小説の再編集とか、資料とか、必要な諸々を置いておくブログ
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
■JUNE小説板に戻る■ 最後のレスまで飛ぶ レスを全部見る 最新レス50件を見る 記事1-50を見る
卍 馬と鹿の本能 卍 (仁亀 淳聖 竜雄)
61 卍寺 2008/02/11(Mon) 11:44
6人は無言のまま歩きながら、事務所内の喫茶店へ入る。
赤西は手で自分の顔を覆いながら、
震えた声で言う。
「・・・ちょ・・ちょっと待って・・・
え・・な、何?オレ・・か、亀梨なの・・・?」
赤西の言葉に亀梨もハッとして、
「え?あ・・・そう・・・だ・・・・・・
こ、聖ぃ・・テメーがケンカなんかするからじゃねぇか!!」
怒りの矛先が聖に向う。
62 卍寺 2008/02/11(Mon) 11:45
「・・亀があの時頷けば、こんなことにならなかったんだよ!!」
聖は涙目で亀梨を睨んだ。
亀梨は少し引きつった笑顔で、呟く。
「こ、聖はメンバーの中では仲良いけどさ・・・
その・・聖じゃ勃たない・・と思って・・
まだ、田口は女の子みたいな顔だし・・その・・ね・・」
「つうか・・亀が勃たなくてもオレが勃てば問題なかっただろ?」
聖は運ばれてきたパフェを食べながら言った。
63 卍寺 2008/02/11(Mon) 11:45
「は?オレ・・突っ込ませる気ねぇから・・・」
亀梨もサンドイッチを頬張りながら、何気なく答えると、
ソレを聞いていた赤西が飲んでいたジュースのグラスをテーブルに強く置く。
「おい・・亀梨・・オレも突っ込ませる気ねぇから
・・・そこんとこよろしくな・・ボケナス・・
つうかテメーとSEXなんて冗談じゃねぇよ・・気持ち悪ぃ」
プチッ・・静かにキレた亀梨がゆらりと席を立ち、
赤西に掴みかかった。
64 卍寺 2008/02/11(Mon) 11:46
「お前だけが最悪なんて思うなよ!!
グループの為だ・・忘れんな・・
オレだって鳥肌立つくらい気持ち悪ぃんだよ!!バカ」
鳥肌の立ってる自分の腕を見せながら、でかい声で言う。
他の客が何事かと振り向いた。
65 卍寺 2008/02/11(Mon) 11:47
中丸が慌てて亀梨の肩を押さえ、
耳元で囁く。
「亀・・でかい声出すな・・こんな恥ずかしいことバレたくないだろ?」
中丸の言葉にチッと舌打ちをし、ドカッと席に座った。
「つうか・・本当は中丸が良かったんだけど・・
上田ぁ・・今から交換しない?
赤西と・・」
66 卍寺 2008/02/11(Mon) 11:48
赤西もポンッと手を打ちながら頷く。
「それいいよ・・オレも上田なら我慢できるし・・」
携帯を弄くっていた上田はチラッと亀梨と赤西に視線を送り、
ニヤッと口角を歪めた。
「・・・早いもの勝ちだよ・・・
よろしくな・・中丸・・優しくするからさ・・」
とSっぽい笑顔で中丸の顔を撫でる。
67 卍寺 2008/02/11(Mon) 11:49
「・・・え・・・?・・えぇ・・・?・・・
ちょ・・た・・たっちゃん・・ジャンケンでしょ?」
上田は何も答えず、フッと憐れな目で中丸を見ながら、
携帯を弄くり始めた。
68 卍寺 2008/02/11(Mon) 11:49
田口は満足してるようで、笑顔のままスープを口に運んでいる。
「田口ってさ・・聖のコト嫌いなんじゃないの?」
赤西がなんとなく聞くと、田口は首を横に振りながら、
「違うよ・・聖がオレを嫌いなんだよね・・
でも聖ってさ・・優しいんだよね・・本当は・・・」
そう言うと、うっとり聖を見つめた。
69 卍寺 2008/02/11(Mon) 11:50
聖はブルッと身体を震わせながら、
パフェのスプーンで田口の頭を叩く。
「もうね・・生理的に受け付けないの・・田口は・・
気持ち悪いなんてもんじゃねぇよ・・反吐が出る!!」
嫌そうに顔を歪めながら、机に自分のパフェ代1000円を置き、
聖は帰って言った。
田口はそれでも笑顔で・・・痛いなぁ~もう・・・と呟き、
なぜか蕩けるような笑顔で聖の帰るとこを見つめていた。
70 卍寺 2008/02/11(Mon) 11:51
ソレを見ていた亀梨と赤西が聖に向って手を合わせた。
・・・・ご愁傷様です・・・。
・・・・田口じゃなくて・・・良かったかも・・・・。
71 卍寺 2008/02/11(Mon) 11:51
その後は重い沈黙が続き、
食べ終わった順に帰っていた。
72 卍寺 2008/02/11(Mon) 11:55
卍●卍●卍●
今日の更新はこの辺で・・・
卍 更新分 1.>>3-37
2.>>44-71
卍 返信分 >>43
それでは失礼します。
●卍●卍●卍
73 名無しさん 2008/02/11(Mon) 12:02
なんだか新しいジャンルなお話ですね!社長すごい…(笑)
相手取り合ってる赤亀が似たもの同士で面白いvv
続きとっても気になります!頑張って下さい^^
74 名無しさん 2008/02/11(Mon) 12:07
こ、こ、更新お疲れ様でっす・・・
もうもう笑いがと、止まらくて・・・・!!
お相手を決めていくとこ、最高でした
ありえそうでありえないその場面が目に浮かぶようで
青ざめながらも必死になってる亀とか・・・・もうもう!!(牛じゃありません・・汗)
あー続きがますます楽しみになってきました
ホントはラブラブな仁亀が好きですけれども、こーゆーのも面白いですね
仲良くなるまでの過程をじっくり楽しませていただきます♪
75 名無しさん 2008/02/11(Mon) 12:51
面白すぎます☆
これ最後ラブになるんですか?
仁亀の行為の時を思うとハラハラですよ~面白い!!
続き待ち遠しいです!
76 名無しさん 2008/02/11(Mon) 12:57
更新お疲れ様です!
聖のツンツン具合が最高でいいですね!
聖受け大好きで、しかもこのような設定はあまり見たことなかったので続きが楽しみです!
これからも頑張ってくださいv
77 名無しさん 2008/02/11(Mon) 13:01
ageage!!!
凄い楽しみすぎます!
頑張ってください!!
78 名無しさん 2008/02/11(Mon) 13:36
亀雄仁雄もみてみたかった
更新頑張れ!
79 名無しさん 2008/02/11(Mon) 15:43
前スレから読んでました!
また卍寺様の小説が読めて嬉しいです♪
新鮮なお話で、とてもワクワクでしたvv
一番コワイのはやっぱり田口でしょうか?笑
3組の行方が楽しみです!
80 名無しさん 2008/02/12(Tue) 00:37
あげ!
81 ボボボーボ 2008/02/12(Tue) 00:47
すんません、大爆笑です。
82 ののあ 2008/02/12(Tue) 00:57
卍様、新スレおめでとうございます!!!!!!
また、卍様のお話が読めて嬉しいです・゜・(PД`q。)・゜・
それにしても、卍様のストーリーは本当に
いつもハートを鷲づかみですvvvv
不都合な時もドキドキ・ハラハラ・ウルウル
で、新スレはカツン全員の絡みですでに
大興奮です+*゚.ヾ(*´∀`)ノ☆*+.゚キャッキャ
お忙しいかと、思いますが。
楽しみにマッタリ待たせていただきます♪♪
期待あげ!!
83 名無しさん 2008/02/12(Tue) 01:32
目を何度も擦って何度も確認して確認して・・・
やぱ何回みても「卍」マークだーー!!
これからもよろしくお願いします!
84 名無しさん 2008/02/12(Tue) 01:48
素晴らしいです!爆笑しながら読んでしまいました
仁亀の異常な仲の悪さ?はもちろん
淳聖も聖のツンデレっぷりに堪えてない淳とか
色々気になります~
これから楽しみです!頑張って下さいー!
85 雨 2008/02/12(Tue) 08:39
ぜひ淳聖頑張ってください!淳聖萌え~
86 名無しさん 2008/02/12(Tue) 08:42
続きが凄く楽しみです。
絶対に最後まで読むので頑張って下さい。
87 真顔 2008/02/12(Tue) 09:12
みーつけた!卍さまー
今回は戦国コメディなのですね笑
前回号泣で今回は爆笑ハライタ確実模様?
楽しみにしてますっ!!
88 名無しさん 2008/02/12(Tue) 09:33
N受大好きなので竜雄がとても楽しみです!!
頑張って下さいVV
89 名無しさん 2008/02/12(Tue) 17:51
卍寺様の前作の小説、ずっと拝見してました。
書き込みも何度かしているのですが、
なんせ日々名無しですので。汗
新スレおめでとうございます!前作とはガラリと
傾向が変わりましたね!
凄く楽しみです!
しかし社長の提案……
大賛成です。笑
心で無理ならまず体から!!なんて合理的な。←?
凄く楽しみです!!(二回目)
90 名無しさん 2008/02/12(Tue) 22:10
age
削除スレッド移転スレッド削除
sage pre 等幅 書き込み後もこのスレッドに留まる
名前: メール:
私書箱ID:
■JUNE小説板に戻る■ ページの先頭まで飛ぶ
レスを全部見る 最新レス50件を見る 記事1-50を見る 50以降を見る
readres.cgi ver.1.64r
(c)megabbs (original)
卍 馬と鹿の本能 卍 (仁亀 淳聖 竜雄)
61 卍寺 2008/02/11(Mon) 11:44
6人は無言のまま歩きながら、事務所内の喫茶店へ入る。
赤西は手で自分の顔を覆いながら、
震えた声で言う。
「・・・ちょ・・ちょっと待って・・・
え・・な、何?オレ・・か、亀梨なの・・・?」
赤西の言葉に亀梨もハッとして、
「え?あ・・・そう・・・だ・・・・・・
こ、聖ぃ・・テメーがケンカなんかするからじゃねぇか!!」
怒りの矛先が聖に向う。
62 卍寺 2008/02/11(Mon) 11:45
「・・亀があの時頷けば、こんなことにならなかったんだよ!!」
聖は涙目で亀梨を睨んだ。
亀梨は少し引きつった笑顔で、呟く。
「こ、聖はメンバーの中では仲良いけどさ・・・
その・・聖じゃ勃たない・・と思って・・
まだ、田口は女の子みたいな顔だし・・その・・ね・・」
「つうか・・亀が勃たなくてもオレが勃てば問題なかっただろ?」
聖は運ばれてきたパフェを食べながら言った。
63 卍寺 2008/02/11(Mon) 11:45
「は?オレ・・突っ込ませる気ねぇから・・・」
亀梨もサンドイッチを頬張りながら、何気なく答えると、
ソレを聞いていた赤西が飲んでいたジュースのグラスをテーブルに強く置く。
「おい・・亀梨・・オレも突っ込ませる気ねぇから
・・・そこんとこよろしくな・・ボケナス・・
つうかテメーとSEXなんて冗談じゃねぇよ・・気持ち悪ぃ」
プチッ・・静かにキレた亀梨がゆらりと席を立ち、
赤西に掴みかかった。
64 卍寺 2008/02/11(Mon) 11:46
「お前だけが最悪なんて思うなよ!!
グループの為だ・・忘れんな・・
オレだって鳥肌立つくらい気持ち悪ぃんだよ!!バカ」
鳥肌の立ってる自分の腕を見せながら、でかい声で言う。
他の客が何事かと振り向いた。
65 卍寺 2008/02/11(Mon) 11:47
中丸が慌てて亀梨の肩を押さえ、
耳元で囁く。
「亀・・でかい声出すな・・こんな恥ずかしいことバレたくないだろ?」
中丸の言葉にチッと舌打ちをし、ドカッと席に座った。
「つうか・・本当は中丸が良かったんだけど・・
上田ぁ・・今から交換しない?
赤西と・・」
66 卍寺 2008/02/11(Mon) 11:48
赤西もポンッと手を打ちながら頷く。
「それいいよ・・オレも上田なら我慢できるし・・」
携帯を弄くっていた上田はチラッと亀梨と赤西に視線を送り、
ニヤッと口角を歪めた。
「・・・早いもの勝ちだよ・・・
よろしくな・・中丸・・優しくするからさ・・」
とSっぽい笑顔で中丸の顔を撫でる。
67 卍寺 2008/02/11(Mon) 11:49
「・・・え・・・?・・えぇ・・・?・・・
ちょ・・た・・たっちゃん・・ジャンケンでしょ?」
上田は何も答えず、フッと憐れな目で中丸を見ながら、
携帯を弄くり始めた。
68 卍寺 2008/02/11(Mon) 11:49
田口は満足してるようで、笑顔のままスープを口に運んでいる。
「田口ってさ・・聖のコト嫌いなんじゃないの?」
赤西がなんとなく聞くと、田口は首を横に振りながら、
「違うよ・・聖がオレを嫌いなんだよね・・
でも聖ってさ・・優しいんだよね・・本当は・・・」
そう言うと、うっとり聖を見つめた。
69 卍寺 2008/02/11(Mon) 11:50
聖はブルッと身体を震わせながら、
パフェのスプーンで田口の頭を叩く。
「もうね・・生理的に受け付けないの・・田口は・・
気持ち悪いなんてもんじゃねぇよ・・反吐が出る!!」
嫌そうに顔を歪めながら、机に自分のパフェ代1000円を置き、
聖は帰って言った。
田口はそれでも笑顔で・・・痛いなぁ~もう・・・と呟き、
なぜか蕩けるような笑顔で聖の帰るとこを見つめていた。
70 卍寺 2008/02/11(Mon) 11:51
ソレを見ていた亀梨と赤西が聖に向って手を合わせた。
・・・・ご愁傷様です・・・。
・・・・田口じゃなくて・・・良かったかも・・・・。
71 卍寺 2008/02/11(Mon) 11:51
その後は重い沈黙が続き、
食べ終わった順に帰っていた。
72 卍寺 2008/02/11(Mon) 11:55
卍●卍●卍●
今日の更新はこの辺で・・・
卍 更新分 1.>>3-37
2.>>44-71
卍 返信分 >>43
それでは失礼します。
●卍●卍●卍
73 名無しさん 2008/02/11(Mon) 12:02
なんだか新しいジャンルなお話ですね!社長すごい…(笑)
相手取り合ってる赤亀が似たもの同士で面白いvv
続きとっても気になります!頑張って下さい^^
74 名無しさん 2008/02/11(Mon) 12:07
こ、こ、更新お疲れ様でっす・・・
もうもう笑いがと、止まらくて・・・・!!
お相手を決めていくとこ、最高でした
ありえそうでありえないその場面が目に浮かぶようで
青ざめながらも必死になってる亀とか・・・・もうもう!!(牛じゃありません・・汗)
あー続きがますます楽しみになってきました
ホントはラブラブな仁亀が好きですけれども、こーゆーのも面白いですね
仲良くなるまでの過程をじっくり楽しませていただきます♪
75 名無しさん 2008/02/11(Mon) 12:51
面白すぎます☆
これ最後ラブになるんですか?
仁亀の行為の時を思うとハラハラですよ~面白い!!
続き待ち遠しいです!
76 名無しさん 2008/02/11(Mon) 12:57
更新お疲れ様です!
聖のツンツン具合が最高でいいですね!
聖受け大好きで、しかもこのような設定はあまり見たことなかったので続きが楽しみです!
これからも頑張ってくださいv
77 名無しさん 2008/02/11(Mon) 13:01
ageage!!!
凄い楽しみすぎます!
頑張ってください!!
78 名無しさん 2008/02/11(Mon) 13:36
亀雄仁雄もみてみたかった
更新頑張れ!
79 名無しさん 2008/02/11(Mon) 15:43
前スレから読んでました!
また卍寺様の小説が読めて嬉しいです♪
新鮮なお話で、とてもワクワクでしたvv
一番コワイのはやっぱり田口でしょうか?笑
3組の行方が楽しみです!
80 名無しさん 2008/02/12(Tue) 00:37
あげ!
81 ボボボーボ 2008/02/12(Tue) 00:47
すんません、大爆笑です。
82 ののあ 2008/02/12(Tue) 00:57
卍様、新スレおめでとうございます!!!!!!
また、卍様のお話が読めて嬉しいです・゜・(PД`q。)・゜・
それにしても、卍様のストーリーは本当に
いつもハートを鷲づかみですvvvv
不都合な時もドキドキ・ハラハラ・ウルウル
で、新スレはカツン全員の絡みですでに
大興奮です+*゚.ヾ(*´∀`)ノ☆*+.゚キャッキャ
お忙しいかと、思いますが。
楽しみにマッタリ待たせていただきます♪♪
期待あげ!!
83 名無しさん 2008/02/12(Tue) 01:32
目を何度も擦って何度も確認して確認して・・・
やぱ何回みても「卍」マークだーー!!
これからもよろしくお願いします!
84 名無しさん 2008/02/12(Tue) 01:48
素晴らしいです!爆笑しながら読んでしまいました
仁亀の異常な仲の悪さ?はもちろん
淳聖も聖のツンデレっぷりに堪えてない淳とか
色々気になります~
これから楽しみです!頑張って下さいー!
85 雨 2008/02/12(Tue) 08:39
ぜひ淳聖頑張ってください!淳聖萌え~
86 名無しさん 2008/02/12(Tue) 08:42
続きが凄く楽しみです。
絶対に最後まで読むので頑張って下さい。
87 真顔 2008/02/12(Tue) 09:12
みーつけた!卍さまー
今回は戦国コメディなのですね笑
前回号泣で今回は爆笑ハライタ確実模様?
楽しみにしてますっ!!
88 名無しさん 2008/02/12(Tue) 09:33
N受大好きなので竜雄がとても楽しみです!!
頑張って下さいVV
89 名無しさん 2008/02/12(Tue) 17:51
卍寺様の前作の小説、ずっと拝見してました。
書き込みも何度かしているのですが、
なんせ日々名無しですので。汗
新スレおめでとうございます!前作とはガラリと
傾向が変わりましたね!
凄く楽しみです!
しかし社長の提案……
大賛成です。笑
心で無理ならまず体から!!なんて合理的な。←?
凄く楽しみです!!(二回目)
90 名無しさん 2008/02/12(Tue) 22:10
age
削除スレッド移転スレッド削除
sage pre 等幅 書き込み後もこのスレッドに留まる
名前: メール:
私書箱ID:
■JUNE小説板に戻る■ ページの先頭まで飛ぶ
レスを全部見る 最新レス50件を見る 記事1-50を見る 50以降を見る
readres.cgi ver.1.64r
(c)megabbs (original)
PR
■JUNE小説板に戻る■ 最後のレスまで飛ぶ レスを全部見る 最新レス50件を見る 記事1-50を見る
卍 馬と鹿の本能 卍 (仁亀 淳聖 竜雄)
31 卍寺 2008/02/11(Mon) 05:01
赤西は珍しく、社長に意見した。
「ま、待ってください・・
確かにオレ達ケンカよくするけど、
このグループじゃないとダメなんです。
もう一度・・チャンスください・・
お願いします!!」
そして深く頭を下げる。
赤西が謝るなんて珍しいコトで、つられて皆も頭を下げた。
32 卍寺 2008/02/11(Mon) 05:02
「「「・・お願いします!!・・・」」
33 卍寺 2008/02/11(Mon) 05:03
そんな皆に社長も溜息をつき、
「う~ん・・ソコまでいうなら・・
アレやってみようかなぁ・・・・
YOU達がそれを出来たら、考え直してもいいよ・・・
以前もどうしようも無く仲の悪いGをそうやったら上手くいったんだよね・・」
社長の言葉に皆顔を上げ喜んだ。
「頑張ります!!お願いします!!」
亀梨が目を輝かせながら言う。
他のメンバーもホッとしたように、笑顔になった。
34 卍寺 2008/02/11(Mon) 05:04
「・・・結構・・・きついけど・・・
いいのかなぁ・・・」
社長はちょっと迷ってる風に視線を泳がす。
「出来ます!!・・
オレ達・・出来ますからチャンス下さい・・」
赤西もハッキリ声に出しながら、再び頭を下げた。
35 卍寺 2008/02/11(Mon) 05:05
「じゃぁ・・YOU達SEXしてみようか・・」
36 卍寺 2008/02/11(Mon) 05:05
・・・・・・・・・・・・・・・・????
・・・・・・・・・・・・・・・・。
37 卍寺 2008/02/11(Mon) 05:06
「「「・・・・・・は・・・・?・・・」」」
38 卍寺 2008/02/11(Mon) 05:10
●卍●
本日はこの辺で・・・・
ポロンと脳内プレーが固まりましたので、
書かせていただきました。
リアルっぽいですが捏造リアルなのでご注意を・・・
カプ以外の絡みはありません。
明日休みなので夜更かししちゃいました(><;)
お休みなさいvv
卍 更新分 >>3-37
●卍●
39 名無しさん 2008/02/11(Mon) 05:39
一番乗り嬉しいです♪
不都合な真実の頃から、読ませていただいています^^
前回のお話とはガラッと変わってて、面白いです!!
これからの展開、目が離せませんvv
40 名無しさん 2008/02/11(Mon) 08:50
楽しみができました!
またお話が読めてうれしいです…しかも違った仁亀…期待してまーす!
41 名無しさん 2008/02/11(Mon) 08:53
最後の社長の発言に大爆笑でしたぁ。
続き楽しみにしています(^-^)/
42 名無しさん 2008/02/11(Mon) 10:40
卍さま~~、お待ちしておりました!!
また卍さまの小説が読めるなんて、なんて幸せなんでしょう。
馬と鹿・・・って(爆笑
続き楽しみにしています。
43 卍寺 2008/02/11(Mon) 11:26
☆39さま 引き続き読んでいただきありがとうございます♪
頑張りますのでよろしくお願いいたしますvv
☆40さま 今回は仲の悪い仁亀です・・
もうケンカばっかですが・・少しずつ仲良くなっていけるよう書かせていただきますvv
☆41さま 社長・・今回はくっつけようとしてるのか?
みたいな・・(苦笑)
☆42さま 題名と内容はあんまり関係ないかもしれませんが、
バカ話ってコトです(><)
えへへー
44 卍寺 2008/02/11(Mon) 11:28
●卍●
今夜は出かけますので、
続いて更新させていただきます。
●卍●
45 卍寺 2008/02/11(Mon) 11:30
6人全員が呆然と聞きなおした。
「・・・・え・・・な、何・・?・・
・・・ど、どうゆうコト・・・・???」
46 卍寺 2008/02/11(Mon) 11:31
・・・・・・・・・・・・・・・。
汗が滲むような沈黙が続く・・・。
47 卍寺 2008/02/11(Mon) 11:32
「ちょうど割り切れるし、ペア組んで・・
心が繋がらないなら、まず身体を繋げよう。」
・・・・・・えーーー・・・っと・・・・?
頭の中で理解出来ず、赤西がどもりながら社長に聞く。
「・・え・・・ど、どうゆうコトですか・・・?」
「・・・だから・・お互いペア組んでSEXしなさいって言ってるんだよ
ほら・・昔の武将はそうやって部下と絆を深めたんだよね・・」
48 卍寺 2008/02/11(Mon) 11:32
・・・・・・・・・・・・・・・・・・ゴクッ・・・
49 卍寺 2008/02/11(Mon) 11:33
亀梨が苦いような唾をなんとか飲み込み、
上擦ったような声で社長に言った。
「・・あ・・・でも・・オレら男とヤッたコトない・・・よな??」
振る返り皆にも聞く。
田口も聖も上田、中丸、赤西・・皆必死に頷いた。
50 卍寺 2008/02/11(Mon) 11:34
社長は笑いながら、
「大丈夫・・女の子とするのと変わらないから・・
男には膣が無いから、おケツを使うんだけど、
女の子にもおケツあるし・・変わら無いよ・・・」
ソレを聞いて、メンバー全員血の気が引くのがわかった。
「ま、待ってください・・オレら話し合えば解り合えます!!」
聖が社長を説得するように、
声をカラカラにしながらなんとか発していた。
51 卍寺 2008/02/11(Mon) 11:35
「・・・何度・・・話し合ったの?
もう何回も話し合ってるでしょ・・
ソレが無理なら解体だよ・・
一般視聴者はそんないがみ合ったグループなんて見てたく無いよ!
コンサートでもバラバラ好き勝手やって・・・
コレが最後だよ・・やるのか・・やらないのか・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
52 卍寺 2008/02/11(Mon) 11:35
・・・・・・・・・っ・・・。
「・・や・・・やります・・・っ・・」
蒼白した顔で亀梨が掠れた声で答えた。
そんな亀梨に皆驚いたように見つめたが、
あまりに真剣な目つきだったので、他のメンバーもなんとか頷く。
53 卍寺 2008/02/11(Mon) 11:36
「そう・・良かった・・
じゃぁ・・相手どうしようか・・・・」
それぞれ6人気まずそうに顔を見合わせながら、
いきなり亀梨が手を上げた。
「中丸!!中丸がいい!!」
中丸が驚いたように亀梨と目を合わせる。
亀梨の目はまるで獲物を狙う野獣のようで、
中丸の背筋に悪寒が走る。
・・・・・・か、亀は・・・ヤダ・・・・
54 卍寺 2008/02/11(Mon) 11:37
すかさず赤西も手を上げ、
「オレも中丸か上田!!」
そう言いきった。
取り合えず、自分がリード取れそうな相手を必死に選ぶ。
すると上田がメチャクチャ嫌そうな顔をして、舌打ちをし、
「オレも・・中丸がいい・・かな・・」
そう言いながら、優しい笑顔で中丸を見つめる。
55 卍寺 2008/02/11(Mon) 11:38
中丸もついホッとして、
「オレも上田がいい・・・かな・・・」
と俯いたまま呟いた。
なぜなら猛獣二匹の視線が怖かったから・・。
社長が手を叩き、
「ハイ・・一組決定!!」
と笑顔で頷いた。
56 卍寺 2008/02/11(Mon) 11:39
焦った4人はそれぞれ顔を見合わせながら、
まず聖が言う。
「か、亀・・オレとどうかな?」
亀梨はチラッと視線を投げるが、顔を横に振り、
「オレは田口がいい・・」
と田口に手を差し出す。
すると赤西も
「オレも田口がいいよ・・」
と田口に向かって手を出した。
57 卍寺 2008/02/11(Mon) 11:40
田口は困った顔をしながら、
「オレ・・・聖がいいんだよね・・」
と聖を見つめながら、いつもの笑顔で聖の肩に手を回した。
聖はそんな田口を思いっきり突き放し、罵声を浴びせる。
「ざけんな!!このクソ!!
・・触るなッうぜー!!
オレはテメーが大嫌いだ!!」
58 卍寺 2008/02/11(Mon) 11:41
そんな聖と田口のやり取りを黙ってみていた社長が言った。
「君たち・・仲悪いんだね~・・
田口くんと田中くん・・決定ってコトで・・
詳細はマネージャーと話し合ってまた伝えるから、
今日は帰っていいよ~」
「え・・あ・・しゃ・・社長・・・」
聖が焦って食い下がろうとしたが、
社長は笑顔で手を振りながら追い出した。
59 卍寺 2008/02/11(Mon) 11:42
社長室を出て6人・・・
呆然と廊下に佇んでいた。
60 卍寺 2008/02/11(Mon) 11:43
マネージャーが咳払いをしながら、引きつった笑顔で言う。
「・・・た・・たかがSEXだから・・妊娠するわけじゃないし・・
よ、良かったな・・G解体じゃなくて・・ゴホッ・・じゃ・・・」
軽く手をあげ、逃げるように6人を置いて帰って行った。
削除スレッド移転スレッド削除
sage pre 等幅 書き込み後もこのスレッドに留まる
名前: メール:
私書箱ID:
■JUNE小説板に戻る■ ページの先頭まで飛ぶ
レスを全部見る 最新レス50件を見る 記事1-50を見る 50以降を見る
readres.cgi ver.1.64r
(c)megabbs (original)
卍 馬と鹿の本能 卍 (仁亀 淳聖 竜雄)
31 卍寺 2008/02/11(Mon) 05:01
赤西は珍しく、社長に意見した。
「ま、待ってください・・
確かにオレ達ケンカよくするけど、
このグループじゃないとダメなんです。
もう一度・・チャンスください・・
お願いします!!」
そして深く頭を下げる。
赤西が謝るなんて珍しいコトで、つられて皆も頭を下げた。
32 卍寺 2008/02/11(Mon) 05:02
「「「・・お願いします!!・・・」」
33 卍寺 2008/02/11(Mon) 05:03
そんな皆に社長も溜息をつき、
「う~ん・・ソコまでいうなら・・
アレやってみようかなぁ・・・・
YOU達がそれを出来たら、考え直してもいいよ・・・
以前もどうしようも無く仲の悪いGをそうやったら上手くいったんだよね・・」
社長の言葉に皆顔を上げ喜んだ。
「頑張ります!!お願いします!!」
亀梨が目を輝かせながら言う。
他のメンバーもホッとしたように、笑顔になった。
34 卍寺 2008/02/11(Mon) 05:04
「・・・結構・・・きついけど・・・
いいのかなぁ・・・」
社長はちょっと迷ってる風に視線を泳がす。
「出来ます!!・・
オレ達・・出来ますからチャンス下さい・・」
赤西もハッキリ声に出しながら、再び頭を下げた。
35 卍寺 2008/02/11(Mon) 05:05
「じゃぁ・・YOU達SEXしてみようか・・」
36 卍寺 2008/02/11(Mon) 05:05
・・・・・・・・・・・・・・・・????
・・・・・・・・・・・・・・・・。
37 卍寺 2008/02/11(Mon) 05:06
「「「・・・・・・は・・・・?・・・」」」
38 卍寺 2008/02/11(Mon) 05:10
●卍●
本日はこの辺で・・・・
ポロンと脳内プレーが固まりましたので、
書かせていただきました。
リアルっぽいですが捏造リアルなのでご注意を・・・
カプ以外の絡みはありません。
明日休みなので夜更かししちゃいました(><;)
お休みなさいvv
卍 更新分 >>3-37
●卍●
39 名無しさん 2008/02/11(Mon) 05:39
一番乗り嬉しいです♪
不都合な真実の頃から、読ませていただいています^^
前回のお話とはガラッと変わってて、面白いです!!
