小説の再編集とか、資料とか、必要な諸々を置いておくブログ
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相葉の様子がおかしい。
最近忙しくてなかなか会うことができなかった二宮は、久しぶりに会った相葉がいつもと違うと感じていた。いつもみたいに笑っているし、体調が悪いわけでもないようだ。だが、なんとも言えない違和感があった。その違和感は仕事が終わって久々に相葉の家へとやって来て確信に変わっていた。
「久しぶりだね~、にのが来るの!」
怒っているわけでもない、拗ねているのとも違う。ただ、ニコニコと楽しそうに笑っているのだ。
「ちょっと、待てって。お茶用意してくるね」
鞄を置いて部屋を出て行こうとする。その姿を見みながら二宮は少し思案した後、切り出した。
「待って、相葉さん・・・何か言いたいことがあるんじゃないの?」
相葉の笑顔が固まった。
「なんで?」
「そういう顔してる」
「ないよ、なんにも」
目を逸らし俯く相葉だが、二宮は続ける。
「嘘。あんたのことなんてお見通しだよ。何ふてくされてんだよ。」
そんなのちっとも可愛くないよ、となおも続ける二宮に、相葉の肩が震えだした。そして我慢しきれず、ついに声を荒げた。
「何だよ、いっつも自分ばっかり余裕な顔して!!何でも知ってますみたいなさ!!そういうとこ、すっげえムカつくっ」
俺がホントは何考えてるかなんて、知らないくせに!相葉は二宮を睨み付けた。
「何考えてんだよ?言ってみろよ」
相葉は黙ったまま、二宮から目を逸らした。
「言えないのかよ?やっぱり何にも考えてないんじゃねえか。だったら、もったいぶった言い方するんじゃねえよ」
「・・・・・・・・いい」
しばらく黙っていた相葉が口を開いた。
「聞こえねえよ」
「にのなんて・・・ニノなんて不幸になれば良いんだっ!」
「にのなんか・・・ドラマでNG連発して、怒られて、役降ろされちゃえば良いんだっ!それで、歌も踊りもミスって、映画もぜーんぶコケちゃえばいいっ!」
「それでもって、ぜーんぶダメダメになって、誰からも見向きもされなくなっちゃえばいいっ!!」
「・・・何もかもなくしちゃえばいい・・・それで・・残るものが・・・おれだけになっちゃえばいいんだ・・・」
おれだけになればいい・・・んだ。
俯いたまま弱々しく繰り返す相葉に近づき、二宮はそっと抱きしめた。
「にの・・・こんな嫌なやつでごめんね」
二宮の肩に顔をうずめてつぶやいた。
「にのの活躍を素直に喜べなくて、ごめんね」
二宮の肩が涙に濡れた。
「誰よりも喜んでくれてるの、知ってるよ」
そして、誰よりも寂しがってるのもね。
相葉の背中に腕を回し、そっと撫でる。
「つらい思いさせてごめん・・・・・でも、愛してる。いつだってあんただけだよ」
「・・・・うん・・おれも・・あいしてる」
見つめ合い、どちらともなく唇を重ねる。
「・・・ん・・・はっん・・・・はぁ」
それは次第に深いものとなり、二人を甘く激しい世界へと誘っていく。
隣ですやすやと寝ている相葉の髪をすきながら、二宮は思う。こいつの本音を聞きだすのは大変だ、と。相葉は本来、感情表現がストレートだ。
しかし、それは「喜」「怒」「楽」のみである。彼は「哀」を表に出そうとしない。
彼は哀しいとき笑うのだ。それはそれは綺麗に。誰もが騙されるその笑顔が二宮をイラつかせた。恋人にさえ、本心を隠そうとすることが許せなかった。
言ってくれたらいいのだ。ただ一言「淋しい」と。「抱きしめてほしい」と。しかし、相葉は決してそれを口にはしなかった。
