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嵐inぷっすま
嵐5人で先輩の番組にお邪魔しました。
《キングオブチキンは誰だ!!ビビリ王決定戦》
《ビビリ王決定戦》とは、計測器を装着してさまざまなシチュエーション・ドッキリを体験
その際に出た汗の量や脈拍数を計測し数値が一定の基準値を超えたところで、
ビビッたと判定、1ビビリとなり、最終的にビビリ数の多い人がビビリ王となる。というもの。
始める前に、誰がキングオブチキンだと思いますか?
「翔君じゃない?」
「翔君だよ」
「翔君でしょう」
「翔ちゃんで決まり!」
「んだよ!やってみなくちゃわかんねえだろっ!!」
というわけでスタート!
~松潤の場合~
開始直後から緊張してるのか、数値は高め。でも、顔はクールにきめてます。
「くふふ、松潤高めだね~」
「んふふ、でもなかなかビビリませんねぇ」
松潤、数値は常に高めだが、ドッキリには冷静に対処。なかなかビビリません。
と、目の前にパンチラお姉さん登場!松潤一気に数値アップ!!
「ぎゃははっ!まつもっさん、照れてるよ」
「純なやつだ」
~櫻井の場合~
案の定ビビリっぱなしの櫻井君。叫びまくってます。
「うわぁっ!!ビビったぁ・・・・」
「なんだよっ、止めろよっ」
テレビに映して良い顔でしょうか?ポイントをぐんぐん稼いでます。
「うひゃひゃひゃっ、翔ちゃんかっこわりぃ」
「見てらんない」
「さすがヘタレですね」
「なんか、かわいそうだな」
~キャプテンの場合~
数値は低め、ビビッたと言いながらも意外に冷静です。
「さとし君、結構冷静だね」
「翔君がビビりすぎなんだよ」
なんて会話のうちに最後のドッキリ部屋へ。
扉を開けると、そこには沢山の食べ物が・・・。
「うおー、すげぇ!」
キャプテンのテンションと一緒に数値は一気に上昇。
「これうまい。これもうまい」
高級料理から得体の知れないものまで、食べてはうまいを連発しています。
「コレってどっきりか?」
「つーか、数値上がってっけど、ビビってるわけじゃなくね?」
「でも、キャプテン超楽しそう!」
「いい加減帰ってきてくださいよ。まだ俺と相葉さんが残ってんですから」
~相葉の場合~
「よしっ!行ってきまぁす!!」
開始直後からテンションはMAXに。
と同時に数値は目盛りを振り切ったまま戻ってきません。
「うひゃひゃっ、すげぇビビった!!ひゃはっ!」
本人はとっても楽しそうですが、数値は一向に戻ってくる気配がありません。
「あーあ、コレじゃ測定できないね」
「んふふ、テンション上がりきっちゃってますね」
「ある意味すげえよ」
「相葉ちゃんらしいね。あ、コレうまい」
「「「持ってきたのかよっ!!」」」
~二宮の場合~
さすがというべきか、二宮さん。まったくもって動揺していません。
後ろからの大声も、不意に来る電流も、お姉さんのパンチラや、水着も余裕を持って受け流しております。
「すげえ、すげえ、にのかっこいい!!」
「最強だな。こいつがビビるモンなんてあんのかよ」
「なさそうだね」
と、ある所で二宮さんの足がとまります。それと同時に数値が急上昇。
「すっげえ上がった!!何見て上がったんだ?」
二宮の数値を上げたものとは!?
二宮の視線にあったものは、なんと相葉の写真。
楽屋での寝顔から、シャワー後までさまざまな写真が並んでます。
「おいおい、何でそこなんだよ・・・」
「まあ、ニノらしいけどね」
「えっ、なんで!?何で俺の写真でビビってんの?にのは俺が恐いのかよ~」
「んふふっ」
しばらく写真に見入っていた二宮が急に笑い出しました。
「んははっ。誰だよこの写真撮ったやつ」
笑顔ではありますが、目の奥が笑ってません。
「「「怖ぇよ、ニノ」」」
二宮さん、怒りで数値が上昇中。これ以上はテレビではお伝えできません。
皆さんお疲れ様でした。結果発表!!
嵐一番のビビリ王は・・・櫻井 翔くんでした。
「なんだよ、そのままかよ」
「やっぱりね」
「なんかつまんない」
「まあ、いいんじゃない?そのまますぎて逆におもし
ろいよ」
「なんだよっ、つまんないとか言うなよっ!お前らがおかしいんだよっ」
「それより相葉さん。いつの間にあんな写真撮られたの?だめじゃん、油断しちゃ。」
「ほえ?俺?だってみんなも撮られてんじゃん」
そう、写真は全員のものがあったのです。
当然二宮のものも。スタッフとしては、いつ撮られたか分からない自分の写真で驚いてもらおうという魂胆だったのですが。
「他のはどうでもいいんです。こんなあらわな姿をみんなに見せていいと思ってんの?」
と、写真を相葉の目の前に並べる。
(((持ってきたのかよっ・・・)))
他の3人は心の中でそうツッこまずにはいられなかった。
本日のそれぞれの結果
松潤・・・結構純情なことが判明
櫻井・・・何のサプライズもなくただのヘタレ
大野・・・食べ物サイコー
相葉・・・ある意味最強
二宮・・・やっぱり最強
終わり
太陽
俺は太陽が嫌いだった。
太陽は全てを照らし出すから。
嘘と虚勢で塗り固めてきた自分をさらけ出されてしまいそうだから。
でも、本当は焦がれていたのかもしれない。
時には熱く、焼けてしまいそうに熱く俺を照らし、
時には気まぐれに隠れて、どんなに願ってもその輝かしい姿を見せるのを拒む。
そして何より、全てのものを照らし、生命を育む暖かな存在。
そんな存在に焦がれていたんだ。
そして、俺は太陽と出会った。
それは俺を明るく照らし、その光に俺の嘘も虚勢もさらけ出された。
どうしていいのか分からなかった俺は随分うろたえた。
同時に泣きたくなるほど嬉しかったんだ。
その存在に照らされた俺は、とても暖かな光に抱きしめられたような気がした。
そして、それと同時に穏やかな気持ちを知り、その時初めて体温を持ったんだ。
嫌いだったけど、焦がれてやまない存在に俺は出会った。
その存在は俺にとってかけがえのないものとなった。
「にぃの」
「はい?」
「すっげーむずかしい顔してる。どうしたの?」
俺の眉間を指でつつき、撫でてしわを伸ばそうとする人。
「何でもありませんよ。相葉さん」
その指を掴んで唇を寄せる。
「なんだよー。なんか隠してるぅ」
頬をぷくっと膨らませる姿があまりに可愛らしく、愛おしくて思わず笑みがこぼれる。
「んふふ。まあ、あなたに言いたいことはありますよ」
「なに?」
「地球って、太陽がなかったら今みたいに人間が住めるような星じゃないんだよ」
「にの?」
何言ってるの?と首を傾げる相葉。
「つまり、地球は太陽がなくちゃ生きていけないってこと。それで、俺はその地球なんだ」
「それが俺に言いたいこと?」
今度は相葉が眉間にしわを寄せて考え込む。
「言いたいのはね、俺の気持ち。笑わないでくださいよ?」
「うん・・・」
期待に満ちた、でもどこか不安そうな表情で見つめる相葉。
こんな事自分が言う日が来るなんて、思ってもみなかった。
陳腐でくさくて、以前の俺なら絶対使わないだろう。
でも、今の俺の気持ちを一番表す言葉。
「相葉さん・・・」
―君は僕の太陽だ
終わり
魔法の言葉
「うー・・・にの・・・にの、にぃの」
何やらブツブツと呟く子羊が1匹。
「にの。にの・・・にのにのにのにのにのにのにのっ」
呟きは、ついに大声になって。
「はい、何ですか?」
「ほえ?あ、にの。なんでいるの?」
「何でって・・・あんた今、呼んでたでしょうが」
「呼んでないよ。なに言ってんの?」
「あんたこそ何言ってんの?」
今、にのにのって連呼してたじゃない。
「ああ、あれ。あれはにのを呼んだんじゃないの」
「俺を呼んだんじゃないなら、何なのよ」
「うーん、まあ・・・魔法・・・みたいな?」
「はあ?」
前からおかしかったけど、ついにここまで来たか・・・。
「あ、にの。今失礼な事考えたでしょ?」
おれ、わかるんだからね!