これからの展開、目が離せませんvv
40 名無しさん 2008/02/11(Mon) 08:50
楽しみができました!
またお話が読めてうれしいです…しかも違った仁亀…期待してまーす!
41 名無しさん 2008/02/11(Mon) 08:53
最後の社長の発言に大爆笑でしたぁ。
続き楽しみにしています(^-^)/
42 名無しさん 2008/02/11(Mon) 10:40
卍さま~~、お待ちしておりました!!
また卍さまの小説が読めるなんて、なんて幸せなんでしょう。
馬と鹿・・・って(爆笑
続き楽しみにしています。
43 卍寺 2008/02/11(Mon) 11:26
☆39さま 引き続き読んでいただきありがとうございます♪
頑張りますのでよろしくお願いいたしますvv
☆40さま 今回は仲の悪い仁亀です・・
もうケンカばっかですが・・少しずつ仲良くなっていけるよう書かせていただきますvv
☆41さま 社長・・今回はくっつけようとしてるのか?
みたいな・・(苦笑)
☆42さま 題名と内容はあんまり関係ないかもしれませんが、
バカ話ってコトです(><)
えへへー
44 卍寺 2008/02/11(Mon) 11:28
●卍●
今夜は出かけますので、
続いて更新させていただきます。
●卍●
45 卍寺 2008/02/11(Mon) 11:30
6人全員が呆然と聞きなおした。
「・・・・え・・・な、何・・?・・
・・・ど、どうゆうコト・・・・???」
46 卍寺 2008/02/11(Mon) 11:31
・・・・・・・・・・・・・・・。
汗が滲むような沈黙が続く・・・。
47 卍寺 2008/02/11(Mon) 11:32
「ちょうど割り切れるし、ペア組んで・・
心が繋がらないなら、まず身体を繋げよう。」
・・・・・・えーーー・・・っと・・・・?
頭の中で理解出来ず、赤西がどもりながら社長に聞く。
「・・え・・・ど、どうゆうコトですか・・・?」
「・・・だから・・お互いペア組んでSEXしなさいって言ってるんだよ
ほら・・昔の武将はそうやって部下と絆を深めたんだよね・・」
48 卍寺 2008/02/11(Mon) 11:32
・・・・・・・・・・・・・・・・・・ゴクッ・・・
49 卍寺 2008/02/11(Mon) 11:33
亀梨が苦いような唾をなんとか飲み込み、
上擦ったような声で社長に言った。
「・・あ・・・でも・・オレら男とヤッたコトない・・・よな??」
振る返り皆にも聞く。
田口も聖も上田、中丸、赤西・・皆必死に頷いた。
50 卍寺 2008/02/11(Mon) 11:34
社長は笑いながら、
「大丈夫・・女の子とするのと変わらないから・・
男には膣が無いから、おケツを使うんだけど、
女の子にもおケツあるし・・変わら無いよ・・・」
ソレを聞いて、メンバー全員血の気が引くのがわかった。
「ま、待ってください・・オレら話し合えば解り合えます!!」
聖が社長を説得するように、
声をカラカラにしながらなんとか発していた。
51 卍寺 2008/02/11(Mon) 11:35
「・・・何度・・・話し合ったの?
もう何回も話し合ってるでしょ・・
ソレが無理なら解体だよ・・
一般視聴者はそんないがみ合ったグループなんて見てたく無いよ!
コンサートでもバラバラ好き勝手やって・・・
コレが最後だよ・・やるのか・・やらないのか・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
52 卍寺 2008/02/11(Mon) 11:35
・・・・・・・・・っ・・・。
「・・や・・・やります・・・っ・・」
蒼白した顔で亀梨が掠れた声で答えた。
そんな亀梨に皆驚いたように見つめたが、
あまりに真剣な目つきだったので、他のメンバーもなんとか頷く。
53 卍寺 2008/02/11(Mon) 11:36
「そう・・良かった・・
じゃぁ・・相手どうしようか・・・・」
それぞれ6人気まずそうに顔を見合わせながら、
いきなり亀梨が手を上げた。
「中丸!!中丸がいい!!」
中丸が驚いたように亀梨と目を合わせる。
亀梨の目はまるで獲物を狙う野獣のようで、
中丸の背筋に悪寒が走る。
・・・・・・か、亀は・・・ヤダ・・・・
54 卍寺 2008/02/11(Mon) 11:37
すかさず赤西も手を上げ、
「オレも中丸か上田!!」
そう言いきった。
取り合えず、自分がリード取れそうな相手を必死に選ぶ。
すると上田がメチャクチャ嫌そうな顔をして、舌打ちをし、
「オレも・・中丸がいい・・かな・・」
そう言いながら、優しい笑顔で中丸を見つめる。
55 卍寺 2008/02/11(Mon) 11:38
中丸もついホッとして、
「オレも上田がいい・・・かな・・・」
と俯いたまま呟いた。
なぜなら猛獣二匹の視線が怖かったから・・。
社長が手を叩き、
「ハイ・・一組決定!!」
と笑顔で頷いた。
56 卍寺 2008/02/11(Mon) 11:39
焦った4人はそれぞれ顔を見合わせながら、
まず聖が言う。
「か、亀・・オレとどうかな?」
亀梨はチラッと視線を投げるが、顔を横に振り、
「オレは田口がいい・・」
と田口に手を差し出す。
すると赤西も
「オレも田口がいいよ・・」
と田口に向かって手を出した。
57 卍寺 2008/02/11(Mon) 11:40
田口は困った顔をしながら、
「オレ・・・聖がいいんだよね・・」
と聖を見つめながら、いつもの笑顔で聖の肩に手を回した。
聖はそんな田口を思いっきり突き放し、罵声を浴びせる。
「ざけんな!!このクソ!!
・・触るなッうぜー!!
オレはテメーが大嫌いだ!!」
58 卍寺 2008/02/11(Mon) 11:41
そんな聖と田口のやり取りを黙ってみていた社長が言った。
「君たち・・仲悪いんだね~・・
田口くんと田中くん・・決定ってコトで・・
詳細はマネージャーと話し合ってまた伝えるから、
今日は帰っていいよ~」
「え・・あ・・しゃ・・社長・・・」
聖が焦って食い下がろうとしたが、
社長は笑顔で手を振りながら追い出した。
59 卍寺 2008/02/11(Mon) 11:42
社長室を出て6人・・・
呆然と廊下に佇んでいた。
60 卍寺 2008/02/11(Mon) 11:43
マネージャーが咳払いをしながら、引きつった笑顔で言う。
「・・・た・・たかがSEXだから・・妊娠するわけじゃないし・・
よ、良かったな・・G解体じゃなくて・・ゴホッ・・じゃ・・・」
軽く手をあげ、逃げるように6人を置いて帰って行った。
削除スレッド移転スレッド削除
sage pre 等幅 書き込み後もこのスレッドに留まる
名前: メール:
私書箱ID:
■JUNE小説板に戻る■ ページの先頭まで飛ぶ
レスを全部見る 最新レス50件を見る 記事1-50を見る 50以降を見る
readres.cgi ver.1.64r
(c)megabbs (original)
■JUNE小説板に戻る■ 最後のレスまで飛ぶ レスを全部見る 最新レス50件を見る 記事1-50を見る
卍 馬と鹿の本能 卍 (仁亀 淳聖 竜雄)
1 卍寺 2008/02/11(Mon) 04:31
(粗筋・キャッチなど)
【不都合な真実 1】【2】【3】(仁亀)を書かせていただいた
卍寺と言います。
今回は前とはガラリと変えて、糖度低めのギャグエロです。
卍 内容 卍
仲の悪いメンバー同士の少しずつ芽生える絆??を書いていこうと思います。
でもケンカシーンが多いので暴力?の嫌いな方は注意して下さいね。
ちなみにメンバー全員一応≪ノーマル≫設定になってます。
ノーマル同士の絡みになりますので、言葉遣いがメチャクチャ悪い(^^;)
時にシリアスも有りかと思われます。
また捏造100%なので、現実との区別がつきにくい方は気をつけてくださいね♪
題名の通り、『卍の馬鹿妄想話』です。
なんていうか、昔の武将が部下に忠誠を誓わせる為に身体を重ねる・・
という話があると思います・・そんな感じです・・vv
卍 注意 卍
このカプ無いわ!!って方はスルーでお願いします。
Hシーンの前には注意事項を書かせていただきます。
カプ以外の絡みはありません。
卍 携帯用アンカー 卍
>>2
(方式:長編)
(★このスレは簡易削除モードに設定されました)
2 卍寺 2008/02/11(Mon) 04:32
>>1-30 >>31-60 >>61-90 >>91-120 >>121-150
>>151-180 >>181-210 >>211-240 >>241-270 >>271-300
>>301-330 >>331-360 >>361-390 >>391-420 >>421-450
>>451-480 >>481-510 >>511-540 >>541-570 >>571-600
>>601-630 >>631-660 >>661-690 >>691-720 >>721-750
>>751-780 >>781-810 >>811-840 >>841-870 >>871-900
>>901-930 >>931-960 >>961-990 >>991-1000
3 卍寺 2008/02/11(Mon) 04:33
●卍●
この前みたいに頻繁には更新できませんが、
始めさせていただきます。
よろしければお付き合いください。
本当は純愛系を書こうかな・・って思ってたんですが
ノーマル同士も面白いかなって思ったら、
急に手が進みまして・・(^^;)
シリアスな所もあり、ギャグな所もあり、愛?もあり・・
コノ前とはガラッと変わった内容ですので、
無理でしたらスルーでお願いします。m(_ _:)m
●卍●
私書箱ID:lupin私書箱の作成と閲覧
4 卍寺 2008/02/11(Mon) 04:34
どうしてこんなコトになったのか・・・
5 卍寺 2008/02/11(Mon) 04:34
オレらは一つのベッドの上で背中を向け合ったまま、
頭を抱えていた。
静かな空間の中で、お互い洩れる溜息が、
とても居心地悪かった・・・・。
6 卍寺 2008/02/11(Mon) 04:35
あれは一ヶ月ほど前のコト・・・
7 卍寺 2008/02/11(Mon) 04:36
オレらは音楽番組の収録が終わった後、
いつものように楽屋で大喧嘩になっていた。
亀梨が楽屋へ入ってきたとたん、中丸を怒鳴りつける。
「中丸!!テメー・・振りが遅いっつってんだろ!
いい加減にしろよ!!」
中丸は何も言えず、俯くだけだったが、
赤西がボソッと亀梨に嫌味を洩らす。
「テメーも音外れてただろ・・ボケ」
「・・・んだと・・クソ野郎!!
テメーのやる気の無さ見てるとイライラすんだよ!!
格好でもつけてるつもりか?」
亀梨は着替え始めていた赤西の胸倉を掴み、ガンを飛ばす。
8 卍寺 2008/02/11(Mon) 04:37
その手をウザそうに払い落とし、
「汚ねぇ手で触るな・・汚れる・・・」
赤西のその言葉にカッとした亀梨が赤西の腹に拳をめり込ませた。
「グッ・・・てめ・・・・っ」
赤西は腹を押さえながら、床に蹲る。
聖は慌てて亀梨を抑えた。
9 卍寺 2008/02/11(Mon) 04:39
「ヤメロ・・亀梨・・何やってんだよ・・」
気の立ってる亀梨は聖を後ろへ突き飛ばす。
そのままよろけて、ゲームをしていた田口にブツかった。
田口はコントローラを床に叩きつけながら、
聖をさらに後ろへ突き飛ばす。
「聖のせいでGEME OVERじゃねぇか!!
ふざけんなよ・・
つうか、ダンスの時オレにブツかって来ないでくれる?」
キレた田口に聖もブチギレる。
10 卍寺 2008/02/11(Mon) 04:40
「お前は本当ウザイ!!
冗談でなく本当に!!お前必要ねぇから!」
そんな四人をオロオロしながら、中丸が見ている。
止めたいけど、下手に止めると矛先が自分に向くのも面倒だから、
チラッチラッと上田を見つめた。
中丸の視線に気がつき上田が睨む。
「何?中丸・・
何でも人に頼んなよ・・めんどくせぇ!!
たまには自分で止めろよ・・」
11 卍寺 2008/02/11(Mon) 04:40
ガチャーン
12 卍寺 2008/02/11(Mon) 04:41
突然何かが割れる音がして、上田と中丸が音の方へ目を向けると
亀梨が切れた唇を押さえながら、床に倒れていた。
どうやら机の上のグラスが亀梨がぶつかった衝動で、
床に落ち割れた音だったみたいだが、
そんなコト気にも留めないで、
赤西は肩で荒く息をつきながら、亀梨を睨む。
「や、止めろ・・赤西・・・顔は商売道具なんだから・・」
仕方ないのでビクビクしながら、中丸が赤西を押さえた。
13 卍寺 2008/02/11(Mon) 04:42
チラッと上田に目をやれば、我関せずって顔で携帯を弄くっている。
そんな上田にムカッとしたが、
そんなコト構っていられる状態じゃ無かった。
「赤西ィーーー!ふざけんなコノヤロウ!!」
完璧キレた亀梨は立ちあがり、再び赤西に掴みかかる。
「・・・もう・・止めろ!!頼むから・・
な?赤西も亀梨も頭冷やしてくれ!!」
二人の間に中丸は割ってはいる。
14 卍寺 2008/02/11(Mon) 04:42
猛獣二匹に挟まれ、殴られる決死の覚悟だったが、
いきなり楽屋のドアが乱暴に開けられ、皆の行動が一度止まる。
ホッとしながらドアの方を見れば、鬼のような顔をしたマネージャーと
野次馬の様に集まってきていたスタッフ達が
呆れたような顔で中を覗き込んでいた。
15 卍寺 2008/02/11(Mon) 04:43
「お前等!!いい加減にしろーー!!
毎度毎度・・・・・飽きもせず・・
このまま帰れると思うなよ・・」
16 卍寺 2008/02/11(Mon) 04:44
マネージャーは携帯を片手にどこかに電話している。
チラッ・・と何度かオレらの方に目をやりながら、
険しい顔をしていた。
携帯を閉じると、溜息をつく。
「お前等・・この前約束したよな?
つうかこの前もこの前も約束して・・・
・・もう我慢の限界だ・・
全員車に乗れ!!」
そう言って、メンバー全員マネジャーのワゴンに乗せられる。
17 卍寺 2008/02/11(Mon) 04:45
30分ほどして降ろされた場所は事務所・・・
18 卍寺 2008/02/11(Mon) 04:46
「社長がお呼びだ・・・
お前等の仲の悪さは世間でもイイ評判になってない・・
ファン同士も仲悪くなるし、ここまで息が合わないと
番組を作っていく上で難しくなってくるからな・・・」
マネジャーの後につきながら、
中丸が恐る恐る声を出す。
「も、もしかして・・ク、クビとか・・ですか?」
マネージャーは振り向くコトは無く、淡々と答える。
19 卍寺 2008/02/11(Mon) 04:48
「・・・そうだな・・・最悪は・・・
まぁメンバーチェンジか、新しく組み直すか・・・
・・まだわからないが・・・社長の決断に任せる。
オレには手に負えないから・・」
マネージャーの言葉に皆、表情を変えた。
「ま・・待ってください!オレもうケンカしませんから!!」
亀梨が必死に食い下がる。
20 卍寺 2008/02/11(Mon) 04:53
「つうか・・いつもお前が手出すからだろ・・・サル!!」
そんな亀梨に赤西は舌打ちしながら、口を挟んだ。
「・・っだと・・ぉ・・・」
お互い睨み合いながら、再び一触即発の雰囲気になると、
上田が溜息を洩らしながら嘲嗤う。
「ハハッ・・クソガキ共が・・・どうしようもねぇな・・」
その言葉に亀梨と赤西のキツイ視線が上田に向いた。
21 卍寺 2008/02/11(Mon) 04:54
「・・・やっぱ無理だなよ・・お前等は・・」
マネージャーは大きく溜息をつきながらそう呟き、
社長室のドアをノックした。
22 卍寺 2008/02/11(Mon) 04:55
コンコンッ!!
23 卍寺 2008/02/11(Mon) 04:56
「失礼します・・」
全員に緊張が走る。
重い空気の中、社長室へ通された。
目の前の机には社長が静かな目でオレらをゆっくり見つめ、
社長の両脇を黒服の強そうな男がボディガードの様に、立っていた。
24 卍寺 2008/02/11(Mon) 04:56
ゴクッ
25 卍寺 2008/02/11(Mon) 04:57
重い沈黙の中、
中丸が唾を飲み込む音が聞こえた。
26 卍寺 2008/02/11(Mon) 04:58
社長はイスをギッと後ろに押しながら、溜息をついた。
「本当・・YOU達・・どうしようもないねぇ・・・
年齢が近いから仕方ないかもしれないけど・・・
どうしようかな・・・解体して組みなおすか・・・・」
社長の言葉に亀梨が慌てて声を出した。
「ま、待ってください!!
このグループでやらせてください・・
もうケンカしませんから・・・」
亀梨の言葉にメンバーも頷く。
27 卍寺 2008/02/11(Mon) 04:59
・・・・・皆もわかっていた。
解体=クビを宣告されたようなもの・・・。
28 卍寺 2008/02/11(Mon) 04:59
そして皆、1年前に赤西が突然留学を決めた時のコトを思い出していた。
亀梨自身、別に赤西がいなくなっても構わないと思っていた。
むしろ居なくなって嬉しかった。
もしかしたら、赤西のファンを上手く取り込めるかもしれない・・
そんな甘いコトを考えていたが、現実は違った。
テレビ出演も減るし、誹謗中傷のようなコトは日常茶飯事で・・・
赤西が戻って来なかったら、このまま消えていく運命だったろう・・。
何せ名前の頭文字をグループ名にしてるだけに、
一人でも抜けると替わりがいないのだ。
29 卍寺 2008/02/11(Mon) 05:00
ストレスが臨界点に達し、勝手に留学を決めた赤西も
似たようなコトを考えていた。
留学してしばらくは良かったが、テレビで活躍するメンバーを見て、
辛くなった。
テレビではまるでオレが元から居なかったかのように、
輝くあいつらが羨ましかった。
あいつらは嫌いだったが、オレの居場所はアソコにしか無かった。
ジャニーズは大手の事務所で、別の事務所に移っても仕事は貰えない
何より、コンサートが好きだったから・・・・
あいつらは本当ウザくて嫌いだったけど・・
・・・オレは戻った。
30 卍寺 2008/02/11(Mon) 05:01
だから今更、解体して組み直すって言ったって・・
・・そんなの無理に決まってる!!
削除スレッド移転スレッド削除
sage pre 等幅 書き込み後もこのスレッドに留まる
名前: メール:
私書箱ID:
■JUNE小説板に戻る■ ページの先頭まで飛ぶ
レスを全部見る 最新レス50件を見る 記事1-50を見る 50以降を見る
readres.cgi ver.1.64r
(c)megabbs (original)
卍 馬と鹿の本能 卍 (仁亀 淳聖 竜雄)
1 卍寺 2008/02/11(Mon) 04:31
(粗筋・キャッチなど)
【不都合な真実 1】【2】【3】(仁亀)を書かせていただいた
卍寺と言います。
今回は前とはガラリと変えて、糖度低めのギャグエロです。
卍 内容 卍
仲の悪いメンバー同士の少しずつ芽生える絆??を書いていこうと思います。
でもケンカシーンが多いので暴力?の嫌いな方は注意して下さいね。
ちなみにメンバー全員一応≪ノーマル≫設定になってます。
ノーマル同士の絡みになりますので、言葉遣いがメチャクチャ悪い(^^;)
時にシリアスも有りかと思われます。
また捏造100%なので、現実との区別がつきにくい方は気をつけてくださいね♪
題名の通り、『卍の馬鹿妄想話』です。
なんていうか、昔の武将が部下に忠誠を誓わせる為に身体を重ねる・・
という話があると思います・・そんな感じです・・vv
卍 注意 卍
このカプ無いわ!!って方はスルーでお願いします。
Hシーンの前には注意事項を書かせていただきます。
カプ以外の絡みはありません。
卍 携帯用アンカー 卍
>>2
(方式:長編)
(★このスレは簡易削除モードに設定されました)
2 卍寺 2008/02/11(Mon) 04:32
>>1-30 >>31-60 >>61-90 >>91-120 >>121-150
>>151-180 >>181-210 >>211-240 >>241-270 >>271-300
>>301-330 >>331-360 >>361-390 >>391-420 >>421-450
>>451-480 >>481-510 >>511-540 >>541-570 >>571-600
>>601-630 >>631-660 >>661-690 >>691-720 >>721-750
>>751-780 >>781-810 >>811-840 >>841-870 >>871-900
>>901-930 >>931-960 >>961-990 >>991-1000
3 卍寺 2008/02/11(Mon) 04:33
●卍●
この前みたいに頻繁には更新できませんが、
始めさせていただきます。
よろしければお付き合いください。
本当は純愛系を書こうかな・・って思ってたんですが
ノーマル同士も面白いかなって思ったら、
急に手が進みまして・・(^^;)
シリアスな所もあり、ギャグな所もあり、愛?もあり・・
コノ前とはガラッと変わった内容ですので、
無理でしたらスルーでお願いします。m(_ _:)m
●卍●
私書箱ID:lupin私書箱の作成と閲覧
4 卍寺 2008/02/11(Mon) 04:34
どうしてこんなコトになったのか・・・
5 卍寺 2008/02/11(Mon) 04:34
オレらは一つのベッドの上で背中を向け合ったまま、
頭を抱えていた。
静かな空間の中で、お互い洩れる溜息が、
とても居心地悪かった・・・・。
6 卍寺 2008/02/11(Mon) 04:35
あれは一ヶ月ほど前のコト・・・
7 卍寺 2008/02/11(Mon) 04:36
オレらは音楽番組の収録が終わった後、
いつものように楽屋で大喧嘩になっていた。
亀梨が楽屋へ入ってきたとたん、中丸を怒鳴りつける。
「中丸!!テメー・・振りが遅いっつってんだろ!
いい加減にしろよ!!」
中丸は何も言えず、俯くだけだったが、
赤西がボソッと亀梨に嫌味を洩らす。
「テメーも音外れてただろ・・ボケ」
「・・・んだと・・クソ野郎!!
テメーのやる気の無さ見てるとイライラすんだよ!!
格好でもつけてるつもりか?」
亀梨は着替え始めていた赤西の胸倉を掴み、ガンを飛ばす。
8 卍寺 2008/02/11(Mon) 04:37
その手をウザそうに払い落とし、
「汚ねぇ手で触るな・・汚れる・・・」
赤西のその言葉にカッとした亀梨が赤西の腹に拳をめり込ませた。
「グッ・・・てめ・・・・っ」
赤西は腹を押さえながら、床に蹲る。
聖は慌てて亀梨を抑えた。
9 卍寺 2008/02/11(Mon) 04:39
「ヤメロ・・亀梨・・何やってんだよ・・」
気の立ってる亀梨は聖を後ろへ突き飛ばす。
そのままよろけて、ゲームをしていた田口にブツかった。
田口はコントローラを床に叩きつけながら、
聖をさらに後ろへ突き飛ばす。
「聖のせいでGEME OVERじゃねぇか!!
ふざけんなよ・・
つうか、ダンスの時オレにブツかって来ないでくれる?」
キレた田口に聖もブチギレる。
10 卍寺 2008/02/11(Mon) 04:40
「お前は本当ウザイ!!
冗談でなく本当に!!お前必要ねぇから!」
そんな四人をオロオロしながら、中丸が見ている。
止めたいけど、下手に止めると矛先が自分に向くのも面倒だから、
チラッチラッと上田を見つめた。
中丸の視線に気がつき上田が睨む。
「何?中丸・・
何でも人に頼んなよ・・めんどくせぇ!!
たまには自分で止めろよ・・」
11 卍寺 2008/02/11(Mon) 04:40
ガチャーン
12 卍寺 2008/02/11(Mon) 04:41
突然何かが割れる音がして、上田と中丸が音の方へ目を向けると
亀梨が切れた唇を押さえながら、床に倒れていた。
どうやら机の上のグラスが亀梨がぶつかった衝動で、
床に落ち割れた音だったみたいだが、
そんなコト気にも留めないで、
赤西は肩で荒く息をつきながら、亀梨を睨む。
「や、止めろ・・赤西・・・顔は商売道具なんだから・・」
仕方ないのでビクビクしながら、中丸が赤西を押さえた。
13 卍寺 2008/02/11(Mon) 04:42
チラッと上田に目をやれば、我関せずって顔で携帯を弄くっている。
そんな上田にムカッとしたが、
そんなコト構っていられる状態じゃ無かった。
「赤西ィーーー!ふざけんなコノヤロウ!!」
完璧キレた亀梨は立ちあがり、再び赤西に掴みかかる。
「・・・もう・・止めろ!!頼むから・・
な?赤西も亀梨も頭冷やしてくれ!!」
二人の間に中丸は割ってはいる。
14 卍寺 2008/02/11(Mon) 04:42
猛獣二匹に挟まれ、殴られる決死の覚悟だったが、
いきなり楽屋のドアが乱暴に開けられ、皆の行動が一度止まる。
ホッとしながらドアの方を見れば、鬼のような顔をしたマネージャーと
野次馬の様に集まってきていたスタッフ達が
呆れたような顔で中を覗き込んでいた。
15 卍寺 2008/02/11(Mon) 04:43
「お前等!!いい加減にしろーー!!
毎度毎度・・・・・飽きもせず・・
このまま帰れると思うなよ・・」
16 卍寺 2008/02/11(Mon) 04:44
マネージャーは携帯を片手にどこかに電話している。
チラッ・・と何度かオレらの方に目をやりながら、
険しい顔をしていた。
携帯を閉じると、溜息をつく。
「お前等・・この前約束したよな?
つうかこの前もこの前も約束して・・・
・・もう我慢の限界だ・・
全員車に乗れ!!」
そう言って、メンバー全員マネジャーのワゴンに乗せられる。
17 卍寺 2008/02/11(Mon) 04:45
30分ほどして降ろされた場所は事務所・・・
18 卍寺 2008/02/11(Mon) 04:46
「社長がお呼びだ・・・
お前等の仲の悪さは世間でもイイ評判になってない・・
ファン同士も仲悪くなるし、ここまで息が合わないと
番組を作っていく上で難しくなってくるからな・・・」
マネジャーの後につきながら、
中丸が恐る恐る声を出す。
「も、もしかして・・ク、クビとか・・ですか?」
マネージャーは振り向くコトは無く、淡々と答える。
19 卍寺 2008/02/11(Mon) 04:48
「・・・そうだな・・・最悪は・・・
まぁメンバーチェンジか、新しく組み直すか・・・
・・まだわからないが・・・社長の決断に任せる。
オレには手に負えないから・・」
マネージャーの言葉に皆、表情を変えた。
「ま・・待ってください!オレもうケンカしませんから!!」
亀梨が必死に食い下がる。
20 卍寺 2008/02/11(Mon) 04:53
「つうか・・いつもお前が手出すからだろ・・・サル!!」
そんな亀梨に赤西は舌打ちしながら、口を挟んだ。
「・・っだと・・ぉ・・・」
お互い睨み合いながら、再び一触即発の雰囲気になると、
上田が溜息を洩らしながら嘲嗤う。
「ハハッ・・クソガキ共が・・・どうしようもねぇな・・」
その言葉に亀梨と赤西のキツイ視線が上田に向いた。
21 卍寺 2008/02/11(Mon) 04:54
「・・・やっぱ無理だなよ・・お前等は・・」
マネージャーは大きく溜息をつきながらそう呟き、
社長室のドアをノックした。
22 卍寺 2008/02/11(Mon) 04:55
コンコンッ!!
23 卍寺 2008/02/11(Mon) 04:56
「失礼します・・」
全員に緊張が走る。
重い空気の中、社長室へ通された。
目の前の机には社長が静かな目でオレらをゆっくり見つめ、
社長の両脇を黒服の強そうな男がボディガードの様に、立っていた。
24 卍寺 2008/02/11(Mon) 04:56
ゴクッ
25 卍寺 2008/02/11(Mon) 04:57
重い沈黙の中、
中丸が唾を飲み込む音が聞こえた。
26 卍寺 2008/02/11(Mon) 04:58
社長はイスをギッと後ろに押しながら、溜息をついた。
「本当・・YOU達・・どうしようもないねぇ・・・
年齢が近いから仕方ないかもしれないけど・・・
どうしようかな・・・解体して組みなおすか・・・・」
社長の言葉に亀梨が慌てて声を出した。
「ま、待ってください!!
このグループでやらせてください・・
もうケンカしませんから・・・」
亀梨の言葉にメンバーも頷く。
27 卍寺 2008/02/11(Mon) 04:59
・・・・・皆もわかっていた。
解体=クビを宣告されたようなもの・・・。
28 卍寺 2008/02/11(Mon) 04:59
そして皆、1年前に赤西が突然留学を決めた時のコトを思い出していた。
亀梨自身、別に赤西がいなくなっても構わないと思っていた。
むしろ居なくなって嬉しかった。
もしかしたら、赤西のファンを上手く取り込めるかもしれない・・
そんな甘いコトを考えていたが、現実は違った。
テレビ出演も減るし、誹謗中傷のようなコトは日常茶飯事で・・・
赤西が戻って来なかったら、このまま消えていく運命だったろう・・。
何せ名前の頭文字をグループ名にしてるだけに、
一人でも抜けると替わりがいないのだ。
29 卍寺 2008/02/11(Mon) 05:00
ストレスが臨界点に達し、勝手に留学を決めた赤西も
似たようなコトを考えていた。
留学してしばらくは良かったが、テレビで活躍するメンバーを見て、
辛くなった。
テレビではまるでオレが元から居なかったかのように、
輝くあいつらが羨ましかった。
あいつらは嫌いだったが、オレの居場所はアソコにしか無かった。
ジャニーズは大手の事務所で、別の事務所に移っても仕事は貰えない
何より、コンサートが好きだったから・・・・
あいつらは本当ウザくて嫌いだったけど・・
・・・オレは戻った。
30 卍寺 2008/02/11(Mon) 05:01
だから今更、解体して組み直すって言ったって・・
・・そんなの無理に決まってる!!
