飲みなおそうか?」
「うん!!松潤のウチ久しぶりだぁ!くふふっ」







「ビールでいい?」
「うん!!相変わらず綺麗だね、松潤の部屋。にのとは大違い!くふふ」



そのひと言に松本の動きが止まる。
そして、ビールの缶をテーブルに叩きつけた。



物凄い音に相葉は肩を震わせ、目を見開いた。




「ま、まつじゅん!?」
「なぁ、お前さ・・・どうして俺と付き合おうと思ったの?」
「え?」



多少酔いも回っていた。



「本当に俺の事・・・好きで付き合ってんの?」
「な、なに言ってんの?当たり前でしょ?」



松本の信じがたい言葉に、相葉の顔が歪む。
それでも一度堰を切ってしまった言葉は止まらない。



「お前見てるとさ、俺じゃなくてニノのことが好きなんじゃないかって思えてしょうがねぇんだよ」
「そんなこと・・・・」
「いつだってニノ、ニノ、ニノ!この間のオフだって、今日だって・・・・俺聞いたんだよ、今日楽屋でニノに大好きって言ってたじゃねぇか!」
「それは・・・・」
「もう・・・お前の事分かんねぇよ。何なんだよ、一体さぁ!」




ダンッ!!





テーブルに手を叩きつけたのは相葉。



「・・・・・だろ?」


「あ?聞こえねぇよ」
「おれのこと・・・好きじゃないのは松潤の方だろ!?」
「は!?」
「いつだって、逃げるのは松潤じゃん!この間のオフだって、おれ言おうとしたんだよ?松潤といたいって。なのに・・・なんだよ!『にのと遊ぶんだろ?はしゃぎすぎんなよ』って!」
「あいばちゃ・・・」
「そんなこと言われたら、何にも言えないじゃん!それに今日だってそう!勝手におれとにのの話の1部だけ聞いて、何にも分かっちゃないくせに!!」



相葉の眼から涙が落ちた。



「おれはいつだってしっかり立ってるよ・・・いつだって松潤をまっすぐ見てる。なのに・・・
おれを見てないのは松潤のほうでしょお・・・」



おれが見つめても眼を逸らす。
縋ろうとする手をすり抜ける。



逃げているのはあなたのほう。




そのくせ、おれを捕らえて離してくれない。
本当にずるいひと。



嫌いになんてなれない。
だって、大好きなんだ。



ボロボロとこぼれる涙を止めようとギュッと眼を瞑る。



不意に身体を暖かいものに包まれた。
それが松本の体温だと知って、涙は止まるどころか次々と溢れてきた。



「相葉ちゃん・・・ごめん」
「ふぇ・・・くっ、まつじゅ・・・が、すきぃ・・・すきだよぉ」
「うん・・・うん。俺も相葉ちゃんの事好きだ」



ようやく判った気がする。
二宮の言った事が。


本当に気付いてないのは俺の方だったって事。
疑心暗鬼になりすぎて、自分の気持ち、相葉の気持ちを置き去りにしていた。
相葉は最初から俺に応えてくれていたのに。
信じてやれなかった。


それに相葉は深く傷ついていたのだろう。
それにも気付いてやれなかった。
二宮が怒るのも当然だ。



周りなんて気にする必要ない。
何でそんな簡単な事を忘れていたのか。


肝心なのは俺の気持ちだろ?




「俺、相葉ちゃんの事本当に好きだよ。それは誰にも負けないし、負けるつもりもない。これからだって、手放すつもりはねぇよ」



抱きしめる腕に力を込めた。



「うん・・・うん」
「お前が好き」
「おれもぉ」



相葉の腕が背中に回る。



もう一度強く抱き合って。
見つめ合って。
笑い合って。



キスをした。



キスして、抱き合って、またキスして。




恥ずかしいくらいに愛を囁いて。



最後に相葉が勘弁してって泣きついた。



*****



「あーいばさんっ」
「にの、なぁに?」
「今日なんですけど、予定あります?」
「えー・・・ないけど」
「じゃあさ、俺と・・・「あいにく!お前と出かける余裕はねぇみたいだぜ?」」


「あ、松潤。おはよぉ」
「ん。おはよ」



チッ



「今、舌打ちしただろ?」
「ふん、何だか急に恋人ヅラしちゃって、いけ好かない」
「残念だな、恋人ヅラじゃなくて、恋人なんだよ!」
「へー、ついこの間とは随分違う態度だこと?」
「まぁな。お前にゃ感謝してるよ」



なんだかんだ言って、二宮に背中を押されたのは事実だ。



「・・・勘違いしないで下さい。俺は相葉さんの味方なんです。決してあなたの味方じゃない」
「そうだな」
「今度同じ事したら・・・」
「容赦しないんだろ?肝に銘じるよ」
「・・・可愛くないですね」
「お前相手に可愛くしてもな」
「・・・・ま、良いでしょう。猶予を差し上げます。次はないですからね」
「サンキュ」



そんなやり取りを見ていた相葉がひと言。



「くふふ、相変わらず仲良しだねぇ2人」


「だから仲良くねぇ(ない)って!!」
「ほらぁ、息ぴったり!」



二宮が松本を見て不適に笑い、相葉の耳元で言った。



「相葉さん、相葉さん。小耳にはさんだんですけどね、顔の濃い人はえっちもしつこいんだって。潤君なんて止めた方が良いよ。絶対しつこいもん」




「えー・・・確かに、当たってるかも・・・」



そう言って顔を赤らめた。



「あ、あいばさん!?」



「あ、でもね?しつこいって言うんじゃなくて・・・なんて言うのかな・・・情熱的?」



上目遣いで恥ずかしそうに言う相葉の姿に、二宮は膝から崩れ落ちた。




「お、俺の相葉さんが・・・穢された。あんな男に・・・・邪魔してやる・・・・絶対邪魔してやる」




ブツブツとうわ言のように繰り返す。





「にの?松潤、にのどうしたのかな?」
「・・・さぁ?腹でも痛いんじゃねぇ?」
「えー・・・大丈夫かな?」


心配そうに二宮を見ている相葉に、ちょっとだけ腹が立って。



「相葉ちゃん・・・」
「へ?」





振り向きざまにキスしてやった。




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