頬を膨らませる。
「いえ・・・まあ・・ね」
変なところで勘がいいんだから困る。
「で、何が魔法なのよ?」
「え?あ、そうそう。あのね!」
話の転換で、あっさり気を逸らすことに成功。
ホントかわいいね、あんた。
一生懸命話してるの見てると、押し倒したくなる。
「おれね、今日ちょっと仕事で失敗しちゃってね、落ち込んでんの」
あらら、それは大変。
「んで、元気になりたいの。だから」
うーん・・・。
「・・・相葉さん、いまいち分からないんですけど」
あんたの言ってることが。
「だーかーらぁ!元気になる魔法のことばなのっ!!」
「・・・・何が?」
「にのが!!」
にのって言うだけで、不思議と元気になれるの。
だから、『にの』は魔法の言葉なの。
「わかった?」
俺を見つめ、小首を傾げる子羊。
「・・・・」
なんてことでしょう。
言葉になりません。
不覚にもワタクシ、涙が出そうです。
あまりにも、あんたが可愛らしいことを言うもんだから、我慢ができそうにありません。
あんたの言葉で俺も元気になっちゃいました。
違うところが。
「にの?」
どうしたの?
俺の目の前で手を振っている子羊を、今から仕留めようと思います。
責任はとっていただかないとね。
ハンター二宮行きます!!
「ねぇ、相葉さん・・・」
そんな言葉よりもっと効く魔法・・・教えてあげるよ。
おわり
夢のあとさき
『にの、にの、ごめんね。おれ、もうにのとは付き合えないの』
・・・どうして?
『おれね、他にもっと・・・にのよりも、もっと大事な人ができたの』
嘘だ
『嘘じゃないよ』
それは・・・誰?
『にのも、よく知ってる人。にのよりもおれを大事にしてくれる。いつも一緒にいて、愛してくれるの』
相葉さん・・・何で、そんな幸せそうな顔してるの?
俺以外の人にそんな顔見せてるの?
俺よりあんたを幸せにできる奴なんているわけないでしょ?
俺よりあんたを愛せる奴なんて・・・いるわけない。
『なに言ってるの、にの。にのよりも愛してくれる人を見つけたんだ。
おれが寂しくて死んじゃいそうなときに、ずっとそばにいてくれたんだよ。
にの、いてくれなかったじゃん。
おれ・・・寂しいって、そばにいてって何度もお願いしたでしょ?
でも、にの、忙しいばっかりでそばにいてくれなかった・・・・』
あいばさん・・・
『ごめんね、にの。もうにのには会わないよ。ごめんね』
待って!!
『もう行くね、あの人が迎えにきてくれてるから・・・』
あの人?
『うん、ほらあそこ』
『雅紀、おいで』
あれは・・・?
『じゃあね、にの。ばいばい』
あいばさんっ!!
『ごめんね、待たせて。行こう、しょうちゃ・・・・』
「うわあぁっ!!」
すさまじい叫び声とともに、二宮は勢いよく飛び起きた。
呼吸は荒く、身体中びっしょりと汗をかいていた。
「ゆ・・・め?」
なんて夢だ、冗談じゃない。
震えが止まらない身体を抱きしめる。
今のが夢だと確信したくて、携帯を手に取った。
数回のコールで繋がる。
『もしもしぃ、にのぉ?どうしたの?』
「ちょっとね・・・、相葉さん、寝てた?」
『んーん、起きてたよ。にのはドラマの撮影?』
「うん・・・ロケ現場近くのホテル。相葉さんは、家?変わりない?」
『うん、家だよ。にの、どうしたの?何かへん』
調子わるいの?
「いや、絶好調ですよ」
『そう?ならいいけど、なんか声、元気ない』
さすが相葉、動物のカンか。
「本当に何でもないよ。ただ、あんたの声を聞きたくなっただけ」
『そうなの?』
「ええ」
本当のことなんて言えない。
あんたを奪われる夢を見たなんて。
それで、不安になったなんて。
誰にも渡さない、渡したくない。
俺と相葉の間を引き裂く奴なんて許さない!
そんなことあってたまるか!!
「ねぇ、相葉さん。俺、あんたのこと好きだよ」
『にの?』
俺の急な言葉に戸惑っている相葉。
「急に伝えたくなったんだ。あんたを好きな気持ちは誰にも負けないって。あんたの両親にも、ファンにも、櫻井翔にもね」
『・・・なんで翔君?』
「んふふ。なんとなくですよ」
『そうなの?でも、うれしい。ありがと。にの、最近忙しそうで、俺のことなんて見えてないと思ってた』
「相葉さん・・・」
ドキリとした。
この何ヶ月か、もちろん相葉と会うこともあったが、彼をちゃんと見ていたかと問われたら、自信がない。
あの夢は警告か・・・。
彼をしっかり繋ぎ止めておかないと、いつかその日が来るって事の。
「相葉さん・・・・会いたい。会いに行っても良いですか?」
どうにもならないくらい会いたくなった。
『うん・・・おれも会いたい』
「すぐ行きます」
電話を切ると急いで支度し、ホテルを出た。
明日の撮影は午後からだ。
時間は十分とは言えないが。
相葉さん。
こんなの陳腐かもしれないけど。
会って、抱きしめて、キスして、お互いがドロドロになるまで抱き合って、愛を確かめさせて。
俺の相葉だと、自惚れさせて。
いつだって、どんなときだって、俺にはあんただけなんだ。
あの悪夢が正夢になることのないよう、あなたを抱きしめに行く。
終わり
心理テスト
「おい、ニノ。ちょっとさ、付き合ってくんない?」
「え?無理ですよ。潤君のことは嫌いじゃないけど、俺には相葉さんって言う可愛い可愛いハニーちゃんが居るんで」
「誰が、その付き合えだって言ったんだよ、気持ち悪いこと言うな!」
「もう、潤君はノリが悪いな」
つまんないと、唇を尖らせた。
お前がやっても可愛くねえよ。
相葉ちゃんなら可愛いだろうけど。
「んで、何に付き合えばいいの?」
そう考えたのがニノには伝わったらしい。
ちょっと不機嫌そうに言葉を返してきた。
まあ、そんなことに動じる俺ではないけどね。
「そうそう、ちょっとした心理テスト」
「心理テスト?これまた突然ですね」
「いいじゃん。お前と相葉ちゃんの絆ってヤツを試すテストだよ」
「ふーん。ま、そんなことしなくても、俺と相葉さんの絆は最強ですよ。やるだけ無駄と思いますけど?」
勝ち誇ったような笑みが憎たらしい。
その顔を崩してやりたいという悪戯心が疼いたって、バチは当たんねぇだろ?