削除スレッド移転スレッド削除
sage pre 等幅 書き込み後もこのスレッドに留まる
名前: メール:
私書箱ID:
■JUNE小説板に戻る■ ページの先頭まで飛ぶ
レスを全部見る 最新レス50件を見る 記事1-50を見る 50以降を見る
readres.cgi ver.1.64r
(c)megabbs (original)
http://saturn-tv.net/~satchin/nobel/readres.cgi?bo=june&vi=1202671860&res=2
■JUNE小説板に戻る■ 最後のレスまで飛ぶ レスを全部見る 最新レス50件を見る 記事1-50を見る
卍 不都合な真実 卍 (仁亀)
61 卍寺 2007/10/31(Wed) 21:13
(何で今?)
(理由は?)
(今まで何のために頑張ってきたの?)
(お前にとってKAT-TUNってそんなもの?)
(・・・・嘘つき・・・・。)
言いたいコトはいっぱいあったのに、出てきた言葉は心とは裏腹だった。
「・・赤西の人生なんだから、オレらが決められないだろ?
もう決まったことだ・・。
聖、何言っても変わらないよ。
じゃあ・・・そうゆうことで、オレ帰るね。」
オレの言葉に聖も黙り込む。
結局赤西はオレと目を合わせるコトはなかった。
62 卍寺 2007/10/31(Wed) 21:15
そして、赤西休業。
オレは会見に立ち会わなかった。
そのまま会うことなく、赤西とは別れた。
最後に送った『赤西、大変かと思うけど頑張れ。』のメール。
何度も何度も書き直した、伝えたいコトもいっぱいあった、
『ちゃんと帰って来いよ。』
『待ってる。』
『お前の場所は空けとくから』・・・。
でも結局シンプルな文にした。
こんなの送ってもきっと迷惑なんだろうけど・・。
もちろん返信はない・・。
63 卍寺 2007/10/31(Wed) 21:16
卍 Aサイド
一緒に共演した『ごくせん』の頃には、
誰もが目を惹くほど、亀梨はキレイになっていった。
どんな女と寝ても、遊んでも満たされない。
目に浮かぶのは亀梨ばかり・・・・。
あいつとの秘密がオレ自身を壊していく。
中世的な色気。
特別なあいつの身体、あいつにとってはコンプレックスであっても、
オレには酷く魅力的にみえる。
苦しかった。
64 卍寺 2007/10/31(Wed) 21:18
知らなければ良かった。
知らなければ、こんなにあいつに囚われることはなかったのに。
もうオレ以外見て欲しくない。
でも側にいるだけで壊れそうになる亀梨への思い。
避けているのに、目で追ってしまう。
亀梨からの着信、メール・・すごくうれしくて、
寝る前に必ず見直していた。
返信しないようにしていたから、日々少なくなってくるメール。
女々しいけど、亀梨からのメールだけは、
消えないようにケイタイに保護する。
何度も書いた亀梨への返信メールは送られないまま、
全部見送信BOXへ。
でも近づけない。
これ以上は本当にオレが壊れそうだった。
壊れたら亀梨を確実に傷つけてしまう。
だから、留学を決意した。
65 卍寺 2007/10/31(Wed) 21:19
でも亀梨の反応は本当にあっさりしていて、
亀梨の中でオレという存在はちっぽけなんだとわかった。
愛と憎しみは紙一重だって言うけど、それは本当だ
だからオレはこの時決意した。
亀梨の人生をメチャクチャにして、
亀梨の心をオレで満たしてやりたくなった。
オレのことを憎んで憎んで、
寝ても醒めてもオレのコトしか考えられないように。
66 卍寺 2007/10/31(Wed) 21:20
出国の日。
亀梨からの久しぶりのメール
『赤西、大変かと思うけど頑張れ。』
きっとこの言葉はあいつにとって挨拶程度だろう。
それでも消せない、バカなオレ。
機内の中で何度もそれを読み返した。
67 卍寺 2007/10/31(Wed) 21:25
卍●卍●卍
本日はここまでです。
うだうだしちゃっていて、読みにくいですね・・(><)
私的にも、早く<現在>へ戻りたいのは、
やまやまなんです(YY)
あとHシーンも・・・
はぁ・・・・
自分自身にゲンナリ。
文章の構成は難しい(涙)
●卍●卍●
68 卍寺 2007/10/31(Wed) 21:30
あー!!間違えた。
>>63 中世的→中性的・・です。(><)
なんだよ・・中世って・・もうもう・・
私のバカー
69 名無しさん 2007/10/31(Wed) 21:43
おもしろいです!
更新頑張ってください^^
70 名無しさん 2007/10/31(Wed) 21:46
こういう設定のお話は初めて読みますが面白いです。
頑張って下さい!続き待ってます♪
71 名無しさん 2007/10/31(Wed) 22:00
毎日覗いてます!
凄くおもしろいですよー
72 卍寺 ~♪♪~♪♪~♪♪~
ごめんなさい(><)
レス違いですよ。
73 boy ~♪♪~♪♪~♪♪~
74 名無しさん 2007/10/31(Wed) 22:46
荒らしは辞めてください‥
75 名無しさん 2007/10/31(Wed) 22:47
うわぁー仁君、実はこんな風に悩んでたんですね…
辛いけど、どうか乗り越えて2人共幸せになってほしいですね!
せっかく素晴らしい小説なので、
72のレスは消して欲しいです!!
76 卍寺 2007/10/31(Wed) 22:48
ごめんなさい(><)
一個は簡易削除で消せたけど、
もう一個がエラーに・・・
すみません(YY)
ちょっと頼んでみますね。
77 名無しさん 2007/10/31(Wed) 22:50
すっごくすっごく面白いです!
斬新な設定にすごく引かれました。
続ききになります!
72は荒らしの仕業でしょうか?
悪質なので管理人さんに伝えた方がいいのかな泣
78 ゆめ 2007/10/31(Wed) 22:52
72のレス・・・邪魔ですね
誰が書いてるのか・・・
続き楽しみにしてますね!!
79 卍寺 2007/10/31(Wed) 23:03
☆69さま ありがとうございます。がんばります♪
☆70さま また読んでみてください♪
☆71さま 毎日見ていただいてうれしいです(><)
これからもよろしくおねがいします♪
☆72、73さま 以前もどこかで同じ文読みました。
文章とても上手なんですね。読みやすいです。
私の文が不快だったみたいですね・・。
ごめんなさい。
☆74さま ありがとうございます。
初経験でドキドキしちゃいました。
80 卍寺 2007/10/31(Wed) 23:07
☆75さま 幸せにします(笑)
☆77さま うれしいです♪
続き、また読んでください。
☆ゆめさま いつもありがとうございます。
凹みましたので、今すぐ更新します(笑)
削除スレッド移転スレッド削除
sage pre 等幅 書き込み後もこのスレッドに留まる
名前: メール:
私書箱ID:
■JUNE小説板に戻る■ ページの先頭まで飛ぶ
レスを全部見る 最新レス50件を見る 記事1-50を見る 50以降を見る
readres.cgi ver.1.64r
(c)megabbs (original)
卍 不都合な真実 卍 (仁亀)
61 卍寺 2007/10/31(Wed) 21:13
(何で今?)
(理由は?)
(今まで何のために頑張ってきたの?)
(お前にとってKAT-TUNってそんなもの?)
(・・・・嘘つき・・・・。)
言いたいコトはいっぱいあったのに、出てきた言葉は心とは裏腹だった。
「・・赤西の人生なんだから、オレらが決められないだろ?
もう決まったことだ・・。
聖、何言っても変わらないよ。
じゃあ・・・そうゆうことで、オレ帰るね。」
オレの言葉に聖も黙り込む。
結局赤西はオレと目を合わせるコトはなかった。
62 卍寺 2007/10/31(Wed) 21:15
そして、赤西休業。
オレは会見に立ち会わなかった。
そのまま会うことなく、赤西とは別れた。
最後に送った『赤西、大変かと思うけど頑張れ。』のメール。
何度も何度も書き直した、伝えたいコトもいっぱいあった、
『ちゃんと帰って来いよ。』
『待ってる。』
『お前の場所は空けとくから』・・・。
でも結局シンプルな文にした。
こんなの送ってもきっと迷惑なんだろうけど・・。
もちろん返信はない・・。
63 卍寺 2007/10/31(Wed) 21:16
卍 Aサイド
一緒に共演した『ごくせん』の頃には、
誰もが目を惹くほど、亀梨はキレイになっていった。
どんな女と寝ても、遊んでも満たされない。
目に浮かぶのは亀梨ばかり・・・・。
あいつとの秘密がオレ自身を壊していく。
中世的な色気。
特別なあいつの身体、あいつにとってはコンプレックスであっても、
オレには酷く魅力的にみえる。
苦しかった。
64 卍寺 2007/10/31(Wed) 21:18
知らなければ良かった。
知らなければ、こんなにあいつに囚われることはなかったのに。
もうオレ以外見て欲しくない。
でも側にいるだけで壊れそうになる亀梨への思い。
避けているのに、目で追ってしまう。
亀梨からの着信、メール・・すごくうれしくて、
寝る前に必ず見直していた。
返信しないようにしていたから、日々少なくなってくるメール。
女々しいけど、亀梨からのメールだけは、
消えないようにケイタイに保護する。
何度も書いた亀梨への返信メールは送られないまま、
全部見送信BOXへ。
でも近づけない。
これ以上は本当にオレが壊れそうだった。
壊れたら亀梨を確実に傷つけてしまう。
だから、留学を決意した。
65 卍寺 2007/10/31(Wed) 21:19
でも亀梨の反応は本当にあっさりしていて、
亀梨の中でオレという存在はちっぽけなんだとわかった。
愛と憎しみは紙一重だって言うけど、それは本当だ
だからオレはこの時決意した。
亀梨の人生をメチャクチャにして、
亀梨の心をオレで満たしてやりたくなった。
オレのことを憎んで憎んで、
寝ても醒めてもオレのコトしか考えられないように。
66 卍寺 2007/10/31(Wed) 21:20
出国の日。
亀梨からの久しぶりのメール
『赤西、大変かと思うけど頑張れ。』
きっとこの言葉はあいつにとって挨拶程度だろう。
それでも消せない、バカなオレ。
機内の中で何度もそれを読み返した。
67 卍寺 2007/10/31(Wed) 21:25
卍●卍●卍
本日はここまでです。
うだうだしちゃっていて、読みにくいですね・・(><)
私的にも、早く<現在>へ戻りたいのは、
やまやまなんです(YY)
あとHシーンも・・・
はぁ・・・・
自分自身にゲンナリ。
文章の構成は難しい(涙)
●卍●卍●
68 卍寺 2007/10/31(Wed) 21:30
あー!!間違えた。
>>63 中世的→中性的・・です。(><)
なんだよ・・中世って・・もうもう・・
私のバカー
69 名無しさん 2007/10/31(Wed) 21:43
おもしろいです!
更新頑張ってください^^
70 名無しさん 2007/10/31(Wed) 21:46
こういう設定のお話は初めて読みますが面白いです。
頑張って下さい!続き待ってます♪
71 名無しさん 2007/10/31(Wed) 22:00
毎日覗いてます!
凄くおもしろいですよー
72 卍寺 ~♪♪~♪♪~♪♪~
ごめんなさい(><)
レス違いですよ。
73 boy ~♪♪~♪♪~♪♪~
74 名無しさん 2007/10/31(Wed) 22:46
荒らしは辞めてください‥
75 名無しさん 2007/10/31(Wed) 22:47
うわぁー仁君、実はこんな風に悩んでたんですね…
辛いけど、どうか乗り越えて2人共幸せになってほしいですね!
せっかく素晴らしい小説なので、
72のレスは消して欲しいです!!
76 卍寺 2007/10/31(Wed) 22:48
ごめんなさい(><)
一個は簡易削除で消せたけど、
もう一個がエラーに・・・
すみません(YY)
ちょっと頼んでみますね。
77 名無しさん 2007/10/31(Wed) 22:50
すっごくすっごく面白いです!
斬新な設定にすごく引かれました。
続ききになります!
72は荒らしの仕業でしょうか?
悪質なので管理人さんに伝えた方がいいのかな泣
78 ゆめ 2007/10/31(Wed) 22:52
72のレス・・・邪魔ですね
誰が書いてるのか・・・
続き楽しみにしてますね!!
79 卍寺 2007/10/31(Wed) 23:03
☆69さま ありがとうございます。がんばります♪
☆70さま また読んでみてください♪
☆71さま 毎日見ていただいてうれしいです(><)
これからもよろしくおねがいします♪
☆72、73さま 以前もどこかで同じ文読みました。
文章とても上手なんですね。読みやすいです。
私の文が不快だったみたいですね・・。
ごめんなさい。
☆74さま ありがとうございます。
初経験でドキドキしちゃいました。
80 卍寺 2007/10/31(Wed) 23:07
☆75さま 幸せにします(笑)
☆77さま うれしいです♪
続き、また読んでください。
☆ゆめさま いつもありがとうございます。
凹みましたので、今すぐ更新します(笑)
削除スレッド移転スレッド削除
sage pre 等幅 書き込み後もこのスレッドに留まる
名前: メール:
私書箱ID:
■JUNE小説板に戻る■ ページの先頭まで飛ぶ
レスを全部見る 最新レス50件を見る 記事1-50を見る 50以降を見る
readres.cgi ver.1.64r
(c)megabbs (original)
■JUNE小説板に戻る■ 最後のレスまで飛ぶ レスを全部見る 最新レス50件を見る 記事1-50を見る
卍 不都合な真実 卍 (仁亀)
41 卍寺 2007/10/30(Tue) 21:40
「そっか・・・でも、男として生きてくんだろ?」
仁は真面目に聞いてきた。
「あたりまえだろ・・戸籍だって男だし、
男として今まで生きてきたんだから、ジャニーズだって辞めたくねぇ」
「・・あ・・そっか、そうだよ!!
オレとカメ・・二人で天下取るんだもんな!!
オレ誰にも言わないから、何かあったらすぐ言えよ。」
そう言うと、仁はシャワーで泡を落とし、
湯船に入ってきた。
42 卍寺 2007/10/30(Tue) 21:41
「気持ち悪いよね・・・。
しかもさ・・子供作れないんだって、オレの身体じゃ・・。」
「・・・・・ならオレも結婚しないから、二人で永遠のアイドルやろうぜ。
確かに、普通とは違うけどさ、カメは選ばれた人間なんだよ!!
カメは神様の生まれ変わりなんだからさ。」
再び水鉄砲を作り遊び始める仁。
仁の言葉がすごくうれしかった。
43 卍寺 2007/10/30(Tue) 21:42
「いいよ・・仁は子供好きなんだろ?
可愛い子と結婚して、子供沢山作れよな。
てかさ・・・なんだよ神様って・・」
「カメ知らないの?
神様もカメと同じ身体なんだよ。
平等に愛を運ぶ神様には性別なんてどうでもいいことなんだって・・。」
仁は湯船のお湯を両手ですくうと、
ちょっと赤くなった顔を何度も洗った。
「・・・・ありがとな・・。」
「おう・・・」
オレの大好きな笑顔で、仁は自信満々に親指を立てた。
44 卍寺 2007/10/30(Tue) 21:44
「仁・・、オレ先に風呂出て、親に今日のこと伝えに言ってくる」
「おう!!出たら部屋に戻ってるな。
・・あ・・なんか音楽聴いてていい?」
「あぁ・・好きなのかけてて。」
オレはタオルで腰を隠し風呂からあがった、
そして脱衣所で身体を拭きながら、
医者から貰った女の子の一式を棚の後ろから取り出した。
生理ショーツと生理パット・・。
これから生理が来るたびにコレをつけるかと思うと、
心底うんざりした。
慣れない手つきで、言われたようにソレをつける。
さすがに生理ショーツは嫌だったので、
ボクサーパンツにつけてみた。
ゴアゴアして気持ち悪いが、仕方無い。
それより家族にも言わないといけないので、さっさと着替える。
親に言うのもとても緊張していた。
母さん泣いたらどうしようとか、気味悪がられたらどうしよう・・とか。
45 卍寺 2007/10/30(Tue) 21:45
ガチャ・・
「お・・カメ・・どうだった?」
仁は布団に寝転びながら、音楽を口ずさみながら雑誌を眺めていた。
「・・え・・あ・・・・。えーっとお母さんは知ってたみたい。」
「あ・・そうなんか・・。そりゃそうだよな。
おむつとか変えたりしてるもんな。」
仁は頷きながら、再び雑誌を捲る。
46 卍寺 2007/10/30(Tue) 21:47
「いや・・聞いて!俺、両性体なんだって、って言ったら
《そうよ!で両性体って何かしら?
お母さん、産婦人科の先生に言われてたけど、よくわからなかったの。
縫合しますか?って言うから、
健康に害無いならそのままでいいわって言っちゃったわ》だって!」
あまりに適当なお母さんの対応にだんだん、腹が立ってくる。
「なんでいつもあんなにのほほんってしてるんだろう。
ありえねーよ!母親なのに。」
オレの話を黙って聞いていた仁は、
いきなり腹を抱えて噴出した。
「いいわ・・・さすがカメの母ちゃん。」
「よくねーよ・・その上、
《お母さん女の子も欲しかったからうれしいわ。》だって
・・バカじゃないの?本当に・・イライラするわぁ~~」
そんなオレの様子に仁は涙を溢しながら、笑っている。
47 卍寺 2007/10/30(Tue) 21:49
「ひゃ・・つ・・はは・・っ・・!!
でもさ・・カメ・・少しは気が楽になったんじゃないの?
ククク・・ッ・・。」
確かに、それは仁の言うとおりだった。
「・・ん・・まぁな・・・」
オレは気が抜けて、布団に横になった。
疲れてそのまま眠ってしまったが、
心の底から仁に会えたことがうれしかった。
48 卍寺 2007/10/30(Tue) 21:50
卍卍卍
あの時、検査結果を眺めなが年配の医者は、
自分の髭をさすりなが、厳しい顔でオレをみた。
緊張はMAXに達していた。
「亀梨さん・・・あなたはIS・・つまり両性体です。
女性としての機能が成熟し月経がはじまりました。
検査の結果、男性器と精巣が一つ。女性器と卵巣が一つあります。
両方とも機能してますが、子供は非常につくりにくいと思われます。
男性としては0%。女性としては5%未満・・。」
「え・・・子供・・作れないんですか?」
49 卍寺 2007/10/30(Tue) 21:52
「いえ・・・女性としてなら、可能性は非常に低いですが・・。
でも男性としては不可能です。
無精子ということが検査結果でわかりました。
それとそろそろホルモン治療を始めた方がいいかもしれません。
ISの特徴として、ホルモンが不安定なのでこのままでは、
骨が弱くなったり、老化現象が早まったりする可能性があります。
亀梨さんは男としてこれまで生きてきたと思いますが、
男性ホルモンをそろそろ始めますか?」
「・・・それってどうなりますか・・?」
「男性化が進むということです。
骨が太くなり、身体がしっかりしてきます。
生理もとまるでしょう。
生理がとまると言うことは、子供は作れません。」
50 卍寺 2007/10/30(Tue) 21:54
「・・・あ・・もし、ホルモン治療始めなかったら、
胸とか膨らんだりしますか?」
「いえ・・亀梨さんの場合、ほとんどが男性化のISなのですが、
生殖機能に女性という部分が強く残っています。
まぁ胸は膨らまないでしょう。」
胸さえ膨らまなければ、このままジャニーズとしてやっていける。
そんな安堵感と『子供』が出来ない身体という切なさに、
頭が混乱していた。
女性として子供産むなんてありえない。
でも自分の子供は欲しい。
だから、すぐ治療って踏み切るコトができなかった。
51 卍寺 2007/10/30(Tue) 21:54
「・・と・・とりあえず。親と相談してみます。」
「そうですか・・わかりました。
あと、コレをさしあげます。
使い方は説明書を読んでください。」
医者から手渡されたのは、可愛い花柄の袋だった。
中を覗くと、よく母さんが使っている生理用品というものが入っている。
目の前の現実に頭がおかしくなりそうだった。
とりあえず、仁にバレないようにカバンに乱暴へ突っ込んだ。
52 卍寺 2007/10/30(Tue) 21:55
卍 Aサイド
お風呂でカメの身体を見た時は、本当に驚いた。
最近、SEXを覚えたばかりだったが、
女性のソレよりはシンプルでキレイだと思った。
カメの媚肉にソッと手を伸ばした時、小さく震える身体と小さな声。
身体の奥がズクッと疼くのがわかった。
初めての感覚だった。
53 卍寺 2007/10/30(Tue) 21:57
カメがすぐ湯船に逃げ込んだから、冷静に戻れたが、
もう少し触れていたらっと思うと自分自身が恐くなった。
親友なのに、カメがあれだけ悩んでいるのに・・オレ・・最低じゃんか。
冷静を装って、悩んでるカメに親友として優しく言葉を選ぶ。
もちろん本心、神様の話だって嘘じゃない、
昔読んだ本に書いてあっただけだけど。
でも、脳裏にはさっきのカメのモノが頭をチラついて離れない。
カメが風呂から出て行ったあと、疼いた身体を冷水で冷やした。
この時の小さな心の火種は徐々に烈火の如く燃え上がり、
オレを・・そしてカメを苦しめていった。
54 卍寺 2007/10/30(Tue) 22:00
卍●卍●卍
今日はこの辺で・・。
今回はIS(両性体)の説明を入れてしまったので、
面白くもなんともないですね・・(><)
ごめんなさい。
次回は結構展開していきます。
それでは失礼します。
●卍●卍●
55 名無しさん 2007/10/30(Tue) 23:31
続きが気になります!!!
亀ちゃんも仁くんも大変だと思うけど頑張って欲しいですvvv
56 卍寺 2007/10/31(Wed) 21:06
☆55さま ありがとうございます。
どんどん、仁が我儘大王になっていくので、
ちょっと心配してます(><)
57 卍寺 2007/10/31(Wed) 21:08
●卍 続き更新させていただきます。
今回は仁の留学話や復帰の話など、流れでちょろっと出てきます。
苦手な方は気をつけてください。
仁がかなりの問題児です。 卍●
58 卍寺 2007/10/31(Wed) 21:09
卍 Kサイド
いつからだろう。
オレと仁の関係は目に見えて崩れていった。
原因はよくわからない。
オレなんか変なコト言って、仁を傷つけたのかもしれない。
最初の頃は理由を聞いたが、答えはいつも一緒。
「・・亀梨の気のせいじゃない?」
気のせいなんかじゃない。
何で『亀梨』なんて呼ぶんだよ。
59 卍寺 2007/10/31(Wed) 21:11
ケイタイかけても出ない。
メールも仕事関係以外は返事も返ってこない。
ファンやマスコミもオレ達の関係を囁き始めた。
『不仲説』
それから突然の赤西留学宣言。
60 卍寺 2007/10/31(Wed) 21:12
それを仲間の前で言った時、
聖は怒りで我を忘れたかのように、
赤西に向かって怒鳴っていた。
そんな聖を慰める田口。
中丸はただ挙動不審にオドオドするだけ。
上田なんて人ごとかのようにケイタイを弄くっていた。
オレはもう頭が真っ白で言葉が出てこない。
聖の怒鳴り声も耳に入ってこない。
テーブルの下にあった手だけは、冷たく震えていた。
削除スレッド移転スレッド削除
sage pre 等幅 書き込み後もこのスレッドに留まる
名前: メール:
私書箱ID:
■JUNE小説板に戻る■ ページの先頭まで飛ぶ
レスを全部見る 最新レス50件を見る 記事1-50を見る 50以降を見る
readres.cgi ver.1.64r
(c)megabbs (original)
卍 不都合な真実 卍 (仁亀)
41 卍寺 2007/10/30(Tue) 21:40
「そっか・・・でも、男として生きてくんだろ?」
仁は真面目に聞いてきた。
「あたりまえだろ・・戸籍だって男だし、
男として今まで生きてきたんだから、ジャニーズだって辞めたくねぇ」
「・・あ・・そっか、そうだよ!!
オレとカメ・・二人で天下取るんだもんな!!
オレ誰にも言わないから、何かあったらすぐ言えよ。」
そう言うと、仁はシャワーで泡を落とし、
湯船に入ってきた。
42 卍寺 2007/10/30(Tue) 21:41
「気持ち悪いよね・・・。
しかもさ・・子供作れないんだって、オレの身体じゃ・・。」
「・・・・・ならオレも結婚しないから、二人で永遠のアイドルやろうぜ。
確かに、普通とは違うけどさ、カメは選ばれた人間なんだよ!!
カメは神様の生まれ変わりなんだからさ。」
再び水鉄砲を作り遊び始める仁。
仁の言葉がすごくうれしかった。
43 卍寺 2007/10/30(Tue) 21:42
「いいよ・・仁は子供好きなんだろ?
可愛い子と結婚して、子供沢山作れよな。
てかさ・・・なんだよ神様って・・」
「カメ知らないの?
神様もカメと同じ身体なんだよ。
平等に愛を運ぶ神様には性別なんてどうでもいいことなんだって・・。」
仁は湯船のお湯を両手ですくうと、
ちょっと赤くなった顔を何度も洗った。
「・・・・ありがとな・・。」
「おう・・・」
オレの大好きな笑顔で、仁は自信満々に親指を立てた。
44 卍寺 2007/10/30(Tue) 21:44
「仁・・、オレ先に風呂出て、親に今日のこと伝えに言ってくる」
「おう!!出たら部屋に戻ってるな。
・・あ・・なんか音楽聴いてていい?」
「あぁ・・好きなのかけてて。」
オレはタオルで腰を隠し風呂からあがった、
そして脱衣所で身体を拭きながら、
医者から貰った女の子の一式を棚の後ろから取り出した。
生理ショーツと生理パット・・。
これから生理が来るたびにコレをつけるかと思うと、
心底うんざりした。
慣れない手つきで、言われたようにソレをつける。
さすがに生理ショーツは嫌だったので、
ボクサーパンツにつけてみた。
ゴアゴアして気持ち悪いが、仕方無い。
それより家族にも言わないといけないので、さっさと着替える。
親に言うのもとても緊張していた。
母さん泣いたらどうしようとか、気味悪がられたらどうしよう・・とか。
45 卍寺 2007/10/30(Tue) 21:45
ガチャ・・
「お・・カメ・・どうだった?」
仁は布団に寝転びながら、音楽を口ずさみながら雑誌を眺めていた。
「・・え・・あ・・・・。えーっとお母さんは知ってたみたい。」
「あ・・そうなんか・・。そりゃそうだよな。
おむつとか変えたりしてるもんな。」
仁は頷きながら、再び雑誌を捲る。
46 卍寺 2007/10/30(Tue) 21:47
「いや・・聞いて!俺、両性体なんだって、って言ったら
《そうよ!で両性体って何かしら?
お母さん、産婦人科の先生に言われてたけど、よくわからなかったの。
縫合しますか?って言うから、
健康に害無いならそのままでいいわって言っちゃったわ》だって!」
あまりに適当なお母さんの対応にだんだん、腹が立ってくる。
「なんでいつもあんなにのほほんってしてるんだろう。
ありえねーよ!母親なのに。」
オレの話を黙って聞いていた仁は、
いきなり腹を抱えて噴出した。
「いいわ・・・さすがカメの母ちゃん。」
「よくねーよ・・その上、
《お母さん女の子も欲しかったからうれしいわ。》だって
・・バカじゃないの?本当に・・イライラするわぁ~~」
そんなオレの様子に仁は涙を溢しながら、笑っている。
47 卍寺 2007/10/30(Tue) 21:49
「ひゃ・・つ・・はは・・っ・・!!
でもさ・・カメ・・少しは気が楽になったんじゃないの?
ククク・・ッ・・。」
確かに、それは仁の言うとおりだった。
「・・ん・・まぁな・・・」
オレは気が抜けて、布団に横になった。
疲れてそのまま眠ってしまったが、
心の底から仁に会えたことがうれしかった。
48 卍寺 2007/10/30(Tue) 21:50
卍卍卍
あの時、検査結果を眺めなが年配の医者は、
自分の髭をさすりなが、厳しい顔でオレをみた。
緊張はMAXに達していた。
「亀梨さん・・・あなたはIS・・つまり両性体です。
女性としての機能が成熟し月経がはじまりました。
検査の結果、男性器と精巣が一つ。女性器と卵巣が一つあります。
両方とも機能してますが、子供は非常につくりにくいと思われます。
男性としては0%。女性としては5%未満・・。」
「え・・・子供・・作れないんですか?」
49 卍寺 2007/10/30(Tue) 21:52
「いえ・・・女性としてなら、可能性は非常に低いですが・・。
でも男性としては不可能です。
無精子ということが検査結果でわかりました。
それとそろそろホルモン治療を始めた方がいいかもしれません。
ISの特徴として、ホルモンが不安定なのでこのままでは、
骨が弱くなったり、老化現象が早まったりする可能性があります。
亀梨さんは男としてこれまで生きてきたと思いますが、
男性ホルモンをそろそろ始めますか?」
「・・・それってどうなりますか・・?」
「男性化が進むということです。
骨が太くなり、身体がしっかりしてきます。
生理もとまるでしょう。
生理がとまると言うことは、子供は作れません。」
50 卍寺 2007/10/30(Tue) 21:54
「・・・あ・・もし、ホルモン治療始めなかったら、
胸とか膨らんだりしますか?」
「いえ・・亀梨さんの場合、ほとんどが男性化のISなのですが、
生殖機能に女性という部分が強く残っています。
まぁ胸は膨らまないでしょう。」
胸さえ膨らまなければ、このままジャニーズとしてやっていける。
そんな安堵感と『子供』が出来ない身体という切なさに、
頭が混乱していた。
女性として子供産むなんてありえない。
でも自分の子供は欲しい。
だから、すぐ治療って踏み切るコトができなかった。
51 卍寺 2007/10/30(Tue) 21:54
「・・と・・とりあえず。親と相談してみます。」
「そうですか・・わかりました。
あと、コレをさしあげます。
使い方は説明書を読んでください。」
医者から手渡されたのは、可愛い花柄の袋だった。
中を覗くと、よく母さんが使っている生理用品というものが入っている。
目の前の現実に頭がおかしくなりそうだった。
とりあえず、仁にバレないようにカバンに乱暴へ突っ込んだ。
52 卍寺 2007/10/30(Tue) 21:55
卍 Aサイド
お風呂でカメの身体を見た時は、本当に驚いた。
最近、SEXを覚えたばかりだったが、
女性のソレよりはシンプルでキレイだと思った。
カメの媚肉にソッと手を伸ばした時、小さく震える身体と小さな声。
身体の奥がズクッと疼くのがわかった。
初めての感覚だった。
53 卍寺 2007/10/30(Tue) 21:57
カメがすぐ湯船に逃げ込んだから、冷静に戻れたが、
もう少し触れていたらっと思うと自分自身が恐くなった。
親友なのに、カメがあれだけ悩んでいるのに・・オレ・・最低じゃんか。
冷静を装って、悩んでるカメに親友として優しく言葉を選ぶ。
もちろん本心、神様の話だって嘘じゃない、
昔読んだ本に書いてあっただけだけど。
でも、脳裏にはさっきのカメのモノが頭をチラついて離れない。
カメが風呂から出て行ったあと、疼いた身体を冷水で冷やした。
この時の小さな心の火種は徐々に烈火の如く燃え上がり、
オレを・・そしてカメを苦しめていった。
54 卍寺 2007/10/30(Tue) 22:00
卍●卍●卍
今日はこの辺で・・。
今回はIS(両性体)の説明を入れてしまったので、
面白くもなんともないですね・・(><)
ごめんなさい。
次回は結構展開していきます。
それでは失礼します。
●卍●卍●
55 名無しさん 2007/10/30(Tue) 23:31
続きが気になります!!!
