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小説の再編集とか、資料とか、必要な諸々を置いておくブログ
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「先生、当直日誌書けました」
「はい」
 渡されたノートを確認し、印鑑を押す。微かに視界が揺らめいて、相葉は瞬きした。
「どうしたんですか?」
 当直の櫻井が不審そうに覗き込む。
「いや……ちょっと……風邪かな」
「気候が不安定ですからね」
 櫻井の後ろから冷ややかな声が響いてどきりとして顔を上げた。二宮がいつもの通り、柔らかく笑いながら話しかけてくる。
「保健室で薬をもらわれては?」
「あ、や、そこまでひどくないから…」
 慌てて断ると、その口調の性急さにぴくりと二宮が顔を引きつらせたのを感じた。表立った微笑だけは変わらないが、見慣れた相葉には二宮の内側にみるみる沸き上がってくる黒い怒りがわかる。
「櫻井くん、僕、相葉先生を保健室に連れていくよ、そう先生に話してもらえる?」
「え、あ、うん」
 櫻井が慌てて立ち上がるのに、二宮が目を細める。
「ベッドの準備お願いしますって」
「う、に、二宮くんっ」
 続いたことばにひやりとして相葉は口を挟んだ。
「大丈夫、家にすぐ帰れば」
「だめですよ、先生?」
「っ」
 す、と近寄った二宮が薄笑いを浮かべた。
「ちゃんと休まないと。幸い、お一人でしょう?それとも、家にどなたか待っておられるんですか?」
「い、いや」
 しかし、このままではもっと休めない事態になることは火を見るより明らかだ。必死に家に帰る言い訳を考える相葉の耳に、異様に静かな二宮の声が届く。
「写真にしてもいいですね」
「……っ!」
 ぎょっとして思わず息を呑んで振り返った。
「写真?」
 きょとんとして振り返る櫻井に真下がにっこり笑う。
「そうなんだ、この前、相葉先生と一緒に撮ったんだよ」
「へえ……」
「ね、相葉先生?」
「あ、ああ……」
 寒気に襲われながら、相葉は二宮を見る。何を言い出す気なのか、何をやろうとしているのかよくわからない。いや、わかっているけど考えたくない。
「IT部の紹介に使うから。ほら、今度の」
「ああ、学校新聞の部活紹介か」
 櫻井が納得したように笑った。
「こんなことやってますってなかなか見せにくいから、相葉先生の人柄で部員集めようと思って。ね、相葉先生?」
「あ、あ、うん」
「なるほどな、それわかる」
 櫻井がにこにこしてうなずく。
「相葉先生なら、僕だって入りたくなるかも………じゃ、保健室、頼んでくるね」
 きら、と二宮が冷たい目になった。

「っう、う……っ」
 人払いをされて、鍵をかけられた保健室のベッドに座らされ、相葉は股間をいいように二宮に食われている。
「っん……んぅっ……っは」
 漏れかけた声を必死に噛み殺し、震えながら首を振る。
 窓が開いている。カーテンが翻って、運動場で片付けをしている野球部の連中の声が、遠くなり近くなりして響いている。
道具を片付ける倉庫は保健室の外を通っていかなくてはならない運動場の隅にある。いつ誰が窓の外を通るかわからない。
「んっ……んんううっ!」
「もう………イっちゃいそう?」
「は…ぅっ」
「でも、もうちょっと頑張らなくちゃ…………これはお仕置きなんだから」
 背中から入ってくる風が汗に濡れたシャツを冷やして通り、否応なく外と直結してると教えてくる。声をこらえて身悶える相葉を好きなように追い上げながら、二宮が指を後ろに差し込んでくる。
「あ…ぁっ」
 耐え切れず突っ張っていた腕が崩れ、相葉はベッドの上に寝そべった。そのまま二宮に両膝を掬いあげられるが、ゆっくり出し入れされ出した指が辛くて苦しくて、涙が零れ唇を噛む。
「んっ……っ……うんっ………んっ………んぁっ!」
「ああ、ここなんだ、相葉先生の弱いところは?」
「ぁっ……あっ………ぁうっ………い………ううっ」
 もう前を含まれていないのに、快感が次々押し寄せてきて、相葉はがたがた震えながら口を覆った。二宮の指が信じられないような深さに入って蠢く。今にもことばにならない叫びを上げて仰け反ってしまいそうで、そんなことをすれば、もう間近まで来ている野球部員に知られてしまう。
「気持ちいいでしょう……でも、まだまだですよね」
「っ…ん……んっ………ふ、ぅ……う、ううっ………んんっっ!」
 ぐいと指が増やされて体が跳ねた。思わず噛みついた掌も虚しく、ぞくぞくする波に襲われ、無意識に体を揺らして喘ぐ。
「………ねえ!」
 ふいに二宮が大声を上げてぞっとした。
 運動場と保健室の床には落差があり、開いた窓からは直接相葉の寝ているベッドは見えないが、覗き込まれれば一巻の終わりだ。なのに、窓際のベッドに乗り上げるようにして二宮が窓へ体を近付ける。
 それと一緒に片足を大きく開かれながらなお深くを指で穿たれて、相葉は悲鳴を上げて仰け反った。必死に掴んだ二宮の上着を、これでは見えると放したものの、堪え切れずにシーツを掴む。
「う……うっ……うううっ」
「大人しくしてて、相葉先生。騒ぐと気づかれるよ?」
「ぁ……っ……くぅ……っ」
 声を噛み殺しながら耐えようとするのに、二宮の指は容赦なく相葉の柔らかな壁を擦り続ける。