「じゃ、やってみようぜ。今からする質問に相葉ちゃんならどうか、思い浮かべて答えてよ」
「何でもどうぞ」
そうして始まった心理テスト。
いくつかの質問に、二宮は相葉を思い浮かべながら答えていく。
「質問はこれで終わり」
「一体これで何が分かるんですか?」
怪訝そうに聞いてくるニノに、思わず口の端が上がる。
「これで、相葉ちゃんの浮気度が分かったよ」
「浮気度?そんなのないでしょう。相手は俺だよ?」
バカ言ってんじゃないよ。
自信ありげなニノに、ますます笑いがこみ上げてくる。
「へー・・・、面白い結果が出たね」
挑戦的な視線をニノに向けた。
「なによ・・・面白い結果って?」
ニノの眉間にしわが寄る。
「相葉ちゃんの浮気度・・・・50%!」
「はぁ!!そんなにあるわけないでしょう!?」
何かの間違いですよ、そんなのと 認めようとしないニノ。
心理テストなんて興味なさそうだったくせに、ムキになって。
おもしれぇ。
「まぁまぁ。理由聞く?」
「・・・・。まぁ、全然当たってないでしょうけど、聞くだけ聞きましょう・・・」
無理しちゃって。
ほっぺた、引きつってんですけど、二宮さん?
「彼(彼女)に、基本的に他の子と遊ぼうという気はないようです・・・・」
「・・・ほら!そうでしょ?」
あからさまにホッとした様子のニノ。
「焦んなよ。まだ続きがあんだから!えーと・・・基本的には遊ぶ気はないようですが、ついうっかりで浮気に発展する可能性あり・・・
酔った勢いで、迫られてなどで関係を持つ場合があるかも・・・・だって?」
「・・・・・」
ニノの表情を窺う。
何も言わないニノ。
「ニノ?どうした?」
「・・・いえ、べつに・・・」
「もしかして、結構気にしちゃった?」
思い当たる節ありって感じ?
「そ、そんなわけないじゃないですか!!第一、そんなテストなんて全っ然信用してないし、相葉さんは俺にぞっこんですから、浮気なんてするわけないでしょう?何言ってんだか、潤君はホントにさ」
超早口になってるよ、ニノ。
お前さ、動揺すると早口になんだよな?
「確かに相葉ちゃん、押しに弱そうだもんな。酔ったときなんて目ウルウルさせてさ、見つめてくるし、ピタってくっついてくるし・・・・アレはヤバイよな、ぜってー誘ってるとしか思えないし・・・・」
それに追い討ちをかける俺も俺だけど。
思ったよりもダメージ大みたいだな。
握り締めた拳が震えてるぜ、ニノ。
一応フォロー入れとくか。
俺って優しいな。
「あ、まだ続きあった。今はあなたに夢中です。他の子なんて目に入らないでしょう。2人が上手くいっている限りは浮気の心配はゼロだってさ」
それを聞いたニノは急に態度を変える。
「そうでしょう。相葉さんに限って、そんなことはないですよ!他のヤツに目が行くなんてありえない。俺を誰だと思ってんですか」
1人で頷き、ありえないを繰り返す。
何か面白くねぇな。
ダメ押ししとくか。
「でも、あなたが忙しくてなかなか会えない日が続いたり、すれ違いが重なったりすると、確率がグンとアップするから気をつけてだって。そういえば相葉ちゃん、最近忙しくてニノと2人で会えないって寂しがってたな。翔君とよく遊びに行くみたいだけ・・・・・」
「あいばさーんっ!!」
俺が言い終わらないうちにニノは相葉ちゃんの元へと飛んで行った。
急に抱きつかれて、何が何だか分からない様子の相葉ちゃんは、あたふたしてる。
やっぱ、可愛いね。
いつも当然のように相葉ちゃんの隣にいるニノ。
こいつは俺のもんって余裕な顔してさ、相葉ちゃんを独占してる。
たまには形振り構わず相手に縋るのも悪くないだろう?
なんてね。
おわり
被害者
松本はうんざりした顔で隣に居る男を見つめていた。
今日は雑誌の取材でスタジオに来ているのだが、今は休憩時間。
取材の内容を確認している松本の横で、ずーっと携帯を見つめてニタニタとだらしない顔をしている男が1人。
二宮和也、同じグループのれっきとしたアイドルだ。
だが・・・今のこの顔は、誰にも見せられたモンじゃない。
思いっきり顔が崩れてる。
「んふふ・・・・」
おまけに怖い笑い方をする。
「おい、にの。お前怖ぇよ。さっきから、アイドルの顔じゃねぇ」
「んふふ、いいでしょ今はまだ。本番ではちゃんとやりますから」
そう言って、また携帯に目を落とす。
「んふふ・・・かぁわいい!」
まぁ、何を見てるかは見当がつく。
どうせ相葉ちゃんの写真かなんか見てんだろう?
「あっ!!」
「何だよ急に!びっくりすんだろ!」
いきなり叫んだニノに文句を言うが、ニノは俺なんてお構いなしに、顔をしかめて食い入るように携帯を見ている。
「もう、そんな格好で寝たら風邪ひくって、いっつも言ってんのに!まぁたこいつは!!」
「なぁ・・・さっきから何見てんの?相葉ちゃんの写真じゃねぇの?」
俺の言葉にニノは顔を上げ、ニヤリと笑った。
ああ、気味悪ぃ。
「・・・相葉さんに間違いないですけど、写真じゃありません」
「・・・じゃ、何?」
「見たいんですか?」
「いや・・・別に見たくはないけど・・・・」
正直まずい事を聞いたなと思った。
ニノの考えてる事は、相葉ちゃんに関してはろくでもないことが多いから。
「しょうがないなぁ。今日は気分が良いから特別に見せましょう!あ、今回だけですよ?」
「聞いてねぇだろ、人の話!!」
「んもう!そんな事言って、本当は見たいくせにぃ。素直じゃないんだから、潤君は。この俺が見て良いなんて、滅多に言いませんよ?」
ああ、アイドルじゃなかったら殴れるのに、こいつを。
「んふふ・・・超かわいいですよ?あ、でも、だからって好きになっても無駄ですからね?」
ならねぇよ・・・つーか、相葉ちゃんの事はそれなりに好きだけど、お前と張り合うなんざ、まっぴらごめんだ。
「あ!潤君!ほら、見て。」
目の前に出された携帯を見て、思わず固まった。
「・・・ニノ、何コレ?」
そこにはベッドに、タンクトップにショートパンツという、いでたちで眠っている相葉ちゃんの姿があった。
・・・これ相葉ちゃんの部屋だよな?
「何って、相葉さん」
「分かるよ、そんなの!じゃなくて・・・これ写真じゃねえよな?」
「はい。写真じゃないですね」
「動画・・・?」
「まぁ・・・。ライブですけど」
・ ・・・ライブ!?
ライブってことは・・・・相葉ちゃんの部屋にカメラあんのか?
何やってんだ、この男は!!
もう一度携帯に目をやると、画面の中の相葉ちゃんが寝返りをうった。
あ・・・大きく開かれた足が・・・・。
と思った瞬間、目の前の携帯を取り上げられ、ニノが睨みつけてきた。
「何見てんですか!?潤君は!!いやらしい・・・」
「はぁ!?お前が見せたんだろうがっ!!」
いい加減頭にきてブチぎれてみても、相手はニノだ。
やだやだと携帯の画面を撫でていて全く聞いちゃいない。
相葉病にかかってるニノに、道徳的なことを言っても無駄だろう。
呆れた視線をニノに送った。
「あ、起きた。目ぇこすって、かわぁいい!」
・・・・誰かこいつを何とかしてくれ。
おわり
被害者2
今日は久しぶりのオフ。
1日中寝て過ごそうと、大野は前日から心に決めていた。
それこそが自分のもっとも至福を感じる時なのだ。
なのに。
それなのに!!
何で自分は今ここに居るんだろう?