亀ちゃんも仁くんも大変だと思うけど頑張って欲しいですvvv
56 卍寺 2007/10/31(Wed) 21:06
☆55さま ありがとうございます。
どんどん、仁が我儘大王になっていくので、
ちょっと心配してます(><)
57 卍寺 2007/10/31(Wed) 21:08
●卍 続き更新させていただきます。
今回は仁の留学話や復帰の話など、流れでちょろっと出てきます。
苦手な方は気をつけてください。
仁がかなりの問題児です。 卍●
58 卍寺 2007/10/31(Wed) 21:09
卍 Kサイド
いつからだろう。
オレと仁の関係は目に見えて崩れていった。
原因はよくわからない。
オレなんか変なコト言って、仁を傷つけたのかもしれない。
最初の頃は理由を聞いたが、答えはいつも一緒。
「・・亀梨の気のせいじゃない?」
気のせいなんかじゃない。
何で『亀梨』なんて呼ぶんだよ。
59 卍寺 2007/10/31(Wed) 21:11
ケイタイかけても出ない。
メールも仕事関係以外は返事も返ってこない。
ファンやマスコミもオレ達の関係を囁き始めた。
『不仲説』
それから突然の赤西留学宣言。
60 卍寺 2007/10/31(Wed) 21:12
それを仲間の前で言った時、
聖は怒りで我を忘れたかのように、
赤西に向かって怒鳴っていた。
そんな聖を慰める田口。
中丸はただ挙動不審にオドオドするだけ。
上田なんて人ごとかのようにケイタイを弄くっていた。
オレはもう頭が真っ白で言葉が出てこない。
聖の怒鳴り声も耳に入ってこない。
テーブルの下にあった手だけは、冷たく震えていた。
削除スレッド移転スレッド削除
sage pre 等幅 書き込み後もこのスレッドに留まる
名前: メール:
私書箱ID:
■JUNE小説板に戻る■ ページの先頭まで飛ぶ
レスを全部見る 最新レス50件を見る 記事1-50を見る 50以降を見る
readres.cgi ver.1.64r
(c)megabbs (original)
■JUNE小説板に戻る■ 最後のレスまで飛ぶ レスを全部見る 最新レス50件を見る 記事1-50を見る
卍 不都合な真実 卍 (仁亀)
21 卍寺 2007/10/29(Mon) 21:09
「・・仁・・今日・・・泊まって行ける・・?」
「も、もちろん!!ちょ・・・おかんに電話しとくわ。」
仁は慌てて携帯を取り出すと、親に連絡をする。
オレも親にメールで仁が泊まるコトを伝えた。
仁になら・・、いや、仁には話しておいた方がいいと思った。
・・でもこの選択は間違いだった。
オレはこのことが、仁を壊してしまった原因だと知ったのは、
ずいぶん後だった。
22 卍寺 2007/10/29(Mon) 21:11
家につき、二人分の夕飯を部屋に運ぶ。
仁は愛想よくオレの家族に挨拶をすると、
そわそわとオレの後について来た。
「なんか・・久しぶりじゃん・・カメの家に泊まるの・・。」
「そうだな・・・とりあえず、夕飯食べちゃおう。」
夕飯はカレーだった。
話すタイミングがつかめず、ただ黙々と時間が過ぎていく。
「美味しいな・・カレー・・・♪」
仁は気まずい雰囲気の中、ひたすら夕飯を誉めていた。
オレは腹部の痛みで、食欲が無い。
23 卍寺 2007/10/29(Mon) 21:13
「・・仁さ・・・オレのことどう思ってる?」
いきなりの問いに仁は飲んでいた水を噴出した。
「ゴホッ・・・ふぇ・?いきなり何・・?」
「・・オレは仁を親友だと思ってるし、一番信頼してるよ!!」
「お、おれだってカメを親友と思ってるし、大切な存在!」
「オレさ・・もし普通じゃなくても嫌いにならない?」
「当たり前じゃん!!
もしカメが悪いことをしたとしても、
オレはカメを嫌いになんてならないよ。信じて・・・」
やっぱ、仁には言っておきたい。
24 卍寺 2007/10/29(Mon) 21:14
「よし!!今から一緒に風呂はいろ・・?」
「え・・狭くない?・・・男二人だよ?・・。」
「いいから・・・来いよ・・。」
仁はちょっと困惑した顔をしていたが、頷いた。
25 卍寺 2007/10/29(Mon) 21:15
とりあえ先に風呂へ仁を入れ、
仁が入ったのを確認してから服を脱ぎ始めた。
血のついたトランクスをナイロン袋に入れ、ゴミ箱へ捨てる。
気味の悪いオレの身体・・・。
やっぱり言うのは不安だった。
風呂に入り、身体をお湯で流してから、
仁と向かい合わせになり浴槽へ沈んだ。
お湯がザバァーと排水溝へ流れていく。
「おお!!わりかし広いな・・カメの風呂。」
仁は無邪気に喜び、水鉄砲を手でつくりオレの顔に飛ばしてきた。
「わ・・やめろ!子供か!!お前は・・。
もういいから背中流してやる。出ろよ!」
「ほ~い。」
仁はイスに腰を下ろし背中を向け、
上機嫌に鼻歌を歌っていた。
26 卍寺 2007/10/29(Mon) 21:17
オレはスポンジに泡を立てながら、
まだ成長仕切れてない仁の身体を隅々洗う。
「お客さ~ん。痒いとこありませんか?」
「ありませーん。」
「では・・今度は前洗いますね~。こっち向いてください・・。」
「アホ!前はいいよ!!ほれ・・今度オレが洗ってやる。
スポンジ貸して。」
仁はオレからスポンジを取ると、反対向いてと言ってきた。
なかなか反対を向かない俺に仁は頭を傾げる。
オレはどうしても調べてみたかった。
もしかしたらオレだけじゃないかもしれない。
「仁!ごめん!!」
仁に怒られるのを覚悟で、思いっきり仁の足を持ち上げた。
27 卍寺 2007/10/29(Mon) 21:19
「わ・・・何すんだよ!!危ねぇなぁ!」
後ろに転ぶ寸前、オレは仁の手をとり足を下ろした。
少ししか見る時間なかったけど、
仁のケツと睾丸の間には何もなかった。
仁が怒ってるのがわかったけど、どうでも良かった。
やっぱショックすぎる。
「・・マジで何考えてるんだよ!恐かったぁ
・・・って・・カメ・・・お前・・・なんで泣いてるの?」
自分でも気がつかないうちに涙が零れていた。
不安で不安でしょうがない。
恐くて恐くて・・気が変になりそうだった。
28 卍寺 2007/10/29(Mon) 21:20
「仁・・やっぱオレ・・違う。
どうしよう・・オレ・・気持ち悪いよ・・どうしよう・・。」
「・・何が?・・言って?俺は絶対お前を裏切らないから!!
誰にも言えないことは、死んでも誰にも言わないから・・。
そんなに辛いならオレが少しでも負担してやるから・・。」
「・・・・・・・オレ・・両性体なんだって・・・・」
仁は意味がわからなのかキョトーンとしていた。
29 卍寺 2007/10/29(Mon) 21:22
「・・え?・・・どうゆうこと?」
「オレ男なんだけど、女でもあるみたでさ・・、
あの血・・生理だった。」
「・・・・は?・・・え・・・よくわからない・・」
オレは意を決して、足を広げ片足を胸に抱えた。
「・・まだ見てないんだけど、どうなってる?オレのココ・・」
いくら男同士といえ、あまりの恥ずかしさに顔が赤くなる。
それにも関わらず、仁は嫌な顔一つせず、そこを覗きこんでいた。
30 卍寺 2007/10/29(Mon) 21:23
「え・・・?あっ、本当だ・・これ・・女の子のだ・・・・。
普通の子よりはちょと小さいかな?・・触ってみてもいい?」
「え・・・?でも・・・・」
「・・大丈夫・・入れないから・・。」
露骨な言い方に、いっそう顔が赤くなりのぼせそうになる。
仁の指がソコを優しくなでていった。
「・・あっ・・・っ・・」
小さくもれた自分の声に、慌てて唇を噛締め、足をおろす。
「・・恥ずかしい・・もう・・いいだろ。」
オレは慌てて立ち上がり湯船に浸かる。
31 名無しさん 2007/10/29(Mon) 21:30
凄いーーーー!
大好きな感じで頼みです!頑張て下さい!
楽しみにしています。
32 卍寺 2007/10/29(Mon) 21:30
卍●卍●卍
すんごい途中なのですが、今日はこの辺で・・。
進み具合が悪いですね・・(><)
それでは失礼します。
●卍●卍●
33 卍寺 2007/10/29(Mon) 21:32
☆31さま 拙い文章ですが、また読んでください。
ありがとうございます。
34 ゆめ 2007/10/29(Mon) 21:34
なんか新感覚の設定がいいですね!!
それにしても亀ちゃん・・・辛いんだろうな・・・
そこはしっかり仁が支えないと!!
でも現在の仁は、今の仁じゃないし・・・
とにかくハッピーエンドを祈ります♪
次の更新、楽しみに待ってます!
35 あか 2007/10/29(Mon) 21:47
続きが読みたいです!!!!!!!!
36 名無しさん 2007/10/29(Mon) 21:52
うわぁ~素敵ですよー!
上手いの一言ですー♪
ドキドキで…す…
早く続きがまちどーしーです。
37 名無しさん 2007/10/29(Mon) 23:59
続き気になります(*○>UAGE!!
38 2007/10/30(Tue) 02:08
すっごい気になる!
続きが楽しみ~
39 黒狐 2007/10/30(Tue) 16:03
卍寺さま、またお邪魔させていただきました!
まさかのりょ、両生体ネタがっ!!
ファンタジーやSFじゃ良く見かけるこのネタで仁亀小説を読めるなんて…
卍寺さま有難うございます!!(笑
うはーこれからどうなるんでしょう!?めっちゃ続きが楽しみです♪
40 卍寺 2007/10/30(Tue) 21:38
☆ゆめさま ありがとうございます。
もちろん最後はハッピーエンド確実ですよ(^^)
☆あかさま 続き書かせていただきます。
なかなかHシーンまではじれったいかもしれませんが(--;)
がんばりますVV
☆36さま ドキドキ・・・私もドキドキ(><)
☆37さま AGEありがとうです♪
続き書きますが、まだなかなか進まないかも(汗)
☆38さま わぁ~ありがとうございます♪
☆黒狐さま 二度目のレスありがとうです(^^)
両性ネタ・・ずっと書きたかったのです(苦笑)
読んでくださってうれしいです。
削除スレッド移転スレッド削除
sage pre 等幅 書き込み後もこのスレッドに留まる
名前: メール:
私書箱ID:
■JUNE小説板に戻る■ ページの先頭まで飛ぶ
レスを全部見る 最新レス50件を見る 記事1-50を見る 50以降を見る
readres.cgi ver.1.64r
(c)megabbs (original)
卍 不都合な真実 卍 (仁亀)
21 卍寺 2007/10/29(Mon) 21:09
「・・仁・・今日・・・泊まって行ける・・?」
「も、もちろん!!ちょ・・・おかんに電話しとくわ。」
仁は慌てて携帯を取り出すと、親に連絡をする。
オレも親にメールで仁が泊まるコトを伝えた。
仁になら・・、いや、仁には話しておいた方がいいと思った。
・・でもこの選択は間違いだった。
オレはこのことが、仁を壊してしまった原因だと知ったのは、
ずいぶん後だった。
22 卍寺 2007/10/29(Mon) 21:11
家につき、二人分の夕飯を部屋に運ぶ。
仁は愛想よくオレの家族に挨拶をすると、
そわそわとオレの後について来た。
「なんか・・久しぶりじゃん・・カメの家に泊まるの・・。」
「そうだな・・・とりあえず、夕飯食べちゃおう。」
夕飯はカレーだった。
話すタイミングがつかめず、ただ黙々と時間が過ぎていく。
「美味しいな・・カレー・・・♪」
仁は気まずい雰囲気の中、ひたすら夕飯を誉めていた。
オレは腹部の痛みで、食欲が無い。
23 卍寺 2007/10/29(Mon) 21:13
「・・仁さ・・・オレのことどう思ってる?」
いきなりの問いに仁は飲んでいた水を噴出した。
「ゴホッ・・・ふぇ・?いきなり何・・?」
「・・オレは仁を親友だと思ってるし、一番信頼してるよ!!」
「お、おれだってカメを親友と思ってるし、大切な存在!」
「オレさ・・もし普通じゃなくても嫌いにならない?」
「当たり前じゃん!!
もしカメが悪いことをしたとしても、
オレはカメを嫌いになんてならないよ。信じて・・・」
やっぱ、仁には言っておきたい。
24 卍寺 2007/10/29(Mon) 21:14
「よし!!今から一緒に風呂はいろ・・?」
「え・・狭くない?・・・男二人だよ?・・。」
「いいから・・・来いよ・・。」
仁はちょっと困惑した顔をしていたが、頷いた。
25 卍寺 2007/10/29(Mon) 21:15
とりあえ先に風呂へ仁を入れ、
仁が入ったのを確認してから服を脱ぎ始めた。
血のついたトランクスをナイロン袋に入れ、ゴミ箱へ捨てる。
気味の悪いオレの身体・・・。
やっぱり言うのは不安だった。
風呂に入り、身体をお湯で流してから、
仁と向かい合わせになり浴槽へ沈んだ。
お湯がザバァーと排水溝へ流れていく。
「おお!!わりかし広いな・・カメの風呂。」
仁は無邪気に喜び、水鉄砲を手でつくりオレの顔に飛ばしてきた。
「わ・・やめろ!子供か!!お前は・・。
もういいから背中流してやる。出ろよ!」
「ほ~い。」
仁はイスに腰を下ろし背中を向け、
上機嫌に鼻歌を歌っていた。
26 卍寺 2007/10/29(Mon) 21:17
オレはスポンジに泡を立てながら、
まだ成長仕切れてない仁の身体を隅々洗う。
「お客さ~ん。痒いとこありませんか?」
「ありませーん。」
「では・・今度は前洗いますね~。こっち向いてください・・。」
「アホ!前はいいよ!!ほれ・・今度オレが洗ってやる。
スポンジ貸して。」
仁はオレからスポンジを取ると、反対向いてと言ってきた。
なかなか反対を向かない俺に仁は頭を傾げる。
オレはどうしても調べてみたかった。
もしかしたらオレだけじゃないかもしれない。
「仁!ごめん!!」
仁に怒られるのを覚悟で、思いっきり仁の足を持ち上げた。
27 卍寺 2007/10/29(Mon) 21:19
「わ・・・何すんだよ!!危ねぇなぁ!」
後ろに転ぶ寸前、オレは仁の手をとり足を下ろした。
少ししか見る時間なかったけど、
仁のケツと睾丸の間には何もなかった。
仁が怒ってるのがわかったけど、どうでも良かった。
やっぱショックすぎる。
「・・マジで何考えてるんだよ!恐かったぁ
・・・って・・カメ・・・お前・・・なんで泣いてるの?」
自分でも気がつかないうちに涙が零れていた。
不安で不安でしょうがない。
恐くて恐くて・・気が変になりそうだった。
28 卍寺 2007/10/29(Mon) 21:20
「仁・・やっぱオレ・・違う。
どうしよう・・オレ・・気持ち悪いよ・・どうしよう・・。」
「・・何が?・・言って?俺は絶対お前を裏切らないから!!
誰にも言えないことは、死んでも誰にも言わないから・・。
そんなに辛いならオレが少しでも負担してやるから・・。」
「・・・・・・・オレ・・両性体なんだって・・・・」
仁は意味がわからなのかキョトーンとしていた。
29 卍寺 2007/10/29(Mon) 21:22
「・・え?・・・どうゆうこと?」
「オレ男なんだけど、女でもあるみたでさ・・、
あの血・・生理だった。」
「・・・・は?・・・え・・・よくわからない・・」
オレは意を決して、足を広げ片足を胸に抱えた。
「・・まだ見てないんだけど、どうなってる?オレのココ・・」
いくら男同士といえ、あまりの恥ずかしさに顔が赤くなる。
それにも関わらず、仁は嫌な顔一つせず、そこを覗きこんでいた。
30 卍寺 2007/10/29(Mon) 21:23
「え・・・?あっ、本当だ・・これ・・女の子のだ・・・・。
普通の子よりはちょと小さいかな?・・触ってみてもいい?」
「え・・・?でも・・・・」
「・・大丈夫・・入れないから・・。」
露骨な言い方に、いっそう顔が赤くなりのぼせそうになる。
仁の指がソコを優しくなでていった。
「・・あっ・・・っ・・」
小さくもれた自分の声に、慌てて唇を噛締め、足をおろす。
「・・恥ずかしい・・もう・・いいだろ。」
オレは慌てて立ち上がり湯船に浸かる。
31 名無しさん 2007/10/29(Mon) 21:30
凄いーーーー!
大好きな感じで頼みです!頑張て下さい!
楽しみにしています。
32 卍寺 2007/10/29(Mon) 21:30
卍●卍●卍
すんごい途中なのですが、今日はこの辺で・・。
進み具合が悪いですね・・(><)
それでは失礼します。
●卍●卍●
33 卍寺 2007/10/29(Mon) 21:32
☆31さま 拙い文章ですが、また読んでください。
ありがとうございます。
34 ゆめ 2007/10/29(Mon) 21:34
なんか新感覚の設定がいいですね!!
それにしても亀ちゃん・・・辛いんだろうな・・・
そこはしっかり仁が支えないと!!
でも現在の仁は、今の仁じゃないし・・・
とにかくハッピーエンドを祈ります♪
次の更新、楽しみに待ってます!
35 あか 2007/10/29(Mon) 21:47
続きが読みたいです!!!!!!!!
36 名無しさん 2007/10/29(Mon) 21:52
うわぁ~素敵ですよー!
上手いの一言ですー♪
ドキドキで…す…
早く続きがまちどーしーです。
37 名無しさん 2007/10/29(Mon) 23:59
続き気になります(*○>UAGE!!
38 2007/10/30(Tue) 02:08
すっごい気になる!
続きが楽しみ~
39 黒狐 2007/10/30(Tue) 16:03
卍寺さま、またお邪魔させていただきました!
まさかのりょ、両生体ネタがっ!!
ファンタジーやSFじゃ良く見かけるこのネタで仁亀小説を読めるなんて…
卍寺さま有難うございます!!(笑
うはーこれからどうなるんでしょう!?めっちゃ続きが楽しみです♪
40 卍寺 2007/10/30(Tue) 21:38
☆ゆめさま ありがとうございます。
もちろん最後はハッピーエンド確実ですよ(^^)
☆あかさま 続き書かせていただきます。
なかなかHシーンまではじれったいかもしれませんが(--;)
がんばりますVV
☆36さま ドキドキ・・・私もドキドキ(><)
☆37さま AGEありがとうです♪
続き書きますが、まだなかなか進まないかも(汗)
☆38さま わぁ~ありがとうございます♪
☆黒狐さま 二度目のレスありがとうです(^^)
両性ネタ・・ずっと書きたかったのです(苦笑)
読んでくださってうれしいです。
削除スレッド移転スレッド削除
sage pre 等幅 書き込み後もこのスレッドに留まる
名前: メール:
私書箱ID:
■JUNE小説板に戻る■ ページの先頭まで飛ぶ
レスを全部見る 最新レス50件を見る 記事1-50を見る 50以降を見る
readres.cgi ver.1.64r
(c)megabbs (original)
■JUNE小説板に戻る■ 最後のレスまで飛ぶ レスを全部見る 最新レス50件を見る 記事1-50を見る
卍 不都合な真実 卍 (仁亀)
1 卍寺 2007/10/29(Mon) 02:02
(粗筋・キャッチなど)
初めまして、卍寺といいます。
この板で書くのは初めてで、緊張してます。
誤字脱字など読みにくいところもたくさんあるとおもいますので、
はじめに謝らせてください。
結構小心者なので心の広い方、もし良かったら読んでみてください。
卍 内容
仁亀メインで、仁が亀に対してちょっと酷いかもです。
また亀は両性体設定にしてます。
妊娠等する可能性もあります。
そうゆうのに嫌悪感示す方は、絶対に読まないで下さい。
両生体についても実際とは違ったり、仁や亀の時間設定もずれてたりします。
あくまで妄想小説です。
また前半はHシーンほぼ無いですが、後半はちょろっと痛い系のHシーンでてきます。
現実と区別つきにくい方も読まれないほうがいいと思います。
最終的には確実ハッピーエンドです!!
(作品傾向:純愛)(方式:長編)
(★このスレは簡易削除モードに設定されました)
2 卍寺 2007/10/29(Mon) 02:05
<現在>
卍 Kサイド
楽屋のドアを開けると赤西が帰る準備をしていた。
「他のメンバーは・・?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
・・シカトかよ・・・・・まぁいいけど、いつものコトだし。
3 卍寺 2007/10/29(Mon) 02:09
気まずい空気の中、オレも帰る準備を始める。
今日に限ってマネに呼び止められ、オレだけ仕事の打ち合わせが長引いてしまった。
もう皆帰ったと思ったのに。
よりによって赤西がまだ残ってるなんて、ついてない・・。
「・・亀梨・・・明日オフだろ?・・オレはこの後Pとメシ食いに行ってくるから、オレのマンションへ帰ってて・・。」
赤西は事務的にそれだけ言うと、ポケットから家のカギを取り出し、オレに渡す。
「・・わかった。・・じゃぁ・・迎えは・・何時くらいに行けばいい・・?」
手渡された冷たい鍵をきつく握り締め、ジーンズのポケットへ突っ込んだ。
「いちいちさぁ・・めんどくせぇこと聞いてんじゃねぇよ・・。」
4 卍寺 2007/10/29(Mon) 02:11
赤西はイライラと自分の髪をかき上げながら、楽屋のドアを乱暴に開ける。
「・・ごめん・・・」
オレはこれ以上赤西を怒らせないように、さっさと着替える。
赤西はドアを開けたまま、しばらく立ち止まっていると、いきなり着ていたジャケットを脱ぎはじめた。
「・・これ・・帰ったらクローゼットに掛けといて・・。
たたんだりするとシワになるからさ・・着ていけよ・・。」
「・・わかった・・。でも・・外・・」
最後まで言い切らないうちに、赤西はさっさと楽屋を出て行った。
冬がすぐ目の前に来てるような寒い夜だった・・。
「・・・なんで・・変なとこ優しいんだよ・・・。
なんで憎ませてくれねぇんだよ・・。」
胸に抱いた赤西のジャケットは、当たり前だけど赤西の匂いがして・・。
心が苦しくなった。
5 卍寺 2007/10/29(Mon) 02:14
卍卍卍
赤西のジャケットを着込んで、駐車場へ向かう。
外は本当に寒くて、吐く息が白かった。
「・・あいつ寒がりなのに・・。」
6 卍寺 2007/10/29(Mon) 02:16
車の中に流れてくる赤西の好きな洋楽を聴きながら、
にぎやかな街のネオンを見つめる。
あの頃から変わることのない、この街のネオン。
「カメ・・・絶対TOPアイドルになろうな!!」
「おう!!当たり前。仁とオレなら世界征服も夢じゃねぇーよ。」
「・・プッ・・お前の夢はでかすぎ・・。
でもKAT-TUNを一流にしよな・・。」
変わったのはオレ達の関係・・。
あの頃は良きライバルで、親友だったのに、
今はKAT-TUNのメンバーであると同時に赤西専属のマネージャーのようなコトをしている・・・・・・。
「・・・・ジン・・・・・・・・」
オレしかいないこの密室で、呼ぶことの無くなったあいつの名前を呼んでみた。
7 卍寺 2007/10/29(Mon) 02:19
<過去*回想>
卍 Kサイド
オレの身体には誰にも言えないヒミツがある。
8 卍寺 2007/10/29(Mon) 02:20
15歳の誕生日を迎えてすぐだった。
ダンスのレッスンの最中、腹部の鈍痛に耐えられなくなってしゃがみこんだ。
「・・カメ・・!どうした?」
仁が心配そうに覗きこむ。
先生もオレに気がついてダンスを止めた。
「亀梨・・どうした。」
「先生・・カメ・・腹が痛いみたいです。」
9 卍寺 2007/10/29(Mon) 02:23
ジッとおれの様子を伺っていた先生は、仁に楽屋まで付き添ってやれ。
とだけ言い再び他のジュニアと共にダンスを再会した。
「・・カメ・・行くぞ・・。」
「・・ごめん・・・練習の邪魔して・・・」
「気にすんな・・むしろちょっとサボれてラッキー・・」
クスと笑いながら仁の肩に捕まり、楽屋へ向かう。
楽屋へついたとたん、オレはソファに倒れこんだ。
「・・・・あ!!!血・・血が出てるじゃん・・カメ!」
仁はうつ伏せに丸まってるオレに指を刺す。
10 卍寺 2007/10/29(Mon) 02:26
「・・え・・・・どこ・・・?」
「ジャージのズボン・・・・ケツの辺り・・」
言われた辺りを触ると、本当に手に血がついたので慌ててズボンを脱いでみた。
トランクスが血で紅く染まっていて、あまりのショックに泣きたくなる。
「・・ど・・・ど・・・しよ・・オレ・・死・・・・
「うわー!!カメが死んじゃう・・っ・・・・・・ど、どうしよう・・。
あっ・・・・・カ、カ、カメ・・・早く病院行こうっ・・ね・・・オ、オレも一緒に行くから・・。」」
オレが泣く前に、仁があまりに動揺するので、逆に慰めるはめになった。
「・・仁・・大丈夫だよ・・・。」
「ちょっと待ってて・・・。
あっ、そこにオレ新しいトランクスあるから使って」
そう言うと慌てて楽屋を出て行く。
11 卍寺 2007/10/29(Mon) 02:28
しばらくして、息を切らした仁が戻ってきた。
「はぁ・・はぁ・・・行くぞ・・カメ・・・。
事務所からお前の保険証貰ってきた・・。病院行くぞ・・。」
こうゆう業界だ、何か事故が起きたときすぐ病院へ向かえるよう、
全員分の保険証を事務所で預かっているのだ。
あまりに急なことで、病院へ行くのが恐い。
12 卍寺 2007/10/29(Mon) 02:30
「・・え・・・明日行くからいいよ・・・・・・」
「何言ってんだ!!何かあったらどーすんだよ!
早めに行った方がいいんだよ!」
強引に手を引かれ、近くの総合病院へ向かった。
13 卍寺 2007/10/29(Mon) 02:34
卍●卍●卍
えっと・・こんな感じの内容です。
今回の更新はこの辺りで・・・。
心臓ばくばくしてます。
内容の細部について、細かい突っ込みはご勘弁を(><)
それではおやすみなさい。
●卍●卍●
14 2007/10/29(Mon) 02:44
おもしろいですよー
続き楽しみです!
15 名無しさん 2007/10/29(Mon) 06:27
卍寺様 面白そう!続きが楽しみです!
16 黒狐 2007/10/29(Mon) 10:02
腹部に鈍痛…血…も、もしやあれですか!!??
亀ちゃんの身に何が起こってるんでしょう!?
