小説の再編集とか、資料とか、必要な諸々を置いておくブログ
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どうしても相談したいことがあるんです、と相葉が同僚の大野から耳打ちされたのは帰る間際だった。
「そう、だん?」
「はい。実は二宮君のことで」
「二宮?」
思わずくっきりと眉を寄せてしまった。
「彼が何かしたんですか?」
「え、先生も」
「っ」
うろたえたように赤くなった相手に妙に不愉快な波が胸を走る。
「わかりました、お話を伺いましょう」
「よろしくお願いします」
この春新任の大野はほっとした顔で頭を下げた。
「………どうしてここなんですか」
「ここじゃいけませんか」
「いや、いけなくは、ないですが」
思わず咳払いして、ITルームの中のコンピューターを見回す。
「ここの鍵なら僕も持ってますし……今日はテスト前で部活動もないから誰もいないですし」
「聞かれては困る話なんですね」
「ええ、まあ」
不安そうに顔を歪める大野に、相葉は部屋の中をゆっくり歩き始めた。一つ一つパソコンを確認していく。
「どうしたんですか、相葉先生」
「いや、ちょっと」
この前のようなカメラやモニターに繋がっているようなものを思わせる機器はないようだ。
溜め息をついて中ほどのパソコンの椅子に座った大野の元に戻る。相手が腰を落ち着けているので、仕方なしに相葉も椅子に腰を下ろした。
「で、二宮がどうしたんですか?」
「それが……お恥ずかしいことなんですが」
大野がうっすらとまた頬を染めた。
「僕……彼にまずいことを……知られてしまって」
「まずい…こと?」
「人に言えないような……格好をしているのを……カメラで撮られて……」
「う」
ゆらっと腹の底でまた不快な波が走った。
「それをもとに……脅されて」
あのくそやろう、大野先生にまで同じようなことをしているのか。人のよさそうな表情を浮かべて、にこにこ珍しく授業を受けている二宮を思い出してむかっとした。
あれから相葉はいつばらされるかとひやひやしているのだが、二宮はそんなことなどなかったように、前と同じように生徒と教師の関係を保っている。もっとも、パソコンがらみのトラブルが起こってなくて、二宮に相談する必要もなかったということなのだが。
「ちょっと見て頂けますか」
「え?や、いいです!」
何を言い出すのだと慌てて断ると、大野は複雑な表情で、
「いえ、僕だって見せたくないですけど、相葉先生はIT研究部の顧問でもいらっしゃるし、ひょっとしたら、うまく処理してデータを消してしまうようなことがおできにならないかと」
「や、それは」
IT部の顧問というのは、相葉は不可能だ無理だと断ったのに、二宮がしらっと「先生も初心者なら、一緒に僕達学んでいけて心強いです。少しなら僕も頑張って勉強してお手伝いできるでしょうし」などと理事長に進言し、『相互の学び合いによる人間形成の重要さ』を常から解いている二宮の父親が諸手を上げて賛成したのだ。
「不出来な息子ですが、よろしくお願いしますよ、相葉先生」などと言われては、この不況の最中、ここほど好条件の教師の口もおいそれと見つからない現状では受け入れるしかなかった。
「僕などは名前ばかりです」
「それでも、少しは……あ、これです」
「う」
何が悲しくて、大野が二宮に嬲られてるのを見なくちゃならんのだと思いつつ、怖いもの見たさで一瞬閉じた目をそろそろと開ける。
「うひゃ」
「……それはあんまりです」
「いや、だけど、これは」
「相葉先生……」
涙目になる大野を思わずまじまじと見つめ、それからモニター画面の中の大野を見つめた。
総天然色、懐かしの乙女現る、そう文字が入ったその映像の中央で、大野がひらひらと踊っている。いや、踊っているのは全く構わないのだが、問題はその格好だ。
レースだ。レースの山だ。
大きなつばひろの帽子も、袖と胸元と腰がふんわり膨らんだ白いワンピースも、なぜか差している白い日傘も全てふわふわのレースとリボンで飾り立てられている。脚には白い網タイツ、白いハイヒールにはめまいのするような真っ赤なリボン、そのリボンは腰のベルトと、大野の髪を束ねるのにも使われている。