家ではなく、こんなところを歩いているのか・・・。
「ちょっと!!キャプテン、何自分の世界に入ってんですか?」
物思いに耽っていると、自分の幸福を見事にぶち壊した張本人が大野の身体を揺らした。
「おわっ!何すんだよぉ。」
「あんたがどっか行っちゃってるからでしょ?全く、人がせっかく誘ってあげたのにさ」
そう言って、大野を睨み付けるのは二宮。
「誘って欲しいなんて言ってないのに・・・」
「ああ?何か言った?」
「何も・・・」
惰眠をむさぼっていた大野が、突然の訪問者にそれを邪魔されたのは数時間前。
「せっかくの休みなんだから、出かけません?」
その笑顔は大野に選択権を与えなかった。
「ここだ!キャプテン入るよ?」
そして、何故か大野は今、二宮と渋谷のカフェに来ていた。
有無を言わせない圧力で大野を連れ出した二宮だが・・・。
大野を誘った本人は、誘ってあげたと言いながら、カフェについてからずっと携帯に見入っている。
「・・・なぁ、ニノ。さっきから何してんの?」
「・・・・・」
「なぁって!」
「・・・・」
話しかけても返事すらない。
「・・・・帰っていい?」
「ダメ」
聞いてんじゃん。
「一体何なんだよ?人を連れ出しといて。説明くらいしてくれよ」
普段から下がり気味の眉を更に下げて二宮を見遣る。
二宮は携帯から目を離すと、視線を大野へ向けた。
「1人だと怪しまれるでしょ?2人ならごまかしも利くじゃない」
「はぁ?何か答えになってねぇよ。意味が分からん。第一、今日は皆オフだろ?相葉ちゃんだって休みじゃねぇの?」
言外に自分じゃなくて、相葉を誘えと言うことを含めた。
途端に二宮の顔が不機嫌なものへと変わる。
「そんなこと、言われなくても最初にしてんだよ!それが出来なかったからしょうがなしにあんたを誘ったんでしょうが!」
どうやら相葉には先約があったらしい。
大野や相葉は最初からオフだったが、二宮は当初仕事のはずだった。
それが急遽キャンセルになり、出来たオフのため約束が出来なかったようだ。
二宮のイラつきからして、相葉の相手は要注意人物か・・・。
にしても、ひどい言われようだと、二宮に文句を言おうとしたら、二宮の携帯が鳴った。
物凄い勢いで携帯に飛びついた二宮に、大野は驚く。
「・・ニ、ニノ!?」
「・・・・来た!」
「な、何が?メール?」
「しっ!黙って!」
急に真剣な顔になったかと思うと、鋭い目線を入り口へ向けた。
何事かと、大野もそちらへ視線を向ける。
「あれ?相葉ちゃん!?」
そこにやってきたのは相葉だった。
自分たちに気付いていない相葉は、誰かを探すような仕草の後、席に座った。
「ニノ、どういうこと?」
先ほど、二宮は相葉と約束していないと言った。
なのに、ここに相葉がいる。
わけが分からず、大野は二宮に説明を求めた。
「んふふ・・・。コレですよ」
そう言って得意気に携帯を大野に見せた。
「コレって・・・」
「GPSですよ。待ち合わせの場所は分かってたんで先回りしたんですけど、何があるか分かりませんからね」
相葉ちゃんとニノが携帯一緒に替えたのは知ってたけど・・・・まさか、それって・・・。
「んふふ。もちろんGPS機能付きにするためですよ」
「ちょっ!人の心を読むなよ!」
「もう!あんたうっさいよ。ばれちゃうでしょうが。静かにして!」
お前の行動がおいらに大声出させてるんだけど!!
これは心の中で呟いて、二宮を睨み付けた。
そんな大野には目もくれず、二宮は何やら携帯を操作し始めた。
すると、二宮の携帯から何やらノイズが聞え始めた。
しばらくすると、今度はノイズの中に、微かな声が聞えてきた。
『・・・ヨコ、まだ来てなかったかぁ、良かった♪』
相葉ちゃんの声だ・・・、約束の相手ってヨコだったのかぁ・・・・って!何で相葉ちゃんの声!?
いや、まさか・・・・考えたくないんだけど・・・・。
「ん!感度良好!」
携帯を握り締め、二宮が笑顔で言う。
ニノ・・・・怖ぇ・・・。
大野が引きまくっているところに、二宮の携帯が再び音をたてた。
今度はメールのようだが・・・。
「・・・・ふん」
画面を確認した二宮の顔が険しくなる。
「相葉さんを待たせるなんざ、何様のつもりですかねぇ・・・」
「何のメール・・・なの?」
「ヨコちゃんからの相葉さんあてのメールですよ。遅れるってね」
「何で、ニノの所に相葉ちゃんあてのメールが・・・?」
恐る恐る大野が聞くと、二宮がしれっと答える。
「相葉さんあてのメールは全てこちらに、先に転送されるようにしてあるんで」
「え・・・。じゃあ、相葉ちゃんにメールが届くのは・・・・?」
「俺がチェックしてから転送しなおします」
変なメールは全部消去するんですよ。
・・・・・。
「でも、コレは好都合ですね」
「へ?お、おいっ、ニノ!?」
そういったかと思うと、二宮が相葉の方へと歩き出した。
「相葉さん」
呼ばれた声に振り返った相葉は大きく目を見開いた。
「にの!!キャプテンも!どうしてここに居るの?」
「休みで、街をぶらついてたら偶然会ったんですよ。ね?キャプテン!」
合わせろよと、二宮が威嚇してくる。
「え?あ、うん・・・」
「で、お茶しようかってここに入ったら、相葉さんまで来てるからびっくりだよ」
よく言うなぁと、大野は感心する。
「えー!すごいね!!そんな偶然あるんだね!運命だよ、運命!!」
目をキラキラと輝かせて言う相葉。
運命なんかじゃないよ、相葉ちゃん。
全ては仕組まれているんだよ・・・。
「んふふ。運命の出会いついでに、さっきヨコちゃんから連絡あって、急に仕事入っちゃったらしいよ。」
「えー!おれの所には連絡ないよ!」
ぷーっと、頬を膨らませる。
「慌てて電話したみたいで、間違えて俺のところにかかってきちゃったみたい。伝えといてって言われたから、電話しようと思ってたらさ、相葉さんがいるんだもん」
びっくりしちゃったと、笑顔で言う二宮に、大野は恐ろしいほどの相葉への執着心を見た。
「そっかぁ・・・ヨコ、慌てんぼうだもんね。しょうがないなぁ」
そういう問題じゃないんだよっ、相葉ちゃん!!
冷静に考えてよっ!どうしたら、相葉と二宮で、押し間違うの!?
「キャプテン・・・うるさい」
「っ!!」
おいら喋ってないのに・・・ニノ怖ぇよぉ。
「そうだ!相葉さん、コレで予定なくなったんですよね?俺と一緒に遊びません?」
「ふぇ?良いのぉ?」
「もちろん!大歓迎です」
「キャプテンもぉ?」
「へ?う、うん・・・」
「あ、キャプテンはこの後用事があるんですって。ねぇ?」
「え?用事って・・・・」
「ねぇ・・・・?」
すごい威圧感に思わず頷いた。
「う、うん」
「そっかぁ。じゃあ、にのと遊ぶ!!」
「んふふ。じゃ、行きましょう!!」
「うん!キャプテン、またね?」
「お、おう・・・」
1人取り残された大野。
「何なんだよっ!!」
責める相手などおらず、地団駄を踏む。
そこに、二宮からのメール。
『今日はどうも。どうもついでに、後処理よろしく!』
後処理って・・・・。
「はぁっ!遅れたぁっ。かっぺぇ、どこだぁ!!」
こいつか・・・・。
大野は大きくため息を吐いた。
何でおいらはあんなヤツと同じグループなんでしょうか・・・・。
誰か、助けて!!