続きが気になります!がんばってください♪
17 卍寺 2007/10/29(Mon) 20:58
☆14さま すごい元気の出る言葉、ありがとうございます♪
☆15さま 少しでも期待にそえられるよう、努力します♪
☆黒狐さま アレですね(笑)
読みにくいとこも沢山あるかもしれませんが、頑張ります。
18 卍寺 2007/10/29(Mon) 21:01
●卍 続きを書かせていただきます 卍●
19 卍寺 2007/10/29(Mon) 21:02
検査は結構長い時間かかった。
病院へついてから6時間・・・医者に挨拶をして会計へ向かった。
仁は長いすにもたれかかって眠っている。
オレはこの検査結果を伝えるのが、恐かった。
20 卍寺 2007/10/29(Mon) 21:04
会計をすませたあと、仁の隣に腰をおろし、
しばらく気持ちに整理をつけていた。
外も薄暗くなり、病院の中も人がだんだん少なくなってくる。
オレは仁を揺すって声をかけた。
「・・・ん・・・・あ・・カメ・・・・」
「・・・・・仁・・・待たせてごめん・・そろそろ行こうか・・・。」
帰り道、二人の間にしばらく沈黙が続いた。
仁がチラチラ様子を伺っているのがわかっていたが、
何て説明していいかわからない。
「・・カメ・・・大丈夫・・・だった?」
「うん・・・・生死に関わる問題ではなかったけど・・・・」
「けど・・・・・・?」
「・・・・・・・・・・・・・。」
言葉を選んでいるうちに、また沈黙が長くなっていった。
削除スレッド移転スレッド削除
sage pre 等幅 書き込み後もこのスレッドに留まる
名前: メール:
私書箱ID:
■JUNE小説板に戻る■ ページの先頭まで飛ぶ
レスを全部見る 最新レス50件を見る 記事1-50を見る 50以降を見る
readres.cgi ver.1.64r
(c)megabbs (original)
卍 不都合な真実 卍 (仁亀)
1 卍寺 2007/10/29(Mon) 02:02
(粗筋・キャッチなど)
初めまして、卍寺といいます。
この板で書くのは初めてで、緊張してます。
誤字脱字など読みにくいところもたくさんあるとおもいますので、
はじめに謝らせてください。
結構小心者なので心の広い方、もし良かったら読んでみてください。
卍 内容
仁亀メインで、仁が亀に対してちょっと酷いかもです。
また亀は両性体設定にしてます。
妊娠等する可能性もあります。
そうゆうのに嫌悪感示す方は、絶対に読まないで下さい。
両生体についても実際とは違ったり、仁や亀の時間設定もずれてたりします。
あくまで妄想小説です。
また前半はHシーンほぼ無いですが、後半はちょろっと痛い系のHシーンでてきます。
現実と区別つきにくい方も読まれないほうがいいと思います。
最終的には確実ハッピーエンドです!!
(作品傾向:純愛)(方式:長編)
(★このスレは簡易削除モードに設定されました)
2 卍寺 2007/10/29(Mon) 02:05
<現在>
卍 Kサイド
楽屋のドアを開けると赤西が帰る準備をしていた。
「他のメンバーは・・?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
・・シカトかよ・・・・・まぁいいけど、いつものコトだし。
3 卍寺 2007/10/29(Mon) 02:09
気まずい空気の中、オレも帰る準備を始める。
今日に限ってマネに呼び止められ、オレだけ仕事の打ち合わせが長引いてしまった。
もう皆帰ったと思ったのに。
よりによって赤西がまだ残ってるなんて、ついてない・・。
「・・亀梨・・・明日オフだろ?・・オレはこの後Pとメシ食いに行ってくるから、オレのマンションへ帰ってて・・。」
赤西は事務的にそれだけ言うと、ポケットから家のカギを取り出し、オレに渡す。
「・・わかった。・・じゃぁ・・迎えは・・何時くらいに行けばいい・・?」
手渡された冷たい鍵をきつく握り締め、ジーンズのポケットへ突っ込んだ。
「いちいちさぁ・・めんどくせぇこと聞いてんじゃねぇよ・・。」
4 卍寺 2007/10/29(Mon) 02:11
赤西はイライラと自分の髪をかき上げながら、楽屋のドアを乱暴に開ける。
「・・ごめん・・・」
オレはこれ以上赤西を怒らせないように、さっさと着替える。
赤西はドアを開けたまま、しばらく立ち止まっていると、いきなり着ていたジャケットを脱ぎはじめた。
「・・これ・・帰ったらクローゼットに掛けといて・・。
たたんだりするとシワになるからさ・・着ていけよ・・。」
「・・わかった・・。でも・・外・・」
最後まで言い切らないうちに、赤西はさっさと楽屋を出て行った。
冬がすぐ目の前に来てるような寒い夜だった・・。
「・・・なんで・・変なとこ優しいんだよ・・・。
なんで憎ませてくれねぇんだよ・・。」
胸に抱いた赤西のジャケットは、当たり前だけど赤西の匂いがして・・。
心が苦しくなった。
5 卍寺 2007/10/29(Mon) 02:14
卍卍卍
赤西のジャケットを着込んで、駐車場へ向かう。
外は本当に寒くて、吐く息が白かった。
「・・あいつ寒がりなのに・・。」
6 卍寺 2007/10/29(Mon) 02:16
車の中に流れてくる赤西の好きな洋楽を聴きながら、
にぎやかな街のネオンを見つめる。
あの頃から変わることのない、この街のネオン。
「カメ・・・絶対TOPアイドルになろうな!!」
「おう!!当たり前。仁とオレなら世界征服も夢じゃねぇーよ。」
「・・プッ・・お前の夢はでかすぎ・・。
でもKAT-TUNを一流にしよな・・。」
変わったのはオレ達の関係・・。
あの頃は良きライバルで、親友だったのに、
今はKAT-TUNのメンバーであると同時に赤西専属のマネージャーのようなコトをしている・・・・・・。
「・・・・ジン・・・・・・・・」
オレしかいないこの密室で、呼ぶことの無くなったあいつの名前を呼んでみた。
7 卍寺 2007/10/29(Mon) 02:19
<過去*回想>
卍 Kサイド
オレの身体には誰にも言えないヒミツがある。
8 卍寺 2007/10/29(Mon) 02:20
15歳の誕生日を迎えてすぐだった。
ダンスのレッスンの最中、腹部の鈍痛に耐えられなくなってしゃがみこんだ。
「・・カメ・・!どうした?」
仁が心配そうに覗きこむ。
先生もオレに気がついてダンスを止めた。
「亀梨・・どうした。」
「先生・・カメ・・腹が痛いみたいです。」
9 卍寺 2007/10/29(Mon) 02:23
ジッとおれの様子を伺っていた先生は、仁に楽屋まで付き添ってやれ。
とだけ言い再び他のジュニアと共にダンスを再会した。
「・・カメ・・行くぞ・・。」
「・・ごめん・・・練習の邪魔して・・・」
「気にすんな・・むしろちょっとサボれてラッキー・・」
クスと笑いながら仁の肩に捕まり、楽屋へ向かう。
楽屋へついたとたん、オレはソファに倒れこんだ。
「・・・・あ!!!血・・血が出てるじゃん・・カメ!」
仁はうつ伏せに丸まってるオレに指を刺す。
10 卍寺 2007/10/29(Mon) 02:26
「・・え・・・・どこ・・・?」
「ジャージのズボン・・・・ケツの辺り・・」
言われた辺りを触ると、本当に手に血がついたので慌ててズボンを脱いでみた。
トランクスが血で紅く染まっていて、あまりのショックに泣きたくなる。
「・・ど・・・ど・・・しよ・・オレ・・死・・・・
「うわー!!カメが死んじゃう・・っ・・・・・・ど、どうしよう・・。
あっ・・・・・カ、カ、カメ・・・早く病院行こうっ・・ね・・・オ、オレも一緒に行くから・・。」」
オレが泣く前に、仁があまりに動揺するので、逆に慰めるはめになった。
「・・仁・・大丈夫だよ・・・。」
「ちょっと待ってて・・・。
あっ、そこにオレ新しいトランクスあるから使って」
そう言うと慌てて楽屋を出て行く。
11 卍寺 2007/10/29(Mon) 02:28
しばらくして、息を切らした仁が戻ってきた。
「はぁ・・はぁ・・・行くぞ・・カメ・・・。
事務所からお前の保険証貰ってきた・・。病院行くぞ・・。」
こうゆう業界だ、何か事故が起きたときすぐ病院へ向かえるよう、
全員分の保険証を事務所で預かっているのだ。
あまりに急なことで、病院へ行くのが恐い。
12 卍寺 2007/10/29(Mon) 02:30
「・・え・・・明日行くからいいよ・・・・・・」
「何言ってんだ!!何かあったらどーすんだよ!
早めに行った方がいいんだよ!」
強引に手を引かれ、近くの総合病院へ向かった。
13 卍寺 2007/10/29(Mon) 02:34
卍●卍●卍
えっと・・こんな感じの内容です。
今回の更新はこの辺りで・・・。
心臓ばくばくしてます。
内容の細部について、細かい突っ込みはご勘弁を(><)
それではおやすみなさい。
●卍●卍●
14 2007/10/29(Mon) 02:44
おもしろいですよー
続き楽しみです!
15 名無しさん 2007/10/29(Mon) 06:27
卍寺様 面白そう!続きが楽しみです!
16 黒狐 2007/10/29(Mon) 10:02
腹部に鈍痛…血…も、もしやあれですか!!??
亀ちゃんの身に何が起こってるんでしょう!?
続きが気になります!がんばってください♪
17 卍寺 2007/10/29(Mon) 20:58
☆14さま すごい元気の出る言葉、ありがとうございます♪
☆15さま 少しでも期待にそえられるよう、努力します♪
☆黒狐さま アレですね(笑)
読みにくいとこも沢山あるかもしれませんが、頑張ります。
18 卍寺 2007/10/29(Mon) 21:01
●卍 続きを書かせていただきます 卍●
19 卍寺 2007/10/29(Mon) 21:02
検査は結構長い時間かかった。
病院へついてから6時間・・・医者に挨拶をして会計へ向かった。
仁は長いすにもたれかかって眠っている。
オレはこの検査結果を伝えるのが、恐かった。
20 卍寺 2007/10/29(Mon) 21:04
会計をすませたあと、仁の隣に腰をおろし、
しばらく気持ちに整理をつけていた。
外も薄暗くなり、病院の中も人がだんだん少なくなってくる。
オレは仁を揺すって声をかけた。
「・・・ん・・・・あ・・カメ・・・・」
「・・・・・仁・・・待たせてごめん・・そろそろ行こうか・・・。」
帰り道、二人の間にしばらく沈黙が続いた。
仁がチラチラ様子を伺っているのがわかっていたが、
何て説明していいかわからない。
「・・カメ・・・大丈夫・・・だった?」
「うん・・・・生死に関わる問題ではなかったけど・・・・」
「けど・・・・・・?」
「・・・・・・・・・・・・・。」
言葉を選んでいるうちに、また沈黙が長くなっていった。
削除スレッド移転スレッド削除
sage pre 等幅 書き込み後もこのスレッドに留まる
名前: メール:
私書箱ID:
■JUNE小説板に戻る■ ページの先頭まで飛ぶ
レスを全部見る 最新レス50件を見る 記事1-50を見る 50以降を見る
readres.cgi ver.1.64r
(c)megabbs (original)
ふたりLesson
最後に残されるのはいつも俺だという気がする。
嫌味とか自分を卑下してとかじゃなく、それは事実として。
あの人はさっきまで柔らかい体をゆったりその辺に預けていたはずなのに、ふと見ると、いつの間にかどこまでも行っていて、あやうく姿を見失いそうになることが、時々。
無事に捕まえるたび、胸を撫で下ろす。
静かなやわらかいネコの匂い。
手触りのいい雲みたい。
白い。
言ったら、「なにそれ」、と少しタチの悪そうな笑いを見せて、それで、すぐに忘れてしまうんだろう。
リーダーが舞台の製作発表をやったというのを聞いて、俺はさっそく携帯Webの会見レポートを読むことにした。
目新しいことは特になかった。
大体本人から聞いていたことばかりだったし。
でも字面で読むと、確定事項として目に見えてなんか安心できる。
カンフー超得意じゃん。よかったな、楽勝だろ。
同じスタッフと三回目だしね。
慣れたカンパニーでのびのびやれるなら、余計なことに神経使わず芝居に集中できるだろう。
慣れない環境でピリピリすんのも成長できていいと思うけど…。
彼氏としては避けたいわけだ。
なぜかと言うと、難しい所にぶちあたってる時やしんどい時は、あの人連絡取れなくなる。音信不通。
メールも電話も完無視される。ってことが分かってからは、もう送らないけど。
俺はその間ひとりで仏像みたいに携帯持って憮然としてます。
ようやく帰ってきたときは、あいつは変わらずへらへらしてます。
『大事な電話だったらどうするんだよ』
『あー…そしたらマネージャーに伝言するっしょ』
伝言なんかするか馬鹿。
元気かよ? ってききてぇだけなんだよこっちは。
つうか生きて仕事行ってる事ぐらい、本人に電話しなくてもそれこそマネ経由で即分かるんだよ。
なんか軽くイライラしながら画面をスクロールしていくうちに、目新しい情報が脳に飛び込んできた。
その部分は、まったく、初耳だった。
…ふーん。
ラブシーン。
似合あわねぇー。
てか、稽古をビデオ撮りして復習する…って、そこそんな重要なのかよ。
死ぬほど練習しなきゃいけないのは殺陣だろ、他の役者との呼吸とかタイミングとかさ。
俺はWebの接続を切ってマネージャーに電話した。
こないだの会見の映像をくれと言ったら、パソコンに転送してくれることになった。
で、それを見てから出かけた。
ちょっと間が悪いとは自分でも思った。
久しぶりに智と二人で会ってから、そのままお互い仕事に行く予定だった。
俺はデート前になに無駄にナイーブになってんだ。
相手役の女優は綺麗な子だった。
「なに買ったの?」
「板と塗料とー、マスキングテープ」
「なにに使うの」
「えー、いろいろ。曲線をぴったり塗るのに便利なんだよ」
色を塗るのにテープがなんでいるのかよく分からなかった。いつもだったら分かるまで訊くんだけど、俺はてんで上の空でそれはもうどうでもよかった。
一度会計を済ませたのにまだ棚の間をうろうろする智のうなじを後ろから見ていた。
キャップかぶって、短い襟足の髪が押さえつけられてぎゅっとその下から覗いていて、パーカーのフードが後ろにぐっと下がってるから、白いうなじが結構な面積むき出しだ。
シルバーのチェーンが一筋、首に掛かっているのが見える。
前に俺があげたやつ。
なんで鎖だけで分かるかって、智はこれ以外ほとんどネックレス持ってないし。
俺がプレゼントしたのはチェーンがちょっと変わっていてすぐ分かる。
二人で会うときは、なるべく、付けてきてくれる。
この人が忘れなきゃだけど。
「まだなんか欲しいの?」
「キリないんだよなぁ。みてるとどれも欲しくなっちゃうしさー」
「分かる」
「だろっ?」
智は振り返って笑った。
今日、この店入ってから初めて俺の顔見た。
茶色のくりっとした目。
俺あんたのパーツどれも好きだけど、やっぱ目が超かわいいよ。
うなじとセットで。
「松本さんなんか買わねぇの?」
「見てるのは楽しいけど買っても使う場面がない」
つうか、画材屋でMAXイキイキしてるあんたを見てるのが楽しい。
「マジかよ、和紙とかすげぇ食いついてたじゃん」
「ああ…あーいう模様の行灯とかあったら綺麗だろうなって」
「あんどん?! あー、なんか作れそう~!」
作っちゃえるんだろうな、さくっと。
「すっげシュールな行灯できそう」
「普通に売ってるみたいなの作ったっておもしろくねぇだろ」
うふふと笑う。
なんかを作ること考え出すとそれでもう頭一杯になっちゃう智の肩をポンと抱くと、びくっと俺を見上げた。
「まだなんか見たい?」
「あ、うん。もういいよアリガト。また明日来るかもしんないし」
は?
「明日来るのになんで今日俺と来たの?」
「…明日つってもちょっとまだわかんないし、今日、来たかったんだもん…」
段々語尾が小さくなる。
えーと、この店飛ばせばプラス30分はゆっくりメシ食えたんですけど。
あんたは舞台稽古、俺はもうすぐドラマ撮りに入る。次に俺らの予定が合う日が来るのは、明日のあんたの予定より不確定で、ぶっちゃけ、俺はすごく二人でいる時間が貴重だ。まぁ今も二人といえばそうだけど、ここにいた間、あんたの意識は95%画材にロックオンで、俺はいてもいなくても関係ないよな。
さすがに空気を読んだか、智は少しひっそりした様子で俺を見上げる。
そして、なぁ、と呟いた。
「ごはん、何食う?」
「…和食でいい?」
「うん、和食がいい」
早く食おう、すぐ食おう、みたいに輝く目。
だから俺はこいつに飯を食わせるのが好きだ。
それにね…うまいものを食べながら怒り続けるっていうのは難しいな、と思った。
目の前に好きな人がいて。
しかもそいつはさっきのことなんかさっぱり知らないみたいに、目を細めてうまいうまいと炊き込みご飯をほおばっている。
何を食ってもうまいと言うのは番組上のキャラだけじゃなくて割と普段もだけど、本当に味オンチかというと少し違くて、リアルにウマいものを口にしたときは「うまい」の響きが実に溌剌として、ピカピカしてる。それは冷や飯と炊き立てのご飯ぐらい違う。
食ってるときと寝てるときのこの人は最高に幸せそうな子供だ。(作っているときもそうかもしれないが、俺はほとんど見たことがない)。俺の3コ上ってどんな魔法だよ。
飯に夢中かとおもえば、智はふと俺の手元を覗き込んだ。
「まつもっさん、くわねぇの?」
「…食ってるよ。あ、この牡蠣うまい。食う?」
「食う! ちょっとでいいよ~」
昼と夕方の間、変な時間に、他に一組しか客の居ない和食屋の隅っこ。
二人で遅い朝昼ご飯を平らげる。
ぱらっとメニューを見て、智は「ここ日本酒揃ってるなー」と飲みたそうな顔をした。
「今度夜来よう。奥に小上がりあるから予約しとけばそっちで食えるよ」
俺の言葉に、うん、と頷いて、智は微笑んだ。
「なに?」
「えー、よかったなぁと思って」
「なにが?」
「松本さんが上がってきた」
「…そう?」
「うん。今日会ったときからなんか機嫌悪かったから」
責めるでもなくそう言う智に、ぐっと飯が喉につかえた気がした。
煎茶を一口飲みこんで、俺は箸を置いた。
「舞台、がんばれよ」
「え? うん。…がんばるけど」
自分でも出し抜けすぎたと思うセリフに、当然智も面食らったみたいで、困ったように笑った。
あ、このふにゃふにゃした笑顔を間近で独占して見られるのもしばらくないな、と思ったら、とてつもなく、愛おしくなった。
あの柔らかいピンクの唇。
…なに悠長にメシとか食ってんだ俺。
こんなことなら朝からどっか連れ込めばよかった。
「さと…」
「あのさぁ」
言いかけた言葉は、俯き加減の智の小さな声にさえぎられた。
「…それってどうやんの?」
「は?」
なんかしらんが、智はテーブルの向こうで挙動不審だ。
シラフなのになんでちょっとほっぺ赤くしてんの。平熱でも微熱呼ばわりされる潤みぎみの目が、おもいきり俺から反れて泳いでる。
「なに、どした」
「だから…なんでいつもそーやって、いきなりエロい目とかできんのって」
「エロ…いつ?! いま?」
声が裏返りそうになった。やべぇ。
智は唇を尖らせて愚痴るように言う。
「いますぐ食わせろみてぇなさぁ…ずりーよ~」
ずるいのか? それが。
そんな顔に出てたかと思うと、うっかりこっちも赤面しそうになって、とりあえず無造作に椅子に置かれている智のバッグとかを凝視してみた。
…あ、大丈夫そう。
肘を突いて智の方に身を乗り出した。
「…しょうがなくね? そういう気分て、突然来るじゃん」
智がこっちを見る。
にこっと笑って見せた。
智は何かムッとしたように眉を寄せ、なのにますます目が潤んで見える。
…なんだよ。そっちこそ分かってねぇし。
あんたこそ普段子供みたいな顔しといてさ…。
「…自信ねぇ~」
急に両手で顔の脇を押さえて、智が弱い声を出した。
なんとなく分かったが、「なんの?」と知らん振りして訊く。
智はぼそぼそと白状し出した。
「舞台…相手役の子と、あるわけさ…絡みが…」
「ふーん。前もちょろっとあったじゃん」
わざとわからないフリをする。智はイラッとしたらしかった。
「違う。今度はもっとはっきりしたの…だって」
なかなか『ラブシーン』とはいえない智が、俺はおかしくてしょうがなかった。一応あるのかね、なんか、俺に対する気兼ねみたいなの。
つか、仕事だろ。って、さっきまでの自分をタナに上げて、俺は智を勇気付けたくなった。
「楽しみじゃん。俺、最前で見ようかな」
智は潤んだ目でじろっと俺を見る。顔を押さえていた両手がいつのまにかグーになってる。
「…んなことしたら絶交だ」
思わず吹いた。絶交って。小学生かよ。
「俺、智のチュー顔好きなんだもん」
「チューするなんていってねぇだろ!」
「ないの? キスシーン」
なかったらラブシーンでもなんでもねぇだろ。
智は詰まって、そして認めた。
「…わかんねぇ。ある…らしい」
「あるんじゃん。なにそんなイヤがってんの」
「イヤがってない」
あ、そう。いやそこはイヤがれよ。俺の前だけでも。
「じゃ、なんで困ってんの」
智はいろいろ抵抗するのを諦めたようで、湯飲みをのろのろ掴んで、お茶を一口啜った。
「やったことないから…わかんねぇんだよ」
「いつも俺としてるでしょ」
「芝居でだよ! おめーバカだろっ」
あー、キレた。
基本温厚なんだけど、智はたまにガラが悪くなるというか江戸っ子みたいになる。別に下町育ちでもないのに。
超かわいい。
「智」
「…」
「さーとーし」
「なんだよ」
どうしようどうしよう言ってうろうろしてる迷子の子猫ちゃん。
…は嫌がるか。じゃ、おっきい猫さん。
猫さとしさん。
あんたが困ったときに助けたがる人はいっぱいいるけど、とりあえず、その誰にも付いていくなよ? 俺が行くまで。
「なぁ」
「なんだよ」
「練習したらいいんじゃない? 俺と」
ハートをつけて言ったら、智は目を丸くして俺を見て、それからへっと笑った。
「…なんだその豪華な練習」
とか言って、微妙に赤いほっぺ。
急に嬉しくなった。
湯飲みを握ったままの智の手と、湯のみと、それぞれ掴んでそっと離させた。
腕の時計を見て考える。
「ギリ何時入りなら間に合う? 今日」
「…えっと…」
智の予定と自分の予定、移動時間まで考えると、あと正味一時間もない。が。
「だいじょぶ。全然イケるわ」
「え、なにが?」
立ち上がった俺をぼうっと見上げる智を、俺は目力こめて見返した。
「もう、ごちそうさまだよな?」
「…うん、ごちそーさま」
智はこくんと頷き、俺について素直に席を立った。
多少びっくりしたみたいだけど、智は嫌がりはしなかった。
逆に、連れてこられたホテルの窓に額をつけて外を見ながら、「松本さんはかっけぇなぁ…」とか言ってる。
そうか? これかなりカッコ悪いと思うけど。
「こっち来て。時間ない」
「ないって、どんくらい?」
智は時計をしてない。
「にじゅう…ご、分ぐらいかな。ここにいれるの。俺のが先に出ることになる」
「マジもったいねぇ~! それで一泊分の金払うのかよっ」
智は本気で呆れた風に俺を見る。
「俺が払うんだよ」
「おまえ金銭感覚ぶっこわれてる」
「いーから来いって」
ラブホならもっと安いのにとかなんとかぶつぶつ言いながら、智は少し翳ってきた窓から離れて、ソファに座る俺のところまで来た。
こんな明るいうちから男連れでラブホなんか行けるか。カラオケ屋もバツ。店員が来るあの微妙な間とか気にしてる時間の余裕がないし。
金なんかどうだっていい。なんのために稼いでんだ。
好きなときに好きなこと好きなようにやるための金なんだから。
「とかいってるうちに五分ぐらい使っちゃったじゃん」
「すっげ、時は金なりだ」
智は目を見開いて俺の隣に座り、それからふと肩を丸めて、ふふっと笑った。
「…おもしれぇ」
俺の太ももにぽん、と手を置く。
軽く首をかしげて、俺を斜めから覗き込む、茶色い目。
「ちゅー、しねぇの?」
意識してるんだかしてないのか、ものすごく、甘い。
「俺からしたら意味なくね?」
「…そか」
智はいまさら納得したように、真面目な顔をして俺を見る。
「セリフは?」
「まだそこまで覚えてない」
「じゃなんか適当にアドリブで」
「えー…ムズいな~」
智は少し考えていたが、また、戸惑うような笑みを浮かべて俺を見た。
「ちょ…待って、やっぱいきなりは入りづれぇよ」
「おまえプロだろ、やれ」
あー、弱い。我ながら超今更感だ。
元をただせばただのスケベ根性なわけで。突っ込まれるまで言わないけどそれは。
智は「ええ~」と口を尖らせて、それから目を伏せた。
「とりあえず普通にしようよ。一回」
つるりとした瞳が睫毛の向こうに覗いていて、目蓋の中の暗がりから、ちらりとこっちを伺う。
ヤバイ、と思う。
さっきからこの人になんかしたくて、そんで薄暗い場所で二人きりになって、でもあれこれフルコースでやる時間は全然なくて、それなのに智はもう、俺の前でその気になってしまった。
誰も見たことないと思うし、死んでも見せないけど、俺とキスやエッチしたくなってるときの智は一発でそれと分かる匂いをさせて、えろい。
できるだけ何気なく無造作に智の頬に手を添えてキスをした。
記憶通りに柔らかい唇を、軽く二、三回ついばんで離す。
離れても智はすぐには目を開けなかった。
「智?」
と、ふにっと唇が笑う。
それから目を開けて俺を見て、智は「よし」と言った。
「よしなんだ?」
「うん、分かった」
「…なにが分かったのか俺は全然分かんないけど」
まぁいいや、と思っていると、智は俺の肩を押さえつけてソファに深く沈むようにさせた。それから俺の膝に横抱きの形で座ってくる。
ちょっとこれは、このまま、普通に、いただきたい…。
「ダメ」
「え」
エスパー?!
「エロい顔すんな。少し恥ずかしそうにしてくんねぇ? 女の子なんだから」
普通にダメ出しして、智はなんだか得意げに俺の肩に腕を回し、俺を見下ろす。
あ、なに、俺女役か。
え、そうか、これ伸長差ってこと?
それじゃ頑張ろ。
俺は抱き寄せられるまま智の胸に頬をうずめた。
「あたしたち、これからどうなるの?」
って、そんな話か知らねぇけど。やばい笑いそう。
智も噴出すだろうなと思ったのに。
笑わなかった。
ぎゅっと頭を抱きしめられた。
一言落ちる声。
「俺にもわからない」
…それは、そんなに芝居がかってる声ではなくて。
舞台で放たれるには張りが弱い、でも智の普段の話し方とは明らかに違う響きだった。
おれにもわからない。
ああ、この人にもわからない、誰も知らないのだという悲しい迷子のような気持ちに、連れて行かれる。
両手で、しがみつくようにして彼を抱きしめた。
「もう、会えないのかな」
それは何故かお別れのキスのような気がしていた。
だから、そう言ったのかもしれない。
最後のキスをしてもらいたくて。
けれど彼は俺を抱いたまま、ふと明るく笑った。
「あはは、なんで? 会えなくなったりしないよ」
髪をなでる手。
「一緒にいくんだろ?」
一緒に?