「お、なんだ、二宮ぁ!」
「っっっ!」
 窓のすぐ外で声がして、相葉は息を呑んだ。
 保健室のベッドの上で、シーツを乱して、教え子に指で後ろを犯されながら喘いでいる、そんな姿を今にも覗き込まれそうだと思った瞬間に、強い波が駆け上がってきて硬直する。
「ぁ………い………ぅ……っ」
「?誰か他にいるのか?」
「ううん、僕だけ」
 言いながら二宮はくすくす笑って指をなおも蠢かせた。吹き零しそうになって硬直したまま、相葉は波の山を逸らされ、しかもすぐにもっと鋭い峰に追い上げられて口を開いた。
「っ……っ……っ」
 声のない声を上げて、体を震わせながら腰を跳ねさせる。
「何の用?」
「次の校内新聞、部活動紹介IT部なんだけど、一緒に野球部も載せてもらう?」
「あー……うーん、俺んとこはその次でいいや」
「あ、そうなんだ、うん、わかった」
「っ!」
 また弱いところを抉られて跳ね上がる。ぎちりと握ったシーツが汗でぐずぐずになっている。
「それだけ?」
「うん、それだけ」
「じゃな」
「うん」
 うなずいた二宮が無邪気な顔で笑ったまま、視線も落とさずに指を引き抜き、口を覆っていた相葉の手を掴んでベッドに押しつける。戸惑う間もなく、相葉の勃ったものにシーツを被せると、自分の制服の股間を押しあてぎゅっと重ねてきた。軽く揺さぶられて見る間に煽られ、喘ぎながら必死に気持ちを逸らそうとする。
 こんなところで、しかも少し離れたとはいえ、窓の外に人を置いた状態で達してしまうわけにはいかない。唇を噛みしめ、意識を逸らせ、伝う汗に乱れる呼吸を押し殺す。
 だが、次の瞬間、その相葉の努力を嘲笑うように、固くしこった二宮自身で強く激しく相葉のものを擦りあげられた。
「……………ひ………っ………!!!!」
 ぞくん、と波が駆け抜ける。堪える間もなく仰け反りながら弾け飛んだ。
「?何?」
「え?」
「今、妙な声しなかった?」
「そう?」
「うん……何か悲鳴みたいな声」
「っっ……っっっっ」
 達したばかりの過敏なものを、またずりずりと二宮の股間で擦り上げられ、相葉は必死に唇を噛んで顔を振った。ちぎれ飛びそうな感覚に吹き零しながら、腰が揺れるのが止められない。声を殺すために十分できない呼吸に頭が過熱して白くなる。飲み込めなくなってよだれが顎を伝った。
歪む視界に堪え切れず、ついには自分で腰を動かして、二宮に擦り付け貪り始める。そうしないと壊れそうだ。
「声なんてしなかったけどなあ」
 揺れる相葉の体を腰一つでベッドに縫い留めた二宮の声は楽しそうだ。
細めた目を一瞬相葉に落として微笑むと、また極めかけた相葉を今度はそのまま放置する。
「ふうん………ところで、お前、保健室なんかで何やってんの?」
「え?」
 会話は平然と続けられている。
 窓の内側と外側、間の狭い空間で、相葉一人が快楽の罠に弄ばれる。
「っ、っ………っっ………」
 今にも見つかるかもしれないという不安さえ、もう感覚を煽る道具にしかならない。汗で張りつく髪を乱し、相葉は必死に二宮からの刺激を追う。
「誰かとよからぬことでもしようって魂胆?」
 からかったつもりの相手のことばに、くすくす二宮が笑う。それから、急にふわりと力を抜いて、相葉の体から腰を浮かせた。
 一気に頼りなくなった刺激に、相葉はうろたえて目を見開く。浮いた二宮の体を追い掛けて、無意識に高く腰を突き上げる。その一瞬にもう一度強く圧迫されて、今度はためらうことなく絶頂を迎えた。
「……っぁ……」
 小さな声を上げてベッドに沈む相葉、その声を覆うように二宮が明るく言った。
「そうだね、そのうち考えるよ」
「まじに聞こえるからこえーよ」
「ひどいなあ」
「っ………」
 ぎゅ、とまた体重がかかった。べとべとになった相葉が腹の間で押しつぶされる、それにまた微かに呻く相葉の涙と汗に濡れた頬を、何も起きてないように窓の外に笑いかけながら、二宮がそっと撫でてくる。
「じゃあな」
「ああ」
「は……ぁあ……っ」
 今度は確実に立ち去っていく相手の気配に、相葉はようやく激しい息を吐いて力を抜いた。朦朧とする意識でも、自分が何をしていたのかだけははっきり覚えている。二宮に追い詰められたとはいえ、後半は自分から腰を振っていた。ずたずたになったプライドがひりひりと痛い。
「よからぬことかあ……とっくにされてますけどね、相葉先生?」
 ぱたりとようやく閉められた窓に相葉はぼろぼろ涙を零した。
「なんで……こんな酷いこと……する……」
 叫んでないのに声は掠れ、一晩中揺さぶられたように体がだるい。何度も追い上げられて、腰が潤んで熱い。
「櫻井なんかに色目使うからですよ」
「…ろめ………なん……使ってな……」
「こんなにいっぱい出して………そんなに気持ちよかったの、人前でヤられるのが」
「う……っっ」
 シーツで萎えたものを拭われながら、蕩けるような快感に呻いて目を閉じる。汗で濡れた額に静かに二宮の唇が降りてきた。
「あなたは僕のものだ、自覚して」
 低い囁きに目を開くと、二宮が暗い瞳で笑った。
「助けなんか、来やしない」

 見えない鎖が鳴る音がした。
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