おわり
嵐5人で先輩の番組にお邪魔しました。
《キングオブチキンは誰だ!!ビビリ王決定戦》
《ビビリ王決定戦》とは、計測器を装着してさまざまなシチュエーション・ドッキリを体験
その際に出た汗の量や脈拍数を計測し数値が一定の基準値を超えたところで、
ビビッたと判定、1ビビリとなり、最終的にビビリ数の多い人がビビリ王となる。というもの。
始める前に、誰がキングオブチキンだと思いますか?
「翔君じゃない?」
「翔君だよ」
「翔君でしょう」
「翔ちゃんで決まり!」
「んだよ!やってみなくちゃわかんねえだろっ!!」
というわけでスタート!
~松潤の場合~
開始直後から緊張してるのか、数値は高め。でも、顔はクールにきめてます。
「くふふ、松潤高めだね~」
「んふふ、でもなかなかビビリませんねぇ」
松潤、数値は常に高めだが、ドッキリには冷静に対処。なかなかビビリません。
と、目の前にパンチラお姉さん登場!松潤一気に数値アップ!!
「ぎゃははっ!まつもっさん、照れてるよ」
「純なやつだ」
~櫻井の場合~
案の定ビビリっぱなしの櫻井君。叫びまくってます。
「うわぁっ!!ビビったぁ・・・・」
「なんだよっ、止めろよっ」
テレビに映して良い顔でしょうか?ポイントをぐんぐん稼いでます。
「うひゃひゃひゃっ、翔ちゃんかっこわりぃ」
「見てらんない」
「さすがヘタレですね」
「なんか、かわいそうだな」
~キャプテンの場合~
数値は低め、ビビッたと言いながらも意外に冷静です。
「さとし君、結構冷静だね」
「翔君がビビりすぎなんだよ」
なんて会話のうちに最後のドッキリ部屋へ。
扉を開けると、そこには沢山の食べ物が・・・。
「うおー、すげぇ!」
キャプテンのテンションと一緒に数値は一気に上昇。
「これうまい。これもうまい」
高級料理から得体の知れないものまで、食べてはうまいを連発しています。
「コレってどっきりか?」
「つーか、数値上がってっけど、ビビってるわけじゃなくね?」
「でも、キャプテン超楽しそう!」
「いい加減帰ってきてくださいよ。まだ俺と相葉さんが残ってんですから」
~相葉の場合~
「よしっ!行ってきまぁす!!」
開始直後からテンションはMAXに。
と同時に数値は目盛りを振り切ったまま戻ってきません。
「うひゃひゃっ、すげぇビビった!!ひゃはっ!」
本人はとっても楽しそうですが、数値は一向に戻ってくる気配がありません。
「あーあ、コレじゃ測定できないね」
「んふふ、テンション上がりきっちゃってますね」
「ある意味すげえよ」
「相葉ちゃんらしいね。あ、コレうまい」
「「「持ってきたのかよっ!!」」」
~二宮の場合~
さすがというべきか、二宮さん。まったくもって動揺していません。
後ろからの大声も、不意に来る電流も、お姉さんのパンチラや、水着も余裕を持って受け流しております。
「すげえ、すげえ、にのかっこいい!!」
「最強だな。こいつがビビるモンなんてあんのかよ」
「なさそうだね」
と、ある所で二宮さんの足がとまります。それと同時に数値が急上昇。
「すっげえ上がった!!何見て上がったんだ?」
二宮の数値を上げたものとは!?
二宮の視線にあったものは、なんと相葉の写真。
楽屋での寝顔から、シャワー後までさまざまな写真が並んでます。
「おいおい、何でそこなんだよ・・・」
「まあ、ニノらしいけどね」
「えっ、なんで!?何で俺の写真でビビってんの?にのは俺が恐いのかよ~」
「んふふっ」
しばらく写真に見入っていた二宮が急に笑い出しました。
「んははっ。誰だよこの写真撮ったやつ」
笑顔ではありますが、目の奥が笑ってません。
「「「怖ぇよ、ニノ」」」
二宮さん、怒りで数値が上昇中。これ以上はテレビではお伝えできません。
皆さんお疲れ様でした。結果発表!!
嵐一番のビビリ王は・・・櫻井 翔くんでした。
「なんだよ、そのままかよ」
「やっぱりね」
「なんかつまんない」
「まあ、いいんじゃない?そのまますぎて逆におもし
ろいよ」
「なんだよっ、つまんないとか言うなよっ!お前らがおかしいんだよっ」
「それより相葉さん。いつの間にあんな写真撮られたの?だめじゃん、油断しちゃ。」
「ほえ?俺?だってみんなも撮られてんじゃん」
そう、写真は全員のものがあったのです。
当然二宮のものも。スタッフとしては、いつ撮られたか分からない自分の写真で驚いてもらおうという魂胆だったのですが。
「他のはどうでもいいんです。こんなあらわな姿をみんなに見せていいと思ってんの?」
と、写真を相葉の目の前に並べる。
(((持ってきたのかよっ・・・)))
他の3人は心の中でそうツッこまずにはいられなかった。
本日のそれぞれの結果
松潤・・・結構純情なことが判明
櫻井・・・何のサプライズもなくただのヘタレ
大野・・・食べ物サイコー
相葉・・・ある意味最強
二宮・・・やっぱり最強
終わり
太陽
俺は太陽が嫌いだった。
太陽は全てを照らし出すから。
嘘と虚勢で塗り固めてきた自分をさらけ出されてしまいそうだから。
でも、本当は焦がれていたのかもしれない。
時には熱く、焼けてしまいそうに熱く俺を照らし、
時には気まぐれに隠れて、どんなに願ってもその輝かしい姿を見せるのを拒む。
そして何より、全てのものを照らし、生命を育む暖かな存在。
そんな存在に焦がれていたんだ。
そして、俺は太陽と出会った。
それは俺を明るく照らし、その光に俺の嘘も虚勢もさらけ出された。
どうしていいのか分からなかった俺は随分うろたえた。
同時に泣きたくなるほど嬉しかったんだ。
その存在に照らされた俺は、とても暖かな光に抱きしめられたような気がした。
そして、それと同時に穏やかな気持ちを知り、その時初めて体温を持ったんだ。
嫌いだったけど、焦がれてやまない存在に俺は出会った。
その存在は俺にとってかけがえのないものとなった。
「にぃの」
「はい?」
「すっげーむずかしい顔してる。どうしたの?」
俺の眉間を指でつつき、撫でてしわを伸ばそうとする人。
「何でもありませんよ。相葉さん」
その指を掴んで唇を寄せる。
「なんだよー。なんか隠してるぅ」
頬をぷくっと膨らませる姿があまりに可愛らしく、愛おしくて思わず笑みがこぼれる。
「んふふ。まあ、あなたに言いたいことはありますよ」
「なに?」
「地球って、太陽がなかったら今みたいに人間が住めるような星じゃないんだよ」
「にの?」
何言ってるの?と首を傾げる相葉。
「つまり、地球は太陽がなくちゃ生きていけないってこと。それで、俺はその地球なんだ」
「それが俺に言いたいこと?」
今度は相葉が眉間にしわを寄せて考え込む。
「言いたいのはね、俺の気持ち。笑わないでくださいよ?」
「うん・・・」
期待に満ちた、でもどこか不安そうな表情で見つめる相葉。
こんな事自分が言う日が来るなんて、思ってもみなかった。
陳腐でくさくて、以前の俺なら絶対使わないだろう。
でも、今の俺の気持ちを一番表す言葉。
「相葉さん・・・」
―君は僕の太陽だ
終わり
魔法の言葉
「うー・・・にの・・・にの、にぃの」
何やらブツブツと呟く子羊が1匹。
「にの。にの・・・にのにのにのにのにのにのにのっ」
呟きは、ついに大声になって。
「はい、何ですか?」
「ほえ?あ、にの。なんでいるの?」
「何でって・・・あんた今、呼んでたでしょうが」
「呼んでないよ。なに言ってんの?」
「あんたこそ何言ってんの?」
今、にのにのって連呼してたじゃない。
「ああ、あれ。あれはにのを呼んだんじゃないの」
「俺を呼んだんじゃないなら、何なのよ」
「うーん、まあ・・・魔法・・・みたいな?」
「はあ?」
前からおかしかったけど、ついにここまで来たか・・・。
「あ、にの。今失礼な事考えたでしょ?」
おれ、わかるんだからね!