そうか、行くんだ。二人で。
髪に頬を押し当て、彼が願うように言う。
「…きてくれるだろ?」
黙って頷いた。
ぎゅっと抱きしめる腕に力がこもる。
この人を安心させてあげられた。よかったと思う。
彼の手がうなじから顎へ滑り込んでくる。顔を上げさせられて、髪を撫で付けられ、ああ顔が見たいと思ったけど、そのまますりつけられた額と、最初から深く重なった唇に、叶わない。
きっと初めてのキスなんだろうけど、俺たちはよく知ってる。
入り込んでくる柔らかい舌。
唇と舌、触りあって、馴染む熱い感触に体の隙間がじわりと汗ばむ。
顔にかかる短い息使い、指も胸も熱い。
守るように抱きしめてくれる体が可愛くて、もっといっぱい触りたい。
腰に腕を回したタイミングで、自分のパンツに入れていた携帯がいきなり振動した。
智がびくっと体を起こし、俺たちは慌てて離れた。
「やっべ、時間」
夢中になって遅刻なんて目も当てられないと思って、アラームかけといたのにほんと助けられたというか邪魔されたというか…。
でもマジやばかった。
智に全部持っていかれて気持ちよく飛んじゃった。こえーこえー。
まだ胸がドキドキと早い俺とは反対に、智はあっさりした顔ですとんと俺の膝から降りて、背伸びをする。
「おーしごーとデース」
「って、智も出ないと」
「俺の方が近いし、ちょっとまだ余裕あるから。お前先行きな」
チェックアウト俺がしとくよ、と智が言う。
「大して変わらねぇだろ。一緒に…って、バラの方がいいか…」
ラブホじゃないけど、さっき入ってった二人がものの30分で即出てくって、なぁ。智も苦笑めいた表情だ。
「うん。だからほら」
俺をドアの方に押していって、智はそういえばさっきから俺の顔を見ないな、と思う。
「あんたも遅れんなよ? あ、金、これでね」
「お釣りは貰っちゃお~」
「なんでだよ。…いいけど。じゃ稽古がんばれよ、またあとでメールするから」
「分かったよー。早く行けよ」
笑いながら、でもなんでさっきから俺の靴ばかり見てるの。
「智」
顎を取って軽く口付ける。
「好きだよ。…じゃ行ってきます」
ドアを閉めながら、赤い顔をして丸い目で俺を睨む智に笑いかけ、俺はホテルの固い絨毯の上を走った。
本当は、あと1分でいいから一緒にいれたらいいのにな。
それでも10分遅刻して、道路が混んでたとベタな言い訳で頭を下げて、取材、また取材。
だから俺は全然しらなかった。
下手したらそろそろ日付が変わるってころにやっと自由の身になって、俺はとにかく携帯を開いた。
受信メールをあけると珍しく智から。
『仕事終了。待ってま~す(ハート)』
添付ファイルあり
スクロールすると。
なんだか見覚えがあるようなソファに、これでもかみたいにけだるく体を投げ出した智。白いバスローブ、肩半分出てますけど。
それだけやった上に、というかやりすぎて、サミー全開みたいな眉を寄せたうっふん顔。
残念なことにエロさは空振り、ぶさカワイイ。
俺は荷物持ったまま一人の控え室で携帯片手に爆笑した。
速攻掛けたら、聞いてるくせに(いや寝てたかも?)6コールくらいでやっと本人が。
『おっす、こん・ばん・みー!』
「…おまえ飲んでんだろ?」
『シ・ラ・フ・でーす!』
うひひと向こう側で笑う声。
「びっくりしたわ、ちょっと、おい」
智は今度は声を潜めて、まるで携帯に内緒話でも吹き込むように小さく笑う。
『チャックアウトしちゃうのもったいなかったんだもん…。もう、家帰っちゃった?』
「…まだ」
そか、と静かな声。
『こっち来る?』
ぞくぞくっときた。
ずるい。あんたはほんとに、ずるい。一緒に行くんだと言ったり、先に行けと言ったり、なのに最後は、「来てくれ」ではなくて。
ただ来るのかどうか、の質問。
「…寝るなよ? 20分ぐらいで着くから」
その答えは、智の気に入ったらしかった。携帯の向こうでニヤニヤした声を出す。
『えー…そんなかかんのぉ。待てねぇなー、ひとりでしてよっかなぁ』
困った人だ本当に。
どうしたら俺がますますあんたに落ちるのか、全部知ってるんだろうって、問い詰めたくなる。
俺はまたしてもスタジオの廊下を走って表に飛び出しながら、智を脅した。
「いいけど…やるならそれ、ムービーで撮って送れよ? じゃないとすげぇ目に合わす」
『うっわ、出た。ヘンタイ。ドS』
言うだけ言って、智はぷっつり黙った。どした?とこっちがタクシーを止めながら息を切らして問うと、今度は少し、泣きそうな声が聞こえた。しかもドンッと壁を蹴るような音まで聞こえる。
『…もー! ほんと俺、我慢しすぎて、も…バカッおまえのせいだんな!』
ベッドに転がって駄々っ子モード発動で壁に足技をかましてるのが目に浮かぶって。
「あと10分。智」
『チューとかしたからだかんな、マジむかつくっ』
「大好き、でしょ」
『…』
「聞いてる? あと7分ぐらい」
『潤』
はやくこい、それだけ言って、通話は切れた。
…ずるい。
あんたは本当に、俺の骨を一本残らず溶かしてなくしてしまう方法知ってるくせに。
そして最後の最後には惜しげもなくそれを使いまくってさ。
ずるいだろ。
だから、今日悪いのは俺かもしれないけど、ワルなのはあんただから。
俺なんかバカのひとつ覚えですから。
好きだ、ぐらいしかないから。
ありったけ、かわりばえもせずそれだけ持って、大事なネコさんのところに、いま帰るよ。
最後に残されるのはいつも俺だという気がする。
嫌味とか自分を卑下してとかじゃなく、それは事実として。
あの人はさっきまで柔らかい体をゆったりその辺に預けていたはずなのに、ふと見ると、いつの間にかどこまでも行っていて、あやうく姿を見失いそうになることが、時々。
無事に捕まえるたび、胸を撫で下ろす。
静かなやわらかいネコの匂い。
手触りのいい雲みたい。
白い。
言ったら、「なにそれ」、と少しタチの悪そうな笑いを見せて、それで、すぐに忘れてしまうんだろう。
リーダーが舞台の製作発表をやったというのを聞いて、俺はさっそく携帯Webの会見レポートを読むことにした。
目新しいことは特になかった。
大体本人から聞いていたことばかりだったし。
でも字面で読むと、確定事項として目に見えてなんか安心できる。
カンフー超得意じゃん。よかったな、楽勝だろ。
同じスタッフと三回目だしね。
慣れたカンパニーでのびのびやれるなら、余計なことに神経使わず芝居に集中できるだろう。
慣れない環境でピリピリすんのも成長できていいと思うけど…。
彼氏としては避けたいわけだ。
なぜかと言うと、難しい所にぶちあたってる時やしんどい時は、あの人連絡取れなくなる。音信不通。
メールも電話も完無視される。ってことが分かってからは、もう送らないけど。
俺はその間ひとりで仏像みたいに携帯持って憮然としてます。
ようやく帰ってきたときは、あいつは変わらずへらへらしてます。
『大事な電話だったらどうするんだよ』
『あー…そしたらマネージャーに伝言するっしょ』
伝言なんかするか馬鹿。
元気かよ? ってききてぇだけなんだよこっちは。
つうか生きて仕事行ってる事ぐらい、本人に電話しなくてもそれこそマネ経由で即分かるんだよ。
なんか軽くイライラしながら画面をスクロールしていくうちに、目新しい情報が脳に飛び込んできた。
その部分は、まったく、初耳だった。
…ふーん。
ラブシーン。
似合あわねぇー。
てか、稽古をビデオ撮りして復習する…って、そこそんな重要なのかよ。
死ぬほど練習しなきゃいけないのは殺陣だろ、他の役者との呼吸とかタイミングとかさ。
俺はWebの接続を切ってマネージャーに電話した。
こないだの会見の映像をくれと言ったら、パソコンに転送してくれることになった。
で、それを見てから出かけた。
ちょっと間が悪いとは自分でも思った。
久しぶりに智と二人で会ってから、そのままお互い仕事に行く予定だった。
俺はデート前になに無駄にナイーブになってんだ。
相手役の女優は綺麗な子だった。
「なに買ったの?」
「板と塗料とー、マスキングテープ」
「なにに使うの」
「えー、いろいろ。曲線をぴったり塗るのに便利なんだよ」
色を塗るのにテープがなんでいるのかよく分からなかった。いつもだったら分かるまで訊くんだけど、俺はてんで上の空でそれはもうどうでもよかった。
一度会計を済ませたのにまだ棚の間をうろうろする智のうなじを後ろから見ていた。
キャップかぶって、短い襟足の髪が押さえつけられてぎゅっとその下から覗いていて、パーカーのフードが後ろにぐっと下がってるから、白いうなじが結構な面積むき出しだ。
シルバーのチェーンが一筋、首に掛かっているのが見える。
前に俺があげたやつ。
なんで鎖だけで分かるかって、智はこれ以外ほとんどネックレス持ってないし。
俺がプレゼントしたのはチェーンがちょっと変わっていてすぐ分かる。
二人で会うときは、なるべく、付けてきてくれる。
この人が忘れなきゃだけど。
「まだなんか欲しいの?」
「キリないんだよなぁ。みてるとどれも欲しくなっちゃうしさー」
「分かる」
「だろっ?」
智は振り返って笑った。
今日、この店入ってから初めて俺の顔見た。
茶色のくりっとした目。
俺あんたのパーツどれも好きだけど、やっぱ目が超かわいいよ。
うなじとセットで。
「松本さんなんか買わねぇの?」
「見てるのは楽しいけど買っても使う場面がない」
つうか、画材屋でMAXイキイキしてるあんたを見てるのが楽しい。
「マジかよ、和紙とかすげぇ食いついてたじゃん」
「ああ…あーいう模様の行灯とかあったら綺麗だろうなって」
「あんどん?! あー、なんか作れそう~!」
作っちゃえるんだろうな、さくっと。
「すっげシュールな行灯できそう」
「普通に売ってるみたいなの作ったっておもしろくねぇだろ」
うふふと笑う。
なんかを作ること考え出すとそれでもう頭一杯になっちゃう智の肩をポンと抱くと、びくっと俺を見上げた。
「まだなんか見たい?」
「あ、うん。もういいよアリガト。また明日来るかもしんないし」
は?
「明日来るのになんで今日俺と来たの?」
「…明日つってもちょっとまだわかんないし、今日、来たかったんだもん…」
段々語尾が小さくなる。
えーと、この店飛ばせばプラス30分はゆっくりメシ食えたんですけど。
あんたは舞台稽古、俺はもうすぐドラマ撮りに入る。次に俺らの予定が合う日が来るのは、明日のあんたの予定より不確定で、ぶっちゃけ、俺はすごく二人でいる時間が貴重だ。まぁ今も二人といえばそうだけど、ここにいた間、あんたの意識は95%画材にロックオンで、俺はいてもいなくても関係ないよな。
さすがに空気を読んだか、智は少しひっそりした様子で俺を見上げる。
そして、なぁ、と呟いた。
「ごはん、何食う?」
「…和食でいい?」
「うん、和食がいい」
早く食おう、すぐ食おう、みたいに輝く目。
だから俺はこいつに飯を食わせるのが好きだ。
それにね…うまいものを食べながら怒り続けるっていうのは難しいな、と思った。
目の前に好きな人がいて。
しかもそいつはさっきのことなんかさっぱり知らないみたいに、目を細めてうまいうまいと炊き込みご飯をほおばっている。
何を食ってもうまいと言うのは番組上のキャラだけじゃなくて割と普段もだけど、本当に味オンチかというと少し違くて、リアルにウマいものを口にしたときは「うまい」の響きが実に溌剌として、ピカピカしてる。それは冷や飯と炊き立てのご飯ぐらい違う。
食ってるときと寝てるときのこの人は最高に幸せそうな子供だ。(作っているときもそうかもしれないが、俺はほとんど見たことがない)。俺の3コ上ってどんな魔法だよ。
飯に夢中かとおもえば、智はふと俺の手元を覗き込んだ。
「まつもっさん、くわねぇの?」
「…食ってるよ。あ、この牡蠣うまい。食う?」
「食う! ちょっとでいいよ~」
昼と夕方の間、変な時間に、他に一組しか客の居ない和食屋の隅っこ。
二人で遅い朝昼ご飯を平らげる。
ぱらっとメニューを見て、智は「ここ日本酒揃ってるなー」と飲みたそうな顔をした。
「今度夜来よう。奥に小上がりあるから予約しとけばそっちで食えるよ」
俺の言葉に、うん、と頷いて、智は微笑んだ。
「なに?」
「えー、よかったなぁと思って」
「なにが?」
「松本さんが上がってきた」
「…そう?」
「うん。今日会ったときからなんか機嫌悪かったから」
責めるでもなくそう言う智に、ぐっと飯が喉につかえた気がした。
煎茶を一口飲みこんで、俺は箸を置いた。
「舞台、がんばれよ」
「え? うん。…がんばるけど」
自分でも出し抜けすぎたと思うセリフに、当然智も面食らったみたいで、困ったように笑った。
あ、このふにゃふにゃした笑顔を間近で独占して見られるのもしばらくないな、と思ったら、とてつもなく、愛おしくなった。
あの柔らかいピンクの唇。
…なに悠長にメシとか食ってんだ俺。
こんなことなら朝からどっか連れ込めばよかった。
「さと…」
「あのさぁ」
言いかけた言葉は、俯き加減の智の小さな声にさえぎられた。
「…それってどうやんの?」
「は?」
なんかしらんが、智はテーブルの向こうで挙動不審だ。
シラフなのになんでちょっとほっぺ赤くしてんの。平熱でも微熱呼ばわりされる潤みぎみの目が、おもいきり俺から反れて泳いでる。
「なに、どした」
「だから…なんでいつもそーやって、いきなりエロい目とかできんのって」
「エロ…いつ?! いま?」
声が裏返りそうになった。やべぇ。
智は唇を尖らせて愚痴るように言う。
「いますぐ食わせろみてぇなさぁ…ずりーよ~」
ずるいのか? それが。
そんな顔に出てたかと思うと、うっかりこっちも赤面しそうになって、とりあえず無造作に椅子に置かれている智のバッグとかを凝視してみた。
…あ、大丈夫そう。
肘を突いて智の方に身を乗り出した。
「…しょうがなくね? そういう気分て、突然来るじゃん」
智がこっちを見る。
にこっと笑って見せた。
智は何かムッとしたように眉を寄せ、なのにますます目が潤んで見える。
…なんだよ。そっちこそ分かってねぇし。
あんたこそ普段子供みたいな顔しといてさ…。
「…自信ねぇ~」
急に両手で顔の脇を押さえて、智が弱い声を出した。
なんとなく分かったが、「なんの?」と知らん振りして訊く。
智はぼそぼそと白状し出した。
「舞台…相手役の子と、あるわけさ…絡みが…」
「ふーん。前もちょろっとあったじゃん」
わざとわからないフリをする。智はイラッとしたらしかった。
「違う。今度はもっとはっきりしたの…だって」
なかなか『ラブシーン』とはいえない智が、俺はおかしくてしょうがなかった。一応あるのかね、なんか、俺に対する気兼ねみたいなの。
つか、仕事だろ。って、さっきまでの自分をタナに上げて、俺は智を勇気付けたくなった。
「楽しみじゃん。俺、最前で見ようかな」
智は潤んだ目でじろっと俺を見る。顔を押さえていた両手がいつのまにかグーになってる。
「…んなことしたら絶交だ」
思わず吹いた。絶交って。小学生かよ。
「俺、智のチュー顔好きなんだもん」
「チューするなんていってねぇだろ!」
「ないの? キスシーン」
なかったらラブシーンでもなんでもねぇだろ。
智は詰まって、そして認めた。
「…わかんねぇ。ある…らしい」
「あるんじゃん。なにそんなイヤがってんの」
「イヤがってない」
あ、そう。いやそこはイヤがれよ。俺の前だけでも。
「じゃ、なんで困ってんの」
智はいろいろ抵抗するのを諦めたようで、湯飲みをのろのろ掴んで、お茶を一口啜った。
「やったことないから…わかんねぇんだよ」
「いつも俺としてるでしょ」
「芝居でだよ! おめーバカだろっ」
あー、キレた。
基本温厚なんだけど、智はたまにガラが悪くなるというか江戸っ子みたいになる。別に下町育ちでもないのに。
超かわいい。
「智」
「…」
「さーとーし」
「なんだよ」
どうしようどうしよう言ってうろうろしてる迷子の子猫ちゃん。
…は嫌がるか。じゃ、おっきい猫さん。
猫さとしさん。
あんたが困ったときに助けたがる人はいっぱいいるけど、とりあえず、その誰にも付いていくなよ? 俺が行くまで。
「なぁ」
「なんだよ」
「練習したらいいんじゃない? 俺と」
ハートをつけて言ったら、智は目を丸くして俺を見て、それからへっと笑った。
「…なんだその豪華な練習」
とか言って、微妙に赤いほっぺ。
急に嬉しくなった。
湯飲みを握ったままの智の手と、湯のみと、それぞれ掴んでそっと離させた。
腕の時計を見て考える。
「ギリ何時入りなら間に合う? 今日」
「…えっと…」
智の予定と自分の予定、移動時間まで考えると、あと正味一時間もない。が。
「だいじょぶ。全然イケるわ」
「え、なにが?」
立ち上がった俺をぼうっと見上げる智を、俺は目力こめて見返した。
「もう、ごちそうさまだよな?」
「…うん、ごちそーさま」
智はこくんと頷き、俺について素直に席を立った。
多少びっくりしたみたいだけど、智は嫌がりはしなかった。
逆に、連れてこられたホテルの窓に額をつけて外を見ながら、「松本さんはかっけぇなぁ…」とか言ってる。
そうか? これかなりカッコ悪いと思うけど。
「こっち来て。時間ない」
「ないって、どんくらい?」
智は時計をしてない。
「にじゅう…ご、分ぐらいかな。ここにいれるの。俺のが先に出ることになる」
「マジもったいねぇ~! それで一泊分の金払うのかよっ」
智は本気で呆れた風に俺を見る。
「俺が払うんだよ」
「おまえ金銭感覚ぶっこわれてる」
「いーから来いって」
ラブホならもっと安いのにとかなんとかぶつぶつ言いながら、智は少し翳ってきた窓から離れて、ソファに座る俺のところまで来た。
こんな明るいうちから男連れでラブホなんか行けるか。カラオケ屋もバツ。店員が来るあの微妙な間とか気にしてる時間の余裕がないし。
金なんかどうだっていい。なんのために稼いでんだ。
好きなときに好きなこと好きなようにやるための金なんだから。
「とかいってるうちに五分ぐらい使っちゃったじゃん」
「すっげ、時は金なりだ」
智は目を見開いて俺の隣に座り、それからふと肩を丸めて、ふふっと笑った。
「…おもしれぇ」
俺の太ももにぽん、と手を置く。
軽く首をかしげて、俺を斜めから覗き込む、茶色い目。
「ちゅー、しねぇの?」
意識してるんだかしてないのか、ものすごく、甘い。
「俺からしたら意味なくね?」
「…そか」
智はいまさら納得したように、真面目な顔をして俺を見る。
「セリフは?」
「まだそこまで覚えてない」
「じゃなんか適当にアドリブで」
「えー…ムズいな~」
智は少し考えていたが、また、戸惑うような笑みを浮かべて俺を見た。
「ちょ…待って、やっぱいきなりは入りづれぇよ」
「おまえプロだろ、やれ」
あー、弱い。我ながら超今更感だ。
元をただせばただのスケベ根性なわけで。突っ込まれるまで言わないけどそれは。
智は「ええ~」と口を尖らせて、それから目を伏せた。
「とりあえず普通にしようよ。一回」
つるりとした瞳が睫毛の向こうに覗いていて、目蓋の中の暗がりから、ちらりとこっちを伺う。
ヤバイ、と思う。
さっきからこの人になんかしたくて、そんで薄暗い場所で二人きりになって、でもあれこれフルコースでやる時間は全然なくて、それなのに智はもう、俺の前でその気になってしまった。
誰も見たことないと思うし、死んでも見せないけど、俺とキスやエッチしたくなってるときの智は一発でそれと分かる匂いをさせて、えろい。
できるだけ何気なく無造作に智の頬に手を添えてキスをした。
記憶通りに柔らかい唇を、軽く二、三回ついばんで離す。
離れても智はすぐには目を開けなかった。
「智?」
と、ふにっと唇が笑う。
それから目を開けて俺を見て、智は「よし」と言った。
「よしなんだ?」
「うん、分かった」
「…なにが分かったのか俺は全然分かんないけど」
まぁいいや、と思っていると、智は俺の肩を押さえつけてソファに深く沈むようにさせた。それから俺の膝に横抱きの形で座ってくる。
ちょっとこれは、このまま、普通に、いただきたい…。
「ダメ」
「え」
エスパー?!
「エロい顔すんな。少し恥ずかしそうにしてくんねぇ? 女の子なんだから」
普通にダメ出しして、智はなんだか得意げに俺の肩に腕を回し、俺を見下ろす。
あ、なに、俺女役か。
え、そうか、これ伸長差ってこと?
それじゃ頑張ろ。
俺は抱き寄せられるまま智の胸に頬をうずめた。
「あたしたち、これからどうなるの?」
って、そんな話か知らねぇけど。やばい笑いそう。
智も噴出すだろうなと思ったのに。
笑わなかった。
ぎゅっと頭を抱きしめられた。
一言落ちる声。
「俺にもわからない」
…それは、そんなに芝居がかってる声ではなくて。
舞台で放たれるには張りが弱い、でも智の普段の話し方とは明らかに違う響きだった。
おれにもわからない。
ああ、この人にもわからない、誰も知らないのだという悲しい迷子のような気持ちに、連れて行かれる。
両手で、しがみつくようにして彼を抱きしめた。
「もう、会えないのかな」
それは何故かお別れのキスのような気がしていた。
だから、そう言ったのかもしれない。
最後のキスをしてもらいたくて。
けれど彼は俺を抱いたまま、ふと明るく笑った。
「あはは、なんで? 会えなくなったりしないよ」
髪をなでる手。
「一緒にいくんだろ?」
一緒に?
そうか、行くんだ。二人で。
髪に頬を押し当て、彼が願うように言う。
「…きてくれるだろ?」
黙って頷いた。
ぎゅっと抱きしめる腕に力がこもる。
この人を安心させてあげられた。よかったと思う。
彼の手がうなじから顎へ滑り込んでくる。顔を上げさせられて、髪を撫で付けられ、ああ顔が見たいと思ったけど、そのまますりつけられた額と、最初から深く重なった唇に、叶わない。
きっと初めてのキスなんだろうけど、俺たちはよく知ってる。
入り込んでくる柔らかい舌。
唇と舌、触りあって、馴染む熱い感触に体の隙間がじわりと汗ばむ。
顔にかかる短い息使い、指も胸も熱い。
守るように抱きしめてくれる体が可愛くて、もっといっぱい触りたい。
腰に腕を回したタイミングで、自分のパンツに入れていた携帯がいきなり振動した。
智がびくっと体を起こし、俺たちは慌てて離れた。
「やっべ、時間」
夢中になって遅刻なんて目も当てられないと思って、アラームかけといたのにほんと助けられたというか邪魔されたというか…。
でもマジやばかった。
智に全部持っていかれて気持ちよく飛んじゃった。こえーこえー。
まだ胸がドキドキと早い俺とは反対に、智はあっさりした顔ですとんと俺の膝から降りて、背伸びをする。
「おーしごーとデース」
「って、智も出ないと」
「俺の方が近いし、ちょっとまだ余裕あるから。お前先行きな」
チェックアウト俺がしとくよ、と智が言う。
「大して変わらねぇだろ。一緒に…って、バラの方がいいか…」
ラブホじゃないけど、さっき入ってった二人がものの30分で即出てくって、なぁ。智も苦笑めいた表情だ。
「うん。だからほら」
俺をドアの方に押していって、智はそういえばさっきから俺の顔を見ないな、と思う。
「あんたも遅れんなよ? あ、金、これでね」
「お釣りは貰っちゃお~」
「なんでだよ。…いいけど。じゃ稽古がんばれよ、またあとでメールするから」
「分かったよー。早く行けよ」
笑いながら、でもなんでさっきから俺の靴ばかり見てるの。
「智」
顎を取って軽く口付ける。
「好きだよ。…じゃ行ってきます」
ドアを閉めながら、赤い顔をして丸い目で俺を睨む智に笑いかけ、俺はホテルの固い絨毯の上を走った。
本当は、あと1分でいいから一緒にいれたらいいのにな。
それでも10分遅刻して、道路が混んでたとベタな言い訳で頭を下げて、取材、また取材。
だから俺は全然しらなかった。
下手したらそろそろ日付が変わるってころにやっと自由の身になって、俺はとにかく携帯を開いた。
受信メールをあけると珍しく智から。
『仕事終了。待ってま~す(ハート)』
添付ファイルあり
スクロールすると。
なんだか見覚えがあるようなソファに、これでもかみたいにけだるく体を投げ出した智。白いバスローブ、肩半分出てますけど。
それだけやった上に、というかやりすぎて、サミー全開みたいな眉を寄せたうっふん顔。
残念なことにエロさは空振り、ぶさカワイイ。
俺は荷物持ったまま一人の控え室で携帯片手に爆笑した。
速攻掛けたら、聞いてるくせに(いや寝てたかも?)6コールくらいでやっと本人が。
『おっす、こん・ばん・みー!』
「…おまえ飲んでんだろ?」
『シ・ラ・フ・でーす!』
うひひと向こう側で笑う声。
「びっくりしたわ、ちょっと、おい」
智は今度は声を潜めて、まるで携帯に内緒話でも吹き込むように小さく笑う。
『チャックアウトしちゃうのもったいなかったんだもん…。もう、家帰っちゃった?』
「…まだ」
そか、と静かな声。
『こっち来る?』
ぞくぞくっときた。
ずるい。あんたはほんとに、ずるい。一緒に行くんだと言ったり、先に行けと言ったり、なのに最後は、「来てくれ」ではなくて。
ただ来るのかどうか、の質問。
「…寝るなよ? 20分ぐらいで着くから」
その答えは、智の気に入ったらしかった。携帯の向こうでニヤニヤした声を出す。
『えー…そんなかかんのぉ。待てねぇなー、ひとりでしてよっかなぁ』
困った人だ本当に。
どうしたら俺がますますあんたに落ちるのか、全部知ってるんだろうって、問い詰めたくなる。
俺はまたしてもスタジオの廊下を走って表に飛び出しながら、智を脅した。
「いいけど…やるならそれ、ムービーで撮って送れよ? じゃないとすげぇ目に合わす」
『うっわ、出た。ヘンタイ。ドS』
言うだけ言って、智はぷっつり黙った。どした?とこっちがタクシーを止めながら息を切らして問うと、今度は少し、泣きそうな声が聞こえた。しかもドンッと壁を蹴るような音まで聞こえる。
『…もー! ほんと俺、我慢しすぎて、も…バカッおまえのせいだんな!』
ベッドに転がって駄々っ子モード発動で壁に足技をかましてるのが目に浮かぶって。
「あと10分。智」
『チューとかしたからだかんな、マジむかつくっ』
「大好き、でしょ」
『…』
「聞いてる? あと7分ぐらい」
『潤』
はやくこい、それだけ言って、通話は切れた。
…ずるい。
あんたは本当に、俺の骨を一本残らず溶かしてなくしてしまう方法知ってるくせに。
そして最後の最後には惜しげもなくそれを使いまくってさ。
ずるいだろ。
だから、今日悪いのは俺かもしれないけど、ワルなのはあんただから。
俺なんかバカのひとつ覚えですから。
好きだ、ぐらいしかないから。
ありったけ、かわりばえもせずそれだけ持って、大事なネコさんのところに、いま帰るよ。
ふたりLesson
最後に残されるのはいつも俺だという気がする。
嫌味とか自分を卑下してとかじゃなく、それは事実として。
あの人はさっきまで柔らかい体をゆったりその辺に預けていたはずなのに、ふと見ると、いつの間にかどこまでも行っていて、あやうく姿を見失いそうになることが、時々。
無事に捕まえるたび、胸を撫で下ろす。
静かなやわらかいネコの匂い。
手触りのいい雲みたい。
白い。
言ったら、「なにそれ」、と少しタチの悪そうな笑いを見せて、それで、すぐに忘れてしまうんだろう。
リーダーが舞台の製作発表をやったというのを聞いて、俺はさっそく携帯Webの会見レポートを読むことにした。
目新しいことは特になかった。
大体本人から聞いていたことばかりだったし。
でも字面で読むと、確定事項として目に見えてなんか安心できる。
カンフー超得意じゃん。よかったな、楽勝だろ。
同じスタッフと三回目だしね。
慣れたカンパニーでのびのびやれるなら、余計なことに神経使わず芝居に集中できるだろう。
慣れない環境でピリピリすんのも成長できていいと思うけど…。
彼氏としては避けたいわけだ。
なぜかと言うと、難しい所にぶちあたってる時やしんどい時は、あの人連絡取れなくなる。音信不通。
メールも電話も完無視される。ってことが分かってからは、もう送らないけど。
俺はその間ひとりで仏像みたいに携帯持って憮然としてます。
ようやく帰ってきたときは、あいつは変わらずへらへらしてます。
『大事な電話だったらどうするんだよ』
『あー…そしたらマネージャーに伝言するっしょ』
伝言なんかするか馬鹿。
元気かよ? ってききてぇだけなんだよこっちは。
つうか生きて仕事行ってる事ぐらい、本人に電話しなくてもそれこそマネ経由で即分かるんだよ。
なんか軽くイライラしながら画面をスクロールしていくうちに、目新しい情報が脳に飛び込んできた。
その部分は、まったく、初耳だった。
…ふーん。
ラブシーン。
似合あわねぇー。
てか、稽古をビデオ撮りして復習する…って、そこそんな重要なのかよ。
死ぬほど練習しなきゃいけないのは殺陣だろ、他の役者との呼吸とかタイミングとかさ。
俺はWebの接続を切ってマネージャーに電話した。
こないだの会見の映像をくれと言ったら、パソコンに転送してくれることになった。
で、それを見てから出かけた。
ちょっと間が悪いとは自分でも思った。
久しぶりに智と二人で会ってから、そのままお互い仕事に行く予定だった。
俺はデート前になに無駄にナイーブになってんだ。
相手役の女優は綺麗な子だった。
「なに買ったの?」
「板と塗料とー、マスキングテープ」
「なにに使うの」
「えー、いろいろ。曲線をぴったり塗るのに便利なんだよ」
色を塗るのにテープがなんでいるのかよく分からなかった。いつもだったら分かるまで訊くんだけど、俺はてんで上の空でそれはもうどうでもよかった。
一度会計を済ませたのにまだ棚の間をうろうろする智のうなじを後ろから見ていた。
キャップかぶって、短い襟足の髪が押さえつけられてぎゅっとその下から覗いていて、パーカーのフードが後ろにぐっと下がってるから、白いうなじが結構な面積むき出しだ。
シルバーのチェーンが一筋、首に掛かっているのが見える。
前に俺があげたやつ。
なんで鎖だけで分かるかって、智はこれ以外ほとんどネックレス持ってないし。
俺がプレゼントしたのはチェーンがちょっと変わっていてすぐ分かる。
二人で会うときは、なるべく、付けてきてくれる。
この人が忘れなきゃだけど。
「まだなんか欲しいの?」
「キリないんだよなぁ。みてるとどれも欲しくなっちゃうしさー」
「分かる」
「だろっ?」
智は振り返って笑った。
今日、この店入ってから初めて俺の顔見た。
茶色のくりっとした目。
俺あんたのパーツどれも好きだけど、やっぱ目が超かわいいよ。
うなじとセットで。
「松本さんなんか買わねぇの?」
「見てるのは楽しいけど買っても使う場面がない」
つうか、画材屋でMAXイキイキしてるあんたを見てるのが楽しい。
「マジかよ、和紙とかすげぇ食いついてたじゃん」
「ああ…あーいう模様の行灯とかあったら綺麗だろうなって」
「あんどん?! あー、なんか作れそう~!」
作っちゃえるんだろうな、さくっと。
「すっげシュールな行灯できそう」
「普通に売ってるみたいなの作ったっておもしろくねぇだろ」
うふふと笑う。
なんかを作ること考え出すとそれでもう頭一杯になっちゃう智の肩をポンと抱くと、びくっと俺を見上げた。
「まだなんか見たい?」
「あ、うん。もういいよアリガト。また明日来るかもしんないし」
は?