だから、彼に本音を言わせるために二宮はわざと悪態をつく。怒りが頂点に達すると、どうやら感情がコントロールできなくなるらしい彼を挑発し、怒りと一緒に本音を爆発させるのだ。
そうして本音を爆発させた後、彼は謝り続ける。こんな醜い心をした自分を恥じて。
だが、相葉は知らない。彼の独占欲がどんなに二宮を喜ばせるか。二宮だけに向けられる相葉の暗い部分に触れたとき、二宮の心は震える。俺だけの相葉なのだと。
俺だけを見てればいい。俺以外見えなくなればいい。相葉の愛している全てのものが、この世からなくなってしまえばいい。
俺も大概ヤラレてるなと、苦笑いを浮かべる。本当に醜いのはきっと自分の方だ。
「ほんと、俺が何考えてるかなんて知らないくせに」
呟いた二宮は、相葉の髪に口付けた。
「ん・・・にぃ・・の?」
「起きたの?」
髪、額、瞼と唇を落としながら話しかける。
「ん・・にの、くすぐったいよ」
身を捩りながらも、嬉しそうにクスクスと笑う相葉に二宮はホッとする。どうやら、落ち着いたみたいだ。
「ねえ、にの」
「ん?」
「俺、にののことすきでいていい?」
俺を見上げて、たずねてくる。
「こんな俺でも、にのはすきでいてくれる?」
黒目がちの眼を不安そうに揺らめかせ、二宮を見つめる。
「愛してますよ。あんたがいなきゃ息もできない。俺の方こそ、相葉さんを手放せないんだ。」
二宮は相葉を強く抱きしめる。自分の想いが、一つも漏らさず伝わるように。
「ありがと、にの。だいすき」
そう言って相葉は、美しい笑顔を見せた。感情を抑えているときとは違う、心からの笑顔を。それを見て二宮は満足気に微笑み、幸せいっぱいの笑顔に口付けた。
誰よりも、綺麗で純粋なあなた。あなたになら、独占されてもかまわないよ。
おわり
最近忙しくてなかなか会うことができなかった二宮は、久しぶりに会った相葉がいつもと違うと感じていた。いつもみたいに笑っているし、体調が悪いわけでもないようだ。だが、なんとも言えない違和感があった。その違和感は仕事が終わって久々に相葉の家へとやって来て確信に変わっていた。
「久しぶりだね~、にのが来るの!」
怒っているわけでもない、拗ねているのとも違う。ただ、ニコニコと楽しそうに笑っているのだ。
「ちょっと、待てって。お茶用意してくるね」
鞄を置いて部屋を出て行こうとする。その姿を見みながら二宮は少し思案した後、切り出した。
「待って、相葉さん・・・何か言いたいことがあるんじゃないの?」
相葉の笑顔が固まった。
「なんで?」
「そういう顔してる」
「ないよ、なんにも」
目を逸らし俯く相葉だが、二宮は続ける。
「嘘。あんたのことなんてお見通しだよ。何ふてくされてんだよ。」
そんなのちっとも可愛くないよ、となおも続ける二宮に、相葉の肩が震えだした。そして我慢しきれず、ついに声を荒げた。
「何だよ、いっつも自分ばっかり余裕な顔して!!何でも知ってますみたいなさ!!そういうとこ、すっげえムカつくっ」
俺がホントは何考えてるかなんて、知らないくせに!相葉は二宮を睨み付けた。
「何考えてんだよ?言ってみろよ」
相葉は黙ったまま、二宮から目を逸らした。
「言えないのかよ?やっぱり何にも考えてないんじゃねえか。だったら、もったいぶった言い方するんじゃねえよ」
「・・・・・・・・いい」
しばらく黙っていた相葉が口を開いた。
「聞こえねえよ」
「にのなんて・・・ニノなんて不幸になれば良いんだっ!」