頬を膨らませる。
「いえ・・・まあ・・ね」
変なところで勘がいいんだから困る。
「で、何が魔法なのよ?」
「え?あ、そうそう。あのね!」
話の転換で、あっさり気を逸らすことに成功。
ホントかわいいね、あんた。
一生懸命話してるの見てると、押し倒したくなる。
「おれね、今日ちょっと仕事で失敗しちゃってね、落ち込んでんの」
あらら、それは大変。
「んで、元気になりたいの。だから」
うーん・・・。
「・・・相葉さん、いまいち分からないんですけど」
あんたの言ってることが。
「だーかーらぁ!元気になる魔法のことばなのっ!!」
「・・・・何が?」
「にのが!!」
にのって言うだけで、不思議と元気になれるの。
だから、『にの』は魔法の言葉なの。
「わかった?」
俺を見つめ、小首を傾げる子羊。
「・・・・」
なんてことでしょう。
言葉になりません。
不覚にもワタクシ、涙が出そうです。
あまりにも、あんたが可愛らしいことを言うもんだから、我慢ができそうにありません。
あんたの言葉で俺も元気になっちゃいました。
違うところが。
「にの?」
どうしたの?
俺の目の前で手を振っている子羊を、今から仕留めようと思います。
責任はとっていただかないとね。
ハンター二宮行きます!!
「ねぇ、相葉さん・・・」
そんな言葉よりもっと効く魔法・・・教えてあげるよ。
おわり
夢のあとさき
『にの、にの、ごめんね。おれ、もうにのとは付き合えないの』
・・・どうして?
『おれね、他にもっと・・・にのよりも、もっと大事な人ができたの』
嘘だ
『嘘じゃないよ』
それは・・・誰?
『にのも、よく知ってる人。にのよりもおれを大事にしてくれる。いつも一緒にいて、愛してくれるの』
相葉さん・・・何で、そんな幸せそうな顔してるの?
俺以外の人にそんな顔見せてるの?
俺よりあんたを幸せにできる奴なんているわけないでしょ?
俺よりあんたを愛せる奴なんて・・・いるわけない。
『なに言ってるの、にの。にのよりも愛してくれる人を見つけたんだ。
おれが寂しくて死んじゃいそうなときに、ずっとそばにいてくれたんだよ。
にの、いてくれなかったじゃん。
おれ・・・寂しいって、そばにいてって何度もお願いしたでしょ?
でも、にの、忙しいばっかりでそばにいてくれなかった・・・・』
あいばさん・・・
『ごめんね、にの。もうにのには会わないよ。ごめんね』
待って!!
『もう行くね、あの人が迎えにきてくれてるから・・・』
あの人?
『うん、ほらあそこ』
『雅紀、おいで』
あれは・・・?
『じゃあね、にの。ばいばい』
あいばさんっ!!
『ごめんね、待たせて。行こう、しょうちゃ・・・・』
「うわあぁっ!!」
すさまじい叫び声とともに、二宮は勢いよく飛び起きた。
呼吸は荒く、身体中びっしょりと汗をかいていた。
「ゆ・・・め?」
なんて夢だ、冗談じゃない。
震えが止まらない身体を抱きしめる。
今のが夢だと確信したくて、携帯を手に取った。
数回のコールで繋がる。
『もしもしぃ、にのぉ?どうしたの?』
「ちょっとね・・・、相葉さん、寝てた?」
『んーん、起きてたよ。にのはドラマの撮影?』
「うん・・・ロケ現場近くのホテル。相葉さんは、家?変わりない?」
『うん、家だよ。にの、どうしたの?何かへん』
調子わるいの?
「いや、絶好調ですよ」
『そう?ならいいけど、なんか声、元気ない』
さすが相葉、動物のカンか。
「本当に何でもないよ。ただ、あんたの声を聞きたくなっただけ」
『そうなの?』
「ええ」
本当のことなんて言えない。
あんたを奪われる夢を見たなんて。
それで、不安になったなんて。
誰にも渡さない、渡したくない。
俺と相葉の間を引き裂く奴なんて許さない!
そんなことあってたまるか!!
「ねぇ、相葉さん。俺、あんたのこと好きだよ」
『にの?』
俺の急な言葉に戸惑っている相葉。
「急に伝えたくなったんだ。あんたを好きな気持ちは誰にも負けないって。あんたの両親にも、ファンにも、櫻井翔にもね」
『・・・なんで翔君?』
「んふふ。なんとなくですよ」
『そうなの?でも、うれしい。ありがと。にの、最近忙しそうで、俺のことなんて見えてないと思ってた』
「相葉さん・・・」
ドキリとした。
この何ヶ月か、もちろん相葉と会うこともあったが、彼をちゃんと見ていたかと問われたら、自信がない。
あの夢は警告か・・・。
彼をしっかり繋ぎ止めておかないと、いつかその日が来るって事の。
「相葉さん・・・・会いたい。会いに行っても良いですか?」
どうにもならないくらい会いたくなった。
『うん・・・おれも会いたい』
「すぐ行きます」
電話を切ると急いで支度し、ホテルを出た。
明日の撮影は午後からだ。
時間は十分とは言えないが。
相葉さん。
こんなの陳腐かもしれないけど。
会って、抱きしめて、キスして、お互いがドロドロになるまで抱き合って、愛を確かめさせて。
俺の相葉だと、自惚れさせて。
いつだって、どんなときだって、俺にはあんただけなんだ。
あの悪夢が正夢になることのないよう、あなたを抱きしめに行く。
終わり
心理テスト
「おい、ニノ。ちょっとさ、付き合ってくんない?」
「え?無理ですよ。潤君のことは嫌いじゃないけど、俺には相葉さんって言う可愛い可愛いハニーちゃんが居るんで」
「誰が、その付き合えだって言ったんだよ、気持ち悪いこと言うな!」
「もう、潤君はノリが悪いな」
つまんないと、唇を尖らせた。
お前がやっても可愛くねえよ。
相葉ちゃんなら可愛いだろうけど。
「んで、何に付き合えばいいの?」
そう考えたのがニノには伝わったらしい。
ちょっと不機嫌そうに言葉を返してきた。
まあ、そんなことに動じる俺ではないけどね。
「そうそう、ちょっとした心理テスト」
「心理テスト?これまた突然ですね」
「いいじゃん。お前と相葉ちゃんの絆ってヤツを試すテストだよ」
「ふーん。ま、そんなことしなくても、俺と相葉さんの絆は最強ですよ。やるだけ無駄と思いますけど?」
勝ち誇ったような笑みが憎たらしい。
その顔を崩してやりたいという悪戯心が疼いたって、バチは当たんねぇだろ?