「明日来るのになんで今日俺と来たの?」
「…明日つってもちょっとまだわかんないし、今日、来たかったんだもん…」
段々語尾が小さくなる。
えーと、この店飛ばせばプラス30分はゆっくりメシ食えたんですけど。
あんたは舞台稽古、俺はもうすぐドラマ撮りに入る。次に俺らの予定が合う日が来るのは、明日のあんたの予定より不確定で、ぶっちゃけ、俺はすごく二人でいる時間が貴重だ。まぁ今も二人といえばそうだけど、ここにいた間、あんたの意識は95%画材にロックオンで、俺はいてもいなくても関係ないよな。
さすがに空気を読んだか、智は少しひっそりした様子で俺を見上げる。
そして、なぁ、と呟いた。
「ごはん、何食う?」
「…和食でいい?」
「うん、和食がいい」
早く食おう、すぐ食おう、みたいに輝く目。
だから俺はこいつに飯を食わせるのが好きだ。
それにね…うまいものを食べながら怒り続けるっていうのは難しいな、と思った。
目の前に好きな人がいて。
しかもそいつはさっきのことなんかさっぱり知らないみたいに、目を細めてうまいうまいと炊き込みご飯をほおばっている。
何を食ってもうまいと言うのは番組上のキャラだけじゃなくて割と普段もだけど、本当に味オンチかというと少し違くて、リアルにウマいものを口にしたときは「うまい」の響きが実に溌剌として、ピカピカしてる。それは冷や飯と炊き立てのご飯ぐらい違う。
食ってるときと寝てるときのこの人は最高に幸せそうな子供だ。(作っているときもそうかもしれないが、俺はほとんど見たことがない)。俺の3コ上ってどんな魔法だよ。
飯に夢中かとおもえば、智はふと俺の手元を覗き込んだ。
「まつもっさん、くわねぇの?」
「…食ってるよ。あ、この牡蠣うまい。食う?」
「食う! ちょっとでいいよ~」
昼と夕方の間、変な時間に、他に一組しか客の居ない和食屋の隅っこ。
二人で遅い朝昼ご飯を平らげる。
ぱらっとメニューを見て、智は「ここ日本酒揃ってるなー」と飲みたそうな顔をした。
「今度夜来よう。奥に小上がりあるから予約しとけばそっちで食えるよ」
俺の言葉に、うん、と頷いて、智は微笑んだ。
「なに?」
「えー、よかったなぁと思って」
「なにが?」
「松本さんが上がってきた」
「…そう?」
「うん。今日会ったときからなんか機嫌悪かったから」
責めるでもなくそう言う智に、ぐっと飯が喉につかえた気がした。
煎茶を一口飲みこんで、俺は箸を置いた。
「舞台、がんばれよ」
「え? うん。…がんばるけど」
自分でも出し抜けすぎたと思うセリフに、当然智も面食らったみたいで、困ったように笑った。
あ、このふにゃふにゃした笑顔を間近で独占して見られるのもしばらくないな、と思ったら、とてつもなく、愛おしくなった。
あの柔らかいピンクの唇。
…なに悠長にメシとか食ってんだ俺。
こんなことなら朝からどっか連れ込めばよかった。
「さと…」
「あのさぁ」
言いかけた言葉は、俯き加減の智の小さな声にさえぎられた。
「…それってどうやんの?」
「は?」
なんかしらんが、智はテーブルの向こうで挙動不審だ。
シラフなのになんでちょっとほっぺ赤くしてんの。平熱でも微熱呼ばわりされる潤みぎみの目が、おもいきり俺から反れて泳いでる。
「なに、どした」
「だから…なんでいつもそーやって、いきなりエロい目とかできんのって」
「エロ…いつ?! いま?」
声が裏返りそうになった。やべぇ。
智は唇を尖らせて愚痴るように言う。
「いますぐ食わせろみてぇなさぁ…ずりーよ~」
ずるいのか? それが。
そんな顔に出てたかと思うと、うっかりこっちも赤面しそうになって、とりあえず無造作に椅子に置かれている智のバッグとかを凝視してみた。
…あ、大丈夫そう。
肘を突いて智の方に身を乗り出した。
「…しょうがなくね? そういう気分て、突然来るじゃん」
智がこっちを見る。
にこっと笑って見せた。
智は何かムッとしたように眉を寄せ、なのにますます目が潤んで見える。
…なんだよ。そっちこそ分かってねぇし。
あんたこそ普段子供みたいな顔しといてさ…。
「…自信ねぇ~」
急に両手で顔の脇を押さえて、智が弱い声を出した。
なんとなく分かったが、「なんの?」と知らん振りして訊く。
智はぼそぼそと白状し出した。
「舞台…相手役の子と、あるわけさ…絡みが…」
「ふーん。前もちょろっとあったじゃん」
わざとわからないフリをする。智はイラッとしたらしかった。
「違う。今度はもっとはっきりしたの…だって」
なかなか『ラブシーン』とはいえない智が、俺はおかしくてしょうがなかった。一応あるのかね、なんか、俺に対する気兼ねみたいなの。
つか、仕事だろ。って、さっきまでの自分をタナに上げて、俺は智を勇気付けたくなった。
「楽しみじゃん。俺、最前で見ようかな」
智は潤んだ目でじろっと俺を見る。顔を押さえていた両手がいつのまにかグーになってる。
「…んなことしたら絶交だ」
思わず吹いた。絶交って。小学生かよ。
「俺、智のチュー顔好きなんだもん」
「チューするなんていってねぇだろ!」
「ないの? キスシーン」
なかったらラブシーンでもなんでもねぇだろ。
智は詰まって、そして認めた。
「…わかんねぇ。ある…らしい」
「あるんじゃん。なにそんなイヤがってんの」
「イヤがってない」
あ、そう。いやそこはイヤがれよ。俺の前だけでも。
「じゃ、なんで困ってんの」
智はいろいろ抵抗するのを諦めたようで、湯飲みをのろのろ掴んで、お茶を一口啜った。
「やったことないから…わかんねぇんだよ」
「いつも俺としてるでしょ」
「芝居でだよ! おめーバカだろっ」
あー、キレた。
基本温厚なんだけど、智はたまにガラが悪くなるというか江戸っ子みたいになる。別に下町育ちでもないのに。
超かわいい。
「智」
「…」
「さーとーし」
「なんだよ」
どうしようどうしよう言ってうろうろしてる迷子の子猫ちゃん。
…は嫌がるか。じゃ、おっきい猫さん。
猫さとしさん。
あんたが困ったときに助けたがる人はいっぱいいるけど、とりあえず、その誰にも付いていくなよ? 俺が行くまで。
「なぁ」
「なんだよ」
「練習したらいいんじゃない? 俺と」
ハートをつけて言ったら、智は目を丸くして俺を見て、それからへっと笑った。
「…なんだその豪華な練習」
とか言って、微妙に赤いほっぺ。
急に嬉しくなった。
湯飲みを握ったままの智の手と、湯のみと、それぞれ掴んでそっと離させた。
腕の時計を見て考える。
「ギリ何時入りなら間に合う? 今日」
「…えっと…」
智の予定と自分の予定、移動時間まで考えると、あと正味一時間もない。が。
「だいじょぶ。全然イケるわ」
「え、なにが?」
立ち上がった俺をぼうっと見上げる智を、俺は目力こめて見返した。
「もう、ごちそうさまだよな?」
「…うん、ごちそーさま」
智はこくんと頷き、俺について素直に席を立った。
多少びっくりしたみたいだけど、智は嫌がりはしなかった。
逆に、連れてこられたホテルの窓に額をつけて外を見ながら、「松本さんはかっけぇなぁ…」とか言ってる。
そうか? これかなりカッコ悪いと思うけど。
「こっち来て。時間ない」
「ないって、どんくらい?」
智は時計をしてない。
「にじゅう…ご、分ぐらいかな。ここにいれるの。俺のが先に出ることになる」
「マジもったいねぇ~! それで一泊分の金払うのかよっ」
智は本気で呆れた風に俺を見る。
「俺が払うんだよ」
「おまえ金銭感覚ぶっこわれてる」
「いーから来いって」
ラブホならもっと安いのにとかなんとかぶつぶつ言いながら、智は少し翳ってきた窓から離れて、ソファに座る俺のところまで来た。
こんな明るいうちから男連れでラブホなんか行けるか。カラオケ屋もバツ。店員が来るあの微妙な間とか気にしてる時間の余裕がないし。
金なんかどうだっていい。なんのために稼いでんだ。
好きなときに好きなこと好きなようにやるための金なんだから。
「とかいってるうちに五分ぐらい使っちゃったじゃん」
「すっげ、時は金なりだ」
智は目を見開いて俺の隣に座り、それからふと肩を丸めて、ふふっと笑った。
「…おもしれぇ」
俺の太ももにぽん、と手を置く。
軽く首をかしげて、俺を斜めから覗き込む、茶色い目。
「ちゅー、しねぇの?」
意識してるんだかしてないのか、ものすごく、甘い。
「俺からしたら意味なくね?」
「…そか」
智はいまさら納得したように、真面目な顔をして俺を見る。
「セリフは?」
「まだそこまで覚えてない」
「じゃなんか適当にアドリブで」
「えー…ムズいな~」
智は少し考えていたが、また、戸惑うような笑みを浮かべて俺を見た。
「ちょ…待って、やっぱいきなりは入りづれぇよ」
「おまえプロだろ、やれ」
あー、弱い。我ながら超今更感だ。
元をただせばただのスケベ根性なわけで。突っ込まれるまで言わないけどそれは。
智は「ええ~」と口を尖らせて、それから目を伏せた。
「とりあえず普通にしようよ。一回」
つるりとした瞳が睫毛の向こうに覗いていて、目蓋の中の暗がりから、ちらりとこっちを伺う。
ヤバイ、と思う。
さっきからこの人になんかしたくて、そんで薄暗い場所で二人きりになって、でもあれこれフルコースでやる時間は全然なくて、それなのに智はもう、俺の前でその気になってしまった。
誰も見たことないと思うし、死んでも見せないけど、俺とキスやエッチしたくなってるときの智は一発でそれと分かる匂いをさせて、えろい。
できるだけ何気なく無造作に智の頬に手を添えてキスをした。
記憶通りに柔らかい唇を、軽く二、三回ついばんで離す。
離れても智はすぐには目を開けなかった。
「智?」
と、ふにっと唇が笑う。
それから目を開けて俺を見て、智は「よし」と言った。
「よしなんだ?」
「うん、分かった」
「…なにが分かったのか俺は全然分かんないけど」
まぁいいや、と思っていると、智は俺の肩を押さえつけてソファに深く沈むようにさせた。それから俺の膝に横抱きの形で座ってくる。
ちょっとこれは、このまま、普通に、いただきたい…。
「ダメ」
「え」
エスパー?!
「エロい顔すんな。少し恥ずかしそうにしてくんねぇ? 女の子なんだから」
普通にダメ出しして、智はなんだか得意げに俺の肩に腕を回し、俺を見下ろす。
あ、なに、俺女役か。
え、そうか、これ伸長差ってこと?
それじゃ頑張ろ。
俺は抱き寄せられるまま智の胸に頬をうずめた。
「あたしたち、これからどうなるの?」
って、そんな話か知らねぇけど。やばい笑いそう。
智も噴出すだろうなと思ったのに。
笑わなかった。
ぎゅっと頭を抱きしめられた。
一言落ちる声。
「俺にもわからない」
…それは、そんなに芝居がかってる声ではなくて。
舞台で放たれるには張りが弱い、でも智の普段の話し方とは明らかに違う響きだった。
おれにもわからない。
ああ、この人にもわからない、誰も知らないのだという悲しい迷子のような気持ちに、連れて行かれる。
両手で、しがみつくようにして彼を抱きしめた。
「もう、会えないのかな」
それは何故かお別れのキスのような気がしていた。
だから、そう言ったのかもしれない。
最後のキスをしてもらいたくて。
けれど彼は俺を抱いたまま、ふと明るく笑った。
「あはは、なんで? 会えなくなったりしないよ」
髪をなでる手。
「一緒にいくんだろ?」
一緒に?
そうか、行くんだ。二人で。
髪に頬を押し当て、彼が願うように言う。
「…きてくれるだろ?」
黙って頷いた。
ぎゅっと抱きしめる腕に力がこもる。
この人を安心させてあげられた。よかったと思う。
彼の手がうなじから顎へ滑り込んでくる。顔を上げさせられて、髪を撫で付けられ、ああ顔が見たいと思ったけど、そのまますりつけられた額と、最初から深く重なった唇に、叶わない。
きっと初めてのキスなんだろうけど、俺たちはよく知ってる。
入り込んでくる柔らかい舌。
唇と舌、触りあって、馴染む熱い感触に体の隙間がじわりと汗ばむ。
顔にかかる短い息使い、指も胸も熱い。
守るように抱きしめてくれる体が可愛くて、もっといっぱい触りたい。
腰に腕を回したタイミングで、自分のパンツに入れていた携帯がいきなり振動した。
智がびくっと体を起こし、俺たちは慌てて離れた。
「やっべ、時間」
夢中になって遅刻なんて目も当てられないと思って、アラームかけといたのにほんと助けられたというか邪魔されたというか…。
でもマジやばかった。
智に全部持っていかれて気持ちよく飛んじゃった。こえーこえー。
まだ胸がドキドキと早い俺とは反対に、智はあっさりした顔ですとんと俺の膝から降りて、背伸びをする。
「おーしごーとデース」
「って、智も出ないと」
「俺の方が近いし、ちょっとまだ余裕あるから。お前先行きな」
チェックアウト俺がしとくよ、と智が言う。
「大して変わらねぇだろ。一緒に…って、バラの方がいいか…」
ラブホじゃないけど、さっき入ってった二人がものの30分で即出てくって、なぁ。智も苦笑めいた表情だ。
「うん。だからほら」
俺をドアの方に押していって、智はそういえばさっきから俺の顔を見ないな、と思う。
「あんたも遅れんなよ? あ、金、これでね」
「お釣りは貰っちゃお~」
「なんでだよ。…いいけど。じゃ稽古がんばれよ、またあとでメールするから」
「分かったよー。早く行けよ」
笑いながら、でもなんでさっきから俺の靴ばかり見てるの。
「智」
顎を取って軽く口付ける。
「好きだよ。…じゃ行ってきます」
ドアを閉めながら、赤い顔をして丸い目で俺を睨む智に笑いかけ、俺はホテルの固い絨毯の上を走った。
本当は、あと1分でいいから一緒にいれたらいいのにな。
それでも10分遅刻して、道路が混んでたとベタな言い訳で頭を下げて、取材、また取材。
だから俺は全然しらなかった。
下手したらそろそろ日付が変わるってころにやっと自由の身になって、俺はとにかく携帯を開いた。
受信メールをあけると珍しく智から。
『仕事終了。待ってま~す(ハート)』
添付ファイルあり
スクロールすると。
なんだか見覚えがあるようなソファに、これでもかみたいにけだるく体を投げ出した智。白いバスローブ、肩半分出てますけど。
それだけやった上に、というかやりすぎて、サミー全開みたいな眉を寄せたうっふん顔。
残念なことにエロさは空振り、ぶさカワイイ。
俺は荷物持ったまま一人の控え室で携帯片手に爆笑した。
速攻掛けたら、聞いてるくせに(いや寝てたかも?)6コールくらいでやっと本人が。
『おっす、こん・ばん・みー!』
「…おまえ飲んでんだろ?」
『シ・ラ・フ・でーす!』
うひひと向こう側で笑う声。
「びっくりしたわ、ちょっと、おい」
智は今度は声を潜めて、まるで携帯に内緒話でも吹き込むように小さく笑う。
『チャックアウトしちゃうのもったいなかったんだもん…。もう、家帰っちゃった?』
「…まだ」
そか、と静かな声。
『こっち来る?』
ぞくぞくっときた。
ずるい。あんたはほんとに、ずるい。一緒に行くんだと言ったり、先に行けと言ったり、なのに最後は、「来てくれ」ではなくて。
ただ来るのかどうか、の質問。
「…寝るなよ? 20分ぐらいで着くから」
その答えは、智の気に入ったらしかった。携帯の向こうでニヤニヤした声を出す。
『えー…そんなかかんのぉ。待てねぇなー、ひとりでしてよっかなぁ』
困った人だ本当に。
どうしたら俺がますますあんたに落ちるのか、全部知ってるんだろうって、問い詰めたくなる。
俺はまたしてもスタジオの廊下を走って表に飛び出しながら、智を脅した。
「いいけど…やるならそれ、ムービーで撮って送れよ? じゃないとすげぇ目に合わす」
『うっわ、出た。ヘンタイ。ドS』
言うだけ言って、智はぷっつり黙った。どした?とこっちがタクシーを止めながら息を切らして問うと、今度は少し、泣きそうな声が聞こえた。しかもドンッと壁を蹴るような音まで聞こえる。
『…もー! ほんと俺、我慢しすぎて、も…バカッおまえのせいだんな!』
ベッドに転がって駄々っ子モード発動で壁に足技をかましてるのが目に浮かぶって。
「あと10分。智」
『チューとかしたからだかんな、マジむかつくっ』
「大好き、でしょ」
『…』
「聞いてる? あと7分ぐらい」
『潤』
はやくこい、それだけ言って、通話は切れた。
…ずるい。
あんたは本当に、俺の骨を一本残らず溶かしてなくしてしまう方法知ってるくせに。
そして最後の最後には惜しげもなくそれを使いまくってさ。
ずるいだろ。
だから、今日悪いのは俺かもしれないけど、ワルなのはあんただから。
俺なんかバカのひとつ覚えですから。
好きだ、ぐらいしかないから。
ありったけ、かわりばえもせずそれだけ持って、大事なネコさんのところに、いま帰るよ。
最後に残されるのはいつも俺だという気がする。
嫌味とか自分を卑下してとかじゃなく、それは事実として。
あの人はさっきまで柔らかい体をゆったりその辺に預けていたはずなのに、ふと見ると、いつの間にかどこまでも行っていて、あやうく姿を見失いそうになることが、時々。
無事に捕まえるたび、胸を撫で下ろす。
静かなやわらかいネコの匂い。
手触りのいい雲みたい。
白い。
言ったら、「なにそれ」、と少しタチの悪そうな笑いを見せて、それで、すぐに忘れてしまうんだろう。
リーダーが舞台の製作発表をやったというのを聞いて、俺はさっそく携帯Webの会見レポートを読むことにした。
目新しいことは特になかった。
大体本人から聞いていたことばかりだったし。
でも字面で読むと、確定事項として目に見えてなんか安心できる。
カンフー超得意じゃん。よかったな、楽勝だろ。
同じスタッフと三回目だしね。
慣れたカンパニーでのびのびやれるなら、余計なことに神経使わず芝居に集中できるだろう。
慣れない環境でピリピリすんのも成長できていいと思うけど…。
彼氏としては避けたいわけだ。
なぜかと言うと、難しい所にぶちあたってる時やしんどい時は、あの人連絡取れなくなる。音信不通。
メールも電話も完無視される。ってことが分かってからは、もう送らないけど。
俺はその間ひとりで仏像みたいに携帯持って憮然としてます。
ようやく帰ってきたときは、あいつは変わらずへらへらしてます。
『大事な電話だったらどうするんだよ』
『あー…そしたらマネージャーに伝言するっしょ』
伝言なんかするか馬鹿。
元気かよ? ってききてぇだけなんだよこっちは。
つうか生きて仕事行ってる事ぐらい、本人に電話しなくてもそれこそマネ経由で即分かるんだよ。
なんか軽くイライラしながら画面をスクロールしていくうちに、目新しい情報が脳に飛び込んできた。
その部分は、まったく、初耳だった。
…ふーん。
ラブシーン。
似合あわねぇー。
てか、稽古をビデオ撮りして復習する…って、そこそんな重要なのかよ。
死ぬほど練習しなきゃいけないのは殺陣だろ、他の役者との呼吸とかタイミングとかさ。
俺はWebの接続を切ってマネージャーに電話した。
こないだの会見の映像をくれと言ったら、パソコンに転送してくれることになった。
で、それを見てから出かけた。
ちょっと間が悪いとは自分でも思った。
久しぶりに智と二人で会ってから、そのままお互い仕事に行く予定だった。
俺はデート前になに無駄にナイーブになってんだ。
相手役の女優は綺麗な子だった。
「なに買ったの?」
「板と塗料とー、マスキングテープ」
「なにに使うの」
「えー、いろいろ。曲線をぴったり塗るのに便利なんだよ」
色を塗るのにテープがなんでいるのかよく分からなかった。いつもだったら分かるまで訊くんだけど、俺はてんで上の空でそれはもうどうでもよかった。
一度会計を済ませたのにまだ棚の間をうろうろする智のうなじを後ろから見ていた。
キャップかぶって、短い襟足の髪が押さえつけられてぎゅっとその下から覗いていて、パーカーのフードが後ろにぐっと下がってるから、白いうなじが結構な面積むき出しだ。
シルバーのチェーンが一筋、首に掛かっているのが見える。
前に俺があげたやつ。
なんで鎖だけで分かるかって、智はこれ以外ほとんどネックレス持ってないし。
俺がプレゼントしたのはチェーンがちょっと変わっていてすぐ分かる。
二人で会うときは、なるべく、付けてきてくれる。
この人が忘れなきゃだけど。
「まだなんか欲しいの?」
「キリないんだよなぁ。みてるとどれも欲しくなっちゃうしさー」
「分かる」
「だろっ?」
智は振り返って笑った。
今日、この店入ってから初めて俺の顔見た。
茶色のくりっとした目。
俺あんたのパーツどれも好きだけど、やっぱ目が超かわいいよ。
うなじとセットで。
「松本さんなんか買わねぇの?」
「見てるのは楽しいけど買っても使う場面がない」
つうか、画材屋でMAXイキイキしてるあんたを見てるのが楽しい。
「マジかよ、和紙とかすげぇ食いついてたじゃん」
「ああ…あーいう模様の行灯とかあったら綺麗だろうなって」
「あんどん?! あー、なんか作れそう~!」
作っちゃえるんだろうな、さくっと。
「すっげシュールな行灯できそう」
「普通に売ってるみたいなの作ったっておもしろくねぇだろ」
うふふと笑う。
なんかを作ること考え出すとそれでもう頭一杯になっちゃう智の肩をポンと抱くと、びくっと俺を見上げた。
「まだなんか見たい?」
「あ、うん。もういいよアリガト。また明日来るかもしんないし」
は?
「明日来るのになんで今日俺と来たの?」
「…明日つってもちょっとまだわかんないし、今日、来たかったんだもん…」
段々語尾が小さくなる。
えーと、この店飛ばせばプラス30分はゆっくりメシ食えたんですけど。
あんたは舞台稽古、俺はもうすぐドラマ撮りに入る。次に俺らの予定が合う日が来るのは、明日のあんたの予定より不確定で、ぶっちゃけ、俺はすごく二人でいる時間が貴重だ。まぁ今も二人といえばそうだけど、ここにいた間、あんたの意識は95%画材にロックオンで、俺はいてもいなくても関係ないよな。
さすがに空気を読んだか、智は少しひっそりした様子で俺を見上げる。
そして、なぁ、と呟いた。
「ごはん、何食う?」
「…和食でいい?」
「うん、和食がいい」
早く食おう、すぐ食おう、みたいに輝く目。
だから俺はこいつに飯を食わせるのが好きだ。
それにね…うまいものを食べながら怒り続けるっていうのは難しいな、と思った。
目の前に好きな人がいて。
しかもそいつはさっきのことなんかさっぱり知らないみたいに、目を細めてうまいうまいと炊き込みご飯をほおばっている。
何を食ってもうまいと言うのは番組上のキャラだけじゃなくて割と普段もだけど、本当に味オンチかというと少し違くて、リアルにウマいものを口にしたときは「うまい」の響きが実に溌剌として、ピカピカしてる。それは冷や飯と炊き立てのご飯ぐらい違う。
食ってるときと寝てるときのこの人は最高に幸せそうな子供だ。(作っているときもそうかもしれないが、俺はほとんど見たことがない)。俺の3コ上ってどんな魔法だよ。
飯に夢中かとおもえば、智はふと俺の手元を覗き込んだ。
「まつもっさん、くわねぇの?」
「…食ってるよ。あ、この牡蠣うまい。食う?」
「食う! ちょっとでいいよ~」
昼と夕方の間、変な時間に、他に一組しか客の居ない和食屋の隅っこ。
二人で遅い朝昼ご飯を平らげる。
ぱらっとメニューを見て、智は「ここ日本酒揃ってるなー」と飲みたそうな顔をした。
「今度夜来よう。奥に小上がりあるから予約しとけばそっちで食えるよ」
俺の言葉に、うん、と頷いて、智は微笑んだ。
「なに?」
「えー、よかったなぁと思って」
「なにが?」
「松本さんが上がってきた」
「…そう?」
「うん。今日会ったときからなんか機嫌悪かったから」
責めるでもなくそう言う智に、ぐっと飯が喉につかえた気がした。
煎茶を一口飲みこんで、俺は箸を置いた。
「舞台、がんばれよ」
「え? うん。…がんばるけど」
自分でも出し抜けすぎたと思うセリフに、当然智も面食らったみたいで、困ったように笑った。
あ、このふにゃふにゃした笑顔を間近で独占して見られるのもしばらくないな、と思ったら、とてつもなく、愛おしくなった。
あの柔らかいピンクの唇。
…なに悠長にメシとか食ってんだ俺。
こんなことなら朝からどっか連れ込めばよかった。
「さと…」
「あのさぁ」
言いかけた言葉は、俯き加減の智の小さな声にさえぎられた。
「…それってどうやんの?」
「は?」
なんかしらんが、智はテーブルの向こうで挙動不審だ。
シラフなのになんでちょっとほっぺ赤くしてんの。平熱でも微熱呼ばわりされる潤みぎみの目が、おもいきり俺から反れて泳いでる。
「なに、どした」
「だから…なんでいつもそーやって、いきなりエロい目とかできんのって」
「エロ…いつ?! いま?」
声が裏返りそうになった。やべぇ。
智は唇を尖らせて愚痴るように言う。
「いますぐ食わせろみてぇなさぁ…ずりーよ~」
ずるいのか? それが。
そんな顔に出てたかと思うと、うっかりこっちも赤面しそうになって、とりあえず無造作に椅子に置かれている智のバッグとかを凝視してみた。
…あ、大丈夫そう。
肘を突いて智の方に身を乗り出した。
「…しょうがなくね? そういう気分て、突然来るじゃん」
智がこっちを見る。
にこっと笑って見せた。
智は何かムッとしたように眉を寄せ、なのにますます目が潤んで見える。
…なんだよ。そっちこそ分かってねぇし。
あんたこそ普段子供みたいな顔しといてさ…。
「…自信ねぇ~」
急に両手で顔の脇を押さえて、智が弱い声を出した。
なんとなく分かったが、「なんの?」と知らん振りして訊く。
智はぼそぼそと白状し出した。
「舞台…相手役の子と、あるわけさ…絡みが…」
「ふーん。前もちょろっとあったじゃん」
わざとわからないフリをする。智はイラッとしたらしかった。
「違う。今度はもっとはっきりしたの…だって」
なかなか『ラブシーン』とはいえない智が、俺はおかしくてしょうがなかった。一応あるのかね、なんか、俺に対する気兼ねみたいなの。
つか、仕事だろ。って、さっきまでの自分をタナに上げて、俺は智を勇気付けたくなった。
「楽しみじゃん。俺、最前で見ようかな」
智は潤んだ目でじろっと俺を見る。顔を押さえていた両手がいつのまにかグーになってる。
「…んなことしたら絶交だ」
思わず吹いた。絶交って。小学生かよ。
「俺、智のチュー顔好きなんだもん」
「チューするなんていってねぇだろ!」
「ないの? キスシーン」
なかったらラブシーンでもなんでもねぇだろ。
智は詰まって、そして認めた。
「…わかんねぇ。ある…らしい」
「あるんじゃん。なにそんなイヤがってんの」
「イヤがってない」
あ、そう。いやそこはイヤがれよ。俺の前だけでも。
「じゃ、なんで困ってんの」
智はいろいろ抵抗するのを諦めたようで、湯飲みをのろのろ掴んで、お茶を一口啜った。
「やったことないから…わかんねぇんだよ」
「いつも俺としてるでしょ」
「芝居でだよ! おめーバカだろっ」
あー、キレた。
基本温厚なんだけど、智はたまにガラが悪くなるというか江戸っ子みたいになる。別に下町育ちでもないのに。
超かわいい。
「智」
「…」
「さーとーし」
「なんだよ」
どうしようどうしよう言ってうろうろしてる迷子の子猫ちゃん。
…は嫌がるか。じゃ、おっきい猫さん。
猫さとしさん。
あんたが困ったときに助けたがる人はいっぱいいるけど、とりあえず、その誰にも付いていくなよ? 俺が行くまで。
「なぁ」
「なんだよ」
「練習したらいいんじゃない? 俺と」
ハートをつけて言ったら、智は目を丸くして俺を見て、それからへっと笑った。
「…なんだその豪華な練習」
とか言って、微妙に赤いほっぺ。
急に嬉しくなった。
湯飲みを握ったままの智の手と、湯のみと、それぞれ掴んでそっと離させた。
腕の時計を見て考える。
「ギリ何時入りなら間に合う? 今日」
「…えっと…」
智の予定と自分の予定、移動時間まで考えると、あと正味一時間もない。が。
「だいじょぶ。全然イケるわ」
「え、なにが?」
立ち上がった俺をぼうっと見上げる智を、俺は目力こめて見返した。
「もう、ごちそうさまだよな?」
「…うん、ごちそーさま」
智はこくんと頷き、俺について素直に席を立った。
多少びっくりしたみたいだけど、智は嫌がりはしなかった。
逆に、連れてこられたホテルの窓に額をつけて外を見ながら、「松本さんはかっけぇなぁ…」とか言ってる。
そうか? これかなりカッコ悪いと思うけど。
「こっち来て。時間ない」
「ないって、どんくらい?」
智は時計をしてない。
「にじゅう…ご、分ぐらいかな。ここにいれるの。俺のが先に出ることになる」
「マジもったいねぇ~! それで一泊分の金払うのかよっ」
智は本気で呆れた風に俺を見る。
「俺が払うんだよ」
「おまえ金銭感覚ぶっこわれてる」
「いーから来いって」
ラブホならもっと安いのにとかなんとかぶつぶつ言いながら、智は少し翳ってきた窓から離れて、ソファに座る俺のところまで来た。
こんな明るいうちから男連れでラブホなんか行けるか。カラオケ屋もバツ。店員が来るあの微妙な間とか気にしてる時間の余裕がないし。
金なんかどうだっていい。なんのために稼いでんだ。
好きなときに好きなこと好きなようにやるための金なんだから。
「とかいってるうちに五分ぐらい使っちゃったじゃん」
「すっげ、時は金なりだ」
智は目を見開いて俺の隣に座り、それからふと肩を丸めて、ふふっと笑った。
「…おもしれぇ」
俺の太ももにぽん、と手を置く。
軽く首をかしげて、俺を斜めから覗き込む、茶色い目。
「ちゅー、しねぇの?」
意識してるんだかしてないのか、ものすごく、甘い。
「俺からしたら意味なくね?」
「…そか」
智はいまさら納得したように、真面目な顔をして俺を見る。
「セリフは?」
「まだそこまで覚えてない」
「じゃなんか適当にアドリブで」
「えー…ムズいな~」
智は少し考えていたが、また、戸惑うような笑みを浮かべて俺を見た。
「ちょ…待って、やっぱいきなりは入りづれぇよ」
「おまえプロだろ、やれ」
あー、弱い。我ながら超今更感だ。
元をただせばただのスケベ根性なわけで。突っ込まれるまで言わないけどそれは。
智は「ええ~」と口を尖らせて、それから目を伏せた。
「とりあえず普通にしようよ。一回」
つるりとした瞳が睫毛の向こうに覗いていて、目蓋の中の暗がりから、ちらりとこっちを伺う。
ヤバイ、と思う。
さっきからこの人になんかしたくて、そんで薄暗い場所で二人きりになって、でもあれこれフルコースでやる時間は全然なくて、それなのに智はもう、俺の前でその気になってしまった。
誰も見たことないと思うし、死んでも見せないけど、俺とキスやエッチしたくなってるときの智は一発でそれと分かる匂いをさせて、えろい。
できるだけ何気なく無造作に智の頬に手を添えてキスをした。
記憶通りに柔らかい唇を、軽く二、三回ついばんで離す。
離れても智はすぐには目を開けなかった。
「智?」
と、ふにっと唇が笑う。
それから目を開けて俺を見て、智は「よし」と言った。
「よしなんだ?」
「うん、分かった」
「…なにが分かったのか俺は全然分かんないけど」
まぁいいや、と思っていると、智は俺の肩を押さえつけてソファに深く沈むようにさせた。それから俺の膝に横抱きの形で座ってくる。
ちょっとこれは、このまま、普通に、いただきたい…。
「ダメ」
「え」
エスパー?!
「エロい顔すんな。少し恥ずかしそうにしてくんねぇ? 女の子なんだから」
普通にダメ出しして、智はなんだか得意げに俺の肩に腕を回し、俺を見下ろす。
あ、なに、俺女役か。
え、そうか、これ伸長差ってこと?
それじゃ頑張ろ。
俺は抱き寄せられるまま智の胸に頬をうずめた。
「あたしたち、これからどうなるの?」
って、そんな話か知らねぇけど。やばい笑いそう。
智も噴出すだろうなと思ったのに。
笑わなかった。
ぎゅっと頭を抱きしめられた。
一言落ちる声。
「俺にもわからない」
…それは、そんなに芝居がかってる声ではなくて。
舞台で放たれるには張りが弱い、でも智の普段の話し方とは明らかに違う響きだった。
おれにもわからない。
ああ、この人にもわからない、誰も知らないのだという悲しい迷子のような気持ちに、連れて行かれる。
両手で、しがみつくようにして彼を抱きしめた。
「もう、会えないのかな」
それは何故かお別れのキスのような気がしていた。
だから、そう言ったのかもしれない。
最後のキスをしてもらいたくて。
けれど彼は俺を抱いたまま、ふと明るく笑った。
「あはは、なんで? 会えなくなったりしないよ」
髪をなでる手。
「一緒にいくんだろ?」
一緒に?
そうか、行くんだ。二人で。
髪に頬を押し当て、彼が願うように言う。
「…きてくれるだろ?」
黙って頷いた。
ぎゅっと抱きしめる腕に力がこもる。
この人を安心させてあげられた。よかったと思う。
彼の手がうなじから顎へ滑り込んでくる。顔を上げさせられて、髪を撫で付けられ、ああ顔が見たいと思ったけど、そのまますりつけられた額と、最初から深く重なった唇に、叶わない。
きっと初めてのキスなんだろうけど、俺たちはよく知ってる。
入り込んでくる柔らかい舌。
唇と舌、触りあって、馴染む熱い感触に体の隙間がじわりと汗ばむ。
顔にかかる短い息使い、指も胸も熱い。
守るように抱きしめてくれる体が可愛くて、もっといっぱい触りたい。
腰に腕を回したタイミングで、自分のパンツに入れていた携帯がいきなり振動した。
智がびくっと体を起こし、俺たちは慌てて離れた。
「やっべ、時間」
夢中になって遅刻なんて目も当てられないと思って、アラームかけといたのにほんと助けられたというか邪魔されたというか…。
でもマジやばかった。
智に全部持っていかれて気持ちよく飛んじゃった。こえーこえー。
まだ胸がドキドキと早い俺とは反対に、智はあっさりした顔ですとんと俺の膝から降りて、背伸びをする。
「おーしごーとデース」
「って、智も出ないと」
「俺の方が近いし、ちょっとまだ余裕あるから。お前先行きな」
チェックアウト俺がしとくよ、と智が言う。
「大して変わらねぇだろ。一緒に…って、バラの方がいいか…」
ラブホじゃないけど、さっき入ってった二人がものの30分で即出てくって、なぁ。智も苦笑めいた表情だ。
「うん。だからほら」
俺をドアの方に押していって、智はそういえばさっきから俺の顔を見ないな、と思う。
「あんたも遅れんなよ? あ、金、これでね」
「お釣りは貰っちゃお~」
「なんでだよ。…いいけど。じゃ稽古がんばれよ、またあとでメールするから」
「分かったよー。早く行けよ」
笑いながら、でもなんでさっきから俺の靴ばかり見てるの。
「智」
顎を取って軽く口付ける。
「好きだよ。…じゃ行ってきます」
ドアを閉めながら、赤い顔をして丸い目で俺を睨む智に笑いかけ、俺はホテルの固い絨毯の上を走った。
本当は、あと1分でいいから一緒にいれたらいいのにな。
それでも10分遅刻して、道路が混んでたとベタな言い訳で頭を下げて、取材、また取材。
だから俺は全然しらなかった。
下手したらそろそろ日付が変わるってころにやっと自由の身になって、俺はとにかく携帯を開いた。
受信メールをあけると珍しく智から。
『仕事終了。待ってま~す(ハート)』
添付ファイルあり
スクロールすると。
なんだか見覚えがあるようなソファに、これでもかみたいにけだるく体を投げ出した智。白いバスローブ、肩半分出てますけど。
それだけやった上に、というかやりすぎて、サミー全開みたいな眉を寄せたうっふん顔。
残念なことにエロさは空振り、ぶさカワイイ。
俺は荷物持ったまま一人の控え室で携帯片手に爆笑した。
速攻掛けたら、聞いてるくせに(いや寝てたかも?)6コールくらいでやっと本人が。
『おっす、こん・ばん・みー!』
「…おまえ飲んでんだろ?」
『シ・ラ・フ・でーす!』
うひひと向こう側で笑う声。
「びっくりしたわ、ちょっと、おい」
智は今度は声を潜めて、まるで携帯に内緒話でも吹き込むように小さく笑う。
『チャックアウトしちゃうのもったいなかったんだもん…。もう、家帰っちゃった?』
「…まだ」
そか、と静かな声。
『こっち来る?』
ぞくぞくっときた。
ずるい。あんたはほんとに、ずるい。一緒に行くんだと言ったり、先に行けと言ったり、なのに最後は、「来てくれ」ではなくて。
ただ来るのかどうか、の質問。
「…寝るなよ? 20分ぐらいで着くから」
その答えは、智の気に入ったらしかった。携帯の向こうでニヤニヤした声を出す。
『えー…そんなかかんのぉ。待てねぇなー、ひとりでしてよっかなぁ』
困った人だ本当に。
どうしたら俺がますますあんたに落ちるのか、全部知ってるんだろうって、問い詰めたくなる。
俺はまたしてもスタジオの廊下を走って表に飛び出しながら、智を脅した。
「いいけど…やるならそれ、ムービーで撮って送れよ? じゃないとすげぇ目に合わす」
『うっわ、出た。ヘンタイ。ドS』
言うだけ言って、智はぷっつり黙った。どした?とこっちがタクシーを止めながら息を切らして問うと、今度は少し、泣きそうな声が聞こえた。しかもドンッと壁を蹴るような音まで聞こえる。
『…もー! ほんと俺、我慢しすぎて、も…バカッおまえのせいだんな!』
ベッドに転がって駄々っ子モード発動で壁に足技をかましてるのが目に浮かぶって。
「あと10分。智」
『チューとかしたからだかんな、マジむかつくっ』
「大好き、でしょ」
『…』
「聞いてる? あと7分ぐらい」
『潤』
はやくこい、それだけ言って、通話は切れた。
…ずるい。
あんたは本当に、俺の骨を一本残らず溶かしてなくしてしまう方法知ってるくせに。
そして最後の最後には惜しげもなくそれを使いまくってさ。
ずるいだろ。
だから、今日悪いのは俺かもしれないけど、ワルなのはあんただから。
俺なんかバカのひとつ覚えですから。
好きだ、ぐらいしかないから。
ありったけ、かわりばえもせずそれだけ持って、大事なネコさんのところに、いま帰るよ。
「やーだ。まだニノと一緒にいる」
「馬鹿ですね」
「うん」
二宮が優しく頭を撫でてくれた。心地良さに目を閉じる。
どうして、俺達は別々の存在なのかな。
たまに、二宮と身体が離れている事が悔しいと本気で思う。全部一緒だったら、こんな風に寂しくならなかった。
「ニノ」
「んー? 何ですか?」
「ううん」
「相葉さん。ちゃんと、言葉にしなさい」
「……言葉なんて、信用してない癖に」
「馬鹿ですね」
「うん」
二宮が優しく頭を撫でてくれた。心地良さに目を閉じる。
どうして、俺達は別々の存在なのかな。
たまに、二宮と身体が離れている事が悔しいと本気で思う。全部一緒だったら、こんな風に寂しくならなかった。
「ニノ」
「んー? 何ですか?」
「ううん」
「相葉さん。ちゃんと、言葉にしなさい」
「……言葉なんて、信用してない癖に」
「」
桜上 水
あの、始まりの日の事を良く覚えている。
文字通り、僕の人生が始まった日。
ずっとずっと、僕の世界はモノクロで彩られていた。白と黒。味気ない場所で、唯消費され行く時間を見送っていたのだ。
どこにも行けなかった。世界の果ては、自分の知らない場所にあるらしい。
辿り着く為の努力さえせずに、朽ちて行く身体を待つばかり。
そんな自分の前に現れた人。
奇跡が起きたのだと思った。モノクロの世界は、極彩色に染め変えられる。
世界が開かれた。
何の面白みもない、音も色もない場所だったのに。
彼と出会った瞬間に全てが変わった。世界が色づいて、彼の存在を祝福している。
何度も目を擦った。何度も確かめた。
生まれ落ちた日から今日まで、色のなかった世界は鮮やかに輪郭を明確なものとする。
奇跡の瞬間だった。
出会ったあの日から、十年以上の月日が流れている。今も変わらず僕の傍にいてくれる人。
何度も離れようと思った。何度も近付こうと思った。
けれど、どこにも行けないまま二人は生温い距離で関係を保っている。
彼の優しさは変わらなかった。自分の愛情さえ、あの日から少しも褪せる事なく続いている。
愛しい人。
自分の世界を変えた人。
どこにも行かずに、自分の隣で笑ってくれる人。
彼が、欲しかった。彼だけに飢えている。
なあ、どこにも行かないで。
ここにいて。傍にいて。ずっとずっと。
自分の我儘は聞き入れられた。
世界を一瞬にして変えた彼の背中には、羽根が生えている。
自分の傍から飛び立つ為の。
+++++
嵐の楽屋は、いつどんな時でも穏やかな空気が流れている。これこそが、長い時間を掛けて得た信頼と絆の賜物だと、松本は思っていた。
「はよーございまーす」
「あ、まつもっさん。おはよう」
「おはよ。何、リーダー。また黒くなってない?」
「あー……うん。昨日も行ってきちった」
「程々にしとけよ」
「はーい」
大野は、日焼けをし過ぎると松本が怒るのを知っているから、ソファにずるずると滑り落ちながら釣り雑誌で顔を隠した。
ビジュアルを維持するのも、大切な仕事の一部だと思っている。嵐は見た目を気にしない人間が多過ぎた。
大野は言わずもがな、顔なんかよりも自分の趣味が大切な人だ。二宮は自分の容姿に無頓着だし、相葉はファッションセンスがあってスタイルも良い癖に日焼けも大好きだった。
やっぱり、常識人は櫻井だけらしい。彼は、自身に求められているビジュアルと言うものをきちんと認識している。
何だかんだと賢い人だった。時々、その賢さを覆す程馬鹿な事もするけれど。
ソファに沈んだ大野の頭を撫でてから、化粧台の前に自分の荷物を置いた。帽子も取ると、今日の流れを確認するべく構成表を取り出す。
五人一緒だと言う安心感は勿論あるけれど、仕事は仕事だった。一日の流れを把握しておかないと怖い。
まあ、自分は心配性なだけで、全員が全員共に緊張感は持っていた。そうしなければ、きちんとした仕事は出来ない。
構成表と資料を持って、時間を確認した。まだ準備するには早いだろう。大野の座っているのとは別のソファに腰を下ろした。
櫻井はイヤフォンを嵌めて音楽を聴きながら、PCに向かい何か調べものをしている。大野は釣り雑誌を抱えたまま眠ってしまったようだ。
二宮はまだ来ていなかった。入り時間にはまだ早いから良いだろう。
「まーつじゅん」
そして、畳の上で大人しく本を読んでいた相葉は、松本の存在に気付いて近寄って来た。元々、楽屋では静かな人だ。
放っておこうかと思ったけれど、何か話したい事があるのか松本の隣に座った。彼は自分とだけ、距離を置く。
ここに座っているのが大野や櫻井なら多分彼はべったりと寄り掛かって甘えるだろう。
寂しいと言う訳ではないけれど、彼の中で自分は甘える対象ではないらしい。勿論、それが嫌われていると言う訳ではなかった。
松本が年下のせいか、相葉の中には少しの遠慮がある。普段、何も考えずに甘えているように見える人だけれど、その実とても気を張って生きていた。
彼のルールに口を出すつもりはない。一つだけ不満があるとすれば、同い年の二宮にはべったりな癖に、自分にだけ距離を置くその不公平さにだろうか。
「おはよ、相葉ちゃん。何の本、読んでたの?」
十五センチの距離を置いて、相葉が見上げて来る。甘えられなくとも、彼からの信頼は絶大だった。
その気持ちを裏切らないでいたい、と言うのは松本の素直な感情だ。彼の信頼や愛情をいつでも受け止めたかった。
「うん、動物園のスタッフさんに勧めてもらったやつ。南極の話」
「そうなんだ。面白い?」
「……難しい」
「はは。そっか」
子供みたいな顔でむくれる。彼は周囲が思っている程馬鹿ではなかった。彼を知らない人間は、こうして本を読む事すら信じられないだろう。
損な人だな、と思うけれどこれ以上愛されても困るから、あえて進んで言いふらしたくはなかった。
相葉の相葉らしさは、嵐のメンバーが把握していれば良い。
「松潤」
「ん?」
「今、忙しい?」
「……どうした? 大丈夫だけど」
「それ、大丈夫?」
「大丈夫だって。時間あるから読んどこうと思っただけだし」
「ホントに?」
「うん。それに、こうやって中途半端に話終わられると、気になっちゃうから余計駄目。話して?」
「うん」
少しだけ納得のいかない顔で、相葉は頷く。話したい事があるのに、彼は自分よりも相手を優先した。
もう少し身勝手に生きれば良いのに、といつも思う。
「どうしたの? 何かあった?」
「うん、あのね。ニノと」
「うん。ニノと?」
「あー、と……」
「ん? 喧嘩でもした?」
「違う」
歯切れの悪い相葉の顔を覗き込む。言いにくい事なのだろう。いつもは真っ直ぐに見詰めて来る瞳を、相葉はわざと逸らした。
面倒臭いから、距離を縮めて彼の肩を抱く。自分にだけ話したいと言うのなら、潜めた声の方が良いだろう。
大野は寝ていた。櫻井はイヤフォンをしている。スタッフもまだ入る時間ではないし、とりあえず今この楽屋で相葉の話を聞いているのは自分だけだった。
「相葉ちゃん?」
「あのね、」
「うん」
「ニノと、一緒に住む事にした」
「……同棲?」
「ううん。同居」
「お前とニノだったら、同棲だろ」
「違うってば」
「まあ、良いけどね。いつから?」
「先週」
「ふうん。マンション?」
「うん。ニノが選んでくれた」
「あのものぐさは、ホントにお前の事だけマメだね」
「ものぐさじゃないもん」
「だから、お前にだけね」
膨れた顔をする相葉の頭を叩く。二宮の彼に対する態度は徹底していた。
何事も涼しい顔でこなし、逆風すら平気な顔で躱すのが二宮と言う男だ。
もしかしたらこいつに不可能はないんじゃないか、と思わせるような飄々とした態度で世の中を渡っているのに。
二宮の相葉にだけ見せる執着。
それは多分、出会った時から変わっていない。昔からずっと、二宮の世界の中心には相葉がいた。
一見、どこも合わないように見える二人。理知的で狡猾とさえ思えるような二宮の、柔らかい部分を支えているのが相葉の存在だった。
相葉がいなければ、二宮はとっくに自身の中にある繊細な優しさや弱さを失っていただろう。
時々、本人でさえ苦しそうな顔を見せるその執着。昔は、理解出来なかった。
相葉を唯一無二の存在にする、その価値観が分からないと思っていたけれど。
今はもう、彼の存在の貴重さを理解していた。二宮が二宮で在る為に、嵐が嵐で在る為に必要不可欠な人。
「ニノ、喜んだ?」
「……多分」
「喜んでるよ、絶対。相葉ちゃんと一緒にいる以上の幸せなんかないでしょ、あの人」
「そぉかなあ」
「そうだよ。相葉ちゃんは?」
「何?」
「嬉しい?」
「うん。嬉しい。帰ってね、ニノと一緒にいれなくてもニノが寝てたりすると凄く安心する」
「そっか、良かったね」
相葉の頭を撫でる。それに嬉しそうに笑った彼の表情は柔らかかった。
「あ」
「ん? なぁに?」
ふわふわと綴る相葉の言葉の響きが可愛い。いつの間にか、自分の中にも二宮の愛情が伝播しているらしかった。
相葉を可愛いと思う。愛しいと思う。
これが、メンバーとしての愛情の範疇なのかどうかはもう分からなかった。けれどとりあえずは、二宮や櫻井程の深さではないから良いだろう。
「俺、聞かなかった振りの方が良い?」
「え、何それ」
「だって、誰にも話してないだろ?」
「あ、そーゆー意味か」
疑問符を浮かべていた相葉が、にこりと笑う。たまに、綺麗な顔をしているんだなと感心する事があった。
内面の滲み出た穏やかな表情に絆される。
「大丈夫。ニノにも言ってあるし。松潤には言うよ、って」
「何で、俺?」
「だって、ずっと見ててくれてるじゃん。翔ちゃんとリーダーは、心配掛けちゃうから言いたくないし」
「あー、確かにね。翔君とかめちゃめちゃ反対しそうだもんなあ。苦労するぞーって」
「うん。俺もそう思う」
「リーダーも何だかんだで気にする人だからなあ」
「ね。リーダーに余計なもの、背負わせたくないの」
「それは、俺も賛成」
「だから、松潤にだけ。ごめんね」
「謝んなくて良いよ。てゆーか、報告してくれて嬉しい」
「ありがと。いっつも」
二宮と相葉の事は、付き合い始めた頃から知っている。もっと言えば、彼らがお互いを意識し始めた頃から、ずっと見て来た。
同じような愛情を抱いた事はないけれど、どちらの感情も尊いものだ。
「松潤は、いっつも何も言わないね」
「え」
「気、遣わせてる?」
「何が?」
「だって、俺ら男同士だよ? アイドルだよ? 同じグループだよ? 松潤だったら、絶対反対しそうじゃない?」
「まあなあ。その言葉の羅列だけだと、反対したいねえ。グループ内に余計なもの持ち込んで欲しくないし」
「ほらー」
「でもね、」
相葉は馬鹿なようで賢くて、そしてやっぱり馬鹿だった。とびきり気遣いの出来る、馬鹿。
「ニノと、相葉ちゃんでしょ」
「……え」
「俺がずっと見守って来たのは、あんた達なの。ニノがずっと苦しんでた事も、相葉ちゃんがずっと悩んでたのも知ってる。それでお互い距離が空いたり自暴自棄になったりした時期も見てる。ねえ、俺、ずっと見て来たんだよ? 分かる?」
二宮と相葉の異質な愛を、傍らでずっと見詰めて来た。それこそ、櫻井や大野と一緒になるよりも前から。
今更偏見を持つ事は難しかった。自分には、二宮と相葉の間にある恋でしかない。
「松潤は、優しいね」
「優しくねえよ。ウチのメンバーは特別なんだって。俺、今でもホモとか嫌いだもん」
「この間も、どっかのプロデューサーさんに誘われてたね」
「ホントだよ。どこをどう勘違いするんだか知らねえけど、俺はノーマルなの」
「うん、松潤はちゃんと常識人だもんねえ」
感心するように言われて苦笑する。もしかしたら、相葉は常識をきちんと分かっているんじゃないかなと思った。
彼の天真爛漫さは、生きて行く為の手段だ。そして、二宮を安心させる為の。
「まあでも、翔君程じゃないけどね」
「翔ちゃんは、がっちがちだかんなあ。時々常識なのか分かんない時あるもん」
「いやいや、それは常識の範囲内だと思うよ」
「えー、俺何で怒られてんのか分かんない時あるよ?」
「ああ、そっちね。違う違う。相葉ちゃんを怒るのって、相葉ちゃんが可愛いからだけだよ。大事な大事な相葉ちゃんに変な事して欲しくないだけでしょ、翔君は」
「良く分かんないよねえ、翔ちゃんって」
「お前にだけは言われたくないと思うぞ」
PCに向かっている表情は真剣そのものだ。彼の価値観は常識に拠っているものが多かった。
けれど、その中で納まらないものも多い。櫻井の天秤は、常識よりも愛情を重んじた。
「でもさ、翔ちゃんだってさ」
「……ああ。あの常識人があんな片思いに陥るとはねえ」
「ねー。モテモテなのに」
「まあ、よりどりみどりだと逆に大事なものが分かるんじゃないの?」
「お。松潤。今良い事言った!」
相葉が楽しそうに笑う。近くのソファで眠った大野は目覚めなかった。本当に寝ているのかどうか、分からない時もあるけれど。
聞いてはいけない話だと分かっていたら、本当に聞かない。信用出来る人だった。だから多分、本当に眠っているだろう。
「気持ち良さそうに寝ちゃって」
「ホント。こーゆーの人の気も知らないで、って言うんだよね」
相変わらず覚えたての言葉を使いたがる。子供と同じだ。
櫻井は気付かずに没頭していた。きっとまた、取材用の勉強なのだろう。
あんなに賢くてあんなに人当たりが良くて、勿論その分モテる人だった。彼にそっちのケがあると言う話は聞いた事がないから、やっぱり特別なのだろう。
グループ内には火種ばかりだ。
面倒臭い筈のそれに、けれど松本は緩く笑った。彼らの愛情はとても優しい。苦しんでも悩んでも、自分の愛情から逃げる事はしなかった。
「翔ちゃん、上手く行くと良いねー」
「俺は、翔君が動くとは思えないけど?」
「うーん。勿体ないなあ」
「相葉ちゃん」
「ん?」
「人の事は良いから、自分の事しっかりやんなさい」
「はーい。大丈夫。ニノと一緒なんだもん」
「それが、心配なんだろ。何か困った事あったら、まず俺に言えよ」
「うん。ありがと。松潤大好き!」
「はいはい。俺はニノに睨まれるから言わないよー」
「えー。何でー。ニノ、そんなに心狭くないって」
狭いだろ、十分。と言う言葉は辛うじて飲み込んだ。相葉の自覚がないのは、相変わらず凄いなと思う。
どこまで無自覚なのかは分からないけれど、二宮の束縛に耐えられるだけでも尊敬に値した。
「今日は、一緒にご飯食べる日なの」
「そっか。あんま実験的なもん作んなよ」
「へーき。ホットプレートで焼肉だから」
嬉しそうに楽しそうに相葉は笑った。幸せでいてくれれば、それで十分だ。
二宮も相葉も一緒にいて救われるのなら、それが一番だった。互いの不在は互いでしか補えない。
相葉は同居だと言い張るけれど、精神状態の安定を図る為に住むのであれば、やはり同棲と表現するのが相応しいだろう。
いつか、遊びに行ける位までになれば良い。一緒に生きる事で安定するのなら。
けれど、現実はなかなか上手く行かなかった。愛情故に傷付けてしまう。その傷で更に自身を傷付けてしまう。
松本は唯、見守るだけだ。
彼らの恋の成就を、いつまでも。
+++++
二宮と相葉が同居を始めて、一ヶ月か経った。大体は上手く行っていると思う。
余り意識して一緒にいないのが良いのかも知れない。二宮はマジックの営業に出掛けていたし、相葉も後輩や先輩、地元の友達と良く遊んでいた。
ゴミ出しと選択は当番制。食事は気が向いたら作る程度だ。相葉が創作料理を作っても、必ず二宮は全部食べてくれた。
その優しさが嬉しいと、相葉は思う。言葉にしない部分で、凄く優しい人だった。
他人には伝わりづらいけれど、こんなにも優しく甘やかしてくれる存在を他に知らない。
今日も、相葉は料理の真っ最中だった。仕事が詰まり始めている二宮の為に、冒険はせずにきっちりハンバーグを作る。
ただし、ハンバーグとキャベツの千切り、ご飯以外はないシンプルな食卓だった。松本だったら、栄養が偏ると怒るかも知れない。
「ただいまー」
「お帰り!」
「良い匂いする」
「うん、ハンバーグ作った!」
「何味?」
「しっつれーだな! ちゃんと普通のだよ」
「誰かに習った?」
「母ちゃん!」
「あ、じゃあ安心ですね」
「ニノの馬鹿!」
「ごめんごめん。嘘。凄く楽しみ。美味しそうだね」
毒を吐いたと思ったら、すぐに甘やかされる。この緩急自在な二宮の扱いに慣れてしまっている自分もいかがなものかと、相葉は思った。
思うだけで改善しようとは考えないけれど。
お互いの関係に居心地が良ければそれで良かった。二宮が傍にいる。安心した顔で笑う。
自分の人生の中でこれ以上の幸せはなかった。今までもこれからも、二宮の笑顔に適うものはない。
「ほら、先風呂入ってきちゃいなよ!」
「うん。相葉さんは?」
「俺は先に入った。ニノが入ってる間に、準備しとく」
「なぁんだ、残念。一緒に入りたかったな」
「ふふ。また今度ね」
相葉の背中にべったりと甘える二宮の頭を撫でると入っておいでと促した。
疲労なんて弱味は絶対に見せたがらないけれど、二宮は疲れているとこうして甘えたがる。可愛いな、と思って相葉は料理の仕上げに掛かった。
いつもは小食な二宮は、相葉の作ったハンバーグをぺろりと食べてしまう。少し焦げ過ぎていたから、抜群に上手いとは言えなかったけれど。
二宮は満足げに笑って、美味しかったよと言ってくれた。
「あ、洗い物手伝うよ」
「良いってば! ゆっくりしてなよ」
「何言ってるんですか。全然平気だよ?」
「駄目。あっち行ってて」
「良いじゃん。手伝いたいんだもん」
「むー。じゃあ、拭いてくれる?」
キッチンに並んで立つと、洗い上げた皿を二宮に渡して行く。こんな単純な作業でさえ楽しかった。
一緒に暮らして良かったなと思うのは、こんな時だ。一人きりでは寂しい時間があった。
一緒に同じ事をしていなくても構わない。唯、同じ部屋に二宮の気配があるだけで安心した。
洗い物を終えると、ソファに座ってテレビを見る。寝室は別々だった。一緒にいられるのは、このリビングだけだ。
相葉が同居と言い切るのは、ここに理由があった。昔は身体を重ねた事もあったけれど、今はもう二人の間にそう言う関係はない。
身体を繋げなくても、お互いを縛る方法を覚えた。相手を自分のものだと確認する為のセックスは、必要がない。
元々、負担の大き過ぎる行為だ。相葉の弱い身体では、何度も耐える事が出来なかった。
役割を交代しようか、と二宮が言ってくれた事もある。一番最初にした時のままだけど、別にどっちでも良いんだよ? と。
けれど、相葉には出来なかった。自分より小さな二宮に酷い事は出来ない。勿論、苦しいだけの行為ではなかったけれど。
十代の頃の苦しい気持ちを、互いの身体で補った。今は、その時期を過ぎている。
戯れにキスをする位だった。
多分、これからも一緒に暮らしていくだろう。二宮は自分のものだったし、自分は二宮のものだった。
でも、この家で暮らしながら、きっと他の人間を好きになるだろう。恋と言う意味で、自分じゃない人間を好きになる。
相葉は、そう信じていた。
「あ、ニノのCM」
「ああ、ホントですねえ」
「これ可愛くて好き」
ソファの背もたれではなく、お互いに体重を預けながら、うだうだとテレビを見る。何を放送しているのかも分からない。
隣の体温が心地良かった。緩く腕を絡めて、離れないようにと引き留める。
眠るまでの僅かな時間。手の届く範囲に、文庫本もトランプもあった。
一人の時間を手許に置きながら、二人きりの時間を楽しむ。安心する場所だった。
「相葉さん?」
「んー」
「寝るんなら、ベッド」
「やだ」
「ほとんど寝てるじゃない」