「にのなんか・・・ドラマでNG連発して、怒られて、役降ろされちゃえば良いんだっ!それで、歌も踊りもミスって、映画もぜーんぶコケちゃえばいいっ!」
「それでもって、ぜーんぶダメダメになって、誰からも見向きもされなくなっちゃえばいいっ!!」
「・・・何もかもなくしちゃえばいい・・・それで・・残るものが・・・おれだけになっちゃえばいいんだ・・・」
おれだけになればいい・・・んだ。
俯いたまま弱々しく繰り返す相葉に近づき、二宮はそっと抱きしめた。
「にの・・・こんな嫌なやつでごめんね」
二宮の肩に顔をうずめてつぶやいた。
「にのの活躍を素直に喜べなくて、ごめんね」
二宮の肩が涙に濡れた。
「誰よりも喜んでくれてるの、知ってるよ」
そして、誰よりも寂しがってるのもね。
相葉の背中に腕を回し、そっと撫でる。
「つらい思いさせてごめん・・・・・でも、愛してる。いつだってあんただけだよ」
「・・・・うん・・おれも・・あいしてる」
見つめ合い、どちらともなく唇を重ねる。
「・・・ん・・・はっん・・・・はぁ」
それは次第に深いものとなり、二人を甘く激しい世界へと誘っていく。
隣ですやすやと寝ている相葉の髪をすきながら、二宮は思う。こいつの本音を聞きだすのは大変だ、と。相葉は本来、感情表現がストレートだ。
しかし、それは「喜」「怒」「楽」のみである。彼は「哀」を表に出そうとしない。
彼は哀しいとき笑うのだ。それはそれは綺麗に。誰もが騙されるその笑顔が二宮をイラつかせた。恋人にさえ、本心を隠そうとすることが許せなかった。
言ってくれたらいいのだ。ただ一言「淋しい」と。「抱きしめてほしい」と。しかし、相葉は決してそれを口にはしなかった。
だから、彼に本音を言わせるために二宮はわざと悪態をつく。怒りが頂点に達すると、どうやら感情がコントロールできなくなるらしい彼を挑発し、怒りと一緒に本音を爆発させるのだ。
そうして本音を爆発させた後、彼は謝り続ける。こんな醜い心をした自分を恥じて。
だが、相葉は知らない。彼の独占欲がどんなに二宮を喜ばせるか。二宮だけに向けられる相葉の暗い部分に触れたとき、二宮の心は震える。俺だけの相葉なのだと。
俺だけを見てればいい。俺以外見えなくなればいい。相葉の愛している全てのものが、この世からなくなってしまえばいい。
俺も大概ヤラレてるなと、苦笑いを浮かべる。本当に醜いのはきっと自分の方だ。
「ほんと、俺が何考えてるかなんて知らないくせに」
呟いた二宮は、相葉の髪に口付けた。
「ん・・・にぃ・・の?」
「起きたの?」
髪、額、瞼と唇を落としながら話しかける。
「ん・・にの、くすぐったいよ」
身を捩りながらも、嬉しそうにクスクスと笑う相葉に二宮はホッとする。どうやら、落ち着いたみたいだ。
「ねえ、にの」
「ん?」
「俺、にののことすきでいていい?」
俺を見上げて、たずねてくる。
「こんな俺でも、にのはすきでいてくれる?」
黒目がちの眼を不安そうに揺らめかせ、二宮を見つめる。
「愛してますよ。あんたがいなきゃ息もできない。俺の方こそ、相葉さんを手放せないんだ。」
二宮は相葉を強く抱きしめる。自分の想いが、一つも漏らさず伝わるように。
「ありがと、にの。だいすき」
そう言って相葉は、美しい笑顔を見せた。感情を抑えているときとは違う、心からの笑顔を。それを見て二宮は満足気に微笑み、幸せいっぱいの笑顔に口付けた。
誰よりも、綺麗で純粋なあなた。あなたになら、独占されてもかまわないよ。
おわり
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