「じゃ、やってみようぜ。今からする質問に相葉ちゃんならどうか、思い浮かべて答えてよ」
「何でもどうぞ」
そうして始まった心理テスト。
いくつかの質問に、二宮は相葉を思い浮かべながら答えていく。
「質問はこれで終わり」
「一体これで何が分かるんですか?」
怪訝そうに聞いてくるニノに、思わず口の端が上がる。
「これで、相葉ちゃんの浮気度が分かったよ」
「浮気度?そんなのないでしょう。相手は俺だよ?」
バカ言ってんじゃないよ。
自信ありげなニノに、ますます笑いがこみ上げてくる。
「へー・・・、面白い結果が出たね」
挑戦的な視線をニノに向けた。
「なによ・・・面白い結果って?」
ニノの眉間にしわが寄る。
「相葉ちゃんの浮気度・・・・50%!」
「はぁ!!そんなにあるわけないでしょう!?」
何かの間違いですよ、そんなのと 認めようとしないニノ。
心理テストなんて興味なさそうだったくせに、ムキになって。
おもしれぇ。
「まぁまぁ。理由聞く?」
「・・・・。まぁ、全然当たってないでしょうけど、聞くだけ聞きましょう・・・」
無理しちゃって。
ほっぺた、引きつってんですけど、二宮さん?
「彼(彼女)に、基本的に他の子と遊ぼうという気はないようです・・・・」
「・・・ほら!そうでしょ?」
あからさまにホッとした様子のニノ。
「焦んなよ。まだ続きがあんだから!えーと・・・基本的には遊ぶ気はないようですが、ついうっかりで浮気に発展する可能性あり・・・
酔った勢いで、迫られてなどで関係を持つ場合があるかも・・・・だって?」
「・・・・・」
ニノの表情を窺う。
何も言わないニノ。
「ニノ?どうした?」
「・・・いえ、べつに・・・」
「もしかして、結構気にしちゃった?」
思い当たる節ありって感じ?
「そ、そんなわけないじゃないですか!!第一、そんなテストなんて全っ然信用してないし、相葉さんは俺にぞっこんですから、浮気なんてするわけないでしょう?何言ってんだか、潤君はホントにさ」
超早口になってるよ、ニノ。
お前さ、動揺すると早口になんだよな?
「確かに相葉ちゃん、押しに弱そうだもんな。酔ったときなんて目ウルウルさせてさ、見つめてくるし、ピタってくっついてくるし・・・・アレはヤバイよな、ぜってー誘ってるとしか思えないし・・・・」
それに追い討ちをかける俺も俺だけど。
思ったよりもダメージ大みたいだな。
握り締めた拳が震えてるぜ、ニノ。
一応フォロー入れとくか。
俺って優しいな。
「あ、まだ続きあった。今はあなたに夢中です。他の子なんて目に入らないでしょう。2人が上手くいっている限りは浮気の心配はゼロだってさ」
それを聞いたニノは急に態度を変える。
「そうでしょう。相葉さんに限って、そんなことはないですよ!他のヤツに目が行くなんてありえない。俺を誰だと思ってんですか」
1人で頷き、ありえないを繰り返す。
何か面白くねぇな。
ダメ押ししとくか。
「でも、あなたが忙しくてなかなか会えない日が続いたり、すれ違いが重なったりすると、確率がグンとアップするから気をつけてだって。そういえば相葉ちゃん、最近忙しくてニノと2人で会えないって寂しがってたな。翔君とよく遊びに行くみたいだけ・・・・・」
「あいばさーんっ!!」
俺が言い終わらないうちにニノは相葉ちゃんの元へと飛んで行った。
急に抱きつかれて、何が何だか分からない様子の相葉ちゃんは、あたふたしてる。
やっぱ、可愛いね。
いつも当然のように相葉ちゃんの隣にいるニノ。
こいつは俺のもんって余裕な顔してさ、相葉ちゃんを独占してる。
たまには形振り構わず相手に縋るのも悪くないだろう?
なんてね。
おわり
被害者
松本はうんざりした顔で隣に居る男を見つめていた。
今日は雑誌の取材でスタジオに来ているのだが、今は休憩時間。
取材の内容を確認している松本の横で、ずーっと携帯を見つめてニタニタとだらしない顔をしている男が1人。
二宮和也、同じグループのれっきとしたアイドルだ。
だが・・・今のこの顔は、誰にも見せられたモンじゃない。
思いっきり顔が崩れてる。
「んふふ・・・・」
おまけに怖い笑い方をする。
「おい、にの。お前怖ぇよ。さっきから、アイドルの顔じゃねぇ」
「んふふ、いいでしょ今はまだ。本番ではちゃんとやりますから」
そう言って、また携帯に目を落とす。
「んふふ・・・かぁわいい!」
まぁ、何を見てるかは見当がつく。
どうせ相葉ちゃんの写真かなんか見てんだろう?
「あっ!!」
「何だよ急に!びっくりすんだろ!」
いきなり叫んだニノに文句を言うが、ニノは俺なんてお構いなしに、顔をしかめて食い入るように携帯を見ている。
「もう、そんな格好で寝たら風邪ひくって、いっつも言ってんのに!まぁたこいつは!!」
「なぁ・・・さっきから何見てんの?相葉ちゃんの写真じゃねぇの?」
俺の言葉にニノは顔を上げ、ニヤリと笑った。
ああ、気味悪ぃ。
「・・・相葉さんに間違いないですけど、写真じゃありません」
「・・・じゃ、何?」
「見たいんですか?」
「いや・・・別に見たくはないけど・・・・」
正直まずい事を聞いたなと思った。
ニノの考えてる事は、相葉ちゃんに関してはろくでもないことが多いから。
「しょうがないなぁ。今日は気分が良いから特別に見せましょう!あ、今回だけですよ?」
「聞いてねぇだろ、人の話!!」
「んもう!そんな事言って、本当は見たいくせにぃ。素直じゃないんだから、潤君は。この俺が見て良いなんて、滅多に言いませんよ?」
ああ、アイドルじゃなかったら殴れるのに、こいつを。
「んふふ・・・超かわいいですよ?あ、でも、だからって好きになっても無駄ですからね?」
ならねぇよ・・・つーか、相葉ちゃんの事はそれなりに好きだけど、お前と張り合うなんざ、まっぴらごめんだ。
「あ!潤君!ほら、見て。」
目の前に出された携帯を見て、思わず固まった。
「・・・ニノ、何コレ?」
そこにはベッドに、タンクトップにショートパンツという、いでたちで眠っている相葉ちゃんの姿があった。
・・・これ相葉ちゃんの部屋だよな?
「何って、相葉さん」
「分かるよ、そんなの!じゃなくて・・・これ写真じゃねえよな?」
「はい。写真じゃないですね」
「動画・・・?」
「まぁ・・・。ライブですけど」
・ ・・・ライブ!?
ライブってことは・・・・相葉ちゃんの部屋にカメラあんのか?
何やってんだ、この男は!!
もう一度携帯に目をやると、画面の中の相葉ちゃんが寝返りをうった。
あ・・・大きく開かれた足が・・・・。
と思った瞬間、目の前の携帯を取り上げられ、ニノが睨みつけてきた。
「何見てんですか!?潤君は!!いやらしい・・・」
「はぁ!?お前が見せたんだろうがっ!!」
いい加減頭にきてブチぎれてみても、相手はニノだ。
やだやだと携帯の画面を撫でていて全く聞いちゃいない。
相葉病にかかってるニノに、道徳的なことを言っても無駄だろう。
呆れた視線をニノに送った。
「あ、起きた。目ぇこすって、かわぁいい!」
・・・・誰かこいつを何とかしてくれ。
おわり
被害者2
今日は久しぶりのオフ。
1日中寝て過ごそうと、大野は前日から心に決めていた。
それこそが自分のもっとも至福を感じる時なのだ。
なのに。
それなのに!!
何で自分は今ここに居るんだろう?