「……どうし、たんですか、これ」
「あ、あの」
大野は小さくなって俯いた。
「僕……女装が趣味で」
「…………大野先生の趣味に何かを言うつもりはないけれども、どうしてこんなものを二宮に」
「油断してたんです、これでちょっと買い物に行きたくなって、で、夜ならいいかと」
「行ったの!」
「行ってしまったの!」
すがりつくように大野が叫んで相葉はぐらぐらした。
「ばか……」
「これ…何とかならないでしょうか」
「いや、何とかって……元が二宮のところにあるなら、どうしようもない…のでは」
自分のことを重ね合わせて、臍を噛む思いで応じると、大野ががっくりと頭を垂れた。
「やっぱりそうですか…」
「それで」
「え?」
「それで…何をしろと」
ふいに微かに喉が乾いた。二宮は相葉にパソコンを覚えろと言った。言わば、それが契約で、パソコンに関してトラブルを起こしていない今は、必要以上に二宮が接近してくることもない。
「それがですね……あ」
「っ!」
ふいにぷつん、と言った感じで画面が暗くなった。
「あれ、どうしたんでしょう」
「どうなったの」
「わかりません。相葉先生、わかります?」
「いや、その」
「僕、ちょっと聞いてきます。ここで待っていてもらえますか」
「え」
「だって…他の人にこんな画面……」
「あ、そう、ですね」
「じゃあ、すみません」
大野がうろたえながらITルームを出ていって、相葉は重い溜め息をついた。真っ黒な画面を見ながら眉を寄せて腕を組む。なんだったっけ、この状態。電源がOFFになっているようでもないし、妙な音もしていない。
二宮がいなくてよかった、と大きく息をついた。この状況をどうしたらいいのかわからないなどと言えば、またどんなことをされるやら。そう思ってしまい、わずかに体温があがった。
がた、と後ろで物音がして振り返る。
「大野先生、わかり…ました……か…」
「こんにちは、相葉先生」
戸口ににこにこしながら立っていたのは二宮だ。大野の姿はどこにもない。
「あ」
ふいに気づいた。大野は二宮に脅されてきっと何かを要求されたに違いない。それは一体なんだったのだろう。たとえば、何かをする、とか?
そう、たとえば、二宮の代わりに相葉を呼び出す、とか?
「相葉先生、ずっと警戒してたでしょう?僕、煮詰まっちゃいました。健全な男子高校生ですからね。そりゃあ、いろいろ限界が早くて」
二宮が後ろ手に締めたドアがかちんと鍵のかかる音をたてる。
「わ…」
「ところで、その状況、わかってますよね?」
血が引く音を感じながら立ち上がって後ずさろうとした相葉に、二宮は静かに尋ねながら近寄ってきた。
「じ、状況?」
「ええ、今そこで何が起こってるのか、わかってますよね?」
「う…」
「わかんないんですか?」
「う」
「教えてあげましょうか」
「い、いい!」
「じゃあ、ずっとここにいる?放置しては帰れないですよね?」
「ほ、ほかの人に」
「もう皆帰っちゃいました」
にこり、と二宮は笑った。
「僕と先生だけですよ?」
「…帰らせたの……あっ」
一気に間合いを詰められ、すとんと椅子に腰を落とす。
「これはね、スリープ」
「す、すりーぷ?」
「ほら、これで戻る」
二宮がぽんとキーボードを叩くとすぐにひらひら踊る大野の画面が戻ってきた。
「覚えてくれなかったんですね?」
「あ………う」
「御礼、頂いちゃいますね?それとも、また縛られたい?」
「い…いや」
「じゃあ、大人しくしてて?」
椅子に座った相葉の前に二宮が腰を落とした。軽く震える相葉の腰を引き寄せ、スラックスのチャックを下ろす。
「あれ……」
「あ」
「なんだ………意外に期待してたの」
軽く膨らみかけていたものをそっと取り出した二宮が薄く笑った。
「もうこんなにあったかくなってる」
「や、だ……にの…みっ」
「覚えてくれればいいんですよ、パソコン」
「っ、ぅ、あっ」
濡れた音をたてて二宮が相葉の腰を引き寄せながら吸い込む。絡み付いてくる温かで巧みな舌にすぐに追い上げられて腰が浮く。
「んっ………そんなに…ねだっちゃって」
「ねだ……てない………っあ、あっ、ああっ!」
膝を掬い上げられ、滑り落ちそうになって必死に椅子を掴むと、そのまま深く飲み込むように吸われた。
「っは、はっ…はぅっ」
「気持ちいいって、言って?」
「い………いやっ……やっ」
「じゃあ、このまま」
イきかけたのを外されて相葉は首を振った。汗を流し、唇を噛みしめて粘ったが、ぎりぎりのところで繰り返し責められて、どんどん呼吸が浅くなる。
「あっ……あっ…あっ、ああっ……も……もうっ……」
「なーに、相葉先生」
「っは……は……ああっ」
「ずーっとこのままでもいいけどね、僕は?だーってさ、こぉんなに可愛いもん」
「う、あぁあっ」
根元をきつく握られた後、舌先でなめ回されて相葉は悲鳴を上げた。跳ねる腰は今にも椅子から落ちそうだし、掴む椅子は汗でぬるつくし、何よりもう視界がどんどん白くなっていく。
「ねえ、相葉せんせ?」
「…い、いいっ……」
「何が」
「きもち……いい……っ…いった……いったから…もう………いかせて……っ」
「はい、よくできました」
「は、あ、あ………あぅううっ!!」
ぎゅ、と腰を引き寄せられ滑り込むように後ろに指が入り込んだ。違和感を覚える間もなく、次の瞬間強く吸い上げられて、相葉は二宮の指を締めつけながら達していた。
「………全て……計算?」
「え?」
相葉の身支度を整え、満足そうに立ち上がった二宮に、ぐったりと椅子にもたれたまま相葉はつぶやいた。
「大野先生…の…」
「ああ。言ったでしょ、相葉先生、僕のことずっと警戒して側に寄らせないから、一番無難そうな人を使わせてもらいました」
「……知っていたの、大野先生の趣味」
「当然でしょう」
くすりと笑って、相葉を覗き込む。後ろめたそうな表情は一切ない。
「ここは僕のテリトリーだ。誰が何を望むのか、知っておかなくては支配できない」
ちゅ、と相葉の乱れた髪の毛をかきあげながら額にキスする。
「諦めて、相葉先生。そのかわり」
低い声で笑いながら二宮は相葉を抱き寄せた。
「世界で一番幸福な人生を、あげる」
「そう、だん?」
「はい。実は二宮君のことで」
「二宮?」
思わずくっきりと眉を寄せてしまった。
「彼が何かしたんですか?」
「え、先生も」
「っ」
うろたえたように赤くなった相手に妙に不愉快な波が胸を走る。
「わかりました、お話を伺いましょう」
「よろしくお願いします」
この春新任の大野はほっとした顔で頭を下げた。
「………どうしてここなんですか」
「ここじゃいけませんか」
「いや、いけなくは、ないですが」
思わず咳払いして、ITルームの中のコンピューターを見回す。
「ここの鍵なら僕も持ってますし……今日はテスト前で部活動もないから誰もいないですし」
「聞かれては困る話なんですね」
「ええ、まあ」
不安そうに顔を歪める大野に、相葉は部屋の中をゆっくり歩き始めた。一つ一つパソコンを確認していく。
「どうしたんですか、相葉先生」
「いや、ちょっと」
この前のようなカメラやモニターに繋がっているようなものを思わせる機器はないようだ。
溜め息をついて中ほどのパソコンの椅子に座った大野の元に戻る。相手が腰を落ち着けているので、仕方なしに相葉も椅子に腰を下ろした。
「で、二宮がどうしたんですか?」
「それが……お恥ずかしいことなんですが」
大野がうっすらとまた頬を染めた。
「僕……彼にまずいことを……知られてしまって」
「まずい…こと?」
「人に言えないような……格好をしているのを……カメラで撮られて……」
「う」
ゆらっと腹の底でまた不快な波が走った。
「それをもとに……脅されて」
あのくそやろう、大野先生にまで同じようなことをしているのか。人のよさそうな表情を浮かべて、にこにこ珍しく授業を受けている二宮を思い出してむかっとした。
あれから相葉はいつばらされるかとひやひやしているのだが、二宮はそんなことなどなかったように、前と同じように生徒と教師の関係を保っている。もっとも、パソコンがらみのトラブルが起こってなくて、二宮に相談する必要もなかったということなのだが。
「ちょっと見て頂けますか」
「え?や、いいです!」
何を言い出すのだと慌てて断ると、大野は複雑な表情で、
「いえ、僕だって見せたくないですけど、相葉先生はIT研究部の顧問でもいらっしゃるし、ひょっとしたら、うまく処理してデータを消してしまうようなことがおできにならないかと」
「や、それは」
IT部の顧問というのは、相葉は不可能だ無理だと断ったのに、二宮がしらっと「先生も初心者なら、一緒に僕達学んでいけて心強いです。少しなら僕も頑張って勉強してお手伝いできるでしょうし」などと理事長に進言し、『相互の学び合いによる人間形成の重要さ』を常から解いている二宮の父親が諸手を上げて賛成したのだ。
「不出来な息子ですが、よろしくお願いしますよ、相葉先生」などと言われては、この不況の最中、ここほど好条件の教師の口もおいそれと見つからない現状では受け入れるしかなかった。
「僕などは名前ばかりです」
「それでも、少しは……あ、これです」
「う」
何が悲しくて、大野が二宮に嬲られてるのを見なくちゃならんのだと思いつつ、怖いもの見たさで一瞬閉じた目をそろそろと開ける。
「うひゃ」
「……それはあんまりです」
「いや、だけど、これは」
「相葉先生……」
涙目になる大野を思わずまじまじと見つめ、それからモニター画面の中の大野を見つめた。
総天然色、懐かしの乙女現る、そう文字が入ったその映像の中央で、大野がひらひらと踊っている。いや、踊っているのは全く構わないのだが、問題はその格好だ。
レースだ。レースの山だ。
大きなつばひろの帽子も、袖と胸元と腰がふんわり膨らんだ白いワンピースも、なぜか差している白い日傘も全てふわふわのレースとリボンで飾り立てられている。脚には白い網タイツ、白いハイヒールにはめまいのするような真っ赤なリボン、そのリボンは腰のベルトと、大野の髪を束ねるのにも使われている。
「……どうし、たんですか、これ」
「あ、あの」
大野は小さくなって俯いた。
「僕……女装が趣味で」
「…………大野先生の趣味に何かを言うつもりはないけれども、どうしてこんなものを二宮に」
「油断してたんです、これでちょっと買い物に行きたくなって、で、夜ならいいかと」
「行ったの!」
「行ってしまったの!」
すがりつくように大野が叫んで相葉はぐらぐらした。
「ばか……」
「これ…何とかならないでしょうか」
「いや、何とかって……元が二宮のところにあるなら、どうしようもない…のでは」
自分のことを重ね合わせて、臍を噛む思いで応じると、大野ががっくりと頭を垂れた。
「やっぱりそうですか…」
「それで」
「え?」
「それで…何をしろと」
ふいに微かに喉が乾いた。二宮は相葉にパソコンを覚えろと言った。言わば、それが契約で、パソコンに関してトラブルを起こしていない今は、必要以上に二宮が接近してくることもない。
「それがですね……あ」
「っ!」
ふいにぷつん、と言った感じで画面が暗くなった。
「あれ、どうしたんでしょう」
「どうなったの」
「わかりません。相葉先生、わかります?」
「いや、その」
「僕、ちょっと聞いてきます。ここで待っていてもらえますか」
「え」
「だって…他の人にこんな画面……」
「あ、そう、ですね」
「じゃあ、すみません」
大野がうろたえながらITルームを出ていって、相葉は重い溜め息をついた。真っ黒な画面を見ながら眉を寄せて腕を組む。なんだったっけ、この状態。電源がOFFになっているようでもないし、妙な音もしていない。
二宮がいなくてよかった、と大きく息をついた。この状況をどうしたらいいのかわからないなどと言えば、またどんなことをされるやら。そう思ってしまい、わずかに体温があがった。
がた、と後ろで物音がして振り返る。
「大野先生、わかり…ました……か…」
「こんにちは、相葉先生」
戸口ににこにこしながら立っていたのは二宮だ。大野の姿はどこにもない。
「あ」
ふいに気づいた。大野は二宮に脅されてきっと何かを要求されたに違いない。それは一体なんだったのだろう。たとえば、何かをする、とか?
そう、たとえば、二宮の代わりに相葉を呼び出す、とか?
「相葉先生、ずっと警戒してたでしょう?僕、煮詰まっちゃいました。健全な男子高校生ですからね。そりゃあ、いろいろ限界が早くて」
二宮が後ろ手に締めたドアがかちんと鍵のかかる音をたてる。
「わ…」
「ところで、その状況、わかってますよね?」
血が引く音を感じながら立ち上がって後ずさろうとした相葉に、二宮は静かに尋ねながら近寄ってきた。
「じ、状況?」
「ええ、今そこで何が起こってるのか、わかってますよね?」
「う…」
「わかんないんですか?」
「う」
「教えてあげましょうか」
「い、いい!」
「じゃあ、ずっとここにいる?放置しては帰れないですよね?」
「ほ、ほかの人に」
「もう皆帰っちゃいました」
にこり、と二宮は笑った。
「僕と先生だけですよ?」
「…帰らせたの……あっ」
一気に間合いを詰められ、すとんと椅子に腰を落とす。
「これはね、スリープ」
「す、すりーぷ?」
「ほら、これで戻る」
二宮がぽんとキーボードを叩くとすぐにひらひら踊る大野の画面が戻ってきた。
「覚えてくれなかったんですね?」
「あ………う」
「御礼、頂いちゃいますね?それとも、また縛られたい?」
「い…いや」
「じゃあ、大人しくしてて?」
椅子に座った相葉の前に二宮が腰を落とした。軽く震える相葉の腰を引き寄せ、スラックスのチャックを下ろす。
「あれ……」
「あ」
「なんだ………意外に期待してたの」
軽く膨らみかけていたものをそっと取り出した二宮が薄く笑った。
「もうこんなにあったかくなってる」
「や、だ……にの…みっ」
「覚えてくれればいいんですよ、パソコン」
「っ、ぅ、あっ」
濡れた音をたてて二宮が相葉の腰を引き寄せながら吸い込む。絡み付いてくる温かで巧みな舌にすぐに追い上げられて腰が浮く。
「んっ………そんなに…ねだっちゃって」
「ねだ……てない………っあ、あっ、ああっ!」
膝を掬い上げられ、滑り落ちそうになって必死に椅子を掴むと、そのまま深く飲み込むように吸われた。
「っは、はっ…はぅっ」
「気持ちいいって、言って?」
「い………いやっ……やっ」
「じゃあ、このまま」
イきかけたのを外されて相葉は首を振った。汗を流し、唇を噛みしめて粘ったが、ぎりぎりのところで繰り返し責められて、どんどん呼吸が浅くなる。
「あっ……あっ…あっ、ああっ……も……もうっ……」
「なーに、相葉先生」
「っは……は……ああっ」
「ずーっとこのままでもいいけどね、僕は?だーってさ、こぉんなに可愛いもん」
「う、あぁあっ」
根元をきつく握られた後、舌先でなめ回されて相葉は悲鳴を上げた。跳ねる腰は今にも椅子から落ちそうだし、掴む椅子は汗でぬるつくし、何よりもう視界がどんどん白くなっていく。
「ねえ、相葉せんせ?」
「…い、いいっ……」
「何が」
「きもち……いい……っ…いった……いったから…もう………いかせて……っ」
「はい、よくできました」
「は、あ、あ………あぅううっ!!」
ぎゅ、と腰を引き寄せられ滑り込むように後ろに指が入り込んだ。違和感を覚える間もなく、次の瞬間強く吸い上げられて、相葉は二宮の指を締めつけながら達していた。
「………全て……計算?」
「え?」
相葉の身支度を整え、満足そうに立ち上がった二宮に、ぐったりと椅子にもたれたまま相葉はつぶやいた。
「大野先生…の…」
「ああ。言ったでしょ、相葉先生、僕のことずっと警戒して側に寄らせないから、一番無難そうな人を使わせてもらいました」
「……知っていたの、大野先生の趣味」
「当然でしょう」
くすりと笑って、相葉を覗き込む。後ろめたそうな表情は一切ない。
「ここは僕のテリトリーだ。誰が何を望むのか、知っておかなくては支配できない」
ちゅ、と相葉の乱れた髪の毛をかきあげながら額にキスする。
「諦めて、相葉先生。そのかわり」
低い声で笑いながら二宮は相葉を抱き寄せた。
「世界で一番幸福な人生を、あげる」
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