家ではなく、こんなところを歩いているのか・・・。
「ちょっと!!キャプテン、何自分の世界に入ってんですか?」
物思いに耽っていると、自分の幸福を見事にぶち壊した張本人が大野の身体を揺らした。
「おわっ!何すんだよぉ。」
「あんたがどっか行っちゃってるからでしょ?全く、人がせっかく誘ってあげたのにさ」
そう言って、大野を睨み付けるのは二宮。
「誘って欲しいなんて言ってないのに・・・」
「ああ?何か言った?」
「何も・・・」
惰眠をむさぼっていた大野が、突然の訪問者にそれを邪魔されたのは数時間前。
「せっかくの休みなんだから、出かけません?」
その笑顔は大野に選択権を与えなかった。
「ここだ!キャプテン入るよ?」
そして、何故か大野は今、二宮と渋谷のカフェに来ていた。
有無を言わせない圧力で大野を連れ出した二宮だが・・・。
大野を誘った本人は、誘ってあげたと言いながら、カフェについてからずっと携帯に見入っている。
「・・・なぁ、ニノ。さっきから何してんの?」
「・・・・・」
「なぁって!」
「・・・・」
話しかけても返事すらない。
「・・・・帰っていい?」
「ダメ」
聞いてんじゃん。
「一体何なんだよ?人を連れ出しといて。説明くらいしてくれよ」
普段から下がり気味の眉を更に下げて二宮を見遣る。
二宮は携帯から目を離すと、視線を大野へ向けた。
「1人だと怪しまれるでしょ?2人ならごまかしも利くじゃない」
「はぁ?何か答えになってねぇよ。意味が分からん。第一、今日は皆オフだろ?相葉ちゃんだって休みじゃねぇの?」
言外に自分じゃなくて、相葉を誘えと言うことを含めた。
途端に二宮の顔が不機嫌なものへと変わる。
「そんなこと、言われなくても最初にしてんだよ!それが出来なかったからしょうがなしにあんたを誘ったんでしょうが!」
どうやら相葉には先約があったらしい。
大野や相葉は最初からオフだったが、二宮は当初仕事のはずだった。
それが急遽キャンセルになり、出来たオフのため約束が出来なかったようだ。
二宮のイラつきからして、相葉の相手は要注意人物か・・・。
にしても、ひどい言われようだと、二宮に文句を言おうとしたら、二宮の携帯が鳴った。
物凄い勢いで携帯に飛びついた二宮に、大野は驚く。
「・・ニ、ニノ!?」
「・・・・来た!」
「な、何が?メール?」
「しっ!黙って!」
急に真剣な顔になったかと思うと、鋭い目線を入り口へ向けた。
何事かと、大野もそちらへ視線を向ける。
「あれ?相葉ちゃん!?」
そこにやってきたのは相葉だった。
自分たちに気付いていない相葉は、誰かを探すような仕草の後、席に座った。
「ニノ、どういうこと?」
先ほど、二宮は相葉と約束していないと言った。
なのに、ここに相葉がいる。
わけが分からず、大野は二宮に説明を求めた。
「んふふ・・・。コレですよ」
そう言って得意気に携帯を大野に見せた。
「コレって・・・」
「GPSですよ。待ち合わせの場所は分かってたんで先回りしたんですけど、何があるか分かりませんからね」
相葉ちゃんとニノが携帯一緒に替えたのは知ってたけど・・・・まさか、それって・・・。
「んふふ。もちろんGPS機能付きにするためですよ」
「ちょっ!人の心を読むなよ!」
「もう!あんたうっさいよ。ばれちゃうでしょうが。静かにして!」
お前の行動がおいらに大声出させてるんだけど!!
これは心の中で呟いて、二宮を睨み付けた。
そんな大野には目もくれず、二宮は何やら携帯を操作し始めた。
すると、二宮の携帯から何やらノイズが聞え始めた。
しばらくすると、今度はノイズの中に、微かな声が聞えてきた。
『・・・ヨコ、まだ来てなかったかぁ、良かった♪』
相葉ちゃんの声だ・・・、約束の相手ってヨコだったのかぁ・・・・って!何で相葉ちゃんの声!?
いや、まさか・・・・考えたくないんだけど・・・・。
「ん!感度良好!」
携帯を握り締め、二宮が笑顔で言う。
ニノ・・・・怖ぇ・・・。
大野が引きまくっているところに、二宮の携帯が再び音をたてた。
今度はメールのようだが・・・。
「・・・・ふん」
画面を確認した二宮の顔が険しくなる。
「相葉さんを待たせるなんざ、何様のつもりですかねぇ・・・」
「何のメール・・・なの?」
「ヨコちゃんからの相葉さんあてのメールですよ。遅れるってね」
「何で、ニノの所に相葉ちゃんあてのメールが・・・?」
恐る恐る大野が聞くと、二宮がしれっと答える。
「相葉さんあてのメールは全てこちらに、先に転送されるようにしてあるんで」
「え・・・。じゃあ、相葉ちゃんにメールが届くのは・・・・?」
「俺がチェックしてから転送しなおします」
変なメールは全部消去するんですよ。
・・・・・。
「でも、コレは好都合ですね」
「へ?お、おいっ、ニノ!?」
そういったかと思うと、二宮が相葉の方へと歩き出した。
「相葉さん」
呼ばれた声に振り返った相葉は大きく目を見開いた。
「にの!!キャプテンも!どうしてここに居るの?」
「休みで、街をぶらついてたら偶然会ったんですよ。ね?キャプテン!」
合わせろよと、二宮が威嚇してくる。
「え?あ、うん・・・」
「で、お茶しようかってここに入ったら、相葉さんまで来てるからびっくりだよ」
よく言うなぁと、大野は感心する。
「えー!すごいね!!そんな偶然あるんだね!運命だよ、運命!!」
目をキラキラと輝かせて言う相葉。
運命なんかじゃないよ、相葉ちゃん。
全ては仕組まれているんだよ・・・。
「んふふ。運命の出会いついでに、さっきヨコちゃんから連絡あって、急に仕事入っちゃったらしいよ。」
「えー!おれの所には連絡ないよ!」
ぷーっと、頬を膨らませる。
「慌てて電話したみたいで、間違えて俺のところにかかってきちゃったみたい。伝えといてって言われたから、電話しようと思ってたらさ、相葉さんがいるんだもん」
びっくりしちゃったと、笑顔で言う二宮に、大野は恐ろしいほどの相葉への執着心を見た。
「そっかぁ・・・ヨコ、慌てんぼうだもんね。しょうがないなぁ」
そういう問題じゃないんだよっ、相葉ちゃん!!
冷静に考えてよっ!どうしたら、相葉と二宮で、押し間違うの!?
「キャプテン・・・うるさい」
「っ!!」
おいら喋ってないのに・・・ニノ怖ぇよぉ。
「そうだ!相葉さん、コレで予定なくなったんですよね?俺と一緒に遊びません?」
「ふぇ?良いのぉ?」
「もちろん!大歓迎です」
「キャプテンもぉ?」
「へ?う、うん・・・」
「あ、キャプテンはこの後用事があるんですって。ねぇ?」
「え?用事って・・・・」
「ねぇ・・・・?」
すごい威圧感に思わず頷いた。
「う、うん」
「そっかぁ。じゃあ、にのと遊ぶ!!」
「んふふ。じゃ、行きましょう!!」
「うん!キャプテン、またね?」
「お、おう・・・」
1人取り残された大野。
「何なんだよっ!!」
責める相手などおらず、地団駄を踏む。
そこに、二宮からのメール。
『今日はどうも。どうもついでに、後処理よろしく!』
後処理って・・・・。
「はぁっ!遅れたぁっ。かっぺぇ、どこだぁ!!」
こいつか・・・・。
大野は大きくため息を吐いた。
何でおいらはあんなヤツと同じグループなんでしょうか・・・・。
誰か、助けて!!
